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「……誰ですか? その方は」
自分で驚くくらい冷たい声が出たと、ブリュエットは思った。
だってそのくらい衝撃的だったのだ。
王子が「お前に会わせたい者がいる」と言い出したかと思えば、一人の少女がノックも無しに部屋に入って来たのである。
長いプラチナブロンドをツインテールにした、大きな青色の瞳の少女。今年で十八になるブリュエットより二、三歳ほど下だろうか。
少女は人懐っこい笑みを浮かべると、白けた表情をしているブリュエットに自己紹介した。
「初めまして、ブリュエット様! 私はエーヴと申します」
「エーヴ……?」
「ロレント男爵家の娘だ。そんなことも知らないのか?」
呆れたように言われて内心腹が立ったが、口答えはしないことにした。
ロレント男爵。この国始まって以来の美女とされた令嬢を娶ったが、彼女に浮気をされて数年前に離婚した哀れな男だ。
浮気の原因は毎日退屈だったから。退屈させるように仕向けたのは夫のせいだと離婚を拒否した妻は、結局性病に罹って命を落とした。不特定多数、たとえ貧困層であっても顔がよければ、どんな男とも関係を持っていた女には相応しい最期と言えよう。
そして、その彼女が残したのが一人娘であるエーヴである。
母親譲りの美貌を持って生まれたエーヴは多くの貴族男性を虜にしており、中身も母親に似たのかエーヴも男たちに媚びを売っていた。
あれに関わったら自分の評判まで悪くなる、と距離を取る男も多い。同性からは当然のように毛嫌いされていた。
で、その危険人物がもうじき王子と結婚して、妃になろうとしているブリュエットの前に現れた。
嫌な予感しかしない。
「私もお妃様になりますからよろしくお願いしますねっ、ブリュエット様!」
ああ、ほらやっぱり。
「……リュカ殿下、彼女を側妃にするというのなら、まずは私にその相談をしていただきたかったのですが……」
「彼女が側妃? 何をわけの分からないことを」
「は?」
「正妃になるのは私の愛しいエーヴだ。お前など側妃に決まっているだろう」
だが流石にこの展開は予想外だった。
自分で驚くくらい冷たい声が出たと、ブリュエットは思った。
だってそのくらい衝撃的だったのだ。
王子が「お前に会わせたい者がいる」と言い出したかと思えば、一人の少女がノックも無しに部屋に入って来たのである。
長いプラチナブロンドをツインテールにした、大きな青色の瞳の少女。今年で十八になるブリュエットより二、三歳ほど下だろうか。
少女は人懐っこい笑みを浮かべると、白けた表情をしているブリュエットに自己紹介した。
「初めまして、ブリュエット様! 私はエーヴと申します」
「エーヴ……?」
「ロレント男爵家の娘だ。そんなことも知らないのか?」
呆れたように言われて内心腹が立ったが、口答えはしないことにした。
ロレント男爵。この国始まって以来の美女とされた令嬢を娶ったが、彼女に浮気をされて数年前に離婚した哀れな男だ。
浮気の原因は毎日退屈だったから。退屈させるように仕向けたのは夫のせいだと離婚を拒否した妻は、結局性病に罹って命を落とした。不特定多数、たとえ貧困層であっても顔がよければ、どんな男とも関係を持っていた女には相応しい最期と言えよう。
そして、その彼女が残したのが一人娘であるエーヴである。
母親譲りの美貌を持って生まれたエーヴは多くの貴族男性を虜にしており、中身も母親に似たのかエーヴも男たちに媚びを売っていた。
あれに関わったら自分の評判まで悪くなる、と距離を取る男も多い。同性からは当然のように毛嫌いされていた。
で、その危険人物がもうじき王子と結婚して、妃になろうとしているブリュエットの前に現れた。
嫌な予感しかしない。
「私もお妃様になりますからよろしくお願いしますねっ、ブリュエット様!」
ああ、ほらやっぱり。
「……リュカ殿下、彼女を側妃にするというのなら、まずは私にその相談をしていただきたかったのですが……」
「彼女が側妃? 何をわけの分からないことを」
「は?」
「正妃になるのは私の愛しいエーヴだ。お前など側妃に決まっているだろう」
だが流石にこの展開は予想外だった。
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