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もう、本当に最強です
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「あ、ごめんなさい。あなたはここが住処なの?それともここに寝に来たの?だったら邪魔しないようにするわ。それでいい?」
そう私がグリフォンに言うと、しばらく私を見つめ、腰を落ち着け体をぐるりと横にして寝そべって目を瞑った。早速、寝るのかしら?
「ティア。グリフォンはもう、良さそうだね。じゃあ行こうか。」
「ええ。」
「「おい!置いて行くな!」」
お父様とお兄様、ハモっているわ。
「はいはい。一緒に行きましょう。それで明日また、ティアと一緒にいてもいいでしょうか?」
と、エルが聞いた。
「はぁ?だいたいお前はティアの護衛も兼ねているんだ。わざわざ聞かなくとも好きにすればいいじゃないか。」
「ありがとうございます。」
「思ってもいないくせに!」
お兄様とエルが言い合ってるわ。
「クスクス。お兄様とエルって、いつも思うけれど仲が良いのね!」
「いいわけないだろ!」
あら、お兄様、いつもお優しいのに私にまで突っかかってくるなんて珍しいわね。疲れてるのかしら。
「良くわかってるね。俺は、スヴェンが本当の兄のように親愛を持って接しているよ。」
「…良く言うよ。ティア、エルはこんな奴だけどいいのかよ?」
お兄様は、エルからプイッと顔を逸らして言った。ちょっと横顔が赤いと思うのは気のせいかしら?
「ええ!」
私は満面の笑みでお兄様に返事をした。
「そうか…良かったな。」
そう言ってくれたお兄様は、今度は泣きそうです。大丈夫かしら。
屋敷に帰って、応接室で4人で座った。時間が時間なので、エルはここに泊まる事になったが取りあえず座って話すのだそう。
お父様に早速聞かれた。
「ティアよ。あんな神話レベルのやつを、どうやったのだ?」
「うーん、戦わないでって願ったの。」
どうやったと言われても、私にも説明付けにくいのよね。
「願った…そうか。前々からまさかとは思っておったが…。」
お父様がそう言って何か考えている。
「父上。なにを思っていたのですか?」
「うむ。この辺境の地ではな、当主の娘が銀髪銀目だと、魔力でこの地を潤すと言われているんだ。」
そうだったの!?
「えっでも私…」
「魔力は昔からあっただろう。」
「はい。でも一般的な魔法は使えません。落ちこぼれですから…。」
「まぁ、人とは違うもの。それがこの地を潤すもの。ティアの場合はそうだったのだろう。全く落ちこぼれではないぞ!今日だってティアがいなかったら大変だったぞ。」
「ではティアは昔から…?」
うーん、まぁお兄様が言うように昔からいろいろしていたけど、口を挟まない方がいいかしらね。
「いや、わからんがな。お前がいれば、最強だ!私兵団は必要ないな。わはは!」
「でも…。」
そうなったら、私兵団で鍛えてる方々に申し訳ないわ。お父様も、お母様の事があって私兵団をより強く、と思ってたらしいし。待って…私がそれを分かっていれば、お母様を助けられたんじゃないかしら?
「父上!必要なくはありませんよ!違う事に…」
「そうだな。〝闇の獣〟を退治しなくていいかわりに、違う事をしていけばいいよな。隣国が攻めてこないように、とかさ。」
「まぁでもティアよ。無理はするな。獣は獣だからな。あ、余計な事は考えるなよ。母さんの事は過ぎた事だ。」
「はい。」
お父様には分かってしまったのね、私が思っていた事。
一旦、話が終わった所にエルがいきなり言い出した。
「あの、ティアと結婚させてください!」
「だめだ!」
「いいぞ!」
え?お兄様とお父様、反対の事を言われた?
「なんで急に…。」
お兄様は頭を抱えている。
「スヴェンよ。この地で暮らさせてくれないか?屋敷は森の近くに建てていいかな?それで、ティアが〝闇の獣〟を鎮めれればいいだろ?それか、俺が獣を退治するからさ。」
「はぁ?だったらここで一緒に暮らせばいいじゃないか!」
「スヴェンよ…それは止めなさい。お前もゆくゆくは妻をもらうだろうしな。」
お父様。うん、それはそうよね。
「子どもならきっと、考えたくないがティアが生むでしょう。そしたら、その子に領地を任せればいい。俺は結婚なんて…。」
「お兄様…。」
そんな風に思っていたの…。
「ははは。まぁ、それはおいおいだな。エルも、国王陛下に報告したり、いろいろあるだろう。今日はもう寝よう。」
エルに呼びかけられ、もう少し話をする事になった。もちろん、応接室の扉は少し開いていて何かあったら人が入ってこれるようになっている。
「ティア。もう一度言うね。結婚して下さい。」
夕方はあやふやになったからもう一度、仕切り直してくれているのね。
「はい!」
「わー!やった!よかった!王族ってだけでいろいろ言われるから、ティアが怖じ気づいたらどうしようかと思ったよ。」
「えーそう言われると…」
確かに王族って恐れ多いわね。
「いやいや、俺がなんとかする!だからお願い!傍にいて!ね!」
ふふふ。こんなにエルが懇願するなんて。いつも余裕たっぷりで話してくるのに。
「私、言葉遣いもこんなだし、相応しくないんじゃない?」
「そんな事ない!そのままのティアがいいんだ。俺がいろんな事から守るから!」
「ふふ。お願いね。」
「本当?いい?いいよね?よし、明日兄上に報告してくる!」
「あ!エルのお兄様…なんだか怖いわ。」
「大丈夫!ちょっと変だけど全然大丈夫!!」
「もう…何が大丈夫なのよ…他人事だと思って…国で一番偉い人なのよ!」
「大丈夫だって!俺にしたら、一番最強なのはティアだからさ!」
なんだかんだ本音を言い合いながら、幸せに末永く暮らしましたとさ。
☆★☆★☆★☆★
読んでくれた方、お気に入りに入れてくれた方、コメントをくれた方本当にありがとうございました!
あと1つ、番外編を書きましたので、お付き合い下さると嬉しいです。
今日中に、投稿しますね。
そう私がグリフォンに言うと、しばらく私を見つめ、腰を落ち着け体をぐるりと横にして寝そべって目を瞑った。早速、寝るのかしら?
「ティア。グリフォンはもう、良さそうだね。じゃあ行こうか。」
「ええ。」
「「おい!置いて行くな!」」
お父様とお兄様、ハモっているわ。
「はいはい。一緒に行きましょう。それで明日また、ティアと一緒にいてもいいでしょうか?」
と、エルが聞いた。
「はぁ?だいたいお前はティアの護衛も兼ねているんだ。わざわざ聞かなくとも好きにすればいいじゃないか。」
「ありがとうございます。」
「思ってもいないくせに!」
お兄様とエルが言い合ってるわ。
「クスクス。お兄様とエルって、いつも思うけれど仲が良いのね!」
「いいわけないだろ!」
あら、お兄様、いつもお優しいのに私にまで突っかかってくるなんて珍しいわね。疲れてるのかしら。
「良くわかってるね。俺は、スヴェンが本当の兄のように親愛を持って接しているよ。」
「…良く言うよ。ティア、エルはこんな奴だけどいいのかよ?」
お兄様は、エルからプイッと顔を逸らして言った。ちょっと横顔が赤いと思うのは気のせいかしら?
「ええ!」
私は満面の笑みでお兄様に返事をした。
「そうか…良かったな。」
そう言ってくれたお兄様は、今度は泣きそうです。大丈夫かしら。
屋敷に帰って、応接室で4人で座った。時間が時間なので、エルはここに泊まる事になったが取りあえず座って話すのだそう。
お父様に早速聞かれた。
「ティアよ。あんな神話レベルのやつを、どうやったのだ?」
「うーん、戦わないでって願ったの。」
どうやったと言われても、私にも説明付けにくいのよね。
「願った…そうか。前々からまさかとは思っておったが…。」
お父様がそう言って何か考えている。
「父上。なにを思っていたのですか?」
「うむ。この辺境の地ではな、当主の娘が銀髪銀目だと、魔力でこの地を潤すと言われているんだ。」
そうだったの!?
「えっでも私…」
「魔力は昔からあっただろう。」
「はい。でも一般的な魔法は使えません。落ちこぼれですから…。」
「まぁ、人とは違うもの。それがこの地を潤すもの。ティアの場合はそうだったのだろう。全く落ちこぼれではないぞ!今日だってティアがいなかったら大変だったぞ。」
「ではティアは昔から…?」
うーん、まぁお兄様が言うように昔からいろいろしていたけど、口を挟まない方がいいかしらね。
「いや、わからんがな。お前がいれば、最強だ!私兵団は必要ないな。わはは!」
「でも…。」
そうなったら、私兵団で鍛えてる方々に申し訳ないわ。お父様も、お母様の事があって私兵団をより強く、と思ってたらしいし。待って…私がそれを分かっていれば、お母様を助けられたんじゃないかしら?
「父上!必要なくはありませんよ!違う事に…」
「そうだな。〝闇の獣〟を退治しなくていいかわりに、違う事をしていけばいいよな。隣国が攻めてこないように、とかさ。」
「まぁでもティアよ。無理はするな。獣は獣だからな。あ、余計な事は考えるなよ。母さんの事は過ぎた事だ。」
「はい。」
お父様には分かってしまったのね、私が思っていた事。
一旦、話が終わった所にエルがいきなり言い出した。
「あの、ティアと結婚させてください!」
「だめだ!」
「いいぞ!」
え?お兄様とお父様、反対の事を言われた?
「なんで急に…。」
お兄様は頭を抱えている。
「スヴェンよ。この地で暮らさせてくれないか?屋敷は森の近くに建てていいかな?それで、ティアが〝闇の獣〟を鎮めれればいいだろ?それか、俺が獣を退治するからさ。」
「はぁ?だったらここで一緒に暮らせばいいじゃないか!」
「スヴェンよ…それは止めなさい。お前もゆくゆくは妻をもらうだろうしな。」
お父様。うん、それはそうよね。
「子どもならきっと、考えたくないがティアが生むでしょう。そしたら、その子に領地を任せればいい。俺は結婚なんて…。」
「お兄様…。」
そんな風に思っていたの…。
「ははは。まぁ、それはおいおいだな。エルも、国王陛下に報告したり、いろいろあるだろう。今日はもう寝よう。」
エルに呼びかけられ、もう少し話をする事になった。もちろん、応接室の扉は少し開いていて何かあったら人が入ってこれるようになっている。
「ティア。もう一度言うね。結婚して下さい。」
夕方はあやふやになったからもう一度、仕切り直してくれているのね。
「はい!」
「わー!やった!よかった!王族ってだけでいろいろ言われるから、ティアが怖じ気づいたらどうしようかと思ったよ。」
「えーそう言われると…」
確かに王族って恐れ多いわね。
「いやいや、俺がなんとかする!だからお願い!傍にいて!ね!」
ふふふ。こんなにエルが懇願するなんて。いつも余裕たっぷりで話してくるのに。
「私、言葉遣いもこんなだし、相応しくないんじゃない?」
「そんな事ない!そのままのティアがいいんだ。俺がいろんな事から守るから!」
「ふふ。お願いね。」
「本当?いい?いいよね?よし、明日兄上に報告してくる!」
「あ!エルのお兄様…なんだか怖いわ。」
「大丈夫!ちょっと変だけど全然大丈夫!!」
「もう…何が大丈夫なのよ…他人事だと思って…国で一番偉い人なのよ!」
「大丈夫だって!俺にしたら、一番最強なのはティアだからさ!」
なんだかんだ本音を言い合いながら、幸せに末永く暮らしましたとさ。
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読んでくれた方、お気に入りに入れてくれた方、コメントをくれた方本当にありがとうございました!
あと1つ、番外編を書きましたので、お付き合い下さると嬉しいです。
今日中に、投稿しますね。
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