【完結】周りの友人達が結婚すると言って町を去って行く中、鉱山へ働くために町を出た令嬢は幸せを掴む

まりぃべる

文字の大きさ
27 / 27

27. 訪ねて来た人

しおりを挟む
「アレッシア様、急いでお着替えを致しましょう。」



 アレッシアは昨日、フィオリーノが住むこのライナルディ公爵家にやって来た。
そして、通された部屋は二階にあるフィオリーノの隣の部屋で、日当たりもとてもいい部屋なのだと言われる。
内装も、壁紙は小さな花が草原に咲き誇っているようなもので、家具も最低限の物が置いてあるだけのとても心落ち着く部屋であった。
ベッドはさすが公爵家であるのかふかふかで、夜はベッドに寝転がったと同時に意識を失ってしまったかのようにアレッシアは良く眠れたのだった。

 そして、少しゆっくりと起きたアレッシアを待っていたフィオリーノは、鉱山での生活の時と同じようにまた朝食を摂り、その後屋敷の案内を一通りゆっくりと会話をしながらされ、一度部屋へと戻ったアレッシアにカテーナがそのように言った。


「着替え?」


 今着ている服は、急遽衣裳屋から取り寄せた既製品で、動き易いようにゆったりとした造りのくるぶしまであるワンピースではあるが高級品である。それなのに着替えとは、屋敷を案内された時にどこかで汚してしまったのかと思い、体を左右に動かして足元の後ろを見た。庭にも行った為、土でもついているのかと思ったのだ。


「あ、いえ、汚れているわけではありませんよ。お客様が到着されたようですので。」

「え?」

「ささ、こちらへ。」


 アレッシアが細かく聞く前に、カテーナは急いで支度を整え始めた。






☆★

「やぁ、済まないね。いらっしゃい!」


 キラキラと、その周りだけ輝いているのではないかと勘違いするようなほど、神々しいオーラを放ちつつ、長い足を組んで座っているその人物は、優雅に飲んでいた紅茶のカップを置いてからアレッシアに話掛ける。
その男性は、フィオリーノを少しだけ年齢を重ねさせたようだと気づいたアレッシアは、部屋へ入るなり緊張し、足を止めてしまった。


(フィオリーノに似てるわ。いえ、この場合、フィオリーノが似ているのね。って事は、お兄様の国王様って事よね…?)


 隣には、これまた美しい女性と、両耳より上の頭の位置で髪を縛った小さな女の子が女性の隣に座っている。


「兄上!いらっしゃいってここは俺の家です!アレッシアが戸惑うではないですか!
アレッシア、大丈夫だよ、こっちへおいで。」


 向かいに座っていたフィオリーノが優しい表情でアレッシアに手招きをする。アレッシアはそれをされ、やっとフィオリーノの隣へと腰を下ろした。


「アレッシア、済まない。呼んでもいないのにやって来た俺の兄のガブリエーレ国王だよ。それに、奥さんのクラリッサ王妃と、四歳になる二人の娘のコンソラータだよ。」

「どうも。君が、僕の可愛い弟のハートを射止めたアレッシアだね。よろしく。」

「ごめんなさいね、アレッシアさん。ガブリエーレが顔を見たいとどうしても言うものだから、それならって私と娘も一緒にご挨拶をさせてもらおうと思って着いてきてしまったの。」

「こんにちは!
アレッシアさん、とってもかわいい!おひめさまみたい!」


 国王と王妃に続き、王女にまで声を掛けられ緊張しつつもアレッシアは失礼のないように言葉を繋ぐ。


「い、いえ!
もったいないお言葉、ありがとうございます。コンソラータ様こそ、とても素敵なお姫様ですね。」

「え!やだぁ!アレッシアさん、とってもいいひと!」


 そう言って、コンソラータはソファから下り母親であるクラリッサの膝に抱きついて喜んでいる。それに良かったわね、と声を掛けるクラリッサは、コンソラータの頭をゆっくりと撫でている。


(本当に可愛いらしい…お人形みたいだわ。)


 それを見ていたアレッシアは、少し緊張がほぐれ始めた。


「それで?来て下さったのは有り難いんですがね、俺が報告に上がるはずではなかったのですか?」

「フィオリーノが報告に来てくれるのは有り難いが、アレッシアまで連れて来るかは分からなかったからな。だから、僕が来た方がアレッシアに挨拶が出来ると思ってね。
アレッシア、フィオリーノは王族として生まれたせいでいろいろと大変な想いを抱えてこれまで生きてきたと思うのだよ。だから、フィオリーノを幸せにしてやってくれるかい?」

「兄上!俺がアレッシアを幸せにするのです!」

「何を言ってるんだ?
僕が兄で、フィオリーノが弟として生まれてしまった事で、お前がいろいろと僕に遠慮していたのは気づいているよ。
余計な火種を生まない為に、王宮から離れ、この国境近くに住むことにしたのもそうだろう?不憫とまでは言わないが、僕は申し訳なく思っているんだ。だから、フィオリーノからの進捗度の報告を兼ねた手紙に、結婚相手が見つかったと書かれていた時には驚きもあったが心底嬉しく思ったのだよ。」

「それはお互い様です。兄上も、王太子として大変な日々を過ごしておられたでしょう?そして、クラリッサ様とのご結婚を機に国王就任されたのも、若かった故それはもう気苦労が絶えなかったでしょう。それを傍で支えられず、申し訳なく思ってましたから。
でも、それとこれとは違います!
アレッシアという愛する人を見つけ、幸せにはなります。なりますが、決してアレッシアに幸せにしてもらうのでは無いのです!」

「分かった、分かった!
アレッシア、こんな弟ではあるが、よろしく頼むよ。」

「はい。共に幸せになります。」


 お互いを想い合っていて、表立っては親しくなかったのかもしれないが、素敵な兄弟だと思ったアレッシアは、笑顔を向けて答える。


「アレッシア…!」

「いい返事だ。
…なんだその顔。フィオリーノのそんな腑抜けな顔が見られるなんてな!いい、いいぞ。このまま、早く子供が出来るといいな。コンソラータも遊び相手が欲しい頃であるし、なぁクラリッサ?」

「うふふふ。それは私からは何とも。
でもお二人の関係を見ていれば、すぐにでも家族が増えそうですわね。
アレッシアさん、子育てって大変だけれど、同時にとても幸せな気分にさせてくれるのよ。だからね、楽しみね!」

「ええっ!?」


 今まで、フィオリーノとガブリエーレの話を聞いていたのだが、クラリッサから急にそのように振られ、赤面するアレッシア。


「クラリッサ様までアレッシアを揶揄わないで下さい。アレッシアはまだ十六歳で、初々しいのですから。」

「あら、揶揄ってなどいないわ。本当の事を言ったまでよ。
でも、そうなの…アレッシアさん十六歳なのね。アレッシアさんからしたら、フィオリーノ様は六歳も年上だけれど良かったのかしら?」

「クラリッサ様!いやだとここで言われたら俺はもう生きていけませんから!」

「え?今まで言ってなかったという事!?
アレッシアさん、フィオリーノ様に騙されてはいけませんわよ?大丈夫ですの?今ならまだ、無かった事に出来ますわよ?」

「な、無かった事!?」


 そう言われ、フィオリーノは目を見開くほど驚き、悲痛にも似た声を出した。 アレッシアは、意外にもフィオリーノは揶揄われる事が多いのかもしれないとクスリと微笑みを浮かベながら答える。


「クラリッサ様、教えてくださりありがとうございます。でも、年上だとは思っておりましたし、大丈夫です!
でも、フィオリーノは私の年齢を知っていたのね。私、話していたかしら?」


 アレッシアのその気持ちを聞き、フィオリーノは心から安堵しながら、体裁を整えつつアレッシアの目を見つめる。


「アレッシアの事は、大抵は知っていたよ。でも、これから傍でいろいろと知っていきたい。」


 フィオリーノは、いろいろと調べていた事は口に出せずそのように言った。
 どうせ、フィオリーノが調べ挙げたのだろうと思ったガブリエーレはニヤリと薄い笑みを浮かべながらフィオリーノを見遣っている。
クラリッサも、それをなんとなく気づきながらもアレッシアにその疑問にわざわざ答える事をしなかった。知らなくていい事も、これから増えていくだろうと自分に重ね合わせながら、未来あるアレッシアを微笑ましく見遣った。


「それでだが、フィオリーノ。すぐにでも婚姻が結ばれる事が出来るよう書類は持ってきたよ。」

「え、え?よろしいのですか?」

「ああ、もちろんだとも。僕を誰だと思っているんだ?国王だぞ?
もし、アレッシアに迷いがあるのであれば、書類を書いて僕の印鑑も押して、後は手続きをするだけの形にも出来るがね。」

「私ですか?迷い…?ありません。」


 アレッシアはそう聞かれ、しばし考えたがやはりフィオリーノと過ごしてきた事を無かった事になんて出来ないと、そう言い切った。


「そうか。ではもう後戻りは出来ない。アレッシアは今日からフィオリーノの妻だ。共に支え合い、共に幸せになりなさい。」


 ガブリエーレは先ほど、フィオリーノにあれだけ啖呵を切られた為にそのように言った。さながら結婚式のように。


「兄上…ありがとうございます。アレッシア、ありがとう。幸せになろう。」

「はい!」


 アレッシアの元気の良い返事に、ガブリエーレは納得するように頷く。


「いい返事だ。では、書類は後ほどだな。
忘れる前に、イブレア鉱山の報告をしてくれるか。」

「あぁ…まあ、目立った悪さをしている奴は居なかった。さすがですね、兄上が推し進めた鉱山という事はありました。だが、やはりもう少し働いている作業員の人権をある程度向上させた方がいいと思います。」

「ほう…?」

「不慮の事故が起こった際や体調を崩した際、医師が少ないのです。ベルチェリ国側からの一人しかおらず、モンタルドーラ国側の医師がおりませんでした。その辺りは、モンタルドーラ国側の管轄と言われればそうかもしれませんが、鉱山の中は広く、一人では大変です。」

「なるほどな。まぁ、モンタルドーラ国は我が国ほど潤っていないからな。その辺りは我が国から輩出した方が何かと良さそうだ。」

「はい。
あと、事故に遭った際、見捨てられるのがほとんどです。鉱山労働者とは、そのように危険と隣り合わせと言われればそうなのかもしれませんが、中には助けられる命がある場合もあります。」

「ふむ…。」

「それから、来る者拒まずで、あとは知らぬ存ぜぬという感じです。働きたいと来た人はろくに誰かと確認する事も無く採用するようで、だから事故に遭ったとしてもそのままなのかもしれません。」

「なに?そうか…面接をし、名簿を作ってもいいかもしれんな。犯罪者の隠れ蓑にされても適わん。」

「それから…」

「その辺りは、今日しないといけない話かしら?」

「ん?なんだクラリッサ。」


 ガブリエーレに聞かれフィオリーノが答えていたのだが、だんだんと飽きてきたコンソラータを見かねて、クラリッサはそのように口を挟んだ。


「そのような政治の話、私達には退屈ですもの。せっかく来たのに、コンソラータなんてぐずりだしてるのよ?」

「す、済まん!気づいてやれなかった!コンソラータ、外に出ようか。」

「えー、おとうさまもいっしょ?じかんあるの?」

「お、おう!もちろんだとも!
という事で、続きは後にしようかフィオリーノ。」

「は、はい。」

「婚姻書類も作成を忘れてはダメよ?」

「そうだな。…今日、泊まってもいいか?」


 コンソラータは、ガブリエーレの元へ行き膝に掴まると、大きな手で頭を撫でられ、ニコニコとしている。


「え!それは…俺はいいですが、政務は大丈夫なのですか?」

「…明朝帰ればな。」

「もう!ガブリエーレはコンソラータに甘いんだから。」

「そうじゃない。僕だってたまにはクラリッサとコンソラータと共にゆっくりしたいんだ!」

「まぁ…!それじゃあ仕方ないわね。明日はそれを見越して、急ぎの仕事は入れてないのでしょう?」

「あぁ。だからフィオリーノ、ゆっくりさせてくれ。アレッシア、済まないがよろしく頼む。」


 大袈裟にため息を漏らしながらフィオリーノは返事をする。対してアレッシアはニッコリとした表情で返事をした。


「…分かりましたよ。」

「はい、こちらこそ。」

「はやく、いこー?アレッシアさんもね!」


 コンソラータはすでにソファの周りを走り回っている。アレッシアは、子供って無邪気で可愛いなと思いながら、先ほど言われた、家族がすぐ増えそうだという言葉を思い返していた。フィオリーノとの子供はどんな子なのだろうと未だ見ぬ未来を思い描き、楽しみになっていたのだった。



 アレッシアは、鉱山へ働きに行く為に町を出たが、そこで愛する人を見つけ国まで出て、隣国へとやって来た。そして、フィオリーノという愛する人と共に幸せを手にし、今日も心が温かい気持ちで過ごしていく。
 アレッシアの新たな生活は始まったばかりである。







☆★☆★

これで、終わりです。
お気に入り登録してくれた方、しおりを挟んでくれた方、感想をくれた方、ありがとうございました。とても励みになりました!
しおりを挟む
感想 2

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(2件)

ちゃっぺ
2023.05.07 ちゃっぺ

まりぃべるさんらしい可愛い話でほっこりしました。
細かいところは気になりましたが、誰も傷付かない温かみのあるとこが貴女の持ち味だと思っています。
アルファポリスは、時々開いて気に入った作者さんを一気に読み込む使い方をしているのでまた読みに来ます。

2023.05.07 まりぃべる

にゃにゃん様、ありがとうございます。

そうですね(^^;)私めの作品は細かいところまで突っ込まれると矛盾など多々あると思いますが、それでも手に取り読んで下さいましてとても嬉しいです!
そして、温かいお言葉まで…!感無量です。゚・(>﹏<)・゚。o(*´︶`*)o

また見かけた際、読んでいただけると幸いです(●^ー^●)

解除
dragon.9
2023.04.09 dragon.9
ネタバレ含む
2023.04.11 まりぃべる

dragon.9様、いつもありがとうございます!

やはりそう思われちゃいましたねぇ〜(^_^;)悪い人ではないのですが、そう感じてしまいますよね(´д`)

はい、主人公はどうにか(^ω^)

手に取り読んで下さいまして、ありがとうございますo(*´︶`*)o

解除

あなたにおすすめの小説

【完結】手の届かない桃色の果実と言われた少女は、廃れた場所を住処とさせられました。

まりぃべる
恋愛
アンネッタは、この国では珍しい桃色の髪をしている。 幼い頃母親に待っててねと言われたがいつまでたっても姿を現さず、泣いているところを拾われ、町の食堂につれていかれる。そして、その食堂を営む大将と女将と生活する事になり、そこの常連客達にもよくしてもらい、町の皆にアンネッタは育てられたようなものだった。 境遇も相まってか、幼い頃より周りの人達にとても可愛がられていた。 少し成長すると、偶然にも貴族の目に留まり養子に入る事となった。 平民だった時からは考えられないほどの裕福な生活を送る事で、アンネッタはだんだんと贅沢を覚えていく。 しかしあるとき、問題に巻き込まれてしまう。 責任を取らされる事となったアンネッタは、追放という形で国の端にある、廃れた場所でその後の生涯を送る事となる。 そんなお話。 ☆『王道』ではなく、まりぃべるの世界観です。それを楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界と似ている名前、地名、などがありますが、関係ありません。 また、現実世界と似たような単語や言葉があっても、若干言い回しや意味が違う場合があります。

【完結】溺愛される意味が分かりません!?

もわゆぬ
恋愛
正義感強め、口調も強め、見た目はクールな侯爵令嬢 ルルーシュア=メライーブス 王太子の婚約者でありながら、何故か何年も王太子には会えていない。 学園に通い、それが終われば王妃教育という淡々とした毎日。 趣味はといえば可愛らしい淑女を観察する事位だ。 有るきっかけと共に王太子が再び私の前に現れ、彼は私を「愛しいルルーシュア」と言う。 正直、意味が分からない。 さっぱり系令嬢と腹黒王太子は無事に結ばれる事が出来るのか? ☆カダール王国シリーズ 短編☆

義妹がやらかして申し訳ありません!

荒瀬ヤヒロ
恋愛
公爵令息エリオットはある日、男爵家の義姉妹の会話を耳にする。 何かを企んでいるらしい義妹。義妹をたしなめる義姉。 何をやらかすつもりか知らないが、泳がせてみて楽しもうと考えるが、男爵家の義妹は誰も予想できなかった行動に出て――― 義妹の脅迫!義姉の土下座!そして冴え渡るタックル! 果たしてエリオットは王太子とその婚約者、そして義妹を諫めようとする男爵令嬢を守ることができるのか?

【完結】契約の花嫁だったはずなのに、無口な旦那様が逃がしてくれません

Rohdea
恋愛
──愛されない契約の花嫁だったはずなのに、何かがおかしい。 家の借金返済を肩代わりして貰った代わりに “お飾りの妻が必要だ” という謎の要求を受ける事になったロンディネ子爵家の姉妹。 ワガママな妹、シルヴィが泣いて嫌がった為、必然的に自分が嫁ぐ事に決まってしまった姉のミルフィ。 そんなミルフィの嫁ぎ先は、 社交界でも声を聞いた人が殆どいないと言うくらい無口と噂されるロイター侯爵家の嫡男、アドルフォ様。 ……お飾りの妻という存在らしいので、愛される事は無い。 更には、用済みになったらポイ捨てされてしまうに違いない! そんな覚悟で嫁いだのに、 旦那様となったアドルフォ様は確かに無口だったけど───…… 一方、ミルフィのものを何でも欲しがる妹のシルヴィは……

傷付いた騎士なんて要らないと妹は言った~残念ながら、変わってしまった関係は元には戻りません~

キョウキョウ
恋愛
ディアヌ・モリエールの妹であるエレーヌ・モリエールは、とてもワガママな性格だった。 両親もエレーヌの意見や行動を第一に優先して、姉であるディアヌのことは雑に扱った。 ある日、エレーヌの婚約者だったジョセフ・ラングロワという騎士が仕事中に大怪我を負った。 全身を包帯で巻き、1人では歩けないほどの重症だという。 エレーヌは婚約者であるジョセフのことを少しも心配せず、要らなくなったと姉のディアヌに看病を押し付けた。 ついでに、婚約関係まで押し付けようと両親に頼み込む。 こうして、出会うことになったディアヌとジョセフの物語。

【完結】今更、好きだと言われても困ります……不仲な幼馴染が夫になりまして!

Rohdea
恋愛
──私の事を嫌いだと最初に言ったのはあなたなのに! 婚約者の王子からある日突然、婚約破棄をされてしまった、 侯爵令嬢のオリヴィア。 次の嫁ぎ先なんて絶対に見つからないと思っていたのに、何故かすぐに婚約の話が舞い込んで来て、 あれよあれよとそのまま結婚する事に…… しかし、なんとその結婚相手は、ある日を境に突然冷たくされ、そのまま疎遠になっていた不仲な幼馴染の侯爵令息ヒューズだった。 「俺はお前を愛してなどいない!」 「そんな事は昔から知っているわ!」 しかし、初夜でそう宣言したはずのヒューズの様子は何故かどんどんおかしくなっていく…… そして、婚約者だった王子の様子も……?

【完結】花に祈る少女

まりぃべる
恋愛
花祈り。それは、ある特別な血筋の者が、(異国ではいわゆる花言葉と言われる)想いに適した花を持って祈ると、その花の力を増幅させる事が出来ると言われている。 そんな花祈りが出来る、ウプサラ国の、ある花祈りの幼い頃から、結婚するまでのお話。 ☆現実世界にも似たような名前、地域、単語、言葉などがありますが関係がありません。 ☆花言葉が書かれていますが、調べた資料によって若干違っていました。なので、少し表現を変えてあるものもあります。 また、花束が出てきますが、その花は現実世界で使わない・合わないものもあるかもしれません。 違うと思われた場合は、現実世界とは違うまりぃべるの世界と思ってお楽しみ下さい。 ☆まりぃべるの世界観です。ちょっと変わった、一般的ではないまりぃべるの世界観を楽しんでいただけると幸いです。 その為、設定や世界観が緩い、変わっているとは思いますが、まったりと楽しんでいただける事を願っています。 ☆話は完結出来ていますので、随時更新していきます。全41話です。 ★エールを送って下さった方、ありがとうございます!!お礼が言えないのでこちらにて失礼します、とても嬉しいです。

『婚約破棄された聖女リリアナの庭には、ちょっと変わった来訪者しか来ません。』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
王都から少し離れた小高い丘の上。 そこには、聖女リリアナの庭と呼ばれる不思議な場所がある。 ──けれど、誰もがたどり着けるわけではない。 恋するルミナ五歳、夢みるルーナ三歳。 ふたりはリリアナの庭で、今日もやさしい魔法を育てています。 この庭に来られるのは、心がちょっぴりさびしい人だけ。 まほうに傷ついた王子さま、眠ることでしか気持ちを伝えられない子、 そして──ほんとうは泣きたかった小さな精霊たち。 お姉ちゃんのルミナは、花を咲かせる明るい音楽のまほうつかい。 ちょっとだけ背伸びして、だいすきな人に恋をしています。 妹のルーナは、ねむねむ魔法で、夢の中を旅するやさしい子。 ときどき、だれかの心のなかで、静かに花を咲かせます。 ふたりのまほうは、まだ小さくて、でもあたたかい。 「だいすきって気持ちは、  きっと一番すてきなまほうなの──!」 風がふくたびに、花がひらき、恋がそっと実る。 これは、リリアナの庭で育つ、 小さなまほうつかいたちの恋と夢の物語です。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。