魔王と配下の英雄譚

るちぇ。

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第2章 暁の竜神

第7話 紅竜同盟について情報収集 5

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 もっとも、上にいく程にその期待はできそうにない。なにせ、ローレンがあの調子なんだ。メグは違うと言うだろうが、代表のナディアだって、相当に良い性格をしているかもしれない。ただ、それは憶測に過ぎない。実際のところはいずれわかるだろうし、今は戦力についてよく理解しておかないと。

「それに加えて、横の繋がりは強いんだろ? 軍隊も同じか?」
「いえ、非戦闘員の性格までは流石にわかりません。私が言っているのは軍隊だけの話ですよ。続けますが、最強の種族っていう驕りもあるんでしょうけど、こんな強い俺と並ぶ奴らなんだから自分が無理でも他の奴ならって、色々と託すんだと思います」
「うーん、随分と自意識過剰なようで」
「実際、他種族との戦闘ではほぼ負け無しらしいですから。相手にはしたくない輩ですよ、色んな意味で」

 俺も関わりたくないなぁ。鼻っ柱を盛大に叩き折ってやりたい気もするけど、そういう奴らって後が恐そうだ。触らぬ神に祟りなし。なんて、できないよな。向こうから近付いて来たんだ。逃げるなんて素敵な選択肢も無いだろう。やはり戦うことになりそうな気がする。

「さて、そんな彼らの部隊編成は極めてシンプルな3部隊構成です。空を飛ぶか、地上を駆けるか、魔法を使うか」
「確か……紅蓮飛竜隊、紅蓮牙竜隊なんて名前なら聞いたな」

 ローレンが紅蓮飛竜隊の隊長、メグが紅蓮牙竜隊の隊長だったはずだ。たくさんある中の一部隊かと思いきや、三大部隊の二角なのかよ。そんな偉い人たちが使節団で来たなんて、うーむ、それなりに警戒はされていると考えて良いんだろうか。もしくは逆に、余程見下されていて、今しか顔を拝めないとか思っているのか。ローレンに限ればありそうな話だ。メグは読めなさ過ぎて判断に困る。

「そう、それです。空を飛んで、一撃離脱の戦いを得意とする紅蓮飛竜隊。地上を走り圧殺してくる紅蓮牙竜隊。それに、紅蓮魔導隊っていう炎系魔法の使い手たちがいます」

 俺に対する評価はさておき、なるほど。現実世界の軍隊のように、地上、海上、空中という感じで分けているんだろう。その方がこちらとしても対策を立てやすくて助かる。似たり寄ったりの部隊がいくつも来るとなると、誰をどう対処に回していいのか迷ってしまうからな。具体的には戦場の地形にもよるが、そうだな、空はカルマ、地上はフェンリスとアザレア辺りにお願いすることになりそうだ。もっとも、戦うことになれば、の話。できれば無駄になって欲しい想像だ。

「奴らの戦力と基本戦術は大体こんな感じなんですが、厄介なのが2人いるんですよね」
「へぇ、どんな奴なんだ?」
「まずは、紅蓮魔導隊の隊長ナーガ。どういう訳か5年前の大災厄の時に出撃しなかったエースクラスの戦士です。今じゃ、紅竜同盟の中でも最古参の兵ですね。知識と経験が物を言うのが魔法ですから、隊内は勿論、聖リリス帝国でもトップレベルの魔法師になっています」

 そんなに凄い奴、いたっけか。メイリンの話ではそういう要人は全員、あの神輿の周りか上にいたはず。きっとそのナーガとやらも乗っていたか、護衛に付いていたんだろう。いたんだろうけど、一通りステータスは見せて貰ったけど、そんなに突出した奴なんていなかった。まぁ、俺基準で見てしまっていたから、どんぐりの背比べにしか思えなかったのかもしれない。

「ところで、そんなに凄いのに四大将軍とかにはならなかったのか?」
「言ったでしょう、奴らは人間を見下すんです。ナディア様だけは四代将軍の1人ですが、他は皆、足蹴にしたみたいですよ」
「て、徹底しているなぁ。まさか国に楯突くなんて」

 こりゃ、聖リリス帝国の実態までもうかがい知れるな。大災厄でひとつになったとはいえ、完全に統合されてはいないらしい。紅竜同盟は大見え切ってやらかしているようだが、他の生き残りの種族たちは、裏では何をどう思い、どんな行動を取っているかわかったものじゃない。
 予想外の収穫を分析しつつ、またまた本題に戻る。余りにも美味しい話ばかりで目移りしているが、肝心なのは紅竜同盟の戦力だからな。

「それと、もう1人。といか、こっちの方が要注意なんですけどね。紅蓮牙竜隊の隊長のメグって言いますが」
「あぁ、それなら会ったことがある。まだ幼いのに、胆の座った子だったよ」
「あちゃー、もう会っていたんですか」

 答えるや否や、ルーチェは心底マズいとでも言うように頭を抱えた。そ、そんな風に言われるくらいヤバい奴だったのか。まさか、目を見ただけで呪われるとか。でも魔法の反応はおろか、敵意すら感じかなったし。ひょっとして、そう思わせておいて、何らかの罠を仕込まれたとか。あり得なくはない。ステータスや魔法、スキルばかり警戒して、アイテムまで気が回っていなかった可能性は否定できない。

「あぁ、何を勘違いしたのか知りませんが、あの子自体は無害です。1対1なら私でも簡単に倒せると思いますね」

 そうか、それを聞いてとりあえず一安心だ。メグ自体は無害となると、直接俺たちに干渉することはできないのだろう。そのステータスを思い出すと、確か、知能の数値が高かった。それが直接俺たちに被害を与える方向に使われていない、つまり罠作りや騙し討ち、呪術的な何かなどが無いのなら、残される可能性はひとつ。智将。
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