【完結】それはダメなやつと笑われましたが、どうやら最高級だったみたいです。

探索の儀 評価

｢私の石は…お二人よりかなり小さいのです。お恥ずかしいのですけれど…。｣

　そう言って、手にすっぽり収まっていた、黒光りしていた石を見せた。

｢まぁ…！何だかこれも宝石みたいね。黒色と思ったけれど、太陽に当たると紫や濃い青にも見えるわ。不思議ね。｣

｢そうね。とてもいいサイズだわ。指輪に出来そうじゃないの！もしよかったら、うちの最高級の彫金師を友達価格で紹介するわよ！｣

　と、サイメーラとラリアーが言ってくれた。けれど、心が萎んできていたからか慰めてくれているように感じた。

｢ありがとう。そう言ってくれて。見た目は関係ないと言われたけれど、やっぱりお二人みたいに輝くような色や大きさは少し羨ましいわ。｣

　私は、下を向いて気が重い様子で言った。

｢あら、エレナール！何を言っているのかしら？私を誰だと思っているの？公爵令嬢であられるサイメーラ様よ！そして隣にいるのはラリアーよ。あなた私達がどんな性格かご存じでしょう？私達はお世辞なんて言わないわ！正直者なのよ！だから本当の気持ちよ。…ねぇ、自分の石を小さいだとか言ってごめんなさい。けれど、私の家柄からすれば仕方のない事よ。そうでしょ？ほら、その石太陽に当てて見て？色が変わるわよ。｣

　サイメーラが、ちょっとおどけながら言ってくれたので私は顔を上げて、言われた通りに少し腕を上げて石を太陽に翳してみる。

　すると、本当に、黒光りしていたと思ったけれど、濃い青色や紫にも見える。

｢本当だ！ちょっとこれはものすごく当たりなんじゃないの！？指輪の件は前向きに考えてみてね。あ、ネックレスでもいいから！！｣

｢ちょっとラリアーは黙ってなさいよ！商売は大事だとは思うけれど、エレナールも侯爵令嬢なんだからお抱えがいるわよ。それよりも…そうね確かにこれは当たりかもね…。｣

　ラリアーの言葉に噛みついたサイメーラだったが、ブツブツと独り言を言いながら考えこんでしまった。

｢まぁ、確かにそうね。高位貴族ともなればお抱え商人は当たり前か！だから新規開拓は難しいのよ…。でも、そんな顔しないのよ！こんな珍しい石は、エレナールだからこそ相棒に選ばれたのよ！エレナールは心優しいもの。きっと、魔力もたくさん備わっているかもしれないわよ！｣

　と、ラリアーは励ましてくれた。でも、この二人にそう言ってもらえると心が温かい気持ちに満たされていった。さっきまで鬱々としていたのに、晴れ晴れとした気分になったわ。我ながら単純だね。
けれど、だからこそサイメーラとラリアーは私にとって無くてはならないお友達なのよね。