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1. ウプサラ国
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花祈り。
それは、ある特別な者が花の力に合った祈りを、手折った花に捧げると、その花の力が増幅する。
願望を思った相手にその花を渡せばたちまち願いが叶うと言われている。
しかし、その増幅された力は永遠の場合もあればいつの間にか力は弱まり効力を失い、やがて枯れてしまう。
どのくらい〝願い〟が続くのか。
それはそれぞれの花による為、誰にも分からない。いや、もしかしたらそれさえも花祈りが操作しているのかもしれない。花祈りの事は、あまり外部には詳しく知らさせていないのだからーーー。
花の国ウプサラは様々な花が様々な場所に咲いており、ところどころに泉が湧き出て、自然豊かな国である。気候も温暖で、雨が降る時も優しい霧雨のような雨がほとんどである。
花祈りの仕事は主に、この花の国であるウプサラ国の為に願いを込める事がほとんどであるが、一般人である国民の願いを叶える場合もあるので、花祈りが出来る人物は崇められ一目置かれるのが常である。
特別な者、とは特別な血筋から生まれる者であり、この国のいわゆる中枢で働く御三家の血筋の事だ。
国王がいて王族がいるウプサラ国を支えているのが貴族であるが、中でも特に力を持っているのがノルディーン家、アーレンバリ家、オーグレン家だ。その三つの家から、花祈りが出来る人物が不定期に生まれてくる。
花祈りが出来る人物が生まれなくとも、この御三家は宰相であったり大臣であったり、とにかく国の為の重要な仕事に就く者がほとんどである。
花祈りができる人物は長い歴史の中では僅かに男性もいるが大抵が女性だ。その女性は、花姫と呼ばれる場合もある。
そして、その人物はだいたい二十年前後の周期で生まれて来る、とされている。
花祈りが出来る子どもが生まれたかどうかは、大抵は生まれた時に分かる。
その子が生まれる時に、様々な花が国中で一斉に咲き誇るからだ。
元々、ウプサラは様々な種類の花がいろいろな場所で咲いている。が、今まで更地だった場所や、剥き出しの地面である場所にも、絨毯のように広がり一斉に咲き誇るので、国中に住む人々も生まれたのだと知る事となる。
オーグレン家のスティーナが生まれた時も例に漏れず、そうであった。それまで蕾だった花もそうでない花も、一斉に咲き誇ったのだ。
そして、スティーナが生まれた屋敷では庭のそれまで剥き出しの地面だった場所までもがいきなり花畑に変わり、満開の花が吹雪となって舞い上がる光景が起こった。
花祈りが出来る子が生まれたオーグレン家は、感極まった。生まれたばかりであるのにすでに将来も約束されたようなもので、王家にすぐに連絡をした。
御三家であっても、花祈りが出来る人物が生まれた家はやはり一目置かれるからだ。
国王が住む宮殿でもまた、花畑が出来、花が宙に舞い踊っていた為に、国王であるドラグスもまたそれに気づき喜んだ。
現在の花姫は、ドラグス国王の妻、レーニ王妃であったが、レーニ王妃もまた後を継ぐ者が生まれ肩の荷が下りる事となる為に喜んだ。
スティーナが大きくなり、花祈りが
出来るようになるのはまだ十八年も先で、成長を待たなければならないが、それでも次なる花祈りが出来る人物が生まれた事は喜ばしい事であった。
「お母様にお願いしなくては!」
レーニ王妃の母親イロナもまた花姫であった。レーニ王妃はノルディーン家が実家であり、イロナはすでに役目を終えて引退をしている。
最前線で国の為に働く花祈りの人物は、主に十八歳から本格的に仕事を引き継ぎ、次の後継者が生まれて成長し十八歳になるまでと決まっている。
引退した花祈りは、国の為にそれまで働いていたので好きに暮らしている人がほとんどであり、花祈りをやめる人もいれば、次なる生活圏で細々と人々の為に花祈りをする人もいる。
しかし後継者が生まれると後継者育成に関わる事がほとんどである。
スティーナが生まれた時、オーグレン家では、三者三様に大騒ぎだった。
使用人達は生まれたてのスティーナを見て玉のように可愛らしいと喜んだ。が、窓の外で花が咲き乱れているのを見かけるとそれをモンスに報告した。
するとモンスは万歳をしながらスティーナと妻のリンネアを放って出て行った。
(よし!これで我がオーグレン家はさらに繁栄を極められる!
今までは王妃様を輩出されたノルディーン家が一歩抜きん出ていたからな。王妃様のご生母様も花姫様であられたし。
リンネア、良くやった!!)
リンネアとは、スティーナの母であり、モンスの妻である。
リンネアもまた、産後で疲れ果てた体であったのだが、次に目覚めた時に使用人達が讃えてくれた為に産んだ娘が花姫である事を知り大いに歓喜した。
(あぁ!私は花姫の母親となれるのね!それってすごい事だわ!モンスもきっと、喜んでくれるわよね?
これで周りからも私は一目置かれる存在になれるのね!)
スティーナの両親は、そのようにスティーナの誕生をとても喜んだのだった。
それは、ある特別な者が花の力に合った祈りを、手折った花に捧げると、その花の力が増幅する。
願望を思った相手にその花を渡せばたちまち願いが叶うと言われている。
しかし、その増幅された力は永遠の場合もあればいつの間にか力は弱まり効力を失い、やがて枯れてしまう。
どのくらい〝願い〟が続くのか。
それはそれぞれの花による為、誰にも分からない。いや、もしかしたらそれさえも花祈りが操作しているのかもしれない。花祈りの事は、あまり外部には詳しく知らさせていないのだからーーー。
花の国ウプサラは様々な花が様々な場所に咲いており、ところどころに泉が湧き出て、自然豊かな国である。気候も温暖で、雨が降る時も優しい霧雨のような雨がほとんどである。
花祈りの仕事は主に、この花の国であるウプサラ国の為に願いを込める事がほとんどであるが、一般人である国民の願いを叶える場合もあるので、花祈りが出来る人物は崇められ一目置かれるのが常である。
特別な者、とは特別な血筋から生まれる者であり、この国のいわゆる中枢で働く御三家の血筋の事だ。
国王がいて王族がいるウプサラ国を支えているのが貴族であるが、中でも特に力を持っているのがノルディーン家、アーレンバリ家、オーグレン家だ。その三つの家から、花祈りが出来る人物が不定期に生まれてくる。
花祈りが出来る人物が生まれなくとも、この御三家は宰相であったり大臣であったり、とにかく国の為の重要な仕事に就く者がほとんどである。
花祈りができる人物は長い歴史の中では僅かに男性もいるが大抵が女性だ。その女性は、花姫と呼ばれる場合もある。
そして、その人物はだいたい二十年前後の周期で生まれて来る、とされている。
花祈りが出来る子どもが生まれたかどうかは、大抵は生まれた時に分かる。
その子が生まれる時に、様々な花が国中で一斉に咲き誇るからだ。
元々、ウプサラは様々な種類の花がいろいろな場所で咲いている。が、今まで更地だった場所や、剥き出しの地面である場所にも、絨毯のように広がり一斉に咲き誇るので、国中に住む人々も生まれたのだと知る事となる。
オーグレン家のスティーナが生まれた時も例に漏れず、そうであった。それまで蕾だった花もそうでない花も、一斉に咲き誇ったのだ。
そして、スティーナが生まれた屋敷では庭のそれまで剥き出しの地面だった場所までもがいきなり花畑に変わり、満開の花が吹雪となって舞い上がる光景が起こった。
花祈りが出来る子が生まれたオーグレン家は、感極まった。生まれたばかりであるのにすでに将来も約束されたようなもので、王家にすぐに連絡をした。
御三家であっても、花祈りが出来る人物が生まれた家はやはり一目置かれるからだ。
国王が住む宮殿でもまた、花畑が出来、花が宙に舞い踊っていた為に、国王であるドラグスもまたそれに気づき喜んだ。
現在の花姫は、ドラグス国王の妻、レーニ王妃であったが、レーニ王妃もまた後を継ぐ者が生まれ肩の荷が下りる事となる為に喜んだ。
スティーナが大きくなり、花祈りが
出来るようになるのはまだ十八年も先で、成長を待たなければならないが、それでも次なる花祈りが出来る人物が生まれた事は喜ばしい事であった。
「お母様にお願いしなくては!」
レーニ王妃の母親イロナもまた花姫であった。レーニ王妃はノルディーン家が実家であり、イロナはすでに役目を終えて引退をしている。
最前線で国の為に働く花祈りの人物は、主に十八歳から本格的に仕事を引き継ぎ、次の後継者が生まれて成長し十八歳になるまでと決まっている。
引退した花祈りは、国の為にそれまで働いていたので好きに暮らしている人がほとんどであり、花祈りをやめる人もいれば、次なる生活圏で細々と人々の為に花祈りをする人もいる。
しかし後継者が生まれると後継者育成に関わる事がほとんどである。
スティーナが生まれた時、オーグレン家では、三者三様に大騒ぎだった。
使用人達は生まれたてのスティーナを見て玉のように可愛らしいと喜んだ。が、窓の外で花が咲き乱れているのを見かけるとそれをモンスに報告した。
するとモンスは万歳をしながらスティーナと妻のリンネアを放って出て行った。
(よし!これで我がオーグレン家はさらに繁栄を極められる!
今までは王妃様を輩出されたノルディーン家が一歩抜きん出ていたからな。王妃様のご生母様も花姫様であられたし。
リンネア、良くやった!!)
リンネアとは、スティーナの母であり、モンスの妻である。
リンネアもまた、産後で疲れ果てた体であったのだが、次に目覚めた時に使用人達が讃えてくれた為に産んだ娘が花姫である事を知り大いに歓喜した。
(あぁ!私は花姫の母親となれるのね!それってすごい事だわ!モンスもきっと、喜んでくれるわよね?
これで周りからも私は一目置かれる存在になれるのね!)
スティーナの両親は、そのようにスティーナの誕生をとても喜んだのだった。
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