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24. 王宮から侯爵家へ
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次の日は、なんと王宮から家庭教師を呼んでくれた。
40代か50代くらいの細い眼鏡を掛けた、背の高い、髪をしっかりと結んで纏め上げた女性の先生だ。
まずは姿勢。
これがかなり難しかった!頭から爪先まで神経を研ぎ澄ませて、やれ力を入れろ、そこは力を抜けと言われた。
だけれど、三の鐘が鳴る前にどうにか歩き方を褒められるまでになった。
モデルよ、モデル歩き!
優雅に、品良く、だって。出来るかー!と思ったけれど、まぁ最後に褒められたし良かったわ。これからも出来るようにしないとね。
昼ご飯を食べてからは、この世界の歴史を学んだ。
まぁ、日本や海外とどこも似たような歴史よね。神話のような話から始まって、この国を作った神様が国王陛下の祖先だって。
貴族の種類も教わった。
コーフィス侯爵家は、なんと上から数える方が早い地位だった!
私、そんな所に嫁いで大丈夫なのかしら…と思っていたら、この家庭教師の先生は私とクスファーさんとの事を知っているみたいで『大丈夫ですよ、難しいかもしれませんが貴族のしきたりをしっかりと覚えて下されば、案外その生活も楽しいですよ。前国王陛下の奥様であられる、前王妃様も異世界人でしたが、努力され立派に勤め上げたそうですよ。今はご隠居されていますがね。』とも言ってくれた。
そうよね、どうにかなるわよね!?
そして、その日の夕方もクスファーさんと一緒にヤマトテイに食べに行って、次の日に侯爵家へ向かう日となった。
朝食を食べ、部屋で待っているとクスファーさんが来た。
「おはよう。なあリン。王宮でなく、侯爵家へ一緒に行って本当に大丈夫か?」
え?どういう意味だろう…。
「えっと…クスファーさんどういう意味ですか?私はここに居た方がいいですか?」
「そうじゃない!そうじゃないが…心配になってしまった。侯爵家へ一緒に来るという事はもう、俺の妻になる以外の選択肢は無いよ。いや、あるにはあるが、俺が君を手放せないだろう。もちろん俺は嬉しいし一緒に来て欲しいさ。だけれど、リンの気持ちは大丈夫かと不安になってしまったのだ。」
まぁ!天下無敵のクスファーさんでも、不安になる事ってあるのね。
「クスファーさん。私、まだまだ未熟で、クスファーさんの侯爵家が国で上から数えた方が早い地位だなんて知らなかったの。だけれど、クスファーさんの傍にいたいと思ってしまった。こうやって話す時間が待ち遠しくなってしまったわ。だから…何の取り柄もない私だけれど…出来るなら一緒に連れて行ってもらえませんか?」
「リン…!」
クスファーさんはそう言うと両手を広げ私を優しく包み込んでくれた。
あぁ…なんだか温かい。クスファーさんって何だろうとても良い匂いがするわ。
「あぁ、リン!そんな可愛い事言わないでくれ!俺は今すぐ…!いやいやまだまだゆっくりと段階を踏まないとだよな。でもリンと二人で馬車でなんて苦行すぎる!あぁ早く結婚したい!領地経営を早く覚えて、リンを養えるようになるから。幸せにするよ、リン!」
クスファーさんはそう言いながらギュウギュウと両手に力を入れてくれるから、少し痛い位だわ。
だけれど、こうやって抱き合えるなんて幸せ…!異世界へ来て良かったんじゃないかしら。
「クスファー。そんなに力入れるとリンが潰れちゃうよ。」
「…!」
あの声は、ダグラスさん!見られていたなんて恥ずかしい…。
ゆっくりとクスファーさんは腕を緩め、私を離して、ダグラスさんを睨んだ。
最も、隠れていてくれてるけれど、侍女にもすでに見られていただろうけれど。
「なんだよ、ダグラス。良いところを邪魔するなよ。」
「ふん。帰るんだろ?挨拶にと思って来たんだからね。まず、僕が見抜いて二人でデートしておいでって言ったんだから、僕にお礼でもあっていいんじゃないの?」
と、ダグラスさんは言った。そうね確かに、ダグラスさんは二人で出掛けなって言ってくれたんだったわ。
それがなかったら、こんな風になってなかったわよね。
「その節は本当にありがとうございました。」
「お、リンは素直だね-。じゃあ、お礼に、僕の妻と友達になってくれると嬉しいな!」
え?妻!?
「妻!?」
「あれ?聞いてない?僕も今日でここを去って、領地で結婚式を挙げるんだ-。僕は伯爵家の跡取りだからね。妻は幼馴染みでね。同じ領地の、子爵家のお嬢様さ。また会った時はよろしく!じゃあね、幸せにしてもらいなね!」
とだけ言うと、『早く領地へ帰って会いに行こっと!』とさっさと部屋を出て行った。
「全く、あいつは…。じゃあ俺達も行こう。忘れ物はないか?」
「はい。」
私達は領地へと向かう為、この立派な部屋を出た。
40代か50代くらいの細い眼鏡を掛けた、背の高い、髪をしっかりと結んで纏め上げた女性の先生だ。
まずは姿勢。
これがかなり難しかった!頭から爪先まで神経を研ぎ澄ませて、やれ力を入れろ、そこは力を抜けと言われた。
だけれど、三の鐘が鳴る前にどうにか歩き方を褒められるまでになった。
モデルよ、モデル歩き!
優雅に、品良く、だって。出来るかー!と思ったけれど、まぁ最後に褒められたし良かったわ。これからも出来るようにしないとね。
昼ご飯を食べてからは、この世界の歴史を学んだ。
まぁ、日本や海外とどこも似たような歴史よね。神話のような話から始まって、この国を作った神様が国王陛下の祖先だって。
貴族の種類も教わった。
コーフィス侯爵家は、なんと上から数える方が早い地位だった!
私、そんな所に嫁いで大丈夫なのかしら…と思っていたら、この家庭教師の先生は私とクスファーさんとの事を知っているみたいで『大丈夫ですよ、難しいかもしれませんが貴族のしきたりをしっかりと覚えて下されば、案外その生活も楽しいですよ。前国王陛下の奥様であられる、前王妃様も異世界人でしたが、努力され立派に勤め上げたそうですよ。今はご隠居されていますがね。』とも言ってくれた。
そうよね、どうにかなるわよね!?
そして、その日の夕方もクスファーさんと一緒にヤマトテイに食べに行って、次の日に侯爵家へ向かう日となった。
朝食を食べ、部屋で待っているとクスファーさんが来た。
「おはよう。なあリン。王宮でなく、侯爵家へ一緒に行って本当に大丈夫か?」
え?どういう意味だろう…。
「えっと…クスファーさんどういう意味ですか?私はここに居た方がいいですか?」
「そうじゃない!そうじゃないが…心配になってしまった。侯爵家へ一緒に来るという事はもう、俺の妻になる以外の選択肢は無いよ。いや、あるにはあるが、俺が君を手放せないだろう。もちろん俺は嬉しいし一緒に来て欲しいさ。だけれど、リンの気持ちは大丈夫かと不安になってしまったのだ。」
まぁ!天下無敵のクスファーさんでも、不安になる事ってあるのね。
「クスファーさん。私、まだまだ未熟で、クスファーさんの侯爵家が国で上から数えた方が早い地位だなんて知らなかったの。だけれど、クスファーさんの傍にいたいと思ってしまった。こうやって話す時間が待ち遠しくなってしまったわ。だから…何の取り柄もない私だけれど…出来るなら一緒に連れて行ってもらえませんか?」
「リン…!」
クスファーさんはそう言うと両手を広げ私を優しく包み込んでくれた。
あぁ…なんだか温かい。クスファーさんって何だろうとても良い匂いがするわ。
「あぁ、リン!そんな可愛い事言わないでくれ!俺は今すぐ…!いやいやまだまだゆっくりと段階を踏まないとだよな。でもリンと二人で馬車でなんて苦行すぎる!あぁ早く結婚したい!領地経営を早く覚えて、リンを養えるようになるから。幸せにするよ、リン!」
クスファーさんはそう言いながらギュウギュウと両手に力を入れてくれるから、少し痛い位だわ。
だけれど、こうやって抱き合えるなんて幸せ…!異世界へ来て良かったんじゃないかしら。
「クスファー。そんなに力入れるとリンが潰れちゃうよ。」
「…!」
あの声は、ダグラスさん!見られていたなんて恥ずかしい…。
ゆっくりとクスファーさんは腕を緩め、私を離して、ダグラスさんを睨んだ。
最も、隠れていてくれてるけれど、侍女にもすでに見られていただろうけれど。
「なんだよ、ダグラス。良いところを邪魔するなよ。」
「ふん。帰るんだろ?挨拶にと思って来たんだからね。まず、僕が見抜いて二人でデートしておいでって言ったんだから、僕にお礼でもあっていいんじゃないの?」
と、ダグラスさんは言った。そうね確かに、ダグラスさんは二人で出掛けなって言ってくれたんだったわ。
それがなかったら、こんな風になってなかったわよね。
「その節は本当にありがとうございました。」
「お、リンは素直だね-。じゃあ、お礼に、僕の妻と友達になってくれると嬉しいな!」
え?妻!?
「妻!?」
「あれ?聞いてない?僕も今日でここを去って、領地で結婚式を挙げるんだ-。僕は伯爵家の跡取りだからね。妻は幼馴染みでね。同じ領地の、子爵家のお嬢様さ。また会った時はよろしく!じゃあね、幸せにしてもらいなね!」
とだけ言うと、『早く領地へ帰って会いに行こっと!』とさっさと部屋を出て行った。
「全く、あいつは…。じゃあ俺達も行こう。忘れ物はないか?」
「はい。」
私達は領地へと向かう為、この立派な部屋を出た。
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