成績表に書けない才能

深渡 ケイ

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第21話:進路室の味方

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 桐生静の机の上は、封筒と書類と、鳴りっぱなしのスマホで埋まっていた。

 画面には「レオ母」。その下に「シン父」。

 静は受話器を取らず、いったん机の端へ滑らせた。代わりに、古い固定電話の受話器を持ち上げる。

「浅野工房さん、お願いします」

 数秒の保留音のあと、低い声が出た。

『浅野です』

「桐生です。急で悪い。来週、うちの学校に来られる?」

『学校? 俺が?』

「うん。説明会みたいな大げさなのじゃない。第3進路室で、二年生数人に“現場の話”をしてほしい」

『進路室って、あの……就職の?』

「就職も進学も。現実の話。求人票の読み方とか、見習いの給料とか、道具代とか、口に出しにくいとこも」

『……それ、学校が嫌がらない? 余計な火種って言われそうだが』

 静は口元だけで息を吐いた。

「嫌がる人はいる。今、校内がピリついてる。だから、こちらも手順を踏む。形式は“職業理解の外部講話”で出す。人数は絞る。時間も短くする」

『手順って、誰の許可?』

「教頭と、進路部。通す」

『通るのか?』

「通す。通らないなら、別の形にする。放課後の“見学”に切り替えるとか」

『見学なら、うちは小さいぞ。狭いし危ないとこもある』

「そこも含めて。危ないなら危ないって言ってほしい。甘く見せたくない」

『……なんで俺なんだ。もっと立派な会社あるだろ』

 静は机の上の封筒を見た。封はされている。受領印の控えが、その横に重しみたいに置かれている。

「立派な会社の話は、パンフで聞ける。でも、うちの子たちが聞きたいのは“続け方”だ。数字が苦手でも、手が動く子がいる。そういう子に、現実の足場を見せたい」

『手が動く、ね』

「うん。あと、君のとこは“逃げない”だろ。合わない子は合わないって言う。変に期待だけ煽らない」

 電話の向こうで、浅野が小さく笑った。

『褒めてんのか、それ』

「褒めてる。必要だから」

 静のスマホが震えた。今度は学校内線。表示は「進路部」。

 静は固定電話を肩に挟み、内線に出た。

「桐生です」

『桐生先生、来週の面談表、まだですか? 黒川先生から“遅い”って』

「今、詰めてる。今日中に出す」

『あと、外部の人呼ぶって噂、聞こえてますよ。許可は先に取ってくださいね。今、鍵の件で監査入ってるから……余計なこと、目立つと』

「分かってる。書面で出す」

『お願いします。ほんと、今は……』

 内線が切れる。静は固定電話に戻った。

「今の、学校の空気。だからこそ、短時間で、ちゃんとした形にする」

『面倒だな』

「面倒だよ。現実は」

 静はペンを取り、カレンダーに丸を付けた。

「来週の水曜、放課後。四十分。場所は進路室。人数は五人まで。どう?」

『水曜……夕方ならいける。四十分で足りるか?』

「足りない。だから続きは見学に繋げる。来たい子だけ、保護者同意とって、土曜に」

『同意とか、そこまでやるのか』

「やる。学校は“責任”って言葉が好きだから」

『それ、先生が守られるためでもあるか』

 静は返事を少し遅らせた。

「そう。守らないと続かない。続かなきゃ、誰も救えない」

『……分かった。じゃあ、水曜。何を話せばいい』

「最初に、工房で何を作ってるか。次に、一日の流れ。あと、見習いに求めること。最後に、向いてない人の特徴も言って」

『向いてないも言うのか』

「言って。逃げ道も一緒に。例えば、工房が無理でも、塗装とか、組み立てとか、別の現場に繋げるとか」

『そんな繋げ方、先生がやるのか』

「私がやる。君は現場の言葉をくれればいい」

『……先生、忙しそうだな』

 静は机の端にあるスマホを見た。レオ母、シン父。面談の時間変更と即返答の圧。

「忙しいよ。だから、手伝ってほしい」

『借りができたな』

「借りは返す。交通費は出す。謝礼は学校規定で少しだけ」

『金はいらん……と言いたいが、学校ってそういうの面倒だろ。規定でいい』

「助かる。じゃあ、正式な依頼書を送る。メールアドレス、前と同じ?」

『同じ。……あ、先生。ひとつだけ』

「なに」

『その子ら、来るのは“仕事”を探しに? それとも“逃げ場”を探しに?』

 静は、封筒の角を指で押さえた。紙がわずかに鳴る。

「両方だよ。逃げ場は必要。逃げ場があるから、仕事を探せる」

『……なるほど。じゃあ、変に熱くならずに話すわ』

「それでいい」

 電話を切ると、静はすぐにパソコンを開き、依頼書のテンプレートを呼び出した。画面の隅に、校内共有の予定表が点滅している。黒川からの“確認”の文字が、そこに刺さる。

 静はキーボードを叩きながら、声を落として言った。

「……外から味方を増やす。校内だけで回すと、潰される」

 ドアがノックもなく開いた。

 相沢陸が顔を覗かせ、視線を室内に滑らせた。封筒の位置を一瞬で把握して、すぐ目を逸らす。

「先生、今……誰と電話してた?」

「地域の工房の人」

「工房?」

「浅野さん。来週、話しに来てもらう」

 陸は眉をひそめた。

「そんなの、今やって大丈夫? 教頭、外部とか嫌いじゃん」

「嫌う。だから“嫌われない形”にする」

「形って……」

 静は画面を陸に向けた。件名欄に「外部講師依頼(職業理解)」と打たれている。

「これ。進路部にも回す。許可を取る。勝手にやらない」

 陸は椅子に腰を下ろさず、立ったまま机を見た。封筒、面談表、受領印控え。ひとつひとつを見て、喉を鳴らした。

「……先生、いま一個でもミスったら終わりじゃん」

 静はキーを止めない。

「終わりにされる。だからミスらない」

「でも、全部ちゃんとやっても、終わりにされる時あるだろ」

 静の指が一瞬止まった。止まったのは一拍だけで、すぐ動き出す。

「ある。だから、学校の外に道を作る。生徒の外にも道を作る。私の外にも」

 陸は口を開きかけて、閉じた。代わりに、机の端のスマホを指さす。

「……鳴ってるけど。出なくていいの?」

 静は画面を見た。「シン父」。着信は切れて、すぐにメッセージが入る。「今日中に返事を。月曜しか無理です。」

 静は短く息を吐き、陸に視線を向けた。

「陸、頼みがある」

「なに」

「面談表の空き、ここに貼ってある。レオ母に折り返し、時間変更の候補を三つ聞いて。こっちの希望は言わない。向こうの都合を先に出させる」

 陸は目を丸くした。

「俺が? 保護者に?」

「私の名前を出していい。用件だけ。深い話はしない。メモ取って、私に渡す」

「いや、でも……」

 静は椅子から立ち上がり、陸の目線に合わせた。声は低いまま、言葉だけを短く切る。

「怖い?」

 陸は唇を噛んだ。頷きそうになって、首を振った。

「……怖いっていうか、怒られそう」

「怒られたら、私が受ける。陸は事実だけ伝える」

「……もし、教頭にバレたら?」

「バレる。だから、正規の手順で“手伝い”として記録する。進路室の雑務。電話の取次」

 陸は胸の前で拳を握って、ほどいた。

「……分かった。やる」

 静はスマホを陸に差し出した。陸が受け取る指先が少し硬い。

「メモ用紙、そこ。名前と、希望日時と、連絡先。復唱して切る」

 陸は頷き、廊下に出る前に振り返った。

「先生。浅野さんって人、ほんとに来るの?」

「来る」

「なんで、そこまでしてくれるんだろ」

 静は依頼書の最後の行に、学校名と印鑑欄を打ち込んだ。

「“そこまで”の線を、こっちが引くからだよ。線が曖昧だと、誰も動けない」

 陸は一度だけ、深く息を吸ってから廊下へ出た。すぐに、電話をかける声が遠くで聞こえた。

 静はプリンターの設定を確認し、印刷ボタンに指を置く。

 その瞬間、ドアの外で別の足音が止まった。規則正しい、革靴の音。

 静は指を止めずに、印刷を押した。紙が動き出す音が、やけに大きく室内に響いた。


 ドアの外の革靴が、二歩だけ近づいて止まった。

「桐生先生」

 黒川の声だった。静はプリンターの排紙音を背に、椅子を引かずに振り返る。

「どうぞ」

 黒川は入ってこない。扉の枠に立ったまま、室内を一瞥した。机の上の封筒に視線が落ちる。そこからパソコンの画面へ。

「外部講師依頼、ですか」

「職業理解です。浅野工房。地域の小さいところです」

「小さい、ですね」

 黒川の言い方は、サイズではなく価値を測っていた。

 静は印刷された紙を取り、クリップで留めた。

「四十分。五人まで。放課後。安全管理もこちらで」

「で、学校に何の利益が?」

 静は一瞬、言葉を探すふりをしなかった。探せば負ける空気だった。

「生徒に選択肢が増えます」

「それはあなたの利益です。学校の利益は?」

 黒川は扉から一歩だけ入って、壁際に立った。距離が詰まるのに、温度は上がらない。

「今、監査が入っているのは分かっていますね」

「はい」

「鍵の運用が問題視され、進路室も見直し対象です。そんな時期に、外部の人間を校内に入れる。リスクを増やしてどうする」

「手順を踏みます。許可も取る」

「許可を取れば利益が生まれるんですか?」

 静は依頼書の謝礼欄を指で押さえた。紙が少しよれた。

「黒川先生が求めている利益は、数字ですよね」

 黒川の眉がわずかに動く。

「当然です。学校は企業ですから」

「なら、数字にします」

 黒川は黙った。静が続ける。

「参加者の出欠、事後アンケート、満足度、次の行動。見学希望者数、保護者同意取得数。できれば、来年度の就職内定に繋がった人数」

「内定?」

「すぐには出ません。でも、繋がる行動は積めます」

 黒川は鼻で息を出した。

「あなたが今やっているのは、善意のイベントです。善意は評価に残らない。残らないものに、学校はコストを掛けられない」

 静は椅子に座り直した。背筋を伸ばす。

「コストは最小にします。浅野さんは近い。交通費も規定内。教室ではなく進路室。警備も増やさない」

「それでも“余計なこと”です」

「余計でも、必要です」

「必要かどうかを決めるのは、あなたではない」

 黒川の視線がまた封筒に戻った。静の喉の奥が乾く。だが、手は机の上に置いたまま動かさない。

「その封筒、まだ置いているんですか」

「記録の控えです。原本は生徒が保持しています」

「あなたの管理下に“証拠”があるように見えるだけで、学校は面倒を背負う」

「見えるだけ、で切りますか」

 黒川は言い返さない。代わりに、依頼書の紙を顎で示した。

「外部講師の件。進路部の承認、教頭の決裁、校長の回覧。手順を守るなら、こちらも止める理由は減ります」

 静は頷いた。

「止める理由が減っても、通る理由が増えないと通らないですよね」

 黒川は薄く笑った。

「分かっているじゃないですか。なら、通る理由を持ってきてください。“学校の利益”として」

 静はペンを握り直した。

「利益の定義を、確認させてください」

「簡単です。進学実績、就職実績、欠席や退学の抑制、クレームの抑制。数字で示せるもの」

 静は頷きながら、メモを取った。ペン先が紙を引っ掻く音がする。

「分かりました。講話は“職業理解”だけじゃなく、“就職準備”に寄せます。履歴書、面接、見学のマナー。進路部の年間計画に乗せられる形にする」

 黒川は目を細めた。

「あなたが、そこまで“就職”を語れるんですか」

 静は即答しない。言える、と言ってしまえば、薄っぺらくなる。言えない、と言えば、ここで終わる。

 静はメモ帳を閉じ、黒川を見上げた。

「語れるようになります。必要なので」

 黒川は腕時計を見た。

「時間はあるんですか。面談表も遅れている。あなたは一人です」

「陸が手伝っています」

 その名前を出した瞬間、黒川の目が一段冷えた。

「生徒を使うな。あなたの業務はあなたがやる」

「取次です。雑務として記録します」

「記録、ね」

 黒川は扉に向き直りかけて、言い捨てるように続けた。

「あなたは“良い話”を作るのが上手い。しかし、“結果”を作るのは別です。結果を持ってきなさい。次の会議で」

 扉が閉まりかけたところで、静が呼び止めた。

「黒川先生」

 黒川は振り返らない。

「もし、結果が出なかったら」

 数秒の沈黙。黒川の声だけが返ってくる。

「その時は、見直しです。第3進路室も、あなたの裁量も」

 扉が閉まった。

 静はしばらく動かなかった。プリンターの余熱が冷める音のような、何も起きない時間が落ちた。

 廊下の先で、陸の声が聞こえる。

「えっと、桐生の……桐生先生の代わりにお電話してます。面談の件で……はい。候補、三つ、お願いします」

 静は立ち上がり、ホワイトボードの前に行った。面談表の空き枠の横に、細い字で書き足す。

「成果」

 その下に、さらに。

「参加→行動→結果」

 静はペンを止め、唇を噛んだ。指先が、封筒のある机へ向かいかけて止まる。

「……数字になる成果、か」

 静は机に戻り、依頼書のタイトルを打ち直した。

「外部講師依頼」では弱い。

 カーソルを動かし、「就職準備講座(職業理解・見学導線)」と入れる。

 その瞬間、陸が戻ってきた。メモ用紙を握りしめている。顔が少し赤い。

「先生、レオ母……怒ってた。『なんで先生じゃないの』って」

「で?」

 陸はメモを差し出した。

「候補、三つ出た。あと、『月曜しか無理』って」

 静はメモを受け取り、目を走らせる。空き枠に当てはめる計算を頭の中で始めた。

「よく取った」

 陸は肩を落としたまま、低い声で言った。

「……俺、何言っても“信用”されてない感じした」

 静はメモを机に置き、陸の方を見た。

「信用は、数字と回数で作る。悔しいけど、それが現実」

 陸が顔を上げる。

「じゃあ、俺も数字作ればいい?」

「そう。作ろう」

 静はカレンダーの水曜に丸を重ねた。

「浅野さんの講話。参加者名簿、出欠、感想。次に何をするかまで。全部、残す」

 陸は少しだけ口角を上げかけて、すぐ真顔に戻った。

「でもさ、先生。教頭に潰されたら、全部ムダじゃん」

 静はパソコンの画面を陸に見せた。タイトルが変わっている。

「ムダにしない形にする。潰されにくい形に」

 陸は画面の文字を読んで、息を呑む。

「……就職準備講座って、そんなの、俺ら受けていいの?」

「受ける。進学の子にも役に立つ。面接は全員通る」

 静はスマホを取り上げ、シン父のメッセージに短く返信した。「本日中に候補をお送りします。月曜で調整します。」

 送信した直後、別の通知が入る。進路部から。「外部講師の件、黒川先生に確認してください」

 静は画面を伏せ、陸に言った。

「次は、参加者を決める。五人。誰を呼ぶかで、結果が変わる」

 陸が唾を飲む。

「……誰呼ぶの」

 静は封筒の方を見ないようにして、名簿のファイルを引き出した。

「“手が動く子”。でも、今一番必要なのは——」

 静の言葉が途切れた。廊下から、別の声が近づいてくる。生徒指導の、硬い足音。

 ドアの前で止まり、ノックが二回。

「桐生先生。ちょっと、いいですか」

 静は陸に視線を送った。

「陸、そこ座って。黙って聞いてて。メモだけ取って」

 陸が頷く。静はドアに向かい、鍵を開けた。


「桐生先生。ちょっと、いいですか」

 生徒指導の教員がドアの隙間から顔を出した。背中越しに、廊下の空気が固い。

 静は一歩外に出て、扉を半分だけ閉めた。

「ここで」

「……高瀬の件。今日、学年主任と面談入れます。先生は同席、一回だけって話、聞いてますよね」

「聞いてます」

「なら、進路室で動かないでください。余計な接触、誤解されます」

 静は廊下の奥を見た。誰かがこちらを見ている気配がある。視線はすぐに引っ込んだ。

「誤解が怖いなら、記録を残してください。面談の録音、面談記録、受領印」

「……分かってますよ。今、監査もあるんで」

「監査は鍵。いじめは人。混ぜないでください」

 生徒指導の教員は口を結んだ。言い返さず、言い含めるように言う。

「とにかく、波風立てないで」

「波風は、もう立ってます」

 静が扉を閉めると、室内の空気が少し戻った。

 陸が机の端に座って、メモ帳を抱えている。視線が落ち着かない。

「……また、あの件?」

「うん。触れるな、って」

「触れないでどうすんの」

 静は椅子に座り、ファイルを開いた。外部講師の書類、参加者名簿、見学の同意書。

「触れないんじゃない。触り方を変える」

「なにそれ」

「正式に動く。記録を残す。期限を切る。相手の逃げ道も潰す」

 陸は唇を噛んだ。

「先生、ずるいな」

「ずるくないと勝てない」

 静は見学候補者の欄に丸を付けた。

「土曜、工房見学。陸も来る」

 陸が顔を上げた。

「俺も?」

「来い。見ないと、言葉が空になる」

「でも、俺、関係なくない?」

「関係ある。進路室の手伝いしてるなら、現場を見ろ」

 陸は小さく頷いたが、すぐ顔をしかめた。

「……教頭、許可出すの」

「出させる。見学は“校外学習”じゃなくて、“任意の職場見学”。保護者同意取って、学校の責任範囲も明確にする」

「先生、そういうのだけは強いよな」

 静はペンを置いた。

「強くないと、潰される」

 ***

 土曜の午後、陸は工房の前で立ち尽くした。

 シャッターの半分開いた入口から、木の匂いが流れてくる。機械油と、削り粉と、少し甘い塗料の匂いが混ざっている。

「お、来たか」

 浅野が手を上げた。エプロンの胸元に木くずが張り付いている。

「……こんにちは」

 陸の声は小さかった。周りを見回す。狭い。壁に工具がぎっしり。床には木片。奥で丸ノコの甲高い音。

 静が一歩前に出る。

「今日は見学、二人だけ。時間は一時間。危ないところは止める」

「了解。靴、そこ。ヘルメットも。サイズ合うの探せ」

 陸は慌ててヘルメットを被った。顎紐がうまく留まらない。

「焦るな。手元見てやる」

 浅野が顎紐を引いて、カチッと留めた。

「……あ、ありがとうございます」

「礼より、目。よそ見すんな。ここ、指飛ぶぞ」

 陸の背筋が伸びた。

 静が横で言う。

「怖がるのは正しい。怖い場所で、怖くない顔するのが一番危ない」

「先生も、こういうとこ来たことあるの?」

「ある。何回も」

「意外」

「意外って顔するな」

 浅野が奥へ歩きながら言った。

「こっち。今、納品前でバタついてる。見学にはちょうどいい」

 作業台の上に、木枠が並んでいる。似ているようで、角の丸みが少しずつ違う。

 浅野が一つ持ち上げ、光にかざした。

「ここ、分かるか」

 陸は近づき、目を凝らす。

「……なんか、削れてる?」

「削れたんじゃない。削った。手で。機械じゃ出ない」

「え、機械のほうが正確じゃないの」

 浅野が笑わないまま言った。

「正確は出る。でもな、正確だけじゃ入らない時がある。木は生きてる。湿気で動く。季節で動く。図面通りに作ると、現場で泣く」

 陸は木枠に触れた。指先に、滑らかな抵抗がある。

「……これ、一個いくら」

「単価? 今それ聞くか」

「いや、気になって」

 浅野は木枠を戻し、指を二本立てた。

「これだけ手間かけて、一本で二千ちょい。材料費と塗装と、運搬と、全部引いて、利益は薄い」

 陸が目を丸くする。

「え、じゃあ、やってらんないじゃん」

「やってらんない日もある」

 浅野は言い切って、次の木枠を掴んだ。

「でも、やる。納期がある。待ってる人がいる。クレームも来る。逃げたら終わりだ」

 静が陸の横で、短く言う。

「ここが現実」

 陸は喉を鳴らした。

「……なんで、続けてんの」

 浅野は一瞬だけ手を止めた。目は木枠から離れない。

「好きだから、って言ったら軽いか」

「……言っていいけど」

「好きだよ。腹立つくらい。木が言うこと聞かねえのも、寸法が合わねえのも。直して直して、最後にカチッと収まる瞬間がある」

 浅野は木枠を組み合わせた。角が、音もなく噛み合う。

「ほら」

 陸の目が吸い寄せられた。

「……うわ」

 浅野がちらりと陸を見る。

「今の顔だ。そういう顔するやつは、伸びる」

 陸は慌てて口を閉じた。

「いや、俺、別に……」

「否定すんな。自分の反応は、嘘つかねえ」

 静が、少し離れた位置から言った。

「陸、メモ」

「え、あ、はい」

 陸はポケットからメモ帳を出した。手が少し震えて、字が歪む。

 浅野が作業を再開する。削る音が、リズムになる。浅野の肩が上下し、息が短く吐かれる。

「浅野さん、従業員は?」

 静が聞く。

「今、俺入れて三人。これ以上増やすと、教える時間が取れなくなる。教えないと事故る」

「見習いは?」

「欲しいけど、簡単じゃない。給料安いし、道具代もかかる。親が『大学行け』って言うのも分かる」

 陸が顔を上げた。

「親、言うよね」

 静が陸を見た。

「言う。言われる。だから、数字を用意する。給料の推移、資格、将来の独立の現実。夢じゃなくて計算」

 浅野が笑った。

「先生、ほんと現実派だな」

「現実しか扱えない」

 陸が小さく言う。

「……でも、さっきの、カチッてなるの、なんか、ズルい」

「ズルい?」

「なんか……やりたくなる」

 浅野が手を止めずに言った。

「やりたくなるだけじゃ続かねえぞ。朝早い。手は荒れる。腰もくる。失敗したら材料代飛ぶ。怒られる。褒められない日が続く」

 陸は黙った。視線だけが動く。削り粉が浅野の腕に積もっていくのを見ている。

「それでも?」

 陸の声が、思ったより出た。

 浅野が顔を上げた。目が真っ直ぐだった。

「それでも、だよ。できた時、自分で分かる。誰が褒めなくても」

 静が、陸の横で言った。

「今の、熱だ。働く大人の」

 陸は息を飲んだ。喉が鳴る音が自分でも分かった。

「……俺、学校で、こんな顔してる大人見たことない」

 浅野が鼻で笑った。

「学校は、顔作る仕事だろ」

 静の目が動いた。笑わない。

「作る。だから、外に連れてくる」

 工房の奥から、別の職人が顔を出した。

「浅野さん、これ、塗装ムラ出てます」

「どれだ」

 浅野が手袋を外し、塗装面を指で撫でた。眉間が寄る。

「……やり直し。今日中に」

「今日中っすか」

「今日中。納品、月曜だ」

 職人が舌打ちしそうになって堪え、奥へ引っ込む。

 陸が静に小声で言った。

「今の、やばくない?」

「やばい。だから仕事」

「……でも、浅野さん、怒鳴らなかった」

「怒鳴っても塗装は直らないから」

 浅野が振り向いた。

「聞こえてるぞ」

 陸が固まる。

「す、すみません」

「謝るな。覚えろ。怒鳴るとこじゃない。直すとこだ」

 浅野は手袋をはめ直し、静に言う。

「先生。見学、続けるなら条件ある」

「なに」

「遊び半分は入れない。遅刻一回で切る。危ないから。あと、親の同意は絶対」

「もちろん」

「それと、学校。変な書類増やすな。俺、役所嫌いだ」

 静が頷く。

「必要最小限にする。その代わり、成果は残す」

 浅野が鼻で笑った。

「成果、ね。教頭に言われたか」

 静は答えない。陸が視線を静に向ける。静は目を逸らさずに言った。

「言われた。だから、作る」

 陸が、メモ帳をぎゅっと握った。

「……俺、今日のこと、書いとく。ちゃんと」

「書け。感じたことも、やったことも。次に繋げる」

 浅野が作業台を叩いた。

「じゃあ、次。お前、これ持てるか」

 陸が近づく。

「持てます」

「持つだけじゃない。支える。角をぶつけるな。ここ、命だ」

 陸は木枠に両手を添えた。重い。腕が震える。浅野が反対側を持ち、静が少し後ろに立つ。

「いくぞ。せーの」

「はい!」

 木枠が持ち上がる。陸の肩が上がり、歯が食いしばられる。

 浅野が短く言う。

「いい。今のまま、前。ゆっくり」

 陸は一歩踏み出した。床の木くずが靴の下で滑る。心臓が一度跳ねた。

「止まれ」

 浅野の声で、陸の足が止まる。

「足元。木くず。掃除しろ。作業の前に」

 陸は木枠をそっと戻した。息が荒い。

「……はい」

 浅野がほうきを投げて寄こした。

「やれ。仕事はそこからだ」

 陸はほうきを握った。手のひらが汗で濡れている。

 静が、背中越しに言った。

「陸。今の、“やる”だ」

 陸は返事をしなかった。ほうきの先で木くずを集めながら、浅野の手元を盗み見る。

 浅野はもう次の木枠に触れている。止まらない。熱が、動きになっている。

 陸の喉が動いた。

「……先生」

「なに」

「俺、月曜、学校行ったら……あの教頭に、これ見せたい」

 静はほうきの音を聞きながら言った。

「見せるなら、言葉じゃない。数字と記録だ」

 陸が頷く。ほうきの動きが少し速くなる。

 工房の外で、静のスマホが鳴った。画面には学校からの通知。進路部のグループ。「月曜朝一、外部講師の件、再協議」

 静は画面を消し、ポケットにしまった。

「帰ったら、同意書と参加者、決める」

 陸がほうきを止めずに言う。

「……五人、誰にする?」

 静は浅野の背中を見た。削り粉の積もる肩。止まらない手。

「“熱”が出せる子。出せそうな子。どっちも」

 陸のほうきが、最後の木くずを集め切ったところで、浅野が言った。

「よし。次は、お前、紙やすり。やってみろ」

 陸が顔を上げた。目が逃げなかった。

「……はい」

 静はその横顔を見ながら、月曜の会議の席を思った。数字と、記録と、この目。

 戻ったら、まず一枚、報告書を作る。

 その一枚が通らなければ、次の一枚を作るだけだ。


 月曜の朝、職員室の空気はいつもより乾いていた。

 静が出勤すると、机の上に付箋が貼られていた。進路部の朱字。

「外部講師の件、朝一で教頭室。資料持参」

 静は付箋を剥がし、ポケットに入れた。隣の机の担任が、椅子を回して小声で言う。

「桐生先生、また何か始めたの?」

「始めた。土曜、工房見学」

「え、ほんとに行ったんだ」

「行った」

 担任は周囲を気にして声を落とす。

「今、監査でピリピリしてるよ。黒川先生、“外部”ってだけで嫌がるから」

「嫌がるのは分かってる」

「分かってるなら……」

 静は書類ファイルを抱え直した。

「分かってても、やるときはやる」

 担任はそれ以上言わず、目を逸らした。

 職員室の奥で、陸が鞄を抱えて立っていた。廊下に出る寸前で静を見つけ、駆け寄る。

「先生、これ」

「なに」

 陸が差し出したのは、A4一枚の紙だった。手書きのメモを清書したような、拙いが丁寧な文章。

「工房見学の記録。時間、内容、危険箇所、感想。あと、浅野さんが言ってた“向いてない人”の話も」

 静は紙を受け取って目を走らせた。最後に、陸の字で太く書かれている。

『俺、働くって、もっと死んだ顔でするもんだと思ってた』

 静はその一行を指でなぞり、紙をファイルに挟んだ。

「いい。これ、会議で使う」

 陸が息を呑む。

「ほんとに出すの?」

「出す。匿名にする。陸の名前は出さない」

「でも、字でバレない?」

「打ち直す」

 陸は頷いた。頷き方が、土曜より少しだけ速い。

「先生、今日、教頭室だよね」

「うん」

「……勝てる?」

 静は答えなかった。代わりに、陸の鞄の持ち方を見た。肩紐がねじれている。

「直せ。肩、痛める」

「今それ?」

「今それ。痛めたら続かない」

 陸は黙って肩紐を直した。

 ***

 教頭室のドアの前には、進路部の主任と、学年主任の北村が立っていた。二人とも、静を見ると視線を外す。

 進路部主任が先に口を開く。

「桐生先生、資料は?」

「あります」

 静がファイルを見せると、主任は小さく頷いた。

「……今回は、うまくまとめてください。こっちも板挟みなんで」

 北村が鼻で笑った。

「板挟み? 進路部は数字取れればいいんだろ。こっちは学年が荒れるのが困るんだよ」

 静は北村を見た。

「荒れてる原因、見ないふりしてるから荒れるんですよ」

 北村の眉が上がる。

「今その話する? 今日は外部講師の話だろ」

「外部講師も、同じです。見ないふりしてたら、何も変わらない」

 主任が咳払いをして、間に入る。

「……入りましょう」

 ドアが開くと、黒川が机の前に立っていた。椅子に座らず、こちらを待ち構える姿勢。

「揃いましたね」

 静は一礼し、ファイルを机に置いた。

「外部講師の件、正式に申請します。職業理解と就職準備の導線。参加者は五名、保護者同意、任意参加」

 黒川はファイルを開かずに言う。

「結論から。学校に利益があるかどうか」

 静は準備してきた言葉を出した。短く、切る。

「欠席の抑制と、就職希望者の早期具体化に繋げます。数字で出します」

「数字?」

 黒川が初めてファイルに触れた。指先で表紙を弾くように。

 静は一枚目を抜き、机に置いた。

「土曜の見学、実施報告。参加二名。危険箇所の説明、作業体験、事後記録。次回希望、一名」

 黒川が紙に目を落とす。進路部主任が横から覗き込んだ。

「……これ、ちゃんとしてる」

 北村が腕を組んだ。

「二名で成果って言われてもな」

 静は北村に視線を向けず、黒川に向けて言う。

「次は五名。講話後に、見学希望者数を取り、面談に繋げます。見学から二週間以内に“次の行動”を一つ決めさせる。求人票閲覧、職場見学申し込み、職業調べ、どれか」

 黒川が目を上げた。

「“決めさせる”?」

「放置しないって意味です。決めない自由もある。でも、決めないなら、決めないと書かせる」

 進路部主任が小さく笑った。

「それ、いいですね。記録が残る」

 北村が不機嫌そうに言う。

「記録記録って、紙増やしてどうすんだ。監査で忙しいんだよ、こっちは」

 黒川が北村を制するように手を上げた。

「監査は私の管轄です。北村先生、そこは私が判断します」

 北村の口が一瞬、歪んだ。だが引っ込める。

 黒川は静に戻る。

「講師は誰です」

「浅野工房、代表の浅野さん。地域の事業者です」

「進学実績に関係ありますか」

「直接はしません。でも、進学しない子が“何もしない”状態で卒業するのを減らせる」

 黒川の目が細くなる。

「“何もしない”という言い方、いいですね。数字にできますか」

 静は頷く。

「できます。進路未決定の割合。面談実施数。見学参加数。来年度、就職内定数。短期と長期で指標を分けます」

 進路部主任が、思わず声を出した。

「黒川先生、これ……進路部の年間計画に入れられます。外部講師枠、空いてますし」

 黒川は主任を見た。主任が視線を逸らさないのは珍しかった。

「あなたが責任を持てますか」

「持ちます。桐生先生と連携します」

 静は主任の横顔を見た。小さな追い風が、確かに吹いた。

 黒川は静に視線を戻す。

「では条件です。校内での告知は最小限。参加者の選定は担任経由。あなたが直接“勧誘”しない」

 静の口が開きかけて閉じる。担任経由にすれば、担任のフィルターがかかる。第3進路室に来る前に止められる子が出る。

「……担任経由だと、来ない子がいます」

 黒川が淡々と言う。

「それが学校の管理です。勝手に集めるのは、あなたの裁量を超える」

 北村が勝ち誇ったように言う。

「ほらな。学年通せってことだよ」

 静は黒川を見据えた。

「担任経由は受けます。その代わり、担任に“拒否権”は持たせない。候補者リストはこちらで作る。担任は保護者同意の連絡だけ」

 黒川が一拍置いた。

「……リストは私にも提出。理由も」

「提出します。理由も書きます」

 黒川は頷いた。ファイルを閉じる。

「許可します。試行として一回。結果を次の会議で報告。数字で」

 静は息を吐かずに頷いた。

「はい」

 黒川が付け足す。

「それと。進路室の鍵運用、今週中に新しいルールを出します。あなたの机の上の“封筒”も対象です」

 静の指先が、ファイルの角を強く押した。

「封筒は、記録です」

「記録なら、所定の場所に。個人の机に置かない」

 北村が口を挟む。

「桐生先生、ほんと余計なもん抱え込むからさ」

 静は北村を見た。

「余計じゃない。必要です」

 黒川が言う。

「必要かどうかは、私が決めます」

 静の喉が鳴った。ここで噛みつけば、講話の許可ごとひっくり返る。

 静は言い方を変えた。

「なら、所定の場所を明確にしてください。誰がアクセスできて、誰が責任を持つのかも」

 黒川は静を見たまま言う。

「監査担当と私です。以上」

 会議はそれで終わった。

 教頭室を出た瞬間、進路部主任が静の横に並んだ。

「……通りましたね」

「一回だけ」

「一回でも、前例になります」

 静は歩きながら言う。

「前例は、潰されるのも早い」

 主任が苦笑する。

「それでも、やるしかないですよ」

 北村が後ろから聞こえるように言った。

「やるなら、学年巻き込まないでくれよ。いま問題抱えてるんだからな」

 静は振り返らずに言った。

「問題を抱えてるのは、生徒です」

 北村が舌打ちを飲み込む音がした。

 ***

 進路室に戻ると、机の上に回覧が置かれていた。

「進路室運用見直し(案) 鍵管理の徹底 外部者入室記録 保管物の統一」

 静は紙をめくり、最後の一文で手が止まった。

「個人保管の禁止。違反時、当該室の使用停止を含む」

 陸がドアから顔を出した。

「先生、どうだった」

 静は回覧を机に伏せた。

「講話は通った。土曜の見学も続けられる」

 陸の目が明るくなる。

「マジで? やったじゃん」

「ただし、条件が増えた」

「条件?」

 静は回覧の端を指で叩いた。

「机の上の封筒も、管理対象になる」

 陸の顔から色が引いた。

「……あれ、動かされるの?」

「動かされる。所定の場所にって」

 陸は声を落とす。

「それ、危なくない?」

 静は封筒を引き出しに入れた。鍵は掛けない。掛ける鍵が、今は火種になる。

「危ない。だから、次の手を打つ」

「次の手って」

 静はパソコンを立ち上げ、浅野工房の講話資料のフォルダを開いた。そこに、別のファイル名を作る。

「保管物移管記録」

 陸が目を見開く。

「先生……また記録?」

「記録しか武器がない」

 陸が唇を噛む。

「追い風来たのに、反発も来たな」

 静は画面から目を離さずに言った。

「追い風の分だけ、逆風も強くなる。普通」

 陸は少しだけ笑って、すぐ真面目な顔に戻った。

「……五人、決めるんだよね。講話の」

「決める。今日中にリスト作る」

 静は陸に視線を向けた。

「陸。土曜の記録、もう一枚書ける?」

「なにを」

「“危険”と“ルール”。浅野さんが言ってたやつ。遅刻一回で切る、遊び半分は入れない、親同意必須。あれを文章にして、同意書に添える」

 陸が頷く。

「分かった。書く」

 静は頷き返し、画面に向き直った。

 外の廊下がざわつく。誰かが「進路室、外部入れるんだって」と言う声が聞こえた。

 別の声が被さる。

「今そんなことしてる場合? 監査中だろ」

 そして、さらに小さな声。

「どうせ落ちこぼれの遊びだろ」

 静の指が、キーボードを叩く音を少し強めた。

 扉の隙間から、誰かが覗いた気配がした。陸が顔を上げる。静は目で制した。

 覗きはすぐ消えた。

 静は書き終えたファイルを保存し、プリント設定を開いた。

「まず一歩。講話の参加者、今日決める。次に、封筒の移管。明日までに」

 陸が息を呑む。

「明日……早くない?」

「早い方がいい。先に動いた方が、主導権が取れる」

 静は印刷ボタンに指を置いた。プリンターが唸り、紙が動き出す。

 その音に紛れて、進路室の外で誰かが言った。

「教頭が見てるぞ」

 静は紙を取り、陸に渡した。

「じゃあ、見せるものを作る」

 陸が紙を受け取る手に力が入る。

「……先生。次、誰呼ぶ」

 静は名簿を開き、ペン先を走らせた。

「一人目は、もう決まってる」

「誰」

 静は名前の欄に、迷いなく丸を付けた。

「高瀬ミナ」

 陸が息を止めた。

 静は顔を上げずに言った。

「逃げ道だけじゃ足りない。今の子には、立てる場所も要る」

 廊下のざわめきが、少し大きくなった。まるで、丸を付けた音が聞こえたみたいに。


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