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兄様の婚約者?
しおりを挟む「ちょっと!ブルフェスはどちら!?」
今日は学院がお休みの為、私は自室で読書をしておりました。
すると、階下からドタバタという音と、女性の張り上げる声が聞こえてきました。
私は慌てて玄関ホールに向かうと、兄様と同じ年齢の、サーリン様がおりました。お隣の辺境伯爵の一人娘で、気性も少々激しいので、次期辺境伯爵にぴったりだと思います。
「申し訳ありません。ブルフェス様はお出掛けになられております。」
そう、執事のセージルは伝えているのですが、サーリン様はどうやらプリプリとお怒りのご様子です。
「どうなされたのですか、サーリン姉様。」
お隣の領地だった為、幼い頃は良く遊んでおりました。
ですのでサーリン姉様が怒っているのは分かるのですが、理由が分かりません。
まぁ、大方兄様がまた何かやらかしたのでしょうけれど。
「今日はブルフェスと月に一度のお茶会の日だったのよ。それなのに、うちに来ないのですもの。だから自ら呼びに来たのに、いないってどういう事かしら!?」
月に一度のお茶会の日!?そのような婚約者同士がやられるような事を、あの兄様がやっていたなんて…。
「そ、そうだったのですか…。それは申し訳ありませんでした。ちなみに先月は、行かれたのでしょうか?」
「ええ。前回は来てくれたわ!今日だってお天気がよろしいからテラスでしようと思って準備させましたのよ。それなのに時間になっても来ないのですもの…淋しくて会いに来ましたら、いらっしゃらないなんて……!!」
あら、サーリン姉様、唇を尖らせてとても哀しそうだわ。サーリン姉様も、兄様に恋をされていらっしゃるのかしら?
これは少し、疑問に思った事を聞いて、話を逸らした方がよろしいかも知れないわね。
「サーリン姉様は、月に一度のお茶会をやられていたのですね。婚約者同士のようですけれど、私が知らないだけでしょうか。もしくは、交流を深める為のお茶会だったのですか?」
兄様、そういえば学院を卒業なさるし、婚約者がそろそろいてもいい年齢ですわよね。
早い人は、生まれた頃に親同士で勝手に結ぶものもあるのだとか。
性格も顔も分からなくて、結婚式当日に初対面という場合もままあるらしいわ。
でも、兄様やお父様からはまだ、そのような婚約のお話は聞いていないのだけど、私が知らない内に決まったのかしら?
サーリン姉様は途端に顔を真っ赤にされて、体をクネクネとさせ、モジモジとしておられます。
お怒りのご様子から、照れのご様子に変わられて一安心ですわ。
後ろで、執事のセージルがホッと胸をなで下ろしております。昔からのお馴染みとはいえ、いつまでもお怒りのご様子では執事としても困ってしまいますものね。
「私は、ブルフェスにお伝え申し上げたのよ。『そろそろ婚約者が必要よね。私と婚姻関係を結びましょう?』って。そうしたら、『そうだね。』って言ってくれたから、『月に一度のお茶会から始めましょう?』って伝えたのよ。」
そうだったのですか!?サーリン姉様から…あら?でもお父様には話がいっているのでしょうか?
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