8 / 27
8. 鉱山での仕事
しおりを挟む
通路は、昼休憩が終わるからか結構な人達がぞろぞろと歩いていて、アレッシアは圧倒された。
(はぐれるなよ、って確かにはぐれそうだわ。)
通路は、まっすぐと進むのだが時折分かれ道があり、そこを曲がって行く人達もいる。きっと作業する場所がたくさんあるのだろうとアレッシアは思った。
(まるで迷路みたいね。)
坑道は、景色が変わらない為同じように見えてしまう。迷わないようにしないと、と気を引き締めてジャンパオロについていく。
「ここが俺達の作業場。どんどん壁を掘り進んで行くんだ。それによって出た土や岩やなんかを、あの台車に乗せて中央屑置き場へ持って行く。
…アレッシアは初めて来たし、スコップで掘ってくれ。」
「うん、分かった。」
少し歩くと、開けた場所に着きジャンパオロにそう言われる。長い柄のついたスコップや台車などの道具は広くなった所に乱雑に置かれていた。
辺りを見渡すと、年齢は様々だが三十人ほどの男性達が同じような薄汚れた服をきている。頭に布を巻いている人や、髭を生やした人もいて、若いのはアレッシア達くらいであった。
「よう坊主!新入りか!?」
そこへ、頭に布を巻いた体格の大きな男性が話し掛けてきた。
「…あぁ。」
それに、ぶっきらぼうにジャンパオロが答える。
「相変わらずだなぁ、坊主は!
ん?…新入り、痩せてんなぁ!ここじゃそんな痩せっぽっちはすぐくたばっちまうぞ!食事、たんとお代わりして体を大きくしねぇとな!体調壊すんじゃねぇぞ!」
「は、はい。」
「じゃ、なんかあれば、採掘班長のパオロ様に相談するんだぞ!無理すんなよ!」
ガハハハと、大きな口を開けて笑いながらアレッシア達から離れて台車の方へとパオロは行ってしまった。
「ふん!
あいつはここの班の班長だ。悪い奴ではないが、あの通り豪快な奴だ。」
ジャンパオロは、自分よりもひとまわり以上も年齢が上に見える相手の事をそう言ってアレッシアへと教える。
そこへ、グイドが戻ってきた。
「お待たせしました。
アレッシア、今日は初めてでしょうから無理をしませんように。」
そう言って、道具を持ってきてくれた。
「いいですか、このように掘るんですよ。足を使って。そう、そうです。」
グイドに教えてもらいながら、アレッシアは目の前にある坑道を掘り進めていった。
ーーー
ーー
ー
カンカンカンカン…
「よーし、終わりだ!」
どこからともなく甲高い音が鳴り響くと、パオロがそう言った。時間を知らせる合図だ。
働いていた人々は、道具を元あったようにそれぞれ置いていく。
「ハー終わった!」
「お疲れ-!」
「やった、飯だ-!」
それぞれに声を上げ、また部屋や食堂の方へと戻っていった。
(思ったより疲れたわ…)
アレッシアは、スコップで土壁を掘っていた。時折、硬い土や岩が出てきたりすれば力を入れ直し、息を荒げながらやっていた。そこは何が取れるのか、アレッシアには分からなかったがひたすら掘って先を進めて行った。
「僕らも行きましょう。
疲れたでしょう、早くお腹を満たせば疲れも少しは吹き飛びます。」
「あー腹減った!でも、あの人が多い食堂は苦手なんだよなー。行きたかねーけど仕方ねぇよな。席も急がねぇと座れねーし。」
「けれど、そのような事も慣れていきませんとね。
さ、アレッシア。早く行きましょう。」
「うん。」
そう言われ、急いだ方がいいのかとアレッシアは駆け出そうとする。
「アレッシア、走るなよ!危ねぇだろ!」
「ジャンパオロが急かすからアレッシアが気を遣ってしまったのでしょうに。
アレッシア、ジャンパオロはお子様ですから、様々な経験をさせた方が良いのです。だから、席が埋まっていれば待てばいいのですから気になさいませんよう。」
「止めろよ!おれと三歳しか違わないくせに子ども扱いするなよ!」
「はいはい。では参りましょう。」
アレッシアは、そのようにジャンパオロが言い、グイドがあしらうように話している姿を見て仲が良いと思った。
「ふふふ。」
「む。アレッシア、笑うなよ!」
「ごめんなさい。仲が良いなと思って。ジャンパオロさんは幾つなの?グイドさんも、私と同じくらいなのかしら。」
「ジャンパオロは十四、僕が十七ですよ。アレッシアは?」
「私は十六歳。
そっか、二人共、兄弟みたいね。」
「はぁー!?止めろよ、グイドが兄なんて!
てか…アレッシア十六なんだな。おれと同じくらいかと思ったんだけど。」
「さすがにそんな訳ないでしょうに!
…オホン、さぁ食堂に着きました。席を探しましょう。」
グイドはそう言ってから、広い空間が広がる食堂へとついたからか咳払いをして、話を止めたのだった。
☆★
「あー今日も美味かったな!」
夕食が終わり、ジャンパオロが腹をさすりながらそう大きな声を出す。
「そうですね、食事だけが楽しみですからね。」
そう言ったグイドも、ちょっと食べ過ぎたかなと腹をさすっている。
アレッシアが周りを見ると、食べ終えるとすぐに席を立っていく人達が増え、先ほどまでは満席であった石の椅子も、だんだんと空席が目立つようになる。
しかし二人は食べ終わってもなかなか席を立たないのでアレッシアは疑問に思って聞いてみた。
「この後は何かあるのですか?」
「この後ですか?
風呂の時間ですね。でも僕らは時間が後にしています。」
「ここ、労働者結構多いからなー。風呂は夕食終われば入れるからいつ入ってもいいんだぜ。でも部屋に帰ると、風呂の時間までに眠くなるから、ここでよく時間潰してんだ。」
「夕食が終われば、自由時間なのですよ。でも明日も作業がありますからね、風呂に入ったら寝るのが一番。夜更かしすると大変ですよ。」
「風呂…!!」
(え!?
お風呂があるのは嬉しいけれど、どんなお風呂なのかしら。一人ずつ入れるわよね?)
「そう、珍しいですよね。あまり知られてはいませんが、湯が湧き出ているそうです。鉱物が染み込んでいるのか、入ると疲れが癒され、また次の日の作業にも精が出ますよ。」
「人も減って来たし、そろそろ行こうぜ。」
言われてみれば、もうほとんど人が居なくなっており、入り口近くの席に二人、いるだけとなっていた。
(あら?あの後ろ姿…)
そのうちの一人、髪が黒く背中が大きな姿は、昼間ここに入ってきた時にガスパレと共にいた後ろ姿にとてもよく似ていた。
向かい側に座っている人は白衣を羽織っていた。茶色の髪で、頬杖をついてその人と話している。顔はこちらから見え、グイドより同じくらいか少し年上の見た目だ。
(服が、あまり汚れていないのよね。もう一人の人はガスパレさんじゃないわ。もっと若いもの。その人も、白衣を羽織っているなんて掘る仕事ではないのかしらね。)
「おい、アレッシア!早くしろよ!」
考えながら歩いていたからか、少しゆっくりしていたらしく、すでに食堂から出ていたジャンパオロからそう声を掛けられたアレッシアは、慌てて早歩きをして向かった。
(はぐれるなよ、って確かにはぐれそうだわ。)
通路は、まっすぐと進むのだが時折分かれ道があり、そこを曲がって行く人達もいる。きっと作業する場所がたくさんあるのだろうとアレッシアは思った。
(まるで迷路みたいね。)
坑道は、景色が変わらない為同じように見えてしまう。迷わないようにしないと、と気を引き締めてジャンパオロについていく。
「ここが俺達の作業場。どんどん壁を掘り進んで行くんだ。それによって出た土や岩やなんかを、あの台車に乗せて中央屑置き場へ持って行く。
…アレッシアは初めて来たし、スコップで掘ってくれ。」
「うん、分かった。」
少し歩くと、開けた場所に着きジャンパオロにそう言われる。長い柄のついたスコップや台車などの道具は広くなった所に乱雑に置かれていた。
辺りを見渡すと、年齢は様々だが三十人ほどの男性達が同じような薄汚れた服をきている。頭に布を巻いている人や、髭を生やした人もいて、若いのはアレッシア達くらいであった。
「よう坊主!新入りか!?」
そこへ、頭に布を巻いた体格の大きな男性が話し掛けてきた。
「…あぁ。」
それに、ぶっきらぼうにジャンパオロが答える。
「相変わらずだなぁ、坊主は!
ん?…新入り、痩せてんなぁ!ここじゃそんな痩せっぽっちはすぐくたばっちまうぞ!食事、たんとお代わりして体を大きくしねぇとな!体調壊すんじゃねぇぞ!」
「は、はい。」
「じゃ、なんかあれば、採掘班長のパオロ様に相談するんだぞ!無理すんなよ!」
ガハハハと、大きな口を開けて笑いながらアレッシア達から離れて台車の方へとパオロは行ってしまった。
「ふん!
あいつはここの班の班長だ。悪い奴ではないが、あの通り豪快な奴だ。」
ジャンパオロは、自分よりもひとまわり以上も年齢が上に見える相手の事をそう言ってアレッシアへと教える。
そこへ、グイドが戻ってきた。
「お待たせしました。
アレッシア、今日は初めてでしょうから無理をしませんように。」
そう言って、道具を持ってきてくれた。
「いいですか、このように掘るんですよ。足を使って。そう、そうです。」
グイドに教えてもらいながら、アレッシアは目の前にある坑道を掘り進めていった。
ーーー
ーー
ー
カンカンカンカン…
「よーし、終わりだ!」
どこからともなく甲高い音が鳴り響くと、パオロがそう言った。時間を知らせる合図だ。
働いていた人々は、道具を元あったようにそれぞれ置いていく。
「ハー終わった!」
「お疲れ-!」
「やった、飯だ-!」
それぞれに声を上げ、また部屋や食堂の方へと戻っていった。
(思ったより疲れたわ…)
アレッシアは、スコップで土壁を掘っていた。時折、硬い土や岩が出てきたりすれば力を入れ直し、息を荒げながらやっていた。そこは何が取れるのか、アレッシアには分からなかったがひたすら掘って先を進めて行った。
「僕らも行きましょう。
疲れたでしょう、早くお腹を満たせば疲れも少しは吹き飛びます。」
「あー腹減った!でも、あの人が多い食堂は苦手なんだよなー。行きたかねーけど仕方ねぇよな。席も急がねぇと座れねーし。」
「けれど、そのような事も慣れていきませんとね。
さ、アレッシア。早く行きましょう。」
「うん。」
そう言われ、急いだ方がいいのかとアレッシアは駆け出そうとする。
「アレッシア、走るなよ!危ねぇだろ!」
「ジャンパオロが急かすからアレッシアが気を遣ってしまったのでしょうに。
アレッシア、ジャンパオロはお子様ですから、様々な経験をさせた方が良いのです。だから、席が埋まっていれば待てばいいのですから気になさいませんよう。」
「止めろよ!おれと三歳しか違わないくせに子ども扱いするなよ!」
「はいはい。では参りましょう。」
アレッシアは、そのようにジャンパオロが言い、グイドがあしらうように話している姿を見て仲が良いと思った。
「ふふふ。」
「む。アレッシア、笑うなよ!」
「ごめんなさい。仲が良いなと思って。ジャンパオロさんは幾つなの?グイドさんも、私と同じくらいなのかしら。」
「ジャンパオロは十四、僕が十七ですよ。アレッシアは?」
「私は十六歳。
そっか、二人共、兄弟みたいね。」
「はぁー!?止めろよ、グイドが兄なんて!
てか…アレッシア十六なんだな。おれと同じくらいかと思ったんだけど。」
「さすがにそんな訳ないでしょうに!
…オホン、さぁ食堂に着きました。席を探しましょう。」
グイドはそう言ってから、広い空間が広がる食堂へとついたからか咳払いをして、話を止めたのだった。
☆★
「あー今日も美味かったな!」
夕食が終わり、ジャンパオロが腹をさすりながらそう大きな声を出す。
「そうですね、食事だけが楽しみですからね。」
そう言ったグイドも、ちょっと食べ過ぎたかなと腹をさすっている。
アレッシアが周りを見ると、食べ終えるとすぐに席を立っていく人達が増え、先ほどまでは満席であった石の椅子も、だんだんと空席が目立つようになる。
しかし二人は食べ終わってもなかなか席を立たないのでアレッシアは疑問に思って聞いてみた。
「この後は何かあるのですか?」
「この後ですか?
風呂の時間ですね。でも僕らは時間が後にしています。」
「ここ、労働者結構多いからなー。風呂は夕食終われば入れるからいつ入ってもいいんだぜ。でも部屋に帰ると、風呂の時間までに眠くなるから、ここでよく時間潰してんだ。」
「夕食が終われば、自由時間なのですよ。でも明日も作業がありますからね、風呂に入ったら寝るのが一番。夜更かしすると大変ですよ。」
「風呂…!!」
(え!?
お風呂があるのは嬉しいけれど、どんなお風呂なのかしら。一人ずつ入れるわよね?)
「そう、珍しいですよね。あまり知られてはいませんが、湯が湧き出ているそうです。鉱物が染み込んでいるのか、入ると疲れが癒され、また次の日の作業にも精が出ますよ。」
「人も減って来たし、そろそろ行こうぜ。」
言われてみれば、もうほとんど人が居なくなっており、入り口近くの席に二人、いるだけとなっていた。
(あら?あの後ろ姿…)
そのうちの一人、髪が黒く背中が大きな姿は、昼間ここに入ってきた時にガスパレと共にいた後ろ姿にとてもよく似ていた。
向かい側に座っている人は白衣を羽織っていた。茶色の髪で、頬杖をついてその人と話している。顔はこちらから見え、グイドより同じくらいか少し年上の見た目だ。
(服が、あまり汚れていないのよね。もう一人の人はガスパレさんじゃないわ。もっと若いもの。その人も、白衣を羽織っているなんて掘る仕事ではないのかしらね。)
「おい、アレッシア!早くしろよ!」
考えながら歩いていたからか、少しゆっくりしていたらしく、すでに食堂から出ていたジャンパオロからそう声を掛けられたアレッシアは、慌てて早歩きをして向かった。
13
あなたにおすすめの小説
【完結】手の届かない桃色の果実と言われた少女は、廃れた場所を住処とさせられました。
まりぃべる
恋愛
アンネッタは、この国では珍しい桃色の髪をしている。
幼い頃母親に待っててねと言われたがいつまでたっても姿を現さず、泣いているところを拾われ、町の食堂につれていかれる。そして、その食堂を営む大将と女将と生活する事になり、そこの常連客達にもよくしてもらい、町の皆にアンネッタは育てられたようなものだった。
境遇も相まってか、幼い頃より周りの人達にとても可愛がられていた。
少し成長すると、偶然にも貴族の目に留まり養子に入る事となった。
平民だった時からは考えられないほどの裕福な生活を送る事で、アンネッタはだんだんと贅沢を覚えていく。
しかしあるとき、問題に巻き込まれてしまう。
責任を取らされる事となったアンネッタは、追放という形で国の端にある、廃れた場所でその後の生涯を送る事となる。
そんなお話。
☆『王道』ではなく、まりぃべるの世界観です。それを楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界と似ている名前、地名、などがありますが、関係ありません。
また、現実世界と似たような単語や言葉があっても、若干言い回しや意味が違う場合があります。
【完結】溺愛される意味が分かりません!?
もわゆぬ
恋愛
正義感強め、口調も強め、見た目はクールな侯爵令嬢
ルルーシュア=メライーブス
王太子の婚約者でありながら、何故か何年も王太子には会えていない。
学園に通い、それが終われば王妃教育という淡々とした毎日。
趣味はといえば可愛らしい淑女を観察する事位だ。
有るきっかけと共に王太子が再び私の前に現れ、彼は私を「愛しいルルーシュア」と言う。
正直、意味が分からない。
さっぱり系令嬢と腹黒王太子は無事に結ばれる事が出来るのか?
☆カダール王国シリーズ 短編☆
義妹がやらかして申し訳ありません!
荒瀬ヤヒロ
恋愛
公爵令息エリオットはある日、男爵家の義姉妹の会話を耳にする。
何かを企んでいるらしい義妹。義妹をたしなめる義姉。
何をやらかすつもりか知らないが、泳がせてみて楽しもうと考えるが、男爵家の義妹は誰も予想できなかった行動に出て―――
義妹の脅迫!義姉の土下座!そして冴え渡るタックル!
果たしてエリオットは王太子とその婚約者、そして義妹を諫めようとする男爵令嬢を守ることができるのか?
【完結】契約の花嫁だったはずなのに、無口な旦那様が逃がしてくれません
Rohdea
恋愛
──愛されない契約の花嫁だったはずなのに、何かがおかしい。
家の借金返済を肩代わりして貰った代わりに
“お飾りの妻が必要だ”
という謎の要求を受ける事になったロンディネ子爵家の姉妹。
ワガママな妹、シルヴィが泣いて嫌がった為、必然的に自分が嫁ぐ事に決まってしまった姉のミルフィ。
そんなミルフィの嫁ぎ先は、
社交界でも声を聞いた人が殆どいないと言うくらい無口と噂されるロイター侯爵家の嫡男、アドルフォ様。
……お飾りの妻という存在らしいので、愛される事は無い。
更には、用済みになったらポイ捨てされてしまうに違いない!
そんな覚悟で嫁いだのに、
旦那様となったアドルフォ様は確かに無口だったけど───……
一方、ミルフィのものを何でも欲しがる妹のシルヴィは……
傷付いた騎士なんて要らないと妹は言った~残念ながら、変わってしまった関係は元には戻りません~
キョウキョウ
恋愛
ディアヌ・モリエールの妹であるエレーヌ・モリエールは、とてもワガママな性格だった。
両親もエレーヌの意見や行動を第一に優先して、姉であるディアヌのことは雑に扱った。
ある日、エレーヌの婚約者だったジョセフ・ラングロワという騎士が仕事中に大怪我を負った。
全身を包帯で巻き、1人では歩けないほどの重症だという。
エレーヌは婚約者であるジョセフのことを少しも心配せず、要らなくなったと姉のディアヌに看病を押し付けた。
ついでに、婚約関係まで押し付けようと両親に頼み込む。
こうして、出会うことになったディアヌとジョセフの物語。
【完結】今更、好きだと言われても困ります……不仲な幼馴染が夫になりまして!
Rohdea
恋愛
──私の事を嫌いだと最初に言ったのはあなたなのに!
婚約者の王子からある日突然、婚約破棄をされてしまった、
侯爵令嬢のオリヴィア。
次の嫁ぎ先なんて絶対に見つからないと思っていたのに、何故かすぐに婚約の話が舞い込んで来て、
あれよあれよとそのまま結婚する事に……
しかし、なんとその結婚相手は、ある日を境に突然冷たくされ、そのまま疎遠になっていた不仲な幼馴染の侯爵令息ヒューズだった。
「俺はお前を愛してなどいない!」
「そんな事は昔から知っているわ!」
しかし、初夜でそう宣言したはずのヒューズの様子は何故かどんどんおかしくなっていく……
そして、婚約者だった王子の様子も……?
【完結】花に祈る少女
まりぃべる
恋愛
花祈り。それは、ある特別な血筋の者が、(異国ではいわゆる花言葉と言われる)想いに適した花を持って祈ると、その花の力を増幅させる事が出来ると言われている。
そんな花祈りが出来る、ウプサラ国の、ある花祈りの幼い頃から、結婚するまでのお話。
☆現実世界にも似たような名前、地域、単語、言葉などがありますが関係がありません。
☆花言葉が書かれていますが、調べた資料によって若干違っていました。なので、少し表現を変えてあるものもあります。
また、花束が出てきますが、その花は現実世界で使わない・合わないものもあるかもしれません。
違うと思われた場合は、現実世界とは違うまりぃべるの世界と思ってお楽しみ下さい。
☆まりぃべるの世界観です。ちょっと変わった、一般的ではないまりぃべるの世界観を楽しんでいただけると幸いです。
その為、設定や世界観が緩い、変わっているとは思いますが、まったりと楽しんでいただける事を願っています。
☆話は完結出来ていますので、随時更新していきます。全41話です。
★エールを送って下さった方、ありがとうございます!!お礼が言えないのでこちらにて失礼します、とても嬉しいです。
『婚約破棄された聖女リリアナの庭には、ちょっと変わった来訪者しか来ません。』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
王都から少し離れた小高い丘の上。
そこには、聖女リリアナの庭と呼ばれる不思議な場所がある。
──けれど、誰もがたどり着けるわけではない。
恋するルミナ五歳、夢みるルーナ三歳。
ふたりはリリアナの庭で、今日もやさしい魔法を育てています。
この庭に来られるのは、心がちょっぴりさびしい人だけ。
まほうに傷ついた王子さま、眠ることでしか気持ちを伝えられない子、
そして──ほんとうは泣きたかった小さな精霊たち。
お姉ちゃんのルミナは、花を咲かせる明るい音楽のまほうつかい。
ちょっとだけ背伸びして、だいすきな人に恋をしています。
妹のルーナは、ねむねむ魔法で、夢の中を旅するやさしい子。
ときどき、だれかの心のなかで、静かに花を咲かせます。
ふたりのまほうは、まだ小さくて、でもあたたかい。
「だいすきって気持ちは、
きっと一番すてきなまほうなの──!」
風がふくたびに、花がひらき、恋がそっと実る。
これは、リリアナの庭で育つ、
小さなまほうつかいたちの恋と夢の物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる