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25 挨拶
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颯爽と駆けてきたアウロラとランナルは、見えて来た景色に手綱を引き、馬の速さを緩ませた。
「アウロラ、とても上手だったね。
さすが名馬を量産しているフランソン領で育っただけの事はあるな。いや、アウロラの努力の賜物か。」
「ふふ、ありがとう!一緒に走ってくれて、とっても楽しかったわ。」
ランナルは、アウロラが走る間一定の距離をきちんと取ってくれていた。隣で並んで走る時もあれば、アウロラが速さを上げると、一定の距離を開けて離れないようについて来てくれていた。きっと、本当はアウロラよりもかなり巧いのだろうと、アウロラは感じていた。
アウロラは大きくなり、一人で領地を走る事が多かった為、誰かと一緒に走る事がこんなに楽しいのだと改めて知ったのだった。
視線の先にはアウロラの生まれ育った屋敷があり、カポカポとそこからはゆったり馬を歩かせながら隣に並んで進んで行く。周りには、広大な草原とその周囲には木で柵が作られ馬が放されていた。
「ここが、アウロラの生まれ育った場所なんだね。」
「ええ。あれが、うちよ。」
乗ってきた二頭の馬を屋敷の敷地内の厩に預け、屋敷へと入り、ランナルを応接室へと案内した。すると程なくして屋敷にいたボルイと、昨日シーグルドと共に帰ってきたスティーグが入ってきた。シーグルドはすでに仕事へと、王宮に行ったのだと思われた。
それを見て、ランナルは立ち上がり口を開いた。
「いきなり訪ねてきてしまったのに、挨拶をする機会を与えてくれてありがとう。
私はランナル=ステンホルム。この度アウロラ嬢と結婚をさせて頂く事となり、お邪魔させて頂きました。」
ランナルよりも年下である二人に、きちんと挨拶をしてくれたとアウロラはなんだか心が温かくなりつつ、見守っている。
「いいえ!こちらこそ、我が領地までご足労頂き、感謝申し上げます。
私はアウロラの兄、スティーグ、そしてこちらが弟のボルイと申します。
どうぞおかけ下さい。」
スティーグがそう言いボルイもペコリとお辞儀をすると、ランナルもまたお辞儀を返してから座った。
「お兄様、来てくれてありがとう。」
一度寮へと帰ったのに、また来てくれた事に対してお礼を述べるアウロラに、スティーグは真面目な顔をして返す。
「アウロラの相手が決まったと聞き、しかも屋敷に来てくれると聞いて帰って来ないわけないよ。
しかしランナル様、アウロラで良かったのですか?」
「勿論です。アウロラ嬢でなければ結婚なんて考えませんでした。
スティーグ殿、いえ義兄上。
私からもお会い出来た事、感謝申し上げます。」
「あ、兄上だなんて!ランナル様のが年上なのですから!」
「いえ、アウロラ嬢の兄上なのですから。」
「お、お止め下さい!緊張します!」
普段の兄とは違う一面を見て、アウロラはプッと吹き出すとスティーグにすぐ睨まれた。
それを見たランナルはフッと息を吐くと、ではこうしましょう、と妥協案を出した。
「私の事も、様と付けないで頂けるのであれば、恐れ多くもスティーグ殿、と呼ばせて頂いても宜しいですか?」
「あ…ありがとう御座います。承知しました。
ではランナル殿、と呼ばせて頂いても…?」
「勿論です。
それから…お許し頂けるのであれば、親族となるわけですからもう少し砕けてお話頂けると幸いです。」
「え!ゆ、許すもなにも…アウロラが決めたんだよな?」
スティーグはそう言われ、アウロラへと視線を向け確認する。
昨日受け取った二通の手紙には、『私(シーグルド)の昔の学友からの打診で王都で顔合わせしたんだが、その人物とは違う、ランナル=ステンホルム侯爵とアウロラが結婚する事となった』『半年後に結婚する。その前にフランソン領に来たいそうだ。スティーグも帰って来れるのであれば、帰って来て欲しい』と簡潔に書かれていた。そして昨日の馬車の中で、シーグルドから大体の経緯を聞いた。
顔合わせをする為に王都に来ていたのも知らなかったし、結婚に興味も無さそうだった妹がいきなり半年後に結婚をすると知りスティーグは強引に話が進んだのかと気を揉んでいたが、今日のアウロラとランナルの姿を見てどうやら違うとは思うが、と確認をしたかったのだ。
「ええ、勿論よ。
あ、お兄様…そういえばランナルは、あの弓当て会に参加されていたのよ。」
「え?…ええ!?」
あの弓当て会、と言えばフランソン家では言わずもがな八年前の弓当て会の事だ。それは、スティーグにとってもアウロラになったという恥ずかしい思い出なので、仰け反るほどに驚いた。
「はい。実は、あの時から隣にいたアウロラ嬢が気になっていまして…」
「…隣?」
「私の隣で、出場されていたのよ。」
「あぁ…え、ではアウロラのありのままを?そういえばさっきも、馬の駆けてくる音が聞こえていたな。
…良かったな。」
あの馬の走り方は、馬車のそれではないとスティーグは思い返した。
アウロラの嗜みは多岐に渡る。馬に乗る事や馬の世話だってそうだし、昔は弓だってそうだ。
一般的な貴族の子女であれば刺繍や縫い物が趣味だと言うだろうし、お洒落にだって気を遣うだろうが、アウロラはそれらより、楽しいものがあると言っていた。だからこそ、学友に妹を紹介しろ、と言われても紹介する気にもならなかった。
アウロラが嗜む事に付き合い、しかも慈しむような目でアウロラを見ている。それだけで上辺だけの結婚ではないという事がまざまざと見せつけられたのだ。兄としては複雑ではあるが、妹が幸せになれるなら、と祝福の言葉を述べた。
「ええ、アウロラ嬢は馬の扱いがさすが巧いですね。私も楽しかったです。」
と、ランナルは優しい視線をアウロラに向けている。
「姉上、良かったですね。お幸せに、なって下さい。」
「ふふ。ありがとう。ボルイも。」
アウロラもまた、とても嬉しそうな笑顔をしているので、スティーグもボルイも姉の幸せがいつまでも続くようにと願った。
☆★
「あーんもう少しで僕が勝てたのにー!」
「ランナル、すごい!
ボルイも頑張ったわね。」
「ありがとう。
ボルイ、さっきの手だが、ここに置くんじゃなくて、こちらに置いていたら勝敗は変わっていたかもしれない。」
「えーそうだった?」
「はは!ボルイ、惜しかったな。」
「僕の仇討ち、兄上してくれるんでしょ?」
「え、僕?いやぁ、さすがに勝てないだろ…」
「あら、初めから負ける気なの?お兄様。」
「そうだよ!勝てるかもしれないよ!」
「だ、そうだ。スティーグ殿、お手柔らかにお願いしたい。」
「それはこっちの台詞です!」
ーーー
ーー
自己紹介が終わり雑談をしていた四人だったが、そこから応接室の一角に置かれたボードゲームをする事となり、四人は昼食の時間になるまで競い合い、打ち解けていったのだった。
「アウロラ、とても上手だったね。
さすが名馬を量産しているフランソン領で育っただけの事はあるな。いや、アウロラの努力の賜物か。」
「ふふ、ありがとう!一緒に走ってくれて、とっても楽しかったわ。」
ランナルは、アウロラが走る間一定の距離をきちんと取ってくれていた。隣で並んで走る時もあれば、アウロラが速さを上げると、一定の距離を開けて離れないようについて来てくれていた。きっと、本当はアウロラよりもかなり巧いのだろうと、アウロラは感じていた。
アウロラは大きくなり、一人で領地を走る事が多かった為、誰かと一緒に走る事がこんなに楽しいのだと改めて知ったのだった。
視線の先にはアウロラの生まれ育った屋敷があり、カポカポとそこからはゆったり馬を歩かせながら隣に並んで進んで行く。周りには、広大な草原とその周囲には木で柵が作られ馬が放されていた。
「ここが、アウロラの生まれ育った場所なんだね。」
「ええ。あれが、うちよ。」
乗ってきた二頭の馬を屋敷の敷地内の厩に預け、屋敷へと入り、ランナルを応接室へと案内した。すると程なくして屋敷にいたボルイと、昨日シーグルドと共に帰ってきたスティーグが入ってきた。シーグルドはすでに仕事へと、王宮に行ったのだと思われた。
それを見て、ランナルは立ち上がり口を開いた。
「いきなり訪ねてきてしまったのに、挨拶をする機会を与えてくれてありがとう。
私はランナル=ステンホルム。この度アウロラ嬢と結婚をさせて頂く事となり、お邪魔させて頂きました。」
ランナルよりも年下である二人に、きちんと挨拶をしてくれたとアウロラはなんだか心が温かくなりつつ、見守っている。
「いいえ!こちらこそ、我が領地までご足労頂き、感謝申し上げます。
私はアウロラの兄、スティーグ、そしてこちらが弟のボルイと申します。
どうぞおかけ下さい。」
スティーグがそう言いボルイもペコリとお辞儀をすると、ランナルもまたお辞儀を返してから座った。
「お兄様、来てくれてありがとう。」
一度寮へと帰ったのに、また来てくれた事に対してお礼を述べるアウロラに、スティーグは真面目な顔をして返す。
「アウロラの相手が決まったと聞き、しかも屋敷に来てくれると聞いて帰って来ないわけないよ。
しかしランナル様、アウロラで良かったのですか?」
「勿論です。アウロラ嬢でなければ結婚なんて考えませんでした。
スティーグ殿、いえ義兄上。
私からもお会い出来た事、感謝申し上げます。」
「あ、兄上だなんて!ランナル様のが年上なのですから!」
「いえ、アウロラ嬢の兄上なのですから。」
「お、お止め下さい!緊張します!」
普段の兄とは違う一面を見て、アウロラはプッと吹き出すとスティーグにすぐ睨まれた。
それを見たランナルはフッと息を吐くと、ではこうしましょう、と妥協案を出した。
「私の事も、様と付けないで頂けるのであれば、恐れ多くもスティーグ殿、と呼ばせて頂いても宜しいですか?」
「あ…ありがとう御座います。承知しました。
ではランナル殿、と呼ばせて頂いても…?」
「勿論です。
それから…お許し頂けるのであれば、親族となるわけですからもう少し砕けてお話頂けると幸いです。」
「え!ゆ、許すもなにも…アウロラが決めたんだよな?」
スティーグはそう言われ、アウロラへと視線を向け確認する。
昨日受け取った二通の手紙には、『私(シーグルド)の昔の学友からの打診で王都で顔合わせしたんだが、その人物とは違う、ランナル=ステンホルム侯爵とアウロラが結婚する事となった』『半年後に結婚する。その前にフランソン領に来たいそうだ。スティーグも帰って来れるのであれば、帰って来て欲しい』と簡潔に書かれていた。そして昨日の馬車の中で、シーグルドから大体の経緯を聞いた。
顔合わせをする為に王都に来ていたのも知らなかったし、結婚に興味も無さそうだった妹がいきなり半年後に結婚をすると知りスティーグは強引に話が進んだのかと気を揉んでいたが、今日のアウロラとランナルの姿を見てどうやら違うとは思うが、と確認をしたかったのだ。
「ええ、勿論よ。
あ、お兄様…そういえばランナルは、あの弓当て会に参加されていたのよ。」
「え?…ええ!?」
あの弓当て会、と言えばフランソン家では言わずもがな八年前の弓当て会の事だ。それは、スティーグにとってもアウロラになったという恥ずかしい思い出なので、仰け反るほどに驚いた。
「はい。実は、あの時から隣にいたアウロラ嬢が気になっていまして…」
「…隣?」
「私の隣で、出場されていたのよ。」
「あぁ…え、ではアウロラのありのままを?そういえばさっきも、馬の駆けてくる音が聞こえていたな。
…良かったな。」
あの馬の走り方は、馬車のそれではないとスティーグは思い返した。
アウロラの嗜みは多岐に渡る。馬に乗る事や馬の世話だってそうだし、昔は弓だってそうだ。
一般的な貴族の子女であれば刺繍や縫い物が趣味だと言うだろうし、お洒落にだって気を遣うだろうが、アウロラはそれらより、楽しいものがあると言っていた。だからこそ、学友に妹を紹介しろ、と言われても紹介する気にもならなかった。
アウロラが嗜む事に付き合い、しかも慈しむような目でアウロラを見ている。それだけで上辺だけの結婚ではないという事がまざまざと見せつけられたのだ。兄としては複雑ではあるが、妹が幸せになれるなら、と祝福の言葉を述べた。
「ええ、アウロラ嬢は馬の扱いがさすが巧いですね。私も楽しかったです。」
と、ランナルは優しい視線をアウロラに向けている。
「姉上、良かったですね。お幸せに、なって下さい。」
「ふふ。ありがとう。ボルイも。」
アウロラもまた、とても嬉しそうな笑顔をしているので、スティーグもボルイも姉の幸せがいつまでも続くようにと願った。
☆★
「あーんもう少しで僕が勝てたのにー!」
「ランナル、すごい!
ボルイも頑張ったわね。」
「ありがとう。
ボルイ、さっきの手だが、ここに置くんじゃなくて、こちらに置いていたら勝敗は変わっていたかもしれない。」
「えーそうだった?」
「はは!ボルイ、惜しかったな。」
「僕の仇討ち、兄上してくれるんでしょ?」
「え、僕?いやぁ、さすがに勝てないだろ…」
「あら、初めから負ける気なの?お兄様。」
「そうだよ!勝てるかもしれないよ!」
「だ、そうだ。スティーグ殿、お手柔らかにお願いしたい。」
「それはこっちの台詞です!」
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