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デート?
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「さぁ、行こうか。少し歩くけれど、大丈夫かな?」
この学院は王都の真ん中辺りにある。王都から少し距離のある伯爵領地の屋敷からは、馬車で通っている為帰ってもらった。
帰りは、ケイフィス様が公爵家の馬車で送って下さると言ってくれた。
もう、これは本当に嬉しいわね!今日は記念日だわ。…忘れないようにしないと。家柄が違うから、これが何度も続く事はないでしょうから。
なので、今日は思い切り楽しまないと!
ーーーー
「ここだよ。来たことあるかな?」
そこは、甘いお菓子が食べられるカフェだった。
「先月、開店したらしくて来たかったんだ。それがレフィア嬢と来れるなんて本当に嬉しいよ。」
と、ニコニコとしながら言ってくれた。
「ケイフィス様ったら…!でも私も初めて来ました。妹からも話には聞いてたのです。楽しみですわ。」
「ほう。それは良かった。早速入ろう。奥に案内してもらおう。」
私達は、ケイフィス様が予約されてたみたいで、一番奥の個室に通された。
個室は全部で四部屋あった。お忍びでくる貴族なども結構いるのかもしれないわね。
店内は個室の他に八卓と、テラスが四卓あった。店先も少し並んだりしているから開店したばかりというのもあって人気な店なのね。
「わぁ…!綺麗!!」
私の頼んだものは、キラキラと輝く、プルプルとしたカラフルなものが透明なグラスに入っている。ゼリーというものらしい。
ケイフィス様は、白い生クリームが、小麦粉を焼いたスポンジケーキの上に乗ったものだ。真ん中には、色違いのブドウが二種類乗っていた。
ここは、『本日のデザート』が二種類、日替わりで変わるメニューだった。だから注文してから出てくるのは思ったよりも早い。
個室も、時間制で1時間経ったら入れ替えになるのだそう。
そして、持ち帰り用には小麦粉を焼いた、クッキーというものが袋に入って売られていた。
「うん、とても綺麗だね。どうだろう。俺のも少し分けるから、それももらってもいいかな?」
と、ケイフィス様はワクワクとした目で私に提案してきた。
ケイフィス様のも美味しそうだと密かに思っていたから快諾した。
「ええ!どちらも綺麗で美味しそうですね!」
食べながらお互いの事を少し話していると、向かいの部屋から激しい音が聞こえた。
「ちょっと!!今日は私の番だったのよ!!」
「何言っているのよ。早い者勝ちよ!ねぇ-ブルフェス?」
「うーん、じゃあせっかくだし三人にするかい?」
「嫌よ!なんで三人なのよ!」
「そうよ、あなた帰りなさいよ!!」
と、それから椅子が倒れる音がした。
まさか…ブルフェスって…。
「うーん。まさかとは思うけど…。君が恥ずかしくて帰る、と言っても困るからちょっと口出してくるよ。あ、レフィア嬢はここで待っていてね。」
と、苦笑しながらケイフィス様は席を立った。
「す、すみません…。」
そうなのよね…。お店で騒ぎ立てるなんて。なんだか品位を疑うようで恥ずかしくて…。
「やぁブルフェス。にぎやかだね。みんなどうしたの?」
「どうしたのじゃないわよ!…って、ケイフィス様?あ、や、えっと…」
と、食ってかかっていた、後ろ姿の着飾った女性があたふたしているわ。
きっと、我に返って恥ずかしいのね。
「部屋の外まで声が聞こえていたよ。元気すぎて疲れたんじゃないかい?さぁ、甘い物でも食べると心が落ち着くよ。クッキーの盛り合わせなるものがあるらしいから、持って帰るのがいいんじゃないかな?」
そう言うと、傍で見守っていた店員が素早く袋に入ったクッキーを持ってきた。
「今日はもう帰った方がいいんじゃないかな?また、ゆっくり来なよ。ね。」
ケイフィス様はそう言って、三袋のクッキーを兄様に押しつけるように手に握らせた。
「ケイフィスじゃないか!んーまぁ、確かに食べ終わってるし、クッキーというものも食べてみたいから、じゃあケイフィスの言うようにしようか。」
と、兄様は席を立ったみたいだわ。
そうすると、二人の着飾った女性は兄様に付いて部屋を出ていった。
「はは。俺達もお土産にクッキーを買って帰ろうか。」
そう、言いながら爽やかに入ってきた。
「ご迷惑をお掛けしましてすみません…ありがとうございます。」
私は、恥ずかしくて縮こまりながら言った。兄様ってば、お店やケイフィス様にまで!ひどいわ!
「いやいや。あ!さっきのクッキーも、俺が払うから。あと三袋クッキー追加で。」
と、ケイフィス様は言い、向かいの部屋を片付けに来ていた店員に伝えた。
何から何まで…紳士だわ。
この学院は王都の真ん中辺りにある。王都から少し距離のある伯爵領地の屋敷からは、馬車で通っている為帰ってもらった。
帰りは、ケイフィス様が公爵家の馬車で送って下さると言ってくれた。
もう、これは本当に嬉しいわね!今日は記念日だわ。…忘れないようにしないと。家柄が違うから、これが何度も続く事はないでしょうから。
なので、今日は思い切り楽しまないと!
ーーーー
「ここだよ。来たことあるかな?」
そこは、甘いお菓子が食べられるカフェだった。
「先月、開店したらしくて来たかったんだ。それがレフィア嬢と来れるなんて本当に嬉しいよ。」
と、ニコニコとしながら言ってくれた。
「ケイフィス様ったら…!でも私も初めて来ました。妹からも話には聞いてたのです。楽しみですわ。」
「ほう。それは良かった。早速入ろう。奥に案内してもらおう。」
私達は、ケイフィス様が予約されてたみたいで、一番奥の個室に通された。
個室は全部で四部屋あった。お忍びでくる貴族なども結構いるのかもしれないわね。
店内は個室の他に八卓と、テラスが四卓あった。店先も少し並んだりしているから開店したばかりというのもあって人気な店なのね。
「わぁ…!綺麗!!」
私の頼んだものは、キラキラと輝く、プルプルとしたカラフルなものが透明なグラスに入っている。ゼリーというものらしい。
ケイフィス様は、白い生クリームが、小麦粉を焼いたスポンジケーキの上に乗ったものだ。真ん中には、色違いのブドウが二種類乗っていた。
ここは、『本日のデザート』が二種類、日替わりで変わるメニューだった。だから注文してから出てくるのは思ったよりも早い。
個室も、時間制で1時間経ったら入れ替えになるのだそう。
そして、持ち帰り用には小麦粉を焼いた、クッキーというものが袋に入って売られていた。
「うん、とても綺麗だね。どうだろう。俺のも少し分けるから、それももらってもいいかな?」
と、ケイフィス様はワクワクとした目で私に提案してきた。
ケイフィス様のも美味しそうだと密かに思っていたから快諾した。
「ええ!どちらも綺麗で美味しそうですね!」
食べながらお互いの事を少し話していると、向かいの部屋から激しい音が聞こえた。
「ちょっと!!今日は私の番だったのよ!!」
「何言っているのよ。早い者勝ちよ!ねぇ-ブルフェス?」
「うーん、じゃあせっかくだし三人にするかい?」
「嫌よ!なんで三人なのよ!」
「そうよ、あなた帰りなさいよ!!」
と、それから椅子が倒れる音がした。
まさか…ブルフェスって…。
「うーん。まさかとは思うけど…。君が恥ずかしくて帰る、と言っても困るからちょっと口出してくるよ。あ、レフィア嬢はここで待っていてね。」
と、苦笑しながらケイフィス様は席を立った。
「す、すみません…。」
そうなのよね…。お店で騒ぎ立てるなんて。なんだか品位を疑うようで恥ずかしくて…。
「やぁブルフェス。にぎやかだね。みんなどうしたの?」
「どうしたのじゃないわよ!…って、ケイフィス様?あ、や、えっと…」
と、食ってかかっていた、後ろ姿の着飾った女性があたふたしているわ。
きっと、我に返って恥ずかしいのね。
「部屋の外まで声が聞こえていたよ。元気すぎて疲れたんじゃないかい?さぁ、甘い物でも食べると心が落ち着くよ。クッキーの盛り合わせなるものがあるらしいから、持って帰るのがいいんじゃないかな?」
そう言うと、傍で見守っていた店員が素早く袋に入ったクッキーを持ってきた。
「今日はもう帰った方がいいんじゃないかな?また、ゆっくり来なよ。ね。」
ケイフィス様はそう言って、三袋のクッキーを兄様に押しつけるように手に握らせた。
「ケイフィスじゃないか!んーまぁ、確かに食べ終わってるし、クッキーというものも食べてみたいから、じゃあケイフィスの言うようにしようか。」
と、兄様は席を立ったみたいだわ。
そうすると、二人の着飾った女性は兄様に付いて部屋を出ていった。
「はは。俺達もお土産にクッキーを買って帰ろうか。」
そう、言いながら爽やかに入ってきた。
「ご迷惑をお掛けしましてすみません…ありがとうございます。」
私は、恥ずかしくて縮こまりながら言った。兄様ってば、お店やケイフィス様にまで!ひどいわ!
「いやいや。あ!さっきのクッキーも、俺が払うから。あと三袋クッキー追加で。」
と、ケイフィス様は言い、向かいの部屋を片付けに来ていた店員に伝えた。
何から何まで…紳士だわ。
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