【完結】いつも微笑んでいる侯爵様とニコリともしない伯爵令嬢のお話

まりぃべる

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23. 侯爵家への挨拶

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 裸馬競争があった次の日。


 ヴァルフレードから呼ばれた為にアンドレイニ侯爵家へ訪問した。


 今日も、ベルガモットの香り漂う裏庭の四阿で、紅茶を飲むアルフォンシーナであった。


「お疲れではありませんか?」

「あぁ。昨日はあの後も、テレンツィオ王子には悔しがられたし、夕食会に参加しなければならなくて大変だったよ。でも、アルフォンシーナに会いたかったからね。昨日も、アルフォンシーナの元へ駆けつけて馬に乗せて王都中に見せつけたかったよ。」

「まぁ!何を見せつけるのです?されなくて良かったわ。
テレンツィオ王子、見学するのではなくて、参加されたのですね。」

「あぁ。俺も驚いたよ。前日に言われたみたいでね。バジーリオ伯爵も、『怪我をしても知りませんから。どうしても出場するのであれば我が国は一切、関係ないと一筆書いていただきますぞ。』と言っていたな。」

「それでよく、走れましたね。慣れていらしたのですか?サムエレ義兄様も、振り落とされないようにするのが精一杯だと言われていましたよ。」

「どうやら、フィラハ国は馬に似た、でもまったく別の動物に乗って移動するみたいでね。慣れていたようだよ。ただ、それは背中にこぶがあり、座りやすいみたいで勝手が違うと言われていたな。
…ま、他の男の話はここでお終いにしよう。」

「そうですわね。ヴァルフレード、お疲れ様でした。まさか、一位だったなんて驚きましたわ。途中で、落馬したという声も聞きましたから、血の気が引きましたわ。」

「あぁ…彼は国防軍の中堅だよ。だから、驕りもあったのかもしれないな。事もあろうに、内側から抜きに掛かろうとして、馬が足を引っ掛けてしまったみたいでね。でも、鍛えていただけはあって命に別状はなかったのは幸いだったな。」

「そうでしたの。その方の怪我が酷く無くて幸いですわね。
ヴァルフレードにも怪我も無く、本当に良かったですわ。」

「じゃあ、俺に褒美をくれるかい?」

「え?ご褒美?なにかしら。私にあげられるもの?」

「あぁ。アルフォンシーナしか俺に与えられないよ。」

「ええ。なぁに?」



「ヴァルフレード様。ボニート様がお帰りになりました。」


 話していると、従僕のカルミネの元へ別の使用人が来て耳打ちし、カルミネがそのように伝えた。


「そう。残念だな…いや思ったより早い。じゃあ、そちらへ行くよ。」


 別の使用人は会釈をすると伝える為か去って行った。


「ヴァルフレード?」

「ごめんよ、父が帰って来たみたいだ。一緒に会ってもらってもいいかな?」

「え?はい、分かりました。」

「ごめん。今日はアルフォンシーナとゆっくりしようと思ったんだけれどね。褒美はまた、いただこうかな。」

「ええ。分かったわ。」


 ヴァルフレードは、アルフォンシーナを伴って屋敷へと入っていく。




「失礼します。」

「あぁ、入り給え。」


 談話室へと入ったヴァルフレードは、アルフォンシーナへ振り返ると優しく微笑んでエスコートして、ソファへと促し隣同士で座った。

 正面にはボニートと、ヴァルフレードの母カルーラが座っていた。


「アルフォンシーナ嬢、来てもらって済まないね。どうしてもカルーラが挨拶をしたいと言ったからね。顔合わせをする事にしてしまったよ。でもこれで、結婚へ向けて話を進めていけるから。女性同士で話す事も必要だろうからね。カルーラ、挨拶を。」

「ええ。
アルフォンシーナちゃん、ごめんなさいね、せっかくヴァルフレードとの愛の語らいの時に時間を作ってもらって。これでも、我慢していたのですけれどね。
…あぁ、こんなに大きく美しくなって。あの頃は本当に、可愛らしかったわよねぇ。」


 と、ハンカチ片手に涙ながらに挨拶をしてくれるカルーラに、そう言えば、朧気ながらこの優しい雰囲気を覚えていると思った。


「いえ…アルフォンシーナです。これからもよろしくお願い致します。あの、イヤリングありがとうございました!」

「いいのよ。あれは一足先ではあるけれどアルフォンシーナちゃんのですからね!これからどんどん、分けていくから、好きに使ってちょうだい。」

「はい。ありがとうございます。」

「譲り受けたドレスもあるから、今度一緒に見てちょうだいね。」

「はい!」


「ヴァルフレード、よくやったな。私の代わりに首位を取るとは。一日早く帰って来れば見れたのに残念だ。これでも早く帰ってきたのだがな。」

「はい。アルフォンシーナの為に絶対に勝とうと思いましたから。
いや、それよりも充分早いですよね?かなり飛ばして帰ってきましたよね?」

「まぁな。結局、皆疲れたようであるから、一度家や寮へ帰したわ。」

「それはそうでしょう。ゆっくり休息も必要です。」

「ははは。軟弱過ぎるわ!
アルフォンシーナ嬢、少々、愛が重すぎるかもしれんが、君を想う気持ちは誰にも負けないと思うんだよ。ヴァルフレードを嫌がらないでくれると助かるよ。」

「いえ、そんな…!良くしてもらっていますから。」

「そう言ってくれるとありがたい。代々うちの家系は体はごつい分、女性を大切にするから、心配しないでくれ。」

「はい。ありがとうございます。」

「もうそろそろ、いいでしょうか。父上も、ゆっくり休みたいでしょうし。」


 と、ヴァルフレードがボニートへ割って入る。


「ははは。分かった分かった!二人の時間を邪魔して悪かったよ。ようやくアルフォンシーナ嬢が振り向いてくれたんだものな。」

「ええ、だから一緒に過ごして来ますから!さぁ、アルフォンシーナ、行こう。」

「は、はい。ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。」

「ええ、いつでも遊びに来てちょうだいね!」

「こちらこそよろしく頼むよ。」


 ヴァルフレードは、アルフォンシーナをエスコートして先ほどの場所へと戻る。また二人きりで楽しく語らう為に、急ぐ足を抑えながら向かっていった。



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