26 / 27
26. 公爵家の一員
しおりを挟む
「お帰りなさいませ、旦那様。」
ーーー朝とは違い、ヴェローチェを少し走らせながらイブレア鉱山を越え、ベルチェリ国へと入国した二人は、夕方暗くなる前にはフィオリーノの住む屋敷へと到着した。
途中、山の麓の景色のいい場所で食べた料理長のブラスから持たされた昼食は、懐かしくも格別に美味しく感じたアレッシア。アレッシアは、バンケッテ領から出た事もなかった為に、楽しい旅行気分であったーーー。
皺のない黒い服を着た、白髪の老年の男性が玄関ホールで隙のない姿勢で立っており、先に入ったフィオリーノへと挨拶をする。ヴェローチェは、庭師なのか小間使いなのか外で掃除をしていた若い青年に預けていた。
(当たり前だけれど、うちとは比べ物にならないほど素敵だわ。でも、それでも思ったよりも大きな建物ではないのね。なんだか安心したわ。屋敷の中で迷っても困ってしまうものね。)
アレッシアは、辿り着いた時からあまり失礼にならないよう気をつけながらも辺りを見回しながら、公爵家ってすごい、と感心していた。ごてごてし過ぎない、それでいて趣のある造りの建物や壁紙、装飾品であったからだ。
「それで…そちらの方は?」
そう言われ、アレッシアは身を正す。フィオリーノは、背中に手を当てて支え、その男性に紹介をした。
「あぁ、ジュスト。今帰った。
こちらは、アレッシア=ペルティーニ。俺の妻となるべく、モンタルドーラ国でペルティーニ伯爵家のお嬢さんであったが来てもらったんだ。ジュスト、よろしく頼む。」
ジュストと呼ばれた者は、アレッシアを見て一瞬目を見開くがすぐに元の表情に戻り、恭しくお辞儀をして挨拶を述べた。
「そうですか。我が主の元に嫁いでいただけるとは…!
アレッシア様、どうぞこれからよろしくお願いいたします。国が違う為に勝手が違うかもしれませんが、この執事のジュストへ何なりとお申し付け下さい。」
「アレッシア、ジュストは頼りになる。俺の留守中もこの公爵家の為に働いてくれているんだ。」
「そうなのですね。不束者ですが、こちらこそどうぞよろしくお願い致します。」
「頭をお上げ下さい!
アレッシア様が心安らげますよう、使用人一堂、尽力いたす所存です。
さぁ、立ち話もなんです。長旅お疲れでしょう、こちらへどうぞ。」
そう言って、ジュストは二人を近くの応接室へと案内する。
「ささ、どうぞお座り下さい。今、アレッシア様の部屋をご準備させて頂きます。その間、ゆっくりと休憩されて下さい。今、飲み物をお持ちします。」
「ジュスト、俺の隣だぞ。」
「承知しております。ああ…!あの部屋が使われる事になるとは!このジュスト、至極恐悦!感激雨霰でございまする!!」
うっうっ…とジュストは、腕を目に充て声をあげて泣いている。
「止めろ、ジュスト!
アレッシア、今日は急であるから今ある内装で許して欲しい。追々アレッシア好みに直していいから。済まないね。」
「そんな!こんな素敵なお屋敷だもの、直すなんて!」
「いいえ、アレッシア様。あなた様はこのライナルディ公爵家の夫人となられるお方でございますれば、遠慮なさらずにおっしゃって下さればよろしいのです。なんなら、屋敷ごと、建て直してほしいとでも言ってよろしいのですぞ!」
「そうか、そうだな。アレッシア、何でも言ってくれ。気づかずに済まなかった!
この屋敷は、古くからの王家の持ち物であったんだ。俺はここに越してきた当初は住めればどんなのでも良かったんだが、建て直すのであれば一緒に考えよう。」
そう二人に言われ、アレッシアは本気で言われているのか冗談であるのか見分けがつかなかった。だが、フィオリーノは真面目な顔をしているので無難に返す。
「ええと、私まだお屋敷の中を案内されてもいないから、中がどんな感じなのか分からないわ。だから、今はこのフィオリーノが住んでいた屋敷に慣れてみたいと思うの。」
「そうか、そうだな!分かった。また何かあれば遠慮なく言うんだ、分かったね?」
「ええ、ありがとうフィオリーノ。」
(怖いわ…公爵家の財力であれば本当に建て直す事が出来そうだから余計に。私、ここで暮らしていくのよね。でも、ジュストさん…ジュストもいい人そうで良かった。)
アレッシアはそのように一息つきながら思った。
そして入って来た中年の侍女がお茶の準備をすると、ジュストは部屋を見てくると言って 出て行った。
「アレッシア、彼女はカテーナ。カテーナ、今日からアレッシアを頼む。彼女もしっかりとしているから、なんでも頼るといい。」
フィオリーノが、お茶の準備をした侍女の紹介をする。アレッシアからすれば、母親と近い年齢に見えるカテーナを見て、なんとなくコンシリアを思い出した。
「アレッシア様。私はフィオリーノ様を赤子の頃よりお世話して参りました。そんなフィオリーノ様の元へ来て下さるなんて本当に有り難く思います。
アレッシア様、至らぬ点もあるかとは思いますが、何なりと申しつけ下さいね。心安らげますよう尽力いたします。」
「カテーナ、変な事は言うなよ。」
「変な事、でございますか?はて、私には何の事か分かりかねます。
幼き頃、六歳上のガブリエーレ様様に剣術で負け、それが悔しくて家出を試み、王宮内がとんでもない騒ぎになった事は、変な事でも全くございませんし、ねぇ…?」
カテーナは首を傾げながら惚けたようにそう話すと、フィオリーノは慌て出す。アレッシアはそんなカテーナに好感が持てた。
「だから…!アレッシアの前では情けない奴にはなりたくないんだ!昔の話はするなよって言ってるんだ!」
「まぁ!フィオリーノ、それは情けなくなんてないわ、武勇伝です!」
アレッシアは、今からは想像もつなかい話をされ、そのように嬉しそうに言った。
「そうですそうです、武勇伝です!アレッシア様はよく分かっていらっしゃいます。
これからここでお過ごしになるアレッシア様には時間もたくさんありますから、これからゆっくりと、フィオリーノ様のお話をして差し上げますからね。」
「本当ですか?カテーナさん…カテーナ、ありがとう。」
「ええ、ええ。私の事はどうぞカテーナと。」
フィオリーノそっちのけで、カテーナがアレッシアと話をまとめようとするので、フィオリーノは口を尖らせながら愚痴を言う。
「アレッシアの俺への気持ちが無くなってしまったらどうするんだ!」
「そんな事はありませんわ。フィオリーノはどんな時にでも、私にとって素敵な人に変わりはありませんもの。だから、私の知らないフィオリーノの小さな頃も、どんな風に過ごしてきたのか知ってみたいわ。」
「う…そ、そうか?ま、まぁ…アレッシアがそう言うなら……。でも、俺を幻滅させるような事を言うのは止めてくれよ、カテーナ。」
「承知しております。さぁ、冷めない内にお飲み下さい。」
にっこりと笑ったカテーナは、生まれた頃から傍で世話しているフィオリーノが、本当に愛する人を見つけられて良かったと心から思っていた。
ーーー朝とは違い、ヴェローチェを少し走らせながらイブレア鉱山を越え、ベルチェリ国へと入国した二人は、夕方暗くなる前にはフィオリーノの住む屋敷へと到着した。
途中、山の麓の景色のいい場所で食べた料理長のブラスから持たされた昼食は、懐かしくも格別に美味しく感じたアレッシア。アレッシアは、バンケッテ領から出た事もなかった為に、楽しい旅行気分であったーーー。
皺のない黒い服を着た、白髪の老年の男性が玄関ホールで隙のない姿勢で立っており、先に入ったフィオリーノへと挨拶をする。ヴェローチェは、庭師なのか小間使いなのか外で掃除をしていた若い青年に預けていた。
(当たり前だけれど、うちとは比べ物にならないほど素敵だわ。でも、それでも思ったよりも大きな建物ではないのね。なんだか安心したわ。屋敷の中で迷っても困ってしまうものね。)
アレッシアは、辿り着いた時からあまり失礼にならないよう気をつけながらも辺りを見回しながら、公爵家ってすごい、と感心していた。ごてごてし過ぎない、それでいて趣のある造りの建物や壁紙、装飾品であったからだ。
「それで…そちらの方は?」
そう言われ、アレッシアは身を正す。フィオリーノは、背中に手を当てて支え、その男性に紹介をした。
「あぁ、ジュスト。今帰った。
こちらは、アレッシア=ペルティーニ。俺の妻となるべく、モンタルドーラ国でペルティーニ伯爵家のお嬢さんであったが来てもらったんだ。ジュスト、よろしく頼む。」
ジュストと呼ばれた者は、アレッシアを見て一瞬目を見開くがすぐに元の表情に戻り、恭しくお辞儀をして挨拶を述べた。
「そうですか。我が主の元に嫁いでいただけるとは…!
アレッシア様、どうぞこれからよろしくお願いいたします。国が違う為に勝手が違うかもしれませんが、この執事のジュストへ何なりとお申し付け下さい。」
「アレッシア、ジュストは頼りになる。俺の留守中もこの公爵家の為に働いてくれているんだ。」
「そうなのですね。不束者ですが、こちらこそどうぞよろしくお願い致します。」
「頭をお上げ下さい!
アレッシア様が心安らげますよう、使用人一堂、尽力いたす所存です。
さぁ、立ち話もなんです。長旅お疲れでしょう、こちらへどうぞ。」
そう言って、ジュストは二人を近くの応接室へと案内する。
「ささ、どうぞお座り下さい。今、アレッシア様の部屋をご準備させて頂きます。その間、ゆっくりと休憩されて下さい。今、飲み物をお持ちします。」
「ジュスト、俺の隣だぞ。」
「承知しております。ああ…!あの部屋が使われる事になるとは!このジュスト、至極恐悦!感激雨霰でございまする!!」
うっうっ…とジュストは、腕を目に充て声をあげて泣いている。
「止めろ、ジュスト!
アレッシア、今日は急であるから今ある内装で許して欲しい。追々アレッシア好みに直していいから。済まないね。」
「そんな!こんな素敵なお屋敷だもの、直すなんて!」
「いいえ、アレッシア様。あなた様はこのライナルディ公爵家の夫人となられるお方でございますれば、遠慮なさらずにおっしゃって下さればよろしいのです。なんなら、屋敷ごと、建て直してほしいとでも言ってよろしいのですぞ!」
「そうか、そうだな。アレッシア、何でも言ってくれ。気づかずに済まなかった!
この屋敷は、古くからの王家の持ち物であったんだ。俺はここに越してきた当初は住めればどんなのでも良かったんだが、建て直すのであれば一緒に考えよう。」
そう二人に言われ、アレッシアは本気で言われているのか冗談であるのか見分けがつかなかった。だが、フィオリーノは真面目な顔をしているので無難に返す。
「ええと、私まだお屋敷の中を案内されてもいないから、中がどんな感じなのか分からないわ。だから、今はこのフィオリーノが住んでいた屋敷に慣れてみたいと思うの。」
「そうか、そうだな!分かった。また何かあれば遠慮なく言うんだ、分かったね?」
「ええ、ありがとうフィオリーノ。」
(怖いわ…公爵家の財力であれば本当に建て直す事が出来そうだから余計に。私、ここで暮らしていくのよね。でも、ジュストさん…ジュストもいい人そうで良かった。)
アレッシアはそのように一息つきながら思った。
そして入って来た中年の侍女がお茶の準備をすると、ジュストは部屋を見てくると言って 出て行った。
「アレッシア、彼女はカテーナ。カテーナ、今日からアレッシアを頼む。彼女もしっかりとしているから、なんでも頼るといい。」
フィオリーノが、お茶の準備をした侍女の紹介をする。アレッシアからすれば、母親と近い年齢に見えるカテーナを見て、なんとなくコンシリアを思い出した。
「アレッシア様。私はフィオリーノ様を赤子の頃よりお世話して参りました。そんなフィオリーノ様の元へ来て下さるなんて本当に有り難く思います。
アレッシア様、至らぬ点もあるかとは思いますが、何なりと申しつけ下さいね。心安らげますよう尽力いたします。」
「カテーナ、変な事は言うなよ。」
「変な事、でございますか?はて、私には何の事か分かりかねます。
幼き頃、六歳上のガブリエーレ様様に剣術で負け、それが悔しくて家出を試み、王宮内がとんでもない騒ぎになった事は、変な事でも全くございませんし、ねぇ…?」
カテーナは首を傾げながら惚けたようにそう話すと、フィオリーノは慌て出す。アレッシアはそんなカテーナに好感が持てた。
「だから…!アレッシアの前では情けない奴にはなりたくないんだ!昔の話はするなよって言ってるんだ!」
「まぁ!フィオリーノ、それは情けなくなんてないわ、武勇伝です!」
アレッシアは、今からは想像もつなかい話をされ、そのように嬉しそうに言った。
「そうですそうです、武勇伝です!アレッシア様はよく分かっていらっしゃいます。
これからここでお過ごしになるアレッシア様には時間もたくさんありますから、これからゆっくりと、フィオリーノ様のお話をして差し上げますからね。」
「本当ですか?カテーナさん…カテーナ、ありがとう。」
「ええ、ええ。私の事はどうぞカテーナと。」
フィオリーノそっちのけで、カテーナがアレッシアと話をまとめようとするので、フィオリーノは口を尖らせながら愚痴を言う。
「アレッシアの俺への気持ちが無くなってしまったらどうするんだ!」
「そんな事はありませんわ。フィオリーノはどんな時にでも、私にとって素敵な人に変わりはありませんもの。だから、私の知らないフィオリーノの小さな頃も、どんな風に過ごしてきたのか知ってみたいわ。」
「う…そ、そうか?ま、まぁ…アレッシアがそう言うなら……。でも、俺を幻滅させるような事を言うのは止めてくれよ、カテーナ。」
「承知しております。さぁ、冷めない内にお飲み下さい。」
にっこりと笑ったカテーナは、生まれた頃から傍で世話しているフィオリーノが、本当に愛する人を見つけられて良かったと心から思っていた。
12
あなたにおすすめの小説
【完結】契約の花嫁だったはずなのに、無口な旦那様が逃がしてくれません
Rohdea
恋愛
──愛されない契約の花嫁だったはずなのに、何かがおかしい。
家の借金返済を肩代わりして貰った代わりに
“お飾りの妻が必要だ”
という謎の要求を受ける事になったロンディネ子爵家の姉妹。
ワガママな妹、シルヴィが泣いて嫌がった為、必然的に自分が嫁ぐ事に決まってしまった姉のミルフィ。
そんなミルフィの嫁ぎ先は、
社交界でも声を聞いた人が殆どいないと言うくらい無口と噂されるロイター侯爵家の嫡男、アドルフォ様。
……お飾りの妻という存在らしいので、愛される事は無い。
更には、用済みになったらポイ捨てされてしまうに違いない!
そんな覚悟で嫁いだのに、
旦那様となったアドルフォ様は確かに無口だったけど───……
一方、ミルフィのものを何でも欲しがる妹のシルヴィは……
義妹がやらかして申し訳ありません!
荒瀬ヤヒロ
恋愛
公爵令息エリオットはある日、男爵家の義姉妹の会話を耳にする。
何かを企んでいるらしい義妹。義妹をたしなめる義姉。
何をやらかすつもりか知らないが、泳がせてみて楽しもうと考えるが、男爵家の義妹は誰も予想できなかった行動に出て―――
義妹の脅迫!義姉の土下座!そして冴え渡るタックル!
果たしてエリオットは王太子とその婚約者、そして義妹を諫めようとする男爵令嬢を守ることができるのか?
今宵、薔薇の園で
天海月
恋愛
早世した母の代わりに妹たちの世話に励み、婚期を逃しかけていた伯爵家の長女・シャーロットは、これが最後のチャンスだと思い、唐突に持ち込まれた気の進まない婚約話を承諾する。
しかし、一か月も経たないうちに、その話は先方からの一方的な申し出によって破談になってしまう。
彼女は藁にもすがる思いで、幼馴染の公爵アルバート・グレアムに相談を持ち掛けるが、新たな婚約者候補として紹介されたのは彼の弟のキースだった。
キースは長年、シャーロットに思いを寄せていたが、遠慮して距離を縮めることが出来ないでいた。
そんな弟を見かねた兄が一計を図ったのだった。
彼女はキースのことを弟のようにしか思っていなかったが、次第に彼の情熱に絆されていく・・・。
【完】嫁き遅れの伯爵令嬢は逃げられ公爵に熱愛される
えとう蜜夏
恋愛
リリエラは母を亡くし弟の養育や領地の執務の手伝いをしていて貴族令嬢としての適齢期をやや逃してしまっていた。ところが弟の成人と婚約を機に家を追い出されることになり、住み込みの働き口を探していたところ教会のシスターから公爵との契約婚を勧められた。
お相手は公爵家当主となったばかりで、さらに彼は婚約者に立て続けに逃げられるといういわくつきの物件だったのだ。
少し辛辣なところがあるもののお人好しでお節介なリリエラに公爵も心惹かれていて……。
22.4.7女性向けホットランキングに入っておりました。ありがとうございます 22.4.9.9位,4.10.5位,4.11.3位,4.12.2位
Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)
傷付いた騎士なんて要らないと妹は言った~残念ながら、変わってしまった関係は元には戻りません~
キョウキョウ
恋愛
ディアヌ・モリエールの妹であるエレーヌ・モリエールは、とてもワガママな性格だった。
両親もエレーヌの意見や行動を第一に優先して、姉であるディアヌのことは雑に扱った。
ある日、エレーヌの婚約者だったジョセフ・ラングロワという騎士が仕事中に大怪我を負った。
全身を包帯で巻き、1人では歩けないほどの重症だという。
エレーヌは婚約者であるジョセフのことを少しも心配せず、要らなくなったと姉のディアヌに看病を押し付けた。
ついでに、婚約関係まで押し付けようと両親に頼み込む。
こうして、出会うことになったディアヌとジョセフの物語。
【完結】溺愛される意味が分かりません!?
もわゆぬ
恋愛
正義感強め、口調も強め、見た目はクールな侯爵令嬢
ルルーシュア=メライーブス
王太子の婚約者でありながら、何故か何年も王太子には会えていない。
学園に通い、それが終われば王妃教育という淡々とした毎日。
趣味はといえば可愛らしい淑女を観察する事位だ。
有るきっかけと共に王太子が再び私の前に現れ、彼は私を「愛しいルルーシュア」と言う。
正直、意味が分からない。
さっぱり系令嬢と腹黒王太子は無事に結ばれる事が出来るのか?
☆カダール王国シリーズ 短編☆
竜人のつがいへの執着は次元の壁を越える
たま
恋愛
次元を超えつがいに恋焦がれるストーカー竜人リュートさんと、うっかりリュートのいる異世界へ落っこちた女子高生結の絆されストーリー
その後、ふとした喧嘩らか、自分達が壮大な計画の歯車の1つだったことを知る。
そして今、最後の歯車はまずは世界の幸せの為に動く!
『婚約破棄された聖女リリアナの庭には、ちょっと変わった来訪者しか来ません。』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
王都から少し離れた小高い丘の上。
そこには、聖女リリアナの庭と呼ばれる不思議な場所がある。
──けれど、誰もがたどり着けるわけではない。
恋するルミナ五歳、夢みるルーナ三歳。
ふたりはリリアナの庭で、今日もやさしい魔法を育てています。
この庭に来られるのは、心がちょっぴりさびしい人だけ。
まほうに傷ついた王子さま、眠ることでしか気持ちを伝えられない子、
そして──ほんとうは泣きたかった小さな精霊たち。
お姉ちゃんのルミナは、花を咲かせる明るい音楽のまほうつかい。
ちょっとだけ背伸びして、だいすきな人に恋をしています。
妹のルーナは、ねむねむ魔法で、夢の中を旅するやさしい子。
ときどき、だれかの心のなかで、静かに花を咲かせます。
ふたりのまほうは、まだ小さくて、でもあたたかい。
「だいすきって気持ちは、
きっと一番すてきなまほうなの──!」
風がふくたびに、花がひらき、恋がそっと実る。
これは、リリアナの庭で育つ、
小さなまほうつかいたちの恋と夢の物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる