【完結】いつも微笑んでいる侯爵様とニコリともしない伯爵令嬢のお話

まりぃべる

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25. バジーリオの嘆き

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 私はバジーリオ=ソルディーニ。


 私の祖先はコネリアーノ国を建国し、統治していたそうだ。けれども、百年ほど前の大地震により、このウディネの辺りにあった建物が倒壊してしまった為に思い切って今の王宮がある地に宮を移そうという事になったらしい。
 その時に、今のピエトロ国王の祖先に国王の地位を譲り、私の祖先はこのウディネの地で伯爵として陰から国を支える事としたのだそうだ。


 まぁ、その考えがあっているのかどうかは私には分からない。


 今のピエトロ国王は残念ながら頼りないのだ。私と同じ世代であるのに、まるで若造の考えしか出てこない。
 だから、その子供であるプリーニオ王子には幅広く物事を、着々と学ばせている最中だ。
今は隣国でボーナ妃と一緒に滞在中で、他国を学んできてもらっているが、ちゃんと吸収してくれて、成長して帰って来るといいのだが…。



 私には三人の自慢の娘がいる。
三人共に皆性格はちがってとても可愛いのだ。美しい、ともいうな。


 九年前。

 代々国防軍に勤める事が多いアンドレイニ侯爵家のボニート国防軍長官兼侯爵家当主が、相談してきた。


「バジーリオ伯爵。そちらの娘さんと、うちが縁続きになるのはどうだろう。」


 ボニート侯爵か。悪くないな。うちは三人共娘であるから、三人の内誰かが婿を取ってくれれば、それに越した事はない。が、三人共もし、外へ嫁いで行ってしまったのなら、娘達の子供の内誰か一人を養子に取って跡を継がせてもいい。

 ボニート侯爵の息子と結婚させるのであれば、嫁がせるという事になる。年齢的に見れば、同じ年齢のカンディダとなるか?ブルニルタになるかもしれんが、さすがにアルフォンシーナにはならんだろうな。
まぁ、でも誰と性格が合うか分からん。三人直接会わせて相性を見る事にするか。


 だが、予想に反して、一番楽しんだのはアルフォンシーナだと聞く。
 カンディダとブルニルタは、学校に通っていた事もあり、貴族とはなにかを理解していたのだろう。未来の結婚相手になるかもしれないと会う理由を理解して会うから緊張もあり、貴族として家柄同士の結婚相手として接するから、楽しいなどという感情は持たなかったのかもしれない。
 対してアルフォンシーナにも、なんとなく伝えてはいたが良く分かっていなかったのかもしれない。良く見せようとかそんな素振りは一切無く、ありのまま接していたようだった。


 ボニート侯爵からも、息子が言っていたと、なんとそのような話を聞いた。

 だが、二回目の交流会のあとから、アルフォンシーナは、どうも雰囲気ががらりと変わってしまう。ベルティーナが気を効かせてアルフォンシーナへ尋ねたが、首を振るばかりで何があったのか教えてくれなかったと言った。


 アルフォンシーナには、まだ早かったのか?


 アルフォンシーナの気持ちを尊重し、交流会は以降参加しない事にしたが、それだけではなく部屋からあまり出なくなってしまう。出かけるのも、図書館や友達と出掛けるのには行きたいというが、それ以外には理由をつけて出かけなくなった。


 そればかりでなく、可愛い笑顔が見られなくなってしまった。


 何があった!?ボニート侯爵の息子のせいか!?


 いや、でもまぁ、アルフォンシーナには少し早かったのかもしれないな…まだ学校にも通っていない七歳で交流会に参加させてしまったものな。

 もう少し、アルフォンシーナの好きにさせてやるか。



 しかし、ボニート侯爵の息子が適齢期になってくると、アルフォンシーナへ婚約の打診が来るようになった。

 うーん、そっちの都合でそうでも、アルフォンシーナはまだ早いのだ。だからそれとなく交わしていた。




 だが、どうにもならなくなってしまう。


 隣国のそのまた隣の国のフィラハ国は、まだあまり他国と交流をしていなかった為に、このコネリアーノ国に来て早速やらかしたのだ。
 フィラハ国では常識な事であったとしても、コネリアーノ国の常識に合わせなければならない。それが出来なかったフィラハ国の落ち度ではあるが、万が一アルフォンシーナが目をつけられて、婚姻を望まれたらそれを断れきれるかどうか。国際問題になっては困る。


 それならばボニート侯爵の息子と先に婚約を結んだ方がいいと早速ボニート侯爵へ返事をする。


 そして、良い機会だからと私は怒りに乗じて領地へ引きこもると言って仕事を同僚に任せた。
ピエトロ国王に、深刻さを肌で感じて欲しいからだ。コネリアーノ国が舐められたんだぞ、と。そしてこれを機に成長してくれれば…。


 しかし事もあろうか、我が家に連絡も無しに押しかけて来た!しかもピエトロ国王の考えは先を見越してない。金なんて、その場しか旨みが無い。
 私が今まで傍で仕事をしてきたのに、それを学んでくれていなかったのかと思ったら大きなため息が出た。


 やはりピエトロ国王はダメだな。


 まぁ、迎えに来たのがベルトルドであったから、ベルトルドにもその後処理を指示してやっと安心できたわ。

 ベルトルドは、仕事も出来る。私の大事な娘のカンディダの夫でもあるし、信頼も出来る。一を教えたら十を知るような男だから、私が引退しても心配いらないだろうな。



 アルフォンシーナもいろいろとあったが、いつの間にか昔のように溢れんばかりの笑顔を向けてくれるようになったから本当に良かった。珍しくアルフォンシーナに怒られてしまったからな。あまりケチをつけないようにしないとな。思う事はあれど、娘の為だと思っていたのに嫌われてしまってはいけないからな。


 でもこれでやっと、心残りも無くなった。


 そろそろサムエレに家督を譲ってウディネの領地を任せよう。そして愛するベルティーナとゆっくり過ごすとしよう。
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