10 / 23
〈10. 働き口はここに決める〉
しおりを挟む
たくさん貼り付けられているせいで、全ての求人を見る事は骨の折れる作業だった為、上の方に貼ってあるものをチラチラと見ていく。
エステルは、自分が出来る事を考えた結果、これはと思ったものをレーヴィに言った。
すると、レーヴィはブツブツと何か言っていたが、先ほどのカウンターへと共に向かってくれ、詳細番号を言って詳しい内容を見せてくれた。
「ここなら、まぁ…治安は悪くはないかもね。学校だから。でも、どうだい?本当にここにするのかい?」
そう言われ、詳細を聞いたエステルは、
「がっこう、ですか?」
「あぁ、ここはね、庶民学校と言って最近出来たんだよ。庶民の子供達がそこへ通い、学問を教わるんだよ。」
「学問…難しいですか?私、読み書きと足し引き、掛け割りの基本的なものなら教えられると思いますけど……。」
「あぁ、充分だと思うよ。庶民を対象にしているから、そこまで高等な知識を教え込むわけではないみたいでね。じゃあ、これから行ってみるかい?」
「え!こ、これから…?」
エステルは急だと思ったが、生活の基盤をたてる為には早い方がいいと思ったので、お願いする事にした。
「はい!」
「じゃあ、紹介状を書くから持って行っておくれ。場所も、すぐ近くだから迷わないとは思うけれど地図を書くからね。おわったら一度報告へ来てもらえるかい?その荷物はここに置いておきな。」
受付の人は、そう言ってサラサラと紹介状と地図を書くと、エステルへと渡した。
その庶民学校はどうやらすぐ近くのようだ。
エステルはお礼を言うと、レーヴィへと振り返った。
「レーヴィ、ここまで本当にありがとう。行ってみるわ!」
「はい、分かりました。大丈夫そうですかね。では、近いうちに教会に遊びに来て下さいね。」
「ええ。絶対に行くわ!」
エステルとレーヴィは、建物を出るとそこで分かれた。
☆★
建物を出てレーヴィとは逆の方向へ少し歩くと目の前にそこだけ、開けた場所が出てきた。そこがどうやら地図によると学校だった。
開け放たれた門を入ると、すぐに男性と思われる人の上半身が形取られた銅像があった。
それを横目に正面を見ると広場になっていて、子供達が数人長い棒を持って振り回している。
えい、やー!と棒を当て合っている子や、一人で素振りをしている子もいた。
その中の数人がこちらへ気づいて、エステルへと近づいてきた。
「こんにちは-!」
「こんにちは-!何か御用ですか?」
「こんにちは-!」
エステルは、その子たちに微笑んだ。
「こんにちは。ええと…校長先生とお話したいのだけれど。」
エステルは学校へと通った事が無い為、学校と言う言葉だけでなく、校長先生と言う言葉も言い慣れていない為に少し照れながら言った。
「そうなんだ!校長先生は今は校長室かなぁ?」
「きっとそうだよ!こっちだよ!」
「ついて来て-!」
エステルの手をひっぱり、その子たちは広場を抜け校舎へと連れて行く。
校舎を入ってすぐの部屋の前へと着いた子たちは、一斉に口を閉じて目でお互いに誰が部屋を叩くかを押し付け合い、緊張しているようにエステルは見えた。
やがて一番背の高い男の子が、意を決したように手を上げて部屋を叩いて訪問を知らせた。
「校長先生!お客様です!お連れしました!」
その子は、先ほどエステルへ話しかけた言葉とは違い、ずいぶんと丁寧に呼び掛けた。
「ありがとう。すぐ伺うよ。」
中から少し遅れて返事をした人物は、その後すぐに部屋を出て来た。
「君たち、ありがとう。こちらがお客様だね?さあ、君たちは授業に戻りなさい。」
「「「はい!!」」」
そう答えた彼らは、すぐに廊下を戻って行く。
「さぁ、いらっしゃい。まずは、こちらへどうぞ。」
☆★
エステルは校長室へと促され、部屋の扉側にあるソファへ腰掛けると、早速紹介状を手渡した。
「ふむ。読み書き、足し引き、掛け割りは出来ると。なるほど…。では、子供達にそれを教えてもらおうか。明日から。いいかな?」
「え!は、はい。」
エステルは、呆気なく決まったので驚くが、彼は笑いながら言葉を続ける。
「ははは。とりあえず採用だよ。すぐに決まって驚いたかい?まぁ、子供達に知恵を授けるのは大変だからね。本当に出来るのかは、やってみないと分からないものなのだよ。続かない人もいてね。だから常に求人募集をしているのだ。
あなたも、続いてくれると嬉しいがね、どうなるのかはやってみないと分からない。
さ!私は、校長のミエスと言うよ。エステル先生明日からよろしく頼むよ。」
そう男性の五十代位のミエスに言われ、エステルは、
(言われてみれば確かにそうだわ……続くかしら。でも、〝先生〟って言われちゃった!)
と、少し頬を赤くしながら頷いた。
エステルは、自分が出来る事を考えた結果、これはと思ったものをレーヴィに言った。
すると、レーヴィはブツブツと何か言っていたが、先ほどのカウンターへと共に向かってくれ、詳細番号を言って詳しい内容を見せてくれた。
「ここなら、まぁ…治安は悪くはないかもね。学校だから。でも、どうだい?本当にここにするのかい?」
そう言われ、詳細を聞いたエステルは、
「がっこう、ですか?」
「あぁ、ここはね、庶民学校と言って最近出来たんだよ。庶民の子供達がそこへ通い、学問を教わるんだよ。」
「学問…難しいですか?私、読み書きと足し引き、掛け割りの基本的なものなら教えられると思いますけど……。」
「あぁ、充分だと思うよ。庶民を対象にしているから、そこまで高等な知識を教え込むわけではないみたいでね。じゃあ、これから行ってみるかい?」
「え!こ、これから…?」
エステルは急だと思ったが、生活の基盤をたてる為には早い方がいいと思ったので、お願いする事にした。
「はい!」
「じゃあ、紹介状を書くから持って行っておくれ。場所も、すぐ近くだから迷わないとは思うけれど地図を書くからね。おわったら一度報告へ来てもらえるかい?その荷物はここに置いておきな。」
受付の人は、そう言ってサラサラと紹介状と地図を書くと、エステルへと渡した。
その庶民学校はどうやらすぐ近くのようだ。
エステルはお礼を言うと、レーヴィへと振り返った。
「レーヴィ、ここまで本当にありがとう。行ってみるわ!」
「はい、分かりました。大丈夫そうですかね。では、近いうちに教会に遊びに来て下さいね。」
「ええ。絶対に行くわ!」
エステルとレーヴィは、建物を出るとそこで分かれた。
☆★
建物を出てレーヴィとは逆の方向へ少し歩くと目の前にそこだけ、開けた場所が出てきた。そこがどうやら地図によると学校だった。
開け放たれた門を入ると、すぐに男性と思われる人の上半身が形取られた銅像があった。
それを横目に正面を見ると広場になっていて、子供達が数人長い棒を持って振り回している。
えい、やー!と棒を当て合っている子や、一人で素振りをしている子もいた。
その中の数人がこちらへ気づいて、エステルへと近づいてきた。
「こんにちは-!」
「こんにちは-!何か御用ですか?」
「こんにちは-!」
エステルは、その子たちに微笑んだ。
「こんにちは。ええと…校長先生とお話したいのだけれど。」
エステルは学校へと通った事が無い為、学校と言う言葉だけでなく、校長先生と言う言葉も言い慣れていない為に少し照れながら言った。
「そうなんだ!校長先生は今は校長室かなぁ?」
「きっとそうだよ!こっちだよ!」
「ついて来て-!」
エステルの手をひっぱり、その子たちは広場を抜け校舎へと連れて行く。
校舎を入ってすぐの部屋の前へと着いた子たちは、一斉に口を閉じて目でお互いに誰が部屋を叩くかを押し付け合い、緊張しているようにエステルは見えた。
やがて一番背の高い男の子が、意を決したように手を上げて部屋を叩いて訪問を知らせた。
「校長先生!お客様です!お連れしました!」
その子は、先ほどエステルへ話しかけた言葉とは違い、ずいぶんと丁寧に呼び掛けた。
「ありがとう。すぐ伺うよ。」
中から少し遅れて返事をした人物は、その後すぐに部屋を出て来た。
「君たち、ありがとう。こちらがお客様だね?さあ、君たちは授業に戻りなさい。」
「「「はい!!」」」
そう答えた彼らは、すぐに廊下を戻って行く。
「さぁ、いらっしゃい。まずは、こちらへどうぞ。」
☆★
エステルは校長室へと促され、部屋の扉側にあるソファへ腰掛けると、早速紹介状を手渡した。
「ふむ。読み書き、足し引き、掛け割りは出来ると。なるほど…。では、子供達にそれを教えてもらおうか。明日から。いいかな?」
「え!は、はい。」
エステルは、呆気なく決まったので驚くが、彼は笑いながら言葉を続ける。
「ははは。とりあえず採用だよ。すぐに決まって驚いたかい?まぁ、子供達に知恵を授けるのは大変だからね。本当に出来るのかは、やってみないと分からないものなのだよ。続かない人もいてね。だから常に求人募集をしているのだ。
あなたも、続いてくれると嬉しいがね、どうなるのかはやってみないと分からない。
さ!私は、校長のミエスと言うよ。エステル先生明日からよろしく頼むよ。」
そう男性の五十代位のミエスに言われ、エステルは、
(言われてみれば確かにそうだわ……続くかしら。でも、〝先生〟って言われちゃった!)
と、少し頬を赤くしながら頷いた。
26
あなたにおすすめの小説
醜貌の聖女と呼ばれ、婚約破棄されましたが、実は本物の聖女でした
きまま
恋愛
王国の夜会で、第一王子のレオンハルトから婚約破棄を言い渡された公爵令嬢リリエル・アルヴァリア。
顔を銀の仮面で隠していることから『醜貌の聖女』と嘲られ、不要と切り捨てられた彼女は、そのまま王城を追われることになる。
しかし、その後に待ち受ける国の運命は滅亡へと向かっていた——
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
婚約破棄されたので、もう誰の役にも立たないことにしました 〜静かな公爵家で、何もしない私の本当の人生が始まります〜
ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として、
完璧であることを求められ続けてきた令嬢エリシア。
だがある日、彼女は一方的に婚約を破棄される。
理由は簡単だった。
「君は役に立ちすぎた」から。
すべてを失ったはずの彼女が身を寄せたのは、
“静かな公爵”と呼ばれるアルトゥール・クロイツの屋敷。
そこで待っていたのは――
期待も、役割も、努力の強要もない日々だった。
前に出なくていい。
誰かのために壊れなくていい。
何もしなくても、ここにいていい。
「第二の人生……いえ、これからが本当の人生です」
婚約破棄ざまぁのその先で描かれる、
何者にもならなくていいヒロインの再生と、
放っておく優しさに満ちた静かな溺愛。
これは、
“役に立たなくなった”令嬢が、
ようやく自分として生き始める物語。
乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!
ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。
相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。
結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。
現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう…
その時に前世の記憶を取り戻すのだった…
「悪役令嬢の兄の婚約者って…」
なんとも微妙なポジション。
しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。
【完結】この運命を受け入れましょうか
なか
恋愛
「君のようは妃は必要ない。ここで廃妃を宣言する」
自らの夫であるルーク陛下の言葉。
それに対して、ヴィオラ・カトレアは余裕に満ちた微笑みで答える。
「承知しました。受け入れましょう」
ヴィオラにはもう、ルークへの愛など残ってすらいない。
彼女が王妃として支えてきた献身の中で、平民生まれのリアという女性に入れ込んだルーク。
みっともなく、情けない彼に対して恋情など抱く事すら不快だ。
だが聖女の素養を持つリアを、ルークは寵愛する。
そして貴族達も、莫大な益を生み出す聖女を妃に仕立てるため……ヴィオラへと無実の罪を被せた。
あっけなく信じるルークに呆れつつも、ヴィオラに不安はなかった。
これからの顛末も、打開策も全て知っているからだ。
前世の記憶を持ち、ここが物語の世界だと知るヴィオラは……悲運な運命を受け入れて彼らに意趣返す。
ふりかかる不幸を全て覆して、幸せな人生を歩むため。
◇◇◇◇◇
設定は甘め。
不安のない、さっくり読める物語を目指してます。
良ければ読んでくだされば、嬉しいです。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます
との
恋愛
「結婚おめでとう」 婚約者と義妹に、笑顔で手を振るリディア。
(さて、さっさと逃げ出すわよ)
公爵夫人になりたかったらしい義妹が、代わりに結婚してくれたのはリディアにとっては嬉しい誤算だった。
リディアは自分が立ち上げた商会ごと逃げ出し、新しい商売を立ち上げようと張り切ります。
どこへ行っても何かしらやらかしてしまうリディアのお陰で、秘書のセオ達と侍女のマーサはハラハラしまくり。
結婚を申し込まれても・・
「困った事になったわね。在地剰余の話、しにくくなっちゃった」
「「はあ? そこ?」」
ーーーーーー
設定かなりゆるゆる?
第一章完結
わたくしは、すでに離婚を告げました。撤回は致しません
絹乃
恋愛
ユリアーナは夫である伯爵のブレフトから、完全に無視されていた。ブレフトの愛人であるメイドからの嫌がらせも、むしろメイドの肩を持つ始末だ。生来のセンスの良さから、ユリアーナには調度品や服の見立ての依頼がひっきりなしに来る。その収入すらも、ブレフトは奪おうとする。ユリアーナの上品さ、審美眼、それらが何よりも価値あるものだと愚かなブレフトは気づかない。伯爵家という檻に閉じ込められたユリアーナを救ったのは、幼なじみのレオンだった。ユリアーナに離婚を告げられたブレフトは、ようやく妻が素晴らしい女性であったと気づく。けれど、もう遅かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる