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第2章 暁の竜神
第7話 紅竜同盟について情報収集 6
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知力を生かす者は策を巡らすもの。あの会話の中で、俺たちすら気付いていない何かを察知した可能性はあるものの、それが直ちに明確な脅威になるとは考えにくい。いや、反対に危ない考えに歯止めをかけうる情報を握らせたかもしれない。なにせ、あの時は肉体言語による極めて壮絶な話し合いが行われた後だ。身内のちょっとした揉め事であれだけの被害を出して見せたのだから、もしも戦争になったらと、恐怖を覚えてくれたかもしれない。そう考えるとあのドタバタ騒動にも意味はあったことになるか。棚から牡丹餅って感じで受け止めておこう。
それはそれとして、ルーチェが聞き捨てならないことを言いやがった。それについてはちゃんと突っ込んでおこう。
「お前は四大将軍だろ。勝てなくてどうする」
「ありゃ、これは痛いところを。でもですね、竜人って誰も彼もそんな感じなんです。四大将軍? 魔法を使えば別ですが、生身でやり合ったら、あいつらの一般兵をやっと倒せるかなーって感じなんですよ」
「え、そりゃ流石に嘘だろ」
「これが残念ながら本当なんですよね」
そ、そんなに凄いのか、竜人って。あのゾンビの大群やアデルに突っ込んだルーチェに言われると、見えたステータスはどうあれ、どうしても脅威に感じられてしまう。
うーむ、なぜなのかと悩んでいると、ひとつの可能性に行き着いた。ひょっとしたらバフをかけて強化してくる集団かもしれないと。では、そのバファーは誰なのか。それが竜神なのではないか。あるかもしれない。むしろ、あの神輿のような竜になると言われるよりよっぽど説得力がある気がする。
でも待てよ、そうなるとメイリンが見せてくれた写真の説明が付かないか。あ、そうか。そのどちらも本当なのだとしたら、つまり、竜神の姿になりつつ、同族のステータスにバフをかけるのだとしたら。と、いい感じに想像か妄想かもわからない推測を膨らませていると、ルーチェが話を再開する。
「話を戻しますね。あの子は軍隊に入るような肉体的な才能はありません。でも、よりによって腕力と体で敵を押し潰す紅蓮牙竜隊の隊長です」
「そりゃお前、智将って奴なんだろ? それくらいは想像が付く」
「おぉ、流石は魔王様、正解です。あの子の頭脳はずば抜けています。あのリリス様ですら、四大将軍にならないかって三度は声をかけたくらいに」
おっと、それは有力な情報だな。リリスがまだ俺のリリスかどうかわからないものの、少なくともこの世界の窮地を救った英雄なのは間違いない。そんな奴が欲しがるほどの頭脳なのか。今の認識よりも数段上の敵なのだと覚えておかないといけないな。特にもし万が一戦いとなれば、なおさら無視はできない。
それくらい知能というものは恐ろしい。戦いは自分と相手以外の様々な要因が複雑に作用するものだが、実際は違う。どんな自然現象も奇跡すらも、全ては知能によって操られている。そうとしか思えない程に、片方に有利に働くものだ。
歴史を紐解けばそれは顕著。たったひとつの油断、綻び、隙。そんなものが知恵によって知らない内に生み出され、そこを突かれて負けないはずの強者が敗北するのはよくある話。例えばそうだな、織田信長が今川義元に勝ったのもその良い例だろう。荒れた天候、伸び伸びになってしまう隊列。そうさせた地形と兵や将たちの気の緩みなんかが絶妙にかみ合わさって、圧倒的な差が覆ったように見えるかもしれない。しかし、それがただの運だったのなら、彼は天下人になどなれなかっただろう。つまり、その卓越した知能で作り上げたとしか考えられないのだ。この世全てを味方に付けたような戦場を。そしてもぎ取ったのだ、勝利を。
「メグ……要注意人物だな」
直ちに影響はないと思ったが、それではあくまでも当面の話。有事の際にはまず間違いなく、あの場で渡してしまった情報を活用してくるだろう。絶対に油断なんてできない。
「あと、隠し玉ですね。紅竜同盟は竜神っていう神様を信仰しているんですが、実は」
「実在するって話なら、知っているぞ」
「違いますよ。その竜神様には絶対的な信頼を得た親衛隊長がいるって話です」
「初耳だな……。その経験豊富な戦士や、頭の切れる軍師をはね除けて、絶対的な信頼を置かれたと言われる奴か」
チラリと隣を見る。オラクル・ナイツの中で最も信頼しているのはウロボロスだ。その理由は数え切れないが、個人の感情や精神的なところを除けば、まずもって挙がるのはその強さだ。というのも、ウロボロスは俺のドミニオンズ人生において、最適な育成環境で集中的に育てられた唯一の存在なのだ。その頃にはゼルエルたちの育成はほぼ済んでいたからな。育成のノウハウをしっかり理解していたし、それを実行するだけの力もあった。残念ながらカルマたちは違う。ほとんど同時期に拾って、同時進行で育てたからな。だからこそ最高傑作は間違いなくウロボロスで、絶対的な信頼を置いている。
話がやや反れた。ナディアに話を戻そう。その信頼のおける親衛隊の隊長は、俺にとってのウロボロスのようなものだろう。丁度、立ち位置も似たようなものだし。問題なのはその理由。流石にそれはわからないが、もしも俺と似たような訳があるのだとすれば、その人物こそ最も軽視できない。
「これで情報は終わりです。役に立ちそうですか?」
「あぁ、ありがとう、ルーチェ。凄くためになった」
紅竜同盟。警戒すべきは竜神だけかと思ったが、そうもいかないな、こりゃ。流石は世界最大の軍事力を持つと言われる組織だ。できればもっと情報を仕入れたい。より具体的で確実なデータが欲しい。まぁ、それでも一番知りたいのは竜神だけど、はっきり言って困難だろう。有事の際しか姿を見せないらしいから、相対する時までのお楽しみ、ということになりそうだ。
それならせめて、ナーガ、メグ、そして親衛隊隊長のステータスや得意技なんかを調査したい。期限はメグの言う交渉までだろう。次に会った時は必ず何らかの提案をされ、返答を求められるだろうから。
「さて、次は……」
戦いは、始まった時にはもう終わっているくらいが理想だ。PVP、つまりプライヤー同士の戦いは相手の有効手段の潰し合い、そして負担のかけ合いの果てに勝敗が決まる。それにはやはり、相手の情報ができるだけたくさん要る。ゲームですらそうなんだ。現実では、なおのこと気合を入れて探る必要がある。
それはそれとして、ルーチェが聞き捨てならないことを言いやがった。それについてはちゃんと突っ込んでおこう。
「お前は四大将軍だろ。勝てなくてどうする」
「ありゃ、これは痛いところを。でもですね、竜人って誰も彼もそんな感じなんです。四大将軍? 魔法を使えば別ですが、生身でやり合ったら、あいつらの一般兵をやっと倒せるかなーって感じなんですよ」
「え、そりゃ流石に嘘だろ」
「これが残念ながら本当なんですよね」
そ、そんなに凄いのか、竜人って。あのゾンビの大群やアデルに突っ込んだルーチェに言われると、見えたステータスはどうあれ、どうしても脅威に感じられてしまう。
うーむ、なぜなのかと悩んでいると、ひとつの可能性に行き着いた。ひょっとしたらバフをかけて強化してくる集団かもしれないと。では、そのバファーは誰なのか。それが竜神なのではないか。あるかもしれない。むしろ、あの神輿のような竜になると言われるよりよっぽど説得力がある気がする。
でも待てよ、そうなるとメイリンが見せてくれた写真の説明が付かないか。あ、そうか。そのどちらも本当なのだとしたら、つまり、竜神の姿になりつつ、同族のステータスにバフをかけるのだとしたら。と、いい感じに想像か妄想かもわからない推測を膨らませていると、ルーチェが話を再開する。
「話を戻しますね。あの子は軍隊に入るような肉体的な才能はありません。でも、よりによって腕力と体で敵を押し潰す紅蓮牙竜隊の隊長です」
「そりゃお前、智将って奴なんだろ? それくらいは想像が付く」
「おぉ、流石は魔王様、正解です。あの子の頭脳はずば抜けています。あのリリス様ですら、四大将軍にならないかって三度は声をかけたくらいに」
おっと、それは有力な情報だな。リリスがまだ俺のリリスかどうかわからないものの、少なくともこの世界の窮地を救った英雄なのは間違いない。そんな奴が欲しがるほどの頭脳なのか。今の認識よりも数段上の敵なのだと覚えておかないといけないな。特にもし万が一戦いとなれば、なおさら無視はできない。
それくらい知能というものは恐ろしい。戦いは自分と相手以外の様々な要因が複雑に作用するものだが、実際は違う。どんな自然現象も奇跡すらも、全ては知能によって操られている。そうとしか思えない程に、片方に有利に働くものだ。
歴史を紐解けばそれは顕著。たったひとつの油断、綻び、隙。そんなものが知恵によって知らない内に生み出され、そこを突かれて負けないはずの強者が敗北するのはよくある話。例えばそうだな、織田信長が今川義元に勝ったのもその良い例だろう。荒れた天候、伸び伸びになってしまう隊列。そうさせた地形と兵や将たちの気の緩みなんかが絶妙にかみ合わさって、圧倒的な差が覆ったように見えるかもしれない。しかし、それがただの運だったのなら、彼は天下人になどなれなかっただろう。つまり、その卓越した知能で作り上げたとしか考えられないのだ。この世全てを味方に付けたような戦場を。そしてもぎ取ったのだ、勝利を。
「メグ……要注意人物だな」
直ちに影響はないと思ったが、それではあくまでも当面の話。有事の際にはまず間違いなく、あの場で渡してしまった情報を活用してくるだろう。絶対に油断なんてできない。
「あと、隠し玉ですね。紅竜同盟は竜神っていう神様を信仰しているんですが、実は」
「実在するって話なら、知っているぞ」
「違いますよ。その竜神様には絶対的な信頼を得た親衛隊長がいるって話です」
「初耳だな……。その経験豊富な戦士や、頭の切れる軍師をはね除けて、絶対的な信頼を置かれたと言われる奴か」
チラリと隣を見る。オラクル・ナイツの中で最も信頼しているのはウロボロスだ。その理由は数え切れないが、個人の感情や精神的なところを除けば、まずもって挙がるのはその強さだ。というのも、ウロボロスは俺のドミニオンズ人生において、最適な育成環境で集中的に育てられた唯一の存在なのだ。その頃にはゼルエルたちの育成はほぼ済んでいたからな。育成のノウハウをしっかり理解していたし、それを実行するだけの力もあった。残念ながらカルマたちは違う。ほとんど同時期に拾って、同時進行で育てたからな。だからこそ最高傑作は間違いなくウロボロスで、絶対的な信頼を置いている。
話がやや反れた。ナディアに話を戻そう。その信頼のおける親衛隊の隊長は、俺にとってのウロボロスのようなものだろう。丁度、立ち位置も似たようなものだし。問題なのはその理由。流石にそれはわからないが、もしも俺と似たような訳があるのだとすれば、その人物こそ最も軽視できない。
「これで情報は終わりです。役に立ちそうですか?」
「あぁ、ありがとう、ルーチェ。凄くためになった」
紅竜同盟。警戒すべきは竜神だけかと思ったが、そうもいかないな、こりゃ。流石は世界最大の軍事力を持つと言われる組織だ。できればもっと情報を仕入れたい。より具体的で確実なデータが欲しい。まぁ、それでも一番知りたいのは竜神だけど、はっきり言って困難だろう。有事の際しか姿を見せないらしいから、相対する時までのお楽しみ、ということになりそうだ。
それならせめて、ナーガ、メグ、そして親衛隊隊長のステータスや得意技なんかを調査したい。期限はメグの言う交渉までだろう。次に会った時は必ず何らかの提案をされ、返答を求められるだろうから。
「さて、次は……」
戦いは、始まった時にはもう終わっているくらいが理想だ。PVP、つまりプライヤー同士の戦いは相手の有効手段の潰し合い、そして負担のかけ合いの果てに勝敗が決まる。それにはやはり、相手の情報ができるだけたくさん要る。ゲームですらそうなんだ。現実では、なおのこと気合を入れて探る必要がある。
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