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~ウィーンの古書・終章~
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《1848年10月25日 ウィーン》
どこか遠くで鳴る砲音。机上のランプの火が揺れ、天井から剥がれ粉になった漆喰が、開いた本の上へぱらりと落ちた。
5月、皇帝一家は退避し、8月に戻った。残された私達は帰還を待つしかなく、次々と革命側へ行ってしまう宮廷人を止めることもできなかった。
彼らは、裏切り者、野蛮人と罵られた。
では、なぜ戦っているのだろう。
陛下が戻り反革命の気風が強くなったこの帝国で。
古い地下書庫の壁や天井は苛烈さを増す革命側との戦いの余波で、あっけなくヒビが入った。
「この分だと生き埋めだな」
「だったら早く逃げたまえよ」
よく知る声にふっと笑みがこぼれる。私はのんびりとペンを置いた。
「無事で何よりだよ。痩せたんじゃないか?」
「君は相変わらず悠長だな。ここにいると思っていたが」
「それが仕事だからね」
肩をすくめ机に広げている古書を示す。所々が黒く塗りつぶされた頁を。机の横には編纂済みの印を押した古書が積まれている。
それらに少し目を向けたリントナーは私の肩を強く掴む。
「明日、大々的な蜂起が決定された。ここは戦場になる。ボクと来い」
「知ってるよ。皆、戦々恐々としている」
「時間がないんだ。フォーゲルくん、ボクも君も似ている。君は別に旧体制側に未練はないだろう。こんなことを続けて危険な目に遭う必要がどこにある」
久しぶりに見た友人は精悍な顔付きになっていた。私は塗り潰した文字を撫でる。
本が好きで、世界中の本を読むことが夢だった。しかし、私のやっていることは……本当に皮肉なことだ。
私は肩を握るリントナーの手をそっと外した。
「頼まれてくれないか」
編纂した古書たちの横から、私は古びた木箱を取り出した。蓋には手書きで"焚書候補第25号 Nebelum″と記されたそれをリントナーに差し出した。
「これを私の代わりに持って行って欲しい」
「この本……これが君の代わりになるとでも言うのかい?ボクには君より貴重だとは思えない。どうしてもと言うなら自分で持って出るんだな」
焦っている様子の彼。そんな姿は初めて見た。本当にもう時間がないのだろう。ここに忍び込むこと自体、命懸けだったはずだ。
そんな彼に私は酷な頼みをするのかもしれない。
「リントナー、話を聞いてくれないか?私は確かに旧体制側という訳ではないよ。ただ帝国の為と思い与えられた仕事をこなすだけの何の力もない官僚だ」
本を受け取らないリントナーの前で蓋を開く。中には私がフレート氏の言葉を翻訳した冊子が収めてある。私は頁をめくった。
「全て読んだ上で私はこう思った。この本は何でもないただの手記だ。だが、ここには慣習と儀礼に塗り固められた宮廷で、一人の自由意志を持った王女が力強く生き、市民革命など起こすことなく世の中を変えている。そして、それを静かに見守った記録者の全てが詰まっている。決して低文化でも無秩序でもない」
文官として仕えるべき主の傍で輝くフレート氏。先の見えない状況で友の手を拒もうとしている自分。
「もし帝国で、人々が理性的な自由を獲得していたら、今と違った未来があった。その証明の書だ。つまり、私が禁書として処理すべき思想本だったんだ」
"焚書候補第25号 ″これを記した時、私はフレート氏の全てを無にする判断を下したのだ。それは、どこの誰とも知らない彼への冒涜だった。
「あまたの表現の自由を葬ってきた私が、今さらリベラルを語る資格はない。私の罪は私自身の中にある。だから、この一冊で償いたい。君に私の小さな革命を託す。生きて、この本を必ず守れ」
黙って聞いていたリントナーは拳を握る。彼とて迷わなかったわけではないだろう。
だが、私の願いは2つだけだ。贖罪、そして彼の無事。
「全くもって君は頭が堅い」
「どうやらそうらしい。旧体制側に君の味方がいるというのも良いんじゃないか?時間は掛かるだろうが、君は外で私は内で」
「……分かった。ただ、明日はできるだけ安全な場所にいてくれ。さすがに中央まで攻め込むことはないだろうから」
「忠告ありがとう。さて、送っていくよ」
旧書庫搬入口ならばここから近い。階段も降りずにリントナーが来たとすればそこしかない。
兵が市街地へ出払っている今、図書館など無防備なものだ。
私はランタンに火をつけ、リントナーを送り出そうと用心深く扉を開けた。
「フォーゲル、どこへ行くんだ」
背後から落ち着いた声。振り向くと、薄闇の中に館長の輪郭が浮かんでいた。彼の後ろには数人の男。警備というより監視者然とした顔ぶれが並ぶ。
「館長…」
どこから現れた?背後は地下書庫だ。階段から誰かが降りてきた音はしなかった。
返事をする間もなく、館長は淡々と語り始めた。
「驚くことでもあるまい。君より長く居る私にとって些細なことなのだよ。さて、内務省のリントナーだったな。おまえには嫌疑が掛けられている。こちらに来てもらおう」
なるほど、この人なら私の知りえないことでも知っていておかしくない。
私はリントナーの前に出る。自分でも驚くほど冷静だった。
「なんの事ですか?彼は、この物騒なさ中、図書を届けてくれた業者ですよ」
館長は眉を寄せ、低く言い放つ。
「庇いだてすれば君も詰問される。その覚悟はあるか」
その言葉に、リントナーが荒い息を漏らすのが聞こえた。私は咄嗟に彼を扉の向こうへ押し出した。
「逃げろ!」
急ぎ閉じると私は立ち塞がった。リントナーが躊躇った後駆けていく音が聞こえる。
「貴様!」
カチリ。懐から出した拳銃を館長に向ける。もう後戻りはできなくなったな、と苦笑しながら。
重苦しい発砲音が地下に反響し、白い煙が館長の肩越しに立ち上がった。
扉が開くと自由を阻む足音が地下に低く鳴り渡った。
転がされ仰向けの格好になった私は、漆喰の天井にホーフブルクの壮麗な天井画を見る。
信じてきた物は、幻影だったのか。
守ったものだけは……恥じることのない私自身の良心だ。
《史実記録》
1848年10月25日 街が炎上し始める。
帝国図書館の職員と思しき人物が消息を絶ったとの記録がある。
名はルーカス・フォーゲル。真偽は定かでない。
1848年10月26日 第二次ウィーン蜂起。主要拠点が革命側の手に落ちる。
1848年10月31日 ホーフブルク宮殿および王立図書館が砲撃により炎上。
1848年12月2日 皇帝退位。ゾフィー大公妃の主導によりフランツ・ヨーゼフ即位。
以降、68年間の言論統制が続く。
***
《1874年 ロンドン》
旅行に訪れていたオーストリア皇妃エリザベートは、品の良い老紳士が落とした本を拾った。
「Thank you, Madam.」
その老紳士の言葉はオーストリア宮廷訛りだった。
老紳士はしばらく歩くとベンチに腰掛け、皇妃に手渡された本「焚書候補第25号 Nebelum」を開き、巻末を眺める。
1848年10月25日
革命家 Lucas Vogel に捧ぐ
[完]
2025年10月25日 執筆完結
どこか遠くで鳴る砲音。机上のランプの火が揺れ、天井から剥がれ粉になった漆喰が、開いた本の上へぱらりと落ちた。
5月、皇帝一家は退避し、8月に戻った。残された私達は帰還を待つしかなく、次々と革命側へ行ってしまう宮廷人を止めることもできなかった。
彼らは、裏切り者、野蛮人と罵られた。
では、なぜ戦っているのだろう。
陛下が戻り反革命の気風が強くなったこの帝国で。
古い地下書庫の壁や天井は苛烈さを増す革命側との戦いの余波で、あっけなくヒビが入った。
「この分だと生き埋めだな」
「だったら早く逃げたまえよ」
よく知る声にふっと笑みがこぼれる。私はのんびりとペンを置いた。
「無事で何よりだよ。痩せたんじゃないか?」
「君は相変わらず悠長だな。ここにいると思っていたが」
「それが仕事だからね」
肩をすくめ机に広げている古書を示す。所々が黒く塗りつぶされた頁を。机の横には編纂済みの印を押した古書が積まれている。
それらに少し目を向けたリントナーは私の肩を強く掴む。
「明日、大々的な蜂起が決定された。ここは戦場になる。ボクと来い」
「知ってるよ。皆、戦々恐々としている」
「時間がないんだ。フォーゲルくん、ボクも君も似ている。君は別に旧体制側に未練はないだろう。こんなことを続けて危険な目に遭う必要がどこにある」
久しぶりに見た友人は精悍な顔付きになっていた。私は塗り潰した文字を撫でる。
本が好きで、世界中の本を読むことが夢だった。しかし、私のやっていることは……本当に皮肉なことだ。
私は肩を握るリントナーの手をそっと外した。
「頼まれてくれないか」
編纂した古書たちの横から、私は古びた木箱を取り出した。蓋には手書きで"焚書候補第25号 Nebelum″と記されたそれをリントナーに差し出した。
「これを私の代わりに持って行って欲しい」
「この本……これが君の代わりになるとでも言うのかい?ボクには君より貴重だとは思えない。どうしてもと言うなら自分で持って出るんだな」
焦っている様子の彼。そんな姿は初めて見た。本当にもう時間がないのだろう。ここに忍び込むこと自体、命懸けだったはずだ。
そんな彼に私は酷な頼みをするのかもしれない。
「リントナー、話を聞いてくれないか?私は確かに旧体制側という訳ではないよ。ただ帝国の為と思い与えられた仕事をこなすだけの何の力もない官僚だ」
本を受け取らないリントナーの前で蓋を開く。中には私がフレート氏の言葉を翻訳した冊子が収めてある。私は頁をめくった。
「全て読んだ上で私はこう思った。この本は何でもないただの手記だ。だが、ここには慣習と儀礼に塗り固められた宮廷で、一人の自由意志を持った王女が力強く生き、市民革命など起こすことなく世の中を変えている。そして、それを静かに見守った記録者の全てが詰まっている。決して低文化でも無秩序でもない」
文官として仕えるべき主の傍で輝くフレート氏。先の見えない状況で友の手を拒もうとしている自分。
「もし帝国で、人々が理性的な自由を獲得していたら、今と違った未来があった。その証明の書だ。つまり、私が禁書として処理すべき思想本だったんだ」
"焚書候補第25号 ″これを記した時、私はフレート氏の全てを無にする判断を下したのだ。それは、どこの誰とも知らない彼への冒涜だった。
「あまたの表現の自由を葬ってきた私が、今さらリベラルを語る資格はない。私の罪は私自身の中にある。だから、この一冊で償いたい。君に私の小さな革命を託す。生きて、この本を必ず守れ」
黙って聞いていたリントナーは拳を握る。彼とて迷わなかったわけではないだろう。
だが、私の願いは2つだけだ。贖罪、そして彼の無事。
「全くもって君は頭が堅い」
「どうやらそうらしい。旧体制側に君の味方がいるというのも良いんじゃないか?時間は掛かるだろうが、君は外で私は内で」
「……分かった。ただ、明日はできるだけ安全な場所にいてくれ。さすがに中央まで攻め込むことはないだろうから」
「忠告ありがとう。さて、送っていくよ」
旧書庫搬入口ならばここから近い。階段も降りずにリントナーが来たとすればそこしかない。
兵が市街地へ出払っている今、図書館など無防備なものだ。
私はランタンに火をつけ、リントナーを送り出そうと用心深く扉を開けた。
「フォーゲル、どこへ行くんだ」
背後から落ち着いた声。振り向くと、薄闇の中に館長の輪郭が浮かんでいた。彼の後ろには数人の男。警備というより監視者然とした顔ぶれが並ぶ。
「館長…」
どこから現れた?背後は地下書庫だ。階段から誰かが降りてきた音はしなかった。
返事をする間もなく、館長は淡々と語り始めた。
「驚くことでもあるまい。君より長く居る私にとって些細なことなのだよ。さて、内務省のリントナーだったな。おまえには嫌疑が掛けられている。こちらに来てもらおう」
なるほど、この人なら私の知りえないことでも知っていておかしくない。
私はリントナーの前に出る。自分でも驚くほど冷静だった。
「なんの事ですか?彼は、この物騒なさ中、図書を届けてくれた業者ですよ」
館長は眉を寄せ、低く言い放つ。
「庇いだてすれば君も詰問される。その覚悟はあるか」
その言葉に、リントナーが荒い息を漏らすのが聞こえた。私は咄嗟に彼を扉の向こうへ押し出した。
「逃げろ!」
急ぎ閉じると私は立ち塞がった。リントナーが躊躇った後駆けていく音が聞こえる。
「貴様!」
カチリ。懐から出した拳銃を館長に向ける。もう後戻りはできなくなったな、と苦笑しながら。
重苦しい発砲音が地下に反響し、白い煙が館長の肩越しに立ち上がった。
扉が開くと自由を阻む足音が地下に低く鳴り渡った。
転がされ仰向けの格好になった私は、漆喰の天井にホーフブルクの壮麗な天井画を見る。
信じてきた物は、幻影だったのか。
守ったものだけは……恥じることのない私自身の良心だ。
《史実記録》
1848年10月25日 街が炎上し始める。
帝国図書館の職員と思しき人物が消息を絶ったとの記録がある。
名はルーカス・フォーゲル。真偽は定かでない。
1848年10月26日 第二次ウィーン蜂起。主要拠点が革命側の手に落ちる。
1848年10月31日 ホーフブルク宮殿および王立図書館が砲撃により炎上。
1848年12月2日 皇帝退位。ゾフィー大公妃の主導によりフランツ・ヨーゼフ即位。
以降、68年間の言論統制が続く。
***
《1874年 ロンドン》
旅行に訪れていたオーストリア皇妃エリザベートは、品の良い老紳士が落とした本を拾った。
「Thank you, Madam.」
その老紳士の言葉はオーストリア宮廷訛りだった。
老紳士はしばらく歩くとベンチに腰掛け、皇妃に手渡された本「焚書候補第25号 Nebelum」を開き、巻末を眺める。
1848年10月25日
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[完]
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