もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ

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第20話 「光の森で祝福の素材を求めて」

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 朝の光が森を淡く照らす。木々の間を通り抜ける風は、葉や草の匂いを運び、清々しさと緊張感を同時に呼び覚ます。
 コナタは肩にシエルを乗せ、膝にはモカを抱えて、友人たちの後を慎重に進んだ。

「……虹幻草、見えてきたね」
 レイアが視線を森の奥に向ける。葉の先が虹色に輝き、まるで光の精霊が踊っているかのようだ。

「やっぱり、神々に出す食材って感じだな……」
 ゼクトは剣の柄に手をかけ、周囲の影に警戒を巡らせる。

「危険生物の出現率が高いってデータにもあるしね。森の奥は特に注意」
 ユリウスは巻物を広げ、採取ルートを計算している。
 彼の動きは落ち着いているが、目だけは鋭く光り、周囲の匂いや風の変化を察知していた。

 シエルは肩の上で小さく「きゅっ!」と声をあげ、ぴょこぴょこと尻尾を揺らす。
 モカも膝の上から「ふがっ!」と鼻を鳴らし、森の奥を嗅ぎ分けている。

「さあ、行くよ。みんなで最高の虹幻草を採ろう!」
 コナタが深呼吸し、手を前に伸ばす。森の緑と光の合間に、祝福の草がほんのり虹色に光っていた。



 しかし森は静かではなかった。薄暗い林の奥から、奇妙な影が動く。
 突然、木の枝が大きく揺れ、赤い目を光らせた獣が現れた。

「……なんだあれ……!?」
 ゼクトが身構える。雷剣士の直感が、森の異変を告げていた。

「コナタ、こっちを守るわ!」
 レイアは魔法陣を描き、光の盾を展開する。

 獣は小型の森林魔獣だったが、複数体に分身する特殊能力を持つ。
 しかしコナタは慌てない。肩のシエルを優しく撫でると、シエルは背中で「きゅきゅっ!」と鳴きながら空中に跳ね、獣を翻弄する。

「モカ、行くぞ!」
 膝のモカは低く唸り、「ふがっ!」と勢いよく飛び出す。鋭い嗅覚で敵の位置を正確に知らせる。

 コナタは手をかざす。森の魔法反応が五感に伝わる――完全再現型のフルダイブで得られる情報だ。
 周囲の湿度、風の流れ、枝の揺れまで手に取るように分かる。

「ここだ……!」
 コナタは魔獣の注意を引きながら、草むらに生える虹幻草に手を伸ばす。指先が触れた瞬間、虹色の葉は柔らかく揺れ、香りがふわりと漂った。

「採れた!」
 コナタの声に、ゼクトもユリウスも、そしてレイアも目を輝かせる。

「さすがコナタ! 本当に神々の料理人だな!」
 ゼクトが拳を握り、笑顔で叫ぶ。

「しかも手際がいい……感覚的に最適なものを選んでる」
 ユリウスも頷き、レイアはメモを取りながら「本当にデータ通りじゃない」と呟いた。

 シエルとモカも、敵を翻弄しながら守ってくれる。
 コナタは手際よく葉を切り取り、魔獣たちの動きを読み、最小の動きで最大の収穫を上げた。



 森の奥での採取が進むにつれ、チームワークも自然に完成していく。

「ゼクト、そこの獣を少し誘導してくれ」

「了解!」

 コナタが指示すると、ゼクトは雷剣を振りかざし、獣を安全な方向へ誘導する。

 ユリウスは同時に香草を調合し、虹幻草の香りを引き立てる魔法をささっと施す。
 レイアはデータ解析で最短ルートを導き、採取効率を最大化する。

 シエルとモカもそれぞれ全力でサポート。
 コナタは「ありがとう、二匹とも」と笑いながら、次の群生地に向かって歩を進める。



 採取を終えた頃には、森の小道は虹幻草の香りで満ちていた。
 ゼクトは汗を拭きながら、満足そうに言った。

「いやあ、これで一番大事な素材は確保だな」

「でも、まだまだ他の素材が……」
 ユリウスが巻物を見つめる。月雫きのこや神気の宿る果実、サラマンダーの尾肉……。準備はこれからが本番だ。

 コナタは小さく息を整え、シエルとモカを抱き寄せる。
「でも、みんなと一緒なら大丈夫……」

 レイアが肩に手を置き、にっこり笑う。
「うん。コナタのペースでやればいいんだから」

 ゼクトも拳を掲げ、ユリウスも手を差し出す。
 五人と二匹の輪が自然とできあがる。

 森の光と草の香りの中で、神々の晩餐会に向けた準備の第一歩は、確実に進んでいった。
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感想 14

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みんなの感想(14件)

ひとみ
2025.11.28 ひとみ

続きありがとうございます
もふもふ二匹は可愛くて強いし
コナタも料理人と言いつつリーダー感がありますよね

解除
ひとみ
2025.11.26 ひとみ

優しいコナタにはやっぱり優しくて頼りになる仲間が集まっているよね(もふもふもね)

解除
ひとみ
2025.11.24 ひとみ

前半の分が18話と重複していますよ

解除

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