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26. 結婚式
今日は待ちに待った、アルフォンシーナとヴァルフレードの結婚式の日である。
アルフォンシーナは、いろいろと考えてしまい昨夜なかなか眠る事が出来なかった。
(いろいろあったけれど、結婚するのね。私には縁遠いものだと思っていたけれど。)
アルフォンシーナは、長い事笑わなかった。幼い頃に言われた言葉に傷つき、自分の笑い顔はそんなにも醜いものなのかと思ったからだった。
それからは、笑わないように意識していた。
舞踏会などでも、笑う事をしないからダンスも断っていた。
それが、いつの間にか笑えるようになり好きだと思える人と結婚する事になったのだ。
(人生って、どうなるのか分からないものだわ。)
☆★
結婚式は、ウディネの領内にある一番家から近い教会で挙げる事にした。ウディネ領には、王城を守る為に教会が幾つもあるのだ。他の領地に比べ、かなりたくさんある。だが、両親も挙げたこの住んでいる所から一番近い教会にしたのだ。
招待客は親族だけである。
「綺麗ね、アルフォンシーナ。」
「本当に!素晴らしいわ!」
「ええ。綺麗!
…淋しくなるわね。」
控室には、ビオンダ達侍女が忙しなく動いている中、カンディダとブルニルタとベルティーナが準備を見に来ていた。
アルフォンシーナは、純白の足首まで隠れるドレスを身に纏っていた。
「ありがとう。
お母様、また遊びに来ますから。」
「分かっているわ。結婚はおめでたい事で、幸せになりに旅立つのだものね。でも、母親として淋しいのよ。」
「お母様…。」
「いやだわ、お母様ったら!私達の時より泣いてない?」
「本当ね、カンディダお姉様。そんな気がするわ。」
「いえね、だって三人目よ?みんなうちから居なくなってしまうのだもの。ただでさえ、うちって昔の王城だったから広いじゃない?地震で壊れた箇所があるとしても、それでも広いもの。アルフォンシーナまで居なくなったら淋しいわ。」
「じゃあ、私達と交換する?住む場所。」
「あら、良いわね!ブルニルタ。サムエレくん達がいいならうちの方に越してきてもいいのよ?」
「ふふふ。そうねぇ、お父様にも聞いてみましょうよ。」
コンコンコン。
家族で話していると、扉が叩かれる。ビオンダが確認をするとバジーリオだった。
「どうかな?私の可愛い娘よ。あぁ…!」
入ってくるなり、アルフォンシーナの姿を見て固まるバジーリオ。娘達にからかわれたバジーリオは、やっと言葉を発した。
「済まない…アルフォンシーナがあまりにも綺麗でね。ベルティーナとの結婚式を思い出したよ。」
「あら!嬉しいわ。でも、アルフォンシーナに言葉を掛けてあげて下さる?」
ベルティーナが照れながらそうバジーリオへと催促をした。
「あぁ、もちろんだよ。アルフォンシーナ、大きくなったね。そしてとても綺麗だよ。ヴァルフレードと幸せになりなさい。」
「ええ、お父様。ありがとうございます。お父様とお母様に負けないくらい、幸せな夫婦になってみせますわね!」
「あら、私とベルトルドには勝てないわよ?」
「そんな事ないわよ、私とサムエレには勝てないから!」
そう言って家族みんなで笑った後、バジーリオが促した。
「さぁ、行こうアルフォンシーナ。」
「はい。」
アルフォンシーナは、バジーリオの腕に手を添える。
部屋を出ると、赤い絨毯が廊下に敷いてあり、それを進むとヴァルフレードや親族が待つ、礼拝堂に続いている。
二人はゆっくりと進んで行った。
他の三人も、礼拝堂へと進んだ。
「娘をよろしく頼むよ。」
ヴァルフレードの所まで来たバジーリオは、そう言ってアルフォンシーナを託し、自身の席へと向かう。
アルフォンシーナは、ベール越しではあるがヴァルフレードに視線を向けてにっこりと笑った。
「アルフォンシーナ、おいで。」
「はい!」
ヴァルフレードが少し引き寄せて隣に立たせ、祭壇の奥にいる神父へと向き合うと、神父は一つ頷いてから、式を始めた。
「ヴァルフレード=アンドレイニ。あなたは、隣にいるアルフォンシーナ=ソルディーニを命尽きるまで愛し、互いに尊重し合い、苦しい時も共に乗り越えると誓いますか?」
「はい、誓います。」
「アルフォンシーナ=ソルディーニ。あなたは、隣にいるヴァルフレード=アンドレイニを命尽きるまで愛し、互いに尊重し合い、苦しい時も共に乗り越えると誓いますか?」
「はい、誓います。」
「それでは、誓いの証として、指輪を互いに付けて下さい。」
ヴァルフレードは、祭壇に置いてある指輪の一つをゆっくりと取り、アルフォンシーナの左手をそっと触れ、薬指に嵌めた。
アルフォンシーナも、もう一つの指輪をヴァルフレードへと嵌める。
それを確認すると、神父は一つ咳払いをしてから言葉を続ける。
「では、誓いの証として、キスをお願いします。」
ヴァルフレードは、うつむいているアルフォンシーナのベールを頭上へと上げ、アルフォンシーナの顎を優しく持って上を向かせる。
「アルフォンシーナ。愛してるよ。」
そう呟いたヴァルフレードは、顔を赤くするアルフォンシーナへ優しく触れるだけのくちづけをした。
「これより、二人は夫婦となりました。神は二人に祝福を与えるでしょう。皆様も、新しい夫婦にどうぞ祝福を。」
そう言った神父は拍手をする。それに合わせて、参列者も二人に心を込めて拍手を送った。
「ありがとう!ありがとうございます!」
ヴァルフレードは周りの人達へ向かってそう言いながら、赤い絨毯の上をアルフォンシーナの手を添えて歩き出す。
アルフォンシーナも弾けんばかりの笑顔を向けて、ヴァルフレードに連れられて歩いて行った。
教会の外に出たヴァルフレードとアルフォンシーナは、親族の皆が帰るのを見送ろうと二人寄り添っていた。
「アルフォンシーナ。今日から夫婦だよ。嬉しい。やっとだよ。」
「フフフ。そう言ってくれてありがとう。私も、嬉しいわ。」
二人して、皆が出てくるまでの短い間も仲良く話している。
「ああ幸せだよ、同じ家に帰れるのだからね。
帰ってからも、まだまだアルフォンシーナを楽しませるからね。」
「ええ…え?」
アルフォンシーナは、まだ何かあったかしらと首を傾げる。
「二人きりの時間に決まってるだろう?濃厚な時間にするよ。」
(濃厚……?そうね!確かにヴァルフレードと話す時間は楽しいもの!)
「ええ、楽しみね!」
アルフォンシーナは、侯爵家の屋敷に帰ってからもヴァルフレードとこれからは時間を気にしないで話が出来ると、ヴァルフレードが想像している事とは違う事を思ってワクワクとしていた。
アルフォンシーナは、いろいろと考えてしまい昨夜なかなか眠る事が出来なかった。
(いろいろあったけれど、結婚するのね。私には縁遠いものだと思っていたけれど。)
アルフォンシーナは、長い事笑わなかった。幼い頃に言われた言葉に傷つき、自分の笑い顔はそんなにも醜いものなのかと思ったからだった。
それからは、笑わないように意識していた。
舞踏会などでも、笑う事をしないからダンスも断っていた。
それが、いつの間にか笑えるようになり好きだと思える人と結婚する事になったのだ。
(人生って、どうなるのか分からないものだわ。)
☆★
結婚式は、ウディネの領内にある一番家から近い教会で挙げる事にした。ウディネ領には、王城を守る為に教会が幾つもあるのだ。他の領地に比べ、かなりたくさんある。だが、両親も挙げたこの住んでいる所から一番近い教会にしたのだ。
招待客は親族だけである。
「綺麗ね、アルフォンシーナ。」
「本当に!素晴らしいわ!」
「ええ。綺麗!
…淋しくなるわね。」
控室には、ビオンダ達侍女が忙しなく動いている中、カンディダとブルニルタとベルティーナが準備を見に来ていた。
アルフォンシーナは、純白の足首まで隠れるドレスを身に纏っていた。
「ありがとう。
お母様、また遊びに来ますから。」
「分かっているわ。結婚はおめでたい事で、幸せになりに旅立つのだものね。でも、母親として淋しいのよ。」
「お母様…。」
「いやだわ、お母様ったら!私達の時より泣いてない?」
「本当ね、カンディダお姉様。そんな気がするわ。」
「いえね、だって三人目よ?みんなうちから居なくなってしまうのだもの。ただでさえ、うちって昔の王城だったから広いじゃない?地震で壊れた箇所があるとしても、それでも広いもの。アルフォンシーナまで居なくなったら淋しいわ。」
「じゃあ、私達と交換する?住む場所。」
「あら、良いわね!ブルニルタ。サムエレくん達がいいならうちの方に越してきてもいいのよ?」
「ふふふ。そうねぇ、お父様にも聞いてみましょうよ。」
コンコンコン。
家族で話していると、扉が叩かれる。ビオンダが確認をするとバジーリオだった。
「どうかな?私の可愛い娘よ。あぁ…!」
入ってくるなり、アルフォンシーナの姿を見て固まるバジーリオ。娘達にからかわれたバジーリオは、やっと言葉を発した。
「済まない…アルフォンシーナがあまりにも綺麗でね。ベルティーナとの結婚式を思い出したよ。」
「あら!嬉しいわ。でも、アルフォンシーナに言葉を掛けてあげて下さる?」
ベルティーナが照れながらそうバジーリオへと催促をした。
「あぁ、もちろんだよ。アルフォンシーナ、大きくなったね。そしてとても綺麗だよ。ヴァルフレードと幸せになりなさい。」
「ええ、お父様。ありがとうございます。お父様とお母様に負けないくらい、幸せな夫婦になってみせますわね!」
「あら、私とベルトルドには勝てないわよ?」
「そんな事ないわよ、私とサムエレには勝てないから!」
そう言って家族みんなで笑った後、バジーリオが促した。
「さぁ、行こうアルフォンシーナ。」
「はい。」
アルフォンシーナは、バジーリオの腕に手を添える。
部屋を出ると、赤い絨毯が廊下に敷いてあり、それを進むとヴァルフレードや親族が待つ、礼拝堂に続いている。
二人はゆっくりと進んで行った。
他の三人も、礼拝堂へと進んだ。
「娘をよろしく頼むよ。」
ヴァルフレードの所まで来たバジーリオは、そう言ってアルフォンシーナを託し、自身の席へと向かう。
アルフォンシーナは、ベール越しではあるがヴァルフレードに視線を向けてにっこりと笑った。
「アルフォンシーナ、おいで。」
「はい!」
ヴァルフレードが少し引き寄せて隣に立たせ、祭壇の奥にいる神父へと向き合うと、神父は一つ頷いてから、式を始めた。
「ヴァルフレード=アンドレイニ。あなたは、隣にいるアルフォンシーナ=ソルディーニを命尽きるまで愛し、互いに尊重し合い、苦しい時も共に乗り越えると誓いますか?」
「はい、誓います。」
「アルフォンシーナ=ソルディーニ。あなたは、隣にいるヴァルフレード=アンドレイニを命尽きるまで愛し、互いに尊重し合い、苦しい時も共に乗り越えると誓いますか?」
「はい、誓います。」
「それでは、誓いの証として、指輪を互いに付けて下さい。」
ヴァルフレードは、祭壇に置いてある指輪の一つをゆっくりと取り、アルフォンシーナの左手をそっと触れ、薬指に嵌めた。
アルフォンシーナも、もう一つの指輪をヴァルフレードへと嵌める。
それを確認すると、神父は一つ咳払いをしてから言葉を続ける。
「では、誓いの証として、キスをお願いします。」
ヴァルフレードは、うつむいているアルフォンシーナのベールを頭上へと上げ、アルフォンシーナの顎を優しく持って上を向かせる。
「アルフォンシーナ。愛してるよ。」
そう呟いたヴァルフレードは、顔を赤くするアルフォンシーナへ優しく触れるだけのくちづけをした。
「これより、二人は夫婦となりました。神は二人に祝福を与えるでしょう。皆様も、新しい夫婦にどうぞ祝福を。」
そう言った神父は拍手をする。それに合わせて、参列者も二人に心を込めて拍手を送った。
「ありがとう!ありがとうございます!」
ヴァルフレードは周りの人達へ向かってそう言いながら、赤い絨毯の上をアルフォンシーナの手を添えて歩き出す。
アルフォンシーナも弾けんばかりの笑顔を向けて、ヴァルフレードに連れられて歩いて行った。
教会の外に出たヴァルフレードとアルフォンシーナは、親族の皆が帰るのを見送ろうと二人寄り添っていた。
「アルフォンシーナ。今日から夫婦だよ。嬉しい。やっとだよ。」
「フフフ。そう言ってくれてありがとう。私も、嬉しいわ。」
二人して、皆が出てくるまでの短い間も仲良く話している。
「ああ幸せだよ、同じ家に帰れるのだからね。
帰ってからも、まだまだアルフォンシーナを楽しませるからね。」
「ええ…え?」
アルフォンシーナは、まだ何かあったかしらと首を傾げる。
「二人きりの時間に決まってるだろう?濃厚な時間にするよ。」
(濃厚……?そうね!確かにヴァルフレードと話す時間は楽しいもの!)
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