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第1章 偽りの騎士
第2話 容赦はしない 6
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カルマが情報収集するために使ったであろう魔法はファントム・シーカー召喚だろう。黒い成人大の影を走らせ、それらの五感を使って周辺情報を探るものだ。低コストで広範囲を調べられるから便利で、俺も使えるようにしている。次からはいきなり突撃するのではなく、これで様子を見ることを忘れないようにしなくては。
「私たちに活躍の機会を与えてくださったのでしょう? 我が君はお優しいですから」
「そういうことにさせて貰うかな。とにかく、カルマによくやったと伝えてくれ。あと、生存者の救出も頼む」
「畏まりました」
カルマから送られた地図を頼りに進む。すると、バリケードのつもりか、道は燃え盛る瓦礫で塞がれていた。先ほどの火のモンスターらしきものが、その上を徘徊しているおまけつきである。広場はすぐそこだ。さっさと片付けて敵の面を見に行こう。
「邪魔だ。イージス・スピリット、それにストライク・スマッシャー」
無属性の衝撃波を発生させて、モンスターごと瓦礫を消滅させる。吹き飛ばすのではなく、文字通り、一片たりとも残さず滅した。ただしあれの使役者が弱かった場合に備えて被害を最小限に留めておくのを忘れない。守護聖霊をバリケードの向こう側へ放ち、余波で死なれないよう守っておく。
「さて、ご対面だな」
広場には魔法陣を展開する術者が30人いた。恐らくこの火事の原因はあいつらの魔法なんだろう。その先頭には青白いオーラをまとった黒い鎧を着込んだ騎士がいる。馬の上から偉そうにしながら何やら話をしていたらしい。その下には縛り上げられた村人たちがたくさんいて、何人かは既に惨殺されていた。
あの爆発に驚いたと見える。音源、つまりこちらに気付いたのか、その場にいた全員が一斉に俺たちの方を向いた。
「……何者だ?」
くぐもった声だ。甲冑のせいだろうか。せめて話くらいは気持ち良くしたいものだが、脱げと言って脱ぐ阿呆はいるまい。何とか聞き取れはするから良しとして、ステータスチェックを済ませておく。一目見ただけでわかる程の雑魚だ。最初の村周辺に出て来る雑魚モンスター以下である。
「答える義理があるとは思えないが?」
そんな弱い奴に上から目線で言われるのも不愉快だが、それについては目を瞑ろう。もっと大切なことを早急に確認しなくては、と思いつつも、怒りで気が狂いそうになっていて、売り言葉に買い言葉でどうしても喧嘩腰になってしまう。
「確かにお前が何者かなぞ、我々には関係のないことだったな。では質問を変えよう。あの防壁を突破したのだ。それなりにできるのだろう。ならば、なぜこのような死地に自ら飛び込む?」
「なるほどな、それくらいは知っておくべきだろう。俺は憤っている。それが……お前たちの死ぬ理由だ」
俺の言葉に反応し、術者たちが魔法陣を展開しつつ騎士の前に出た。防御魔法でも見せてくれるのだろう。もしくは俺を排除しようと攻撃に出るのだろうか。
本来ならばその見極めは大変に重要だが今回ばかりはどうでもいい。あのステータスだしな。どれ程のものをこしらえるのか見物ですらある、なんて悠長に構えようとしたよりも早く、ウロボロスが立ちはだかってくれる。取るに足らない攻撃であろうとも絶対に通さないつもりらしいな。
「下がれ、ウロボロス」
「しかし御身を御守りすることが騎士である私の役目。どうか、ここはお任せください」
心なしか、ウロボロスの声に怒りが籠っているように聞こえた。もしかして、さっきは人間なんて野垂れ死ねとか物騒なことを言っていたけど、俺と思いは同じで、いても立ってもいられないんじゃないか。こんな惨状を見せ付けられて、自分の境遇を思い出して、怒りを覚えたんじゃないだろうか。そうならここは譲ってもいいかもしれない。むしろ考えを改めるきっかけになるじゃないか、なんて考えていると、向こうが待ったをかけてくる。
「待ちたまえ。これは聖戦……勅命に基づくものだ。悪徒を討ち、この国の、いや、世界の安寧を保つための戦いなのだよ。我々と事を構える理由はないだろう?」
聞き捨てならない単語が飛び出した。聖戦。今、確かにあの騎士は聖戦と表現したな、こんな虐殺行為を。
改めて捉えられた人たちを見る。愛しい人を殺し尽くされたのか、大切な家を壊されたためか、はたまたもっと悲惨な目に遭ったのか。理由はわからないものの、その顔には生気が感じられなくなっている。人をあんな顔にするまで痛めつけて聖戦だって。笑わせてくれるなよ、悪魔どもが。
「お前たちの戦う相手が剣や弓矢を持っているのなら別だが、俺は見た。これは戦いじゃない。一方的な虐殺だ。そこにどんな正義がある? どうして聖戦なんて言い張れるんだ?」
「……手遅れと見える。ならば仕方ない」
話し合いは決裂したらしい。騎士が手を振り上げると、術者たちは一斉に詠唱を唱えて魔法陣を使い始めた。火属性、氷属性、風属性など、様々な属性の魔法なのだと、魔法陣の色からわかる。来るのだろう、一斉攻撃が。念のためもう一度だけあの騎士も含めてステータスチェックをしてから、
「ウロボロス、任せてもいいか?」
「はい、畏まりました」
全て丸投げすることに決めた。ウロボロスなら、それはもう盛大にやってくれるだろうから。圧倒的な力で蹂躙しているんだ。逆に蹂躙されても文句は言わせない。
「私たちに活躍の機会を与えてくださったのでしょう? 我が君はお優しいですから」
「そういうことにさせて貰うかな。とにかく、カルマによくやったと伝えてくれ。あと、生存者の救出も頼む」
「畏まりました」
カルマから送られた地図を頼りに進む。すると、バリケードのつもりか、道は燃え盛る瓦礫で塞がれていた。先ほどの火のモンスターらしきものが、その上を徘徊しているおまけつきである。広場はすぐそこだ。さっさと片付けて敵の面を見に行こう。
「邪魔だ。イージス・スピリット、それにストライク・スマッシャー」
無属性の衝撃波を発生させて、モンスターごと瓦礫を消滅させる。吹き飛ばすのではなく、文字通り、一片たりとも残さず滅した。ただしあれの使役者が弱かった場合に備えて被害を最小限に留めておくのを忘れない。守護聖霊をバリケードの向こう側へ放ち、余波で死なれないよう守っておく。
「さて、ご対面だな」
広場には魔法陣を展開する術者が30人いた。恐らくこの火事の原因はあいつらの魔法なんだろう。その先頭には青白いオーラをまとった黒い鎧を着込んだ騎士がいる。馬の上から偉そうにしながら何やら話をしていたらしい。その下には縛り上げられた村人たちがたくさんいて、何人かは既に惨殺されていた。
あの爆発に驚いたと見える。音源、つまりこちらに気付いたのか、その場にいた全員が一斉に俺たちの方を向いた。
「……何者だ?」
くぐもった声だ。甲冑のせいだろうか。せめて話くらいは気持ち良くしたいものだが、脱げと言って脱ぐ阿呆はいるまい。何とか聞き取れはするから良しとして、ステータスチェックを済ませておく。一目見ただけでわかる程の雑魚だ。最初の村周辺に出て来る雑魚モンスター以下である。
「答える義理があるとは思えないが?」
そんな弱い奴に上から目線で言われるのも不愉快だが、それについては目を瞑ろう。もっと大切なことを早急に確認しなくては、と思いつつも、怒りで気が狂いそうになっていて、売り言葉に買い言葉でどうしても喧嘩腰になってしまう。
「確かにお前が何者かなぞ、我々には関係のないことだったな。では質問を変えよう。あの防壁を突破したのだ。それなりにできるのだろう。ならば、なぜこのような死地に自ら飛び込む?」
「なるほどな、それくらいは知っておくべきだろう。俺は憤っている。それが……お前たちの死ぬ理由だ」
俺の言葉に反応し、術者たちが魔法陣を展開しつつ騎士の前に出た。防御魔法でも見せてくれるのだろう。もしくは俺を排除しようと攻撃に出るのだろうか。
本来ならばその見極めは大変に重要だが今回ばかりはどうでもいい。あのステータスだしな。どれ程のものをこしらえるのか見物ですらある、なんて悠長に構えようとしたよりも早く、ウロボロスが立ちはだかってくれる。取るに足らない攻撃であろうとも絶対に通さないつもりらしいな。
「下がれ、ウロボロス」
「しかし御身を御守りすることが騎士である私の役目。どうか、ここはお任せください」
心なしか、ウロボロスの声に怒りが籠っているように聞こえた。もしかして、さっきは人間なんて野垂れ死ねとか物騒なことを言っていたけど、俺と思いは同じで、いても立ってもいられないんじゃないか。こんな惨状を見せ付けられて、自分の境遇を思い出して、怒りを覚えたんじゃないだろうか。そうならここは譲ってもいいかもしれない。むしろ考えを改めるきっかけになるじゃないか、なんて考えていると、向こうが待ったをかけてくる。
「待ちたまえ。これは聖戦……勅命に基づくものだ。悪徒を討ち、この国の、いや、世界の安寧を保つための戦いなのだよ。我々と事を構える理由はないだろう?」
聞き捨てならない単語が飛び出した。聖戦。今、確かにあの騎士は聖戦と表現したな、こんな虐殺行為を。
改めて捉えられた人たちを見る。愛しい人を殺し尽くされたのか、大切な家を壊されたためか、はたまたもっと悲惨な目に遭ったのか。理由はわからないものの、その顔には生気が感じられなくなっている。人をあんな顔にするまで痛めつけて聖戦だって。笑わせてくれるなよ、悪魔どもが。
「お前たちの戦う相手が剣や弓矢を持っているのなら別だが、俺は見た。これは戦いじゃない。一方的な虐殺だ。そこにどんな正義がある? どうして聖戦なんて言い張れるんだ?」
「……手遅れと見える。ならば仕方ない」
話し合いは決裂したらしい。騎士が手を振り上げると、術者たちは一斉に詠唱を唱えて魔法陣を使い始めた。火属性、氷属性、風属性など、様々な属性の魔法なのだと、魔法陣の色からわかる。来るのだろう、一斉攻撃が。念のためもう一度だけあの騎士も含めてステータスチェックをしてから、
「ウロボロス、任せてもいいか?」
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