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4 顔合わせ
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翌朝。
ロビーから〝昨日無事に到着されたようで何より。午後、ホテルの一階ラウンジにて顔合わせを行いたいが如何かな?〟とインマルから連絡があったと言付けを受けたシーグルド。
ホテルを予約した時に、到着したら連絡をするようにとインマルは指示を出していたのだろうと思い、こちらから連絡する手間が省けたとそれに承諾した。
カリーネはというと、本来であれば同席しようと思って着いてきてはいたのだが、やはり昨日の疲れがまだ抜けきれておらず部屋でゆっくりする事となった。顔合わせの頃は、全身マッサージを三人より受けているはずである。
そのため、アウロラとシーグルドは午前中からすぐに準備に取りかかり、午後に指定の時間の十分前にアウロラと共に階段を下りて一階のラウンジに向かう。
さすが有名なホテルである。ロビーを抜けると歌劇場や庭園などの施設もある為か人通りもあり客室階の廊下とは打って変わって賑やかな雰囲気が感じられた。
「やあやあやあ!こっち、こっちだ!
本日はお日柄も良く、だなぁ!
本当に来てくれてありがとう!いやあ目出度いね!!シーグルド殿!!」
シーグルドの姿を見つけたのであろうインマルが立ち上がって手をあげながらに一際大きな声で告げたため、周りの客が一斉にこちらとインマルを交互に見た。
それに苛ついたシーグルドだったが、表情には出さないように取り繕い、インマルの声には返事をせずにアウロラとともにゆっくりと席についてから、切り出した。
「インマル殿。昔のよしみとはいえ、それはただ学生時代共に同じ学び舎で学んだだけの仲だったはず。
見れば分かるとは思うが、ここは公共の場だ。もう少し声を抑えてくれ。
それさえ出来なければ、この話は無かった事にしていただくが?」
強気とも思える、普段出さない低い声を出した父に驚くアウロラは、しかし表情には出さないように努め、少し俯きながら横目で伺う。
「それは困る!!
…いえ、僕が父上を黙らせますから、どうか、続行させて下さい!な、父上!?」
「す、済まない…シーグルド。
どうやら気が急いてしまったようだ。もう少し声を抑えるとしよう。」
シーグルドの刺すような言葉と視線には気づかなかったのか、父親の声と同じくらい大きな声を反射的に出して立ち上がったビリエル。
叫び出してからやっと、シーグルドの射抜くような視線と周りの静けさを感じたのか、肩をすくめてインマルに助けを求めるように見る。
その隣に立っていたインマルも気圧されたのか弱々しく言葉を繋いで息子に一つ視線を送ると、共に席に座った。
それに一つ頷いたシーグルドは、インマルとビリエルを交互に見ながら話し出した。
「まず、話をいただいた事は感謝致します。
ですが以前も伝えた通り、結婚を抜きにして、お互いを知る交流から始めていただきたい。」
「いやあ、それはもちろん!!それでいいんだったよな、ビリエル?」
「はい!もちろん!
まずは友人として交流し、僕を好きになってもらえたらと思ってます!!」
「…だ、そうだ。アウロラ、どうする?」
(一応確認は取って下さったし、大声出されてびっくりしたけど、喜んでくれているって事なのかしら…?)
侯爵であるインマルは、左右に広がった大きなお腹の前で手揉みをしながらシーグルドに話している。格上の侯爵家であるし、もっと高圧的にくるのかと思っていたがそうではなく、逆に父シーグルドの方が強気で話しているようだと不安になるほどであった。それでも嫌な顔を見せずにヘラヘラと笑いながらシーグルドへと返答しているショールバリ侯爵家に、とりあえずお友達から交流という形ならと頷いた。
「承知しました。では友人としてよろしくお願いしたします。」
「いよっしゃーー!!!」
アウロラが告げると、ビリエルはすぐさま両手を上に挙げてそう叫ぶ。
シーグルドはそれに嫌そうに顔をしかめると一つ咳払いをしてから表情を戻し、紹介をし始めた。
「では。
アウロラ、こちらがインマル=ショールバリ侯爵、こちらがそのご子息ビリエル殿だ。
インマル殿、ビリエル殿。こちらが私の娘、アウロラです。」
「初めまして、アウロラ=フランシスでございます。
着座でのご挨拶で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。」
アウロラは、このような時は立って自己紹介するのかと思ったがシーグルドは座りながら軽くそう言ったため、そのように挨拶をし美しい所作で頭を下げる。
「…まぁそうだね、とりあえず初めまして。
僕はビリエル=ショールバリ次期侯爵だよ。これから末永く、よろしくね。」
「…いえ、末永くかはまだ…」
そのビリエルの言葉に少し引っ掛かりを覚えたアウロラは、言葉を濁しながらも直ぐさま否定を示した。
「ハハハ、ビリエルあまり先走り過ぎてはいけないよ?
でも本当に可愛らしいお嬢さんだ!私も義理の娘になってくれる事を願ってしまうほどだよ!」
アウロラの言葉に被せるように、インマルは自身の腹を撫でながらそう告げると、再びシーグルドは眉間にしわを寄せ、口を開く。
「ウオッホン!
何度も言うが、娘の気持ちが第一で考えさせていただきたい。お二人とも、気を急かさないでくれないか?
別に私から言い出した話ではないため、それが無理であればこの話今すぐにでも…」
「わーー!分かります、分かります!!そうですね、確かに焦ってしまいすみません!だってこんなに可憐で、いかにも深窓令嬢って感じだったからつい…。
アウロラ、ごめんね?…て、アウロラって呼んでもいいかな?」
「…まだ、今日お会いしたばかりですのでそれはちょっと…」
「ああ!ごめん!そうだね!!清楚なんだもんね!?じゃあ今はアウロラ嬢で。
ごめんね?一目見た時からずっと可愛いと思って、そっから勝手に呼んでしまってたんだよ。」
「…?」
「えーっとね、五年?六年?だっけ?何年か前の弓当て会の時だよ。」
「え!?」
「ええ!?」
(弓当て会って、八年前の…!?)
「ん?びっくりした?
その会、僕出場しててね、賞品もらったんだ!凄いでしょ?」
「…その時、ですか?」
「そうだよ!君は白い帽子被ってて、顔は見えなかったけど可愛かったなぁ。すっごく可憐でさ!お屋敷から一歩も出た事ありません、って感じの深窓令嬢って雰囲気醸し出してて。
スティーグを必死に応援してたでしょ?今でも覚えてるんだ!あ、今も変わらずとーっても可愛いよ?
だからさ、それが忘れられずずっとスティーグに紹介を頼んでたのに、あの堅物何回も断るんだから。酷いよね!」
「久し振りに息子が私に頼みがあると言い出したから何かと思ったら、アウロラ嬢、君に結婚の打診をして欲しいって言ってきたんだ。
それがまさか、シーグルド殿の娘さんだったとはね!これも何かの縁だよ!」
「スティーグを応援…?」
「帽子を被ってて…?」
シーグルドとアウロラは呟くようにそう告げるが、ビリエルとインマルは嬉々としてそう言うと、ビリエルは待ってましたとばかりにペラペラと話し出した。
「そうだよ!覚えてる?あぁ、怖かったから、あまり覚えてないかな?まぁ、それに実際僕とは話してもなかったもんね。
でもいいんだ!そんな昔の事より、これからたくさん僕の事を知ってくれればいいからね!」
「ビリエル、それなら次の約束をしてはどうかね?」
「あぁ、そうだった!
明日、手始めにデートしよう?何処がいいかな…あ!このホテルに併設されてる歌劇場に行こうか!父上、いいよね?」
「あぁ、それはいいね。もちろんだ!
今は確か、外国の歌劇団が来ていたね。うちは入場券があるから!
いやなに、単なる年間入場券だよ。だからいつでも入れるし、気兼ねなく行ってくるといい。」
「じゃあ、せっかくだし午前の部にしようか!長く一緒にいられるもんね!
九時にここに迎えに来るよ!このラウンジにいてくれるかい?アウロラ!」
「えっと…」
(てっきり私が出場してたのがばれてたのかと思って驚いたけど、違ったのね。
ビックリして口を挟むのも忘れてたけど、その間に話が一方的に進んじゃったわ。どうしましょう?)
「あ!ごめんごめん!アウロラ嬢、どう?いいよね?」
「…ええ。」
「よし!決まりだ!そうと決まれば準備があるだろうなぁ。
ビリエル、帰るぞ。」
「ええ!?父上、もう?!」
「ビリエル、女性には準備があるんだぞ?あ、シーグルド、アウロラ嬢は歌劇場に着ていくようなドレス、持っているかな?こちらから、贈らせてもらってもいいか?」
「…いや、持っている。友人関係であればそういうのは必要ないだろ。」
「あー、それもそうだなハハハ…では、シーグルド、これからもよろしく!
ビリエル、行くぞ。」
「もー勝手に決めないでよ!
あ、アウロラ嬢!遠慮しないでいいからさ、ドレス、本当にある?僕、せっかくだし友人としてでいいから贈ってあげようか?」
「いいえ。お気持ちだけは嬉しく思いますが、父もこう言っておりますし必要ありませんわ。」
「そっか…ま、今はいっか!じゃあ明日ね!
あれ?父上?待ってよー!」
と、慌ただしく侯爵家の親子が帰って行ったが、嵐のようだったとアウロラとシーグルドは顔を見合わせるのだった。
ロビーから〝昨日無事に到着されたようで何より。午後、ホテルの一階ラウンジにて顔合わせを行いたいが如何かな?〟とインマルから連絡があったと言付けを受けたシーグルド。
ホテルを予約した時に、到着したら連絡をするようにとインマルは指示を出していたのだろうと思い、こちらから連絡する手間が省けたとそれに承諾した。
カリーネはというと、本来であれば同席しようと思って着いてきてはいたのだが、やはり昨日の疲れがまだ抜けきれておらず部屋でゆっくりする事となった。顔合わせの頃は、全身マッサージを三人より受けているはずである。
そのため、アウロラとシーグルドは午前中からすぐに準備に取りかかり、午後に指定の時間の十分前にアウロラと共に階段を下りて一階のラウンジに向かう。
さすが有名なホテルである。ロビーを抜けると歌劇場や庭園などの施設もある為か人通りもあり客室階の廊下とは打って変わって賑やかな雰囲気が感じられた。
「やあやあやあ!こっち、こっちだ!
本日はお日柄も良く、だなぁ!
本当に来てくれてありがとう!いやあ目出度いね!!シーグルド殿!!」
シーグルドの姿を見つけたのであろうインマルが立ち上がって手をあげながらに一際大きな声で告げたため、周りの客が一斉にこちらとインマルを交互に見た。
それに苛ついたシーグルドだったが、表情には出さないように取り繕い、インマルの声には返事をせずにアウロラとともにゆっくりと席についてから、切り出した。
「インマル殿。昔のよしみとはいえ、それはただ学生時代共に同じ学び舎で学んだだけの仲だったはず。
見れば分かるとは思うが、ここは公共の場だ。もう少し声を抑えてくれ。
それさえ出来なければ、この話は無かった事にしていただくが?」
強気とも思える、普段出さない低い声を出した父に驚くアウロラは、しかし表情には出さないように努め、少し俯きながら横目で伺う。
「それは困る!!
…いえ、僕が父上を黙らせますから、どうか、続行させて下さい!な、父上!?」
「す、済まない…シーグルド。
どうやら気が急いてしまったようだ。もう少し声を抑えるとしよう。」
シーグルドの刺すような言葉と視線には気づかなかったのか、父親の声と同じくらい大きな声を反射的に出して立ち上がったビリエル。
叫び出してからやっと、シーグルドの射抜くような視線と周りの静けさを感じたのか、肩をすくめてインマルに助けを求めるように見る。
その隣に立っていたインマルも気圧されたのか弱々しく言葉を繋いで息子に一つ視線を送ると、共に席に座った。
それに一つ頷いたシーグルドは、インマルとビリエルを交互に見ながら話し出した。
「まず、話をいただいた事は感謝致します。
ですが以前も伝えた通り、結婚を抜きにして、お互いを知る交流から始めていただきたい。」
「いやあ、それはもちろん!!それでいいんだったよな、ビリエル?」
「はい!もちろん!
まずは友人として交流し、僕を好きになってもらえたらと思ってます!!」
「…だ、そうだ。アウロラ、どうする?」
(一応確認は取って下さったし、大声出されてびっくりしたけど、喜んでくれているって事なのかしら…?)
侯爵であるインマルは、左右に広がった大きなお腹の前で手揉みをしながらシーグルドに話している。格上の侯爵家であるし、もっと高圧的にくるのかと思っていたがそうではなく、逆に父シーグルドの方が強気で話しているようだと不安になるほどであった。それでも嫌な顔を見せずにヘラヘラと笑いながらシーグルドへと返答しているショールバリ侯爵家に、とりあえずお友達から交流という形ならと頷いた。
「承知しました。では友人としてよろしくお願いしたします。」
「いよっしゃーー!!!」
アウロラが告げると、ビリエルはすぐさま両手を上に挙げてそう叫ぶ。
シーグルドはそれに嫌そうに顔をしかめると一つ咳払いをしてから表情を戻し、紹介をし始めた。
「では。
アウロラ、こちらがインマル=ショールバリ侯爵、こちらがそのご子息ビリエル殿だ。
インマル殿、ビリエル殿。こちらが私の娘、アウロラです。」
「初めまして、アウロラ=フランシスでございます。
着座でのご挨拶で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。」
アウロラは、このような時は立って自己紹介するのかと思ったがシーグルドは座りながら軽くそう言ったため、そのように挨拶をし美しい所作で頭を下げる。
「…まぁそうだね、とりあえず初めまして。
僕はビリエル=ショールバリ次期侯爵だよ。これから末永く、よろしくね。」
「…いえ、末永くかはまだ…」
そのビリエルの言葉に少し引っ掛かりを覚えたアウロラは、言葉を濁しながらも直ぐさま否定を示した。
「ハハハ、ビリエルあまり先走り過ぎてはいけないよ?
でも本当に可愛らしいお嬢さんだ!私も義理の娘になってくれる事を願ってしまうほどだよ!」
アウロラの言葉に被せるように、インマルは自身の腹を撫でながらそう告げると、再びシーグルドは眉間にしわを寄せ、口を開く。
「ウオッホン!
何度も言うが、娘の気持ちが第一で考えさせていただきたい。お二人とも、気を急かさないでくれないか?
別に私から言い出した話ではないため、それが無理であればこの話今すぐにでも…」
「わーー!分かります、分かります!!そうですね、確かに焦ってしまいすみません!だってこんなに可憐で、いかにも深窓令嬢って感じだったからつい…。
アウロラ、ごめんね?…て、アウロラって呼んでもいいかな?」
「…まだ、今日お会いしたばかりですのでそれはちょっと…」
「ああ!ごめん!そうだね!!清楚なんだもんね!?じゃあ今はアウロラ嬢で。
ごめんね?一目見た時からずっと可愛いと思って、そっから勝手に呼んでしまってたんだよ。」
「…?」
「えーっとね、五年?六年?だっけ?何年か前の弓当て会の時だよ。」
「え!?」
「ええ!?」
(弓当て会って、八年前の…!?)
「ん?びっくりした?
その会、僕出場しててね、賞品もらったんだ!凄いでしょ?」
「…その時、ですか?」
「そうだよ!君は白い帽子被ってて、顔は見えなかったけど可愛かったなぁ。すっごく可憐でさ!お屋敷から一歩も出た事ありません、って感じの深窓令嬢って雰囲気醸し出してて。
スティーグを必死に応援してたでしょ?今でも覚えてるんだ!あ、今も変わらずとーっても可愛いよ?
だからさ、それが忘れられずずっとスティーグに紹介を頼んでたのに、あの堅物何回も断るんだから。酷いよね!」
「久し振りに息子が私に頼みがあると言い出したから何かと思ったら、アウロラ嬢、君に結婚の打診をして欲しいって言ってきたんだ。
それがまさか、シーグルド殿の娘さんだったとはね!これも何かの縁だよ!」
「スティーグを応援…?」
「帽子を被ってて…?」
シーグルドとアウロラは呟くようにそう告げるが、ビリエルとインマルは嬉々としてそう言うと、ビリエルは待ってましたとばかりにペラペラと話し出した。
「そうだよ!覚えてる?あぁ、怖かったから、あまり覚えてないかな?まぁ、それに実際僕とは話してもなかったもんね。
でもいいんだ!そんな昔の事より、これからたくさん僕の事を知ってくれればいいからね!」
「ビリエル、それなら次の約束をしてはどうかね?」
「あぁ、そうだった!
明日、手始めにデートしよう?何処がいいかな…あ!このホテルに併設されてる歌劇場に行こうか!父上、いいよね?」
「あぁ、それはいいね。もちろんだ!
今は確か、外国の歌劇団が来ていたね。うちは入場券があるから!
いやなに、単なる年間入場券だよ。だからいつでも入れるし、気兼ねなく行ってくるといい。」
「じゃあ、せっかくだし午前の部にしようか!長く一緒にいられるもんね!
九時にここに迎えに来るよ!このラウンジにいてくれるかい?アウロラ!」
「えっと…」
(てっきり私が出場してたのがばれてたのかと思って驚いたけど、違ったのね。
ビックリして口を挟むのも忘れてたけど、その間に話が一方的に進んじゃったわ。どうしましょう?)
「あ!ごめんごめん!アウロラ嬢、どう?いいよね?」
「…ええ。」
「よし!決まりだ!そうと決まれば準備があるだろうなぁ。
ビリエル、帰るぞ。」
「ええ!?父上、もう?!」
「ビリエル、女性には準備があるんだぞ?あ、シーグルド、アウロラ嬢は歌劇場に着ていくようなドレス、持っているかな?こちらから、贈らせてもらってもいいか?」
「…いや、持っている。友人関係であればそういうのは必要ないだろ。」
「あー、それもそうだなハハハ…では、シーグルド、これからもよろしく!
ビリエル、行くぞ。」
「もー勝手に決めないでよ!
あ、アウロラ嬢!遠慮しないでいいからさ、ドレス、本当にある?僕、せっかくだし友人としてでいいから贈ってあげようか?」
「いいえ。お気持ちだけは嬉しく思いますが、父もこう言っておりますし必要ありませんわ。」
「そっか…ま、今はいっか!じゃあ明日ね!
あれ?父上?待ってよー!」
と、慌ただしく侯爵家の親子が帰って行ったが、嵐のようだったとアウロラとシーグルドは顔を見合わせるのだった。
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