2 / 41
2. スティーナの妹
しおりを挟む
次代の花姫であるスティーナ=オーグレンに、一歳年下のテレサという妹が出来た。
そのテレサは、まだ教育もされていないという事もあって、自分の気持ちは正直に言葉に出し、またくるくるとよく表情が変わる子供らしい子供だった。髪も金髪で波打っており、瞳は水色をしている。
スティーナは、黄色の髪に濃い青色の瞳を持つ女性で、オーグレン家の長女である。
両親とあまり触れ合う機会の無かったスティーナは、家の繁栄の為に自分がしっかりしないと、とこのウプサラ国の古くからの伝統に疑問も持たない、芯の強い、幼い頃より少し大人びた勤勉な少女となっていく。
ウプサラでは、女子への教育は家に教師を呼んで学ぶのが主流である。
教師がいる場所へ学びに行く学校なるものは、ウプサラでは男子しか通う事が出来ないからだ。
男子が行く学校は、十二歳になったら通う事が出来る。軍学校と士官学校がそれぞれ宮殿の近くにあり、親元から離れて備えつけられた寮から通う形であった。
まだ幼いスティーナも、オーグレン家の一員として、侍女のヤーナから六歳になると少しずつ教わっていく事となる。
オーグレン家は、訳あって両親が子供達に構う事はなかった。その為、姉妹はお互いの姿を見かけると声を掛け合う、それなりに仲の良い関係であった。
☆★
「おねえさま!おねえさま-!」
姿を見かけると自分の元にそのように駆け寄ってくるテレサがとても可愛らしいと思っていたスティーナ。懐いてくれるのは、擽ったさもあるなと思いながら。
まだスティーナが学ぶ事もしていない、五歳の頃。
スティーナは咲いている花を見て回ったり、蝶やたまに顔を出す小動物を見るのが好きでよく屋敷内の広い庭に出ていた。
その日常でもヤーナから、植物の名前や、小動物の名前など何気ない生活の中でも知識を蓄えていくスティーナであった。
「どうしたの?テレサ。走るとまた転ぶわよ。気をつけてね。」
「だっておねえさまを見つけたから!
ねぇ、私、さっき向こうでかわいいお花を見つけたの!これ、おねえさまに渡そうって持ってきた!
大好きなおねえさま!はい、どうぞ!」
「あら、本当ね。可愛いわ!」
「よかった!うれしい?」
「え?」
「私ね、おねえさまの事を考えてこの花にしたの。だから、よろこんでくれてよかった!」
(私の事を思って?…嬉しいわ!)
スティーナは、贈り物をされた事が無い。正確に言えば、ヤーナから手渡された木彫りの人形などはあるが、いつの間にか部屋にあったりとしたものが多く、両親から何かを買ってもらったという思い出が特に無い為、自分の事を思って選んだというテレサの言葉がとても心に響いた。
「ありがとうテレサ!
ねぇ、せっかくだから一緒に遊びましょう?」
「ほんとー!?うれしい!」
スティーナは妹に対して笑顔でそう答えた。
テレサは一歳年下ではあるが、とても話すことが好きな少女であった為、スティーナもたくさん会話が出来て楽しくもあった。
両親と触れ合えないスティーナにとって、妹と触れ合える時間はとても温かい気持ちになるのだった。
(テレサも懐いてくれるもの。私がしっかりしなくちゃね!)
天真爛漫で自分を慕ってくれるテレサと遊びながら、ますますスティーナはオーグレン家の繁栄の為に知識を増やそうと思っていった。
そのテレサは、まだ教育もされていないという事もあって、自分の気持ちは正直に言葉に出し、またくるくるとよく表情が変わる子供らしい子供だった。髪も金髪で波打っており、瞳は水色をしている。
スティーナは、黄色の髪に濃い青色の瞳を持つ女性で、オーグレン家の長女である。
両親とあまり触れ合う機会の無かったスティーナは、家の繁栄の為に自分がしっかりしないと、とこのウプサラ国の古くからの伝統に疑問も持たない、芯の強い、幼い頃より少し大人びた勤勉な少女となっていく。
ウプサラでは、女子への教育は家に教師を呼んで学ぶのが主流である。
教師がいる場所へ学びに行く学校なるものは、ウプサラでは男子しか通う事が出来ないからだ。
男子が行く学校は、十二歳になったら通う事が出来る。軍学校と士官学校がそれぞれ宮殿の近くにあり、親元から離れて備えつけられた寮から通う形であった。
まだ幼いスティーナも、オーグレン家の一員として、侍女のヤーナから六歳になると少しずつ教わっていく事となる。
オーグレン家は、訳あって両親が子供達に構う事はなかった。その為、姉妹はお互いの姿を見かけると声を掛け合う、それなりに仲の良い関係であった。
☆★
「おねえさま!おねえさま-!」
姿を見かけると自分の元にそのように駆け寄ってくるテレサがとても可愛らしいと思っていたスティーナ。懐いてくれるのは、擽ったさもあるなと思いながら。
まだスティーナが学ぶ事もしていない、五歳の頃。
スティーナは咲いている花を見て回ったり、蝶やたまに顔を出す小動物を見るのが好きでよく屋敷内の広い庭に出ていた。
その日常でもヤーナから、植物の名前や、小動物の名前など何気ない生活の中でも知識を蓄えていくスティーナであった。
「どうしたの?テレサ。走るとまた転ぶわよ。気をつけてね。」
「だっておねえさまを見つけたから!
ねぇ、私、さっき向こうでかわいいお花を見つけたの!これ、おねえさまに渡そうって持ってきた!
大好きなおねえさま!はい、どうぞ!」
「あら、本当ね。可愛いわ!」
「よかった!うれしい?」
「え?」
「私ね、おねえさまの事を考えてこの花にしたの。だから、よろこんでくれてよかった!」
(私の事を思って?…嬉しいわ!)
スティーナは、贈り物をされた事が無い。正確に言えば、ヤーナから手渡された木彫りの人形などはあるが、いつの間にか部屋にあったりとしたものが多く、両親から何かを買ってもらったという思い出が特に無い為、自分の事を思って選んだというテレサの言葉がとても心に響いた。
「ありがとうテレサ!
ねぇ、せっかくだから一緒に遊びましょう?」
「ほんとー!?うれしい!」
スティーナは妹に対して笑顔でそう答えた。
テレサは一歳年下ではあるが、とても話すことが好きな少女であった為、スティーナもたくさん会話が出来て楽しくもあった。
両親と触れ合えないスティーナにとって、妹と触れ合える時間はとても温かい気持ちになるのだった。
(テレサも懐いてくれるもの。私がしっかりしなくちゃね!)
天真爛漫で自分を慕ってくれるテレサと遊びながら、ますますスティーナはオーグレン家の繁栄の為に知識を増やそうと思っていった。
2
あなたにおすすめの小説
【完結】田舎育ちの令嬢は王子様を魅了する
五色ひわ
恋愛
エミリーが多勢の男子生徒を従えて歩いている。王子であるディランは、この異様な光景について兄のチャーリーと話し合っていた。それなのに……
数日後、チャーリーがエミリーの取り巻きに加わってしまう。何が起こっているのだろう?
ディランは訳も分からず戸惑ったまま、騒動の中心へと引きづりこまれていくのだった。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
実在しないのかもしれない
真朱
恋愛
実家の小さい商会を仕切っているロゼリエに、お見合いの話が舞い込んだ。相手は大きな商会を営む伯爵家のご嫡男。が、お見合いの席に相手はいなかった。「極度の人見知りのため、直接顔を見せることが難しい」なんて無茶な理由でいつまでも逃げ回る伯爵家。お見合い相手とやら、もしかして実在しない・・・?
※異世界か不明ですが、中世ヨーロッパ風の架空の国のお話です。
※細かく設定しておりませんので、何でもあり・ご都合主義をご容赦ください。
※内輪でドタバタしてるだけの、高い山も深い谷もない平和なお話です。何かすみません。
わたしの方が好きでした
帆々
恋愛
リゼは王都で工房を経営する若き経営者だ。日々忙しく過ごしている。
売り上げ以上に気にかかるのは、夫キッドの健康だった。病弱な彼には主夫業を頼むが、無理はさせられない。その分リゼが頑張って生活をカバーしてきた。二人の暮らしでそれが彼女の幸せだった。
「ご主人を甘やかせ過ぎでは?」
周囲の声もある。でも何がいけないのか? キッドのことはもちろん自分が一番わかっている。彼の家蔵の問題もあるが、大丈夫。それが結婚というものだから。リゼは信じている。
彼が体調を崩したことがきっかけで、キッドの世話を頼む看護人を雇い入れことにした。フランという女性で、キッドとは話も合い和気藹々とした様子だ。気の利く彼女にリゼも負担が減りほっと安堵していた。
しかし、自宅の上の階に住む老婦人が忠告する。キッドとフランの仲が普通ではないようだ、と。更に疑いのない真実を突きつけられてしまう。衝撃を受けてうろたえるリゼに老婦人が親切に諭す。
「お別れなさい。あなたのお父様も結婚に反対だった。あなたに相応しくない人よ」
そこへ偶然、老婦人の甥という紳士が現れた。
「エル、リゼを助けてあげて頂戴」
リゼはエルと共にキッドとフランに対峙することになる。そこでは夫の信じられない企みが発覚して———————。
『夫が不良債権のようです〜愛して尽して失った。わたしの末路〜』から改題しました。
※小説家になろう様にも投稿させていただいております。
【完結】見えてますよ!
ユユ
恋愛
“何故”
私の婚約者が彼だと分かると、第一声はソレだった。
美少女でもなければ醜くもなく。
優秀でもなければ出来損ないでもなく。
高貴でも無ければ下位貴族でもない。
富豪でなければ貧乏でもない。
中の中。
自己主張も存在感もない私は貴族達の中では透明人間のようだった。
唯一認識されるのは婚約者と社交に出る時。
そしてあの言葉が聞こえてくる。
見目麗しく優秀な彼の横に並ぶ私を蔑む令嬢達。
私はずっと願っていた。彼に婚約を解消して欲しいと。
ある日いき過ぎた嫌がらせがきっかけで、見えるようになる。
★注意★
・閑話にはR18要素を含みます。
読まなくても大丈夫です。
・作り話です。
・合わない方はご退出願います。
・完結しています。
二度目の初恋は、穏やかな伯爵と
柴田はつみ
恋愛
交通事故に遭い、気がつけば18歳のアランと出会う前の自分に戻っていた伯爵令嬢リーシャン。
冷酷で傲慢な伯爵アランとの不和な結婚生活を経験した彼女は、今度こそ彼とは関わらないと固く誓う。しかし運命のいたずらか、リーシャンは再びアランと出会ってしまう。
婚約破棄したら食べられました(物理)
かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。
婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。
そんな日々が日常と化していたある日
リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる
グロは無し
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる