「婚約破棄された聖女ですが、実は最強の『呪い解き』能力者でした〜追放された先で王太子が土下座してきました〜

鷹 綾

文字の大きさ
27 / 30

第27話 王太子の追放 〜勘違い王子の永遠の嘲笑と、過去の清算〜

しおりを挟む
 第27話 王太子の追放 ~勘違い王子の永遠の嘲笑と、過去の清算~

レイヴン帝国の皇宮は、朝陽に輝いていた。  
アリシア・ルナミアは、皇后の寝室で目を覚ました。  
シルヴァン・レイヴンが、彼女を抱きしめたまま眠っていた。  
二人は、昨夜の甘い時間を思い出し、静かに微笑み合った。

シルヴァンは、アリシアの髪を優しく撫で、囁いた。

「アリシア……お前は、俺の皇后だ。  
これから、永遠に一緒に」

アリシアは、シルヴァンの胸に寄りかかり、頷いた。

「ええ……シルヴァン様。  
幸せです」

その時、扉がノックされた。  
ガレン・ブライトが入室し、深く頭を下げた。

「皇后陛下、皇太子殿下……王都オルティアからの報告です」

シルヴァンは、静かに頷いた。

「聞かせろ」

ガレンは、報告書を読み上げた。

「ヴァレンティン王太子は、王位を剥奪されました。  
国民の暴動と謝罪文の公開により、議会が決定。  
辺境の荒廃した領地へ、永久追放となります。  
彼は、『勘違い王子』として、永遠に嘲笑される運命です」

アリシアは、静かに目を伏せた。

「ヴァレンティン様……」

シルヴァンは、アリシアを抱きしめ、冷たく言った。

「当然の末路だ。  
お前を傷つけた男は、それで十分」

アリシアは、優しく微笑んだ。

「もう、終わったわ。  
彼も、苦しんだ。  
これで、すべて清算された」

王都オルティアでは、ヴァレンティンが、簡素な馬車で街を去っていた。  
市民たちが、道端に集まり、嘲笑の声を上げる。

「勘違い王子、さようなら!」  
「アリシア様を追放した罰だ!」  
「永遠に、辺境で暮らせ!」  

ヴァレンティンは、馬車の中から、外を見なかった。  
彼の瞳には、涙が乾いていた。

「アリシア……お前は、幸せに……  
俺は、もうお前に近づけない」

馬車が王都の門を出る瞬間、市民の歓声が響いた。

「勘違い王子、永遠に嘲笑されろ!」

ヴァレンティンは、辺境の荒野へ向かう道を、静かに進んだ。  
彼の心は、空っぽだった。  
だが、どこかで、解放されたような気がした。

一方、レイヴン帝国の皇宮。  
アリシアは、シルヴァンとバルコニーで朝陽を見ていた。  
帝国の民が、皇后アリシアを祝福する声が、遠くから聞こえてくる。

「皇后陛下、万歳!」  
「アリシア様、帝国を救ってください!」

アリシアは、シルヴァンの手を握った。

「シルヴァン様……これからは、みんなを救っていきましょう」

シルヴァンは、アリシアを抱き寄せ、額にキスをした。

「ええ。  
お前の力で、帝国を豊かにする。  
俺がお前を守る」

ガレンが、静かに微笑んだ。

「皇后陛下……お幸せに」

アリシアは、ガレンに微笑み返した。

「ありがとう、ガレン。  
あなたも、一緒に」

二人は、手を繋ぎ、バルコニーから民を見下ろした。  
銀色の鷲の旗が、風に翻る。

王都オルティアの外れ。  
フィオナは、ぼろぼろの服を着て、道端に座っていた。  
彼女は、空を見上げ、静かに呟いた。

「アリシア……あなたが、勝ったのね……  
私も、もう終わり」

フィオナは、ゆっくりと立ち上がり、遠くの荒野へ歩き出した。  
彼女の背中は、孤独だった。

レイヴン帝国の空は、青く澄んでいた。  
アリシアとシルヴァンの新しい人生は、愛と希望に満ちていた。

アリシアは、シルヴァンの胸に寄りかかり、静かに呟いた。

「これで、本当にすべてが終わったわ」

シルヴァンは、アリシアを抱きしめ、優しく言った。

「これから、俺とお前の永遠が始まる」

二人は、朝陽に向かって微笑んだ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです

藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。 家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。 その“褒賞”として押しつけられたのは―― 魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。 けれど私は、絶望しなかった。 むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。 そして、予想外の出来事が起きる。 ――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。 「君をひとりで行かせるわけがない」 そう言って微笑む勇者レオン。 村を守るため剣を抜く騎士。 魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。 物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。 彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。 気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き―― いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。 もう、誰にも振り回されない。 ここが私の新しい居場所。 そして、隣には――かつての仲間たちがいる。 捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。 これは、そんな私の第二の人生の物語。

【完結】婚約破棄はいいのですが、平凡(?)な私を巻き込まないでください!

白キツネ
恋愛
実力主義であるクリスティア王国で、学園の卒業パーティーに中、突然第一王子である、アレン・クリスティアから婚約破棄を言い渡される。 婚約者ではないのに、です。 それに、いじめた記憶も一切ありません。 私にはちゃんと婚約者がいるんです。巻き込まないでください。 第一王子に何故か振られた女が、本来の婚約者と幸せになるお話。 カクヨムにも掲載しております。

婚約破棄された令嬢は、“神の寵愛”で皇帝に溺愛される 〜私を笑った全員、ひざまずけ〜

夜桜
恋愛
「お前のような女と結婚するくらいなら、平民の娘を選ぶ!」 婚約者である第一王子・レオンに公衆の面前で婚約破棄を宣言された侯爵令嬢セレナ。 彼女は涙を見せず、静かに笑った。 ──なぜなら、彼女の中には“神の声”が響いていたから。 「そなたに、我が祝福を授けよう」 神より授かった“聖なる加護”によって、セレナは瞬く間に癒しと浄化の力を得る。 だがその力を恐れた王国は、彼女を「魔女」と呼び追放した。 ──そして半年後。 隣国の皇帝・ユリウスが病に倒れ、どんな祈りも届かぬ中、 ただ一人セレナの手だけが彼の命を繋ぎ止めた。 「……この命、お前に捧げよう」 「私を嘲った者たちが、どうなるか見ていなさい」 かつて彼女を追放した王国が、今や彼女に跪く。 ──これは、“神に選ばれた令嬢”の華麗なるざまぁと、 “氷の皇帝”の甘すぎる寵愛の物語。

とある令嬢の優雅な別れ方 〜婚約破棄されたので、笑顔で地獄へお送りいたします〜

入多麗夜
恋愛
【完結まで執筆済!】 社交界を賑わせた婚約披露の茶会。 令嬢セリーヌ・リュミエールは、婚約者から突きつけられる。 「真実の愛を見つけたんだ」 それは、信じた誠実も、築いてきた未来も踏みにじる裏切りだった。だが、彼女は微笑んだ。 愛よりも冷たく、そして美しく。 笑顔で地獄へお送りいたします――

「誰もお前なんか愛さない」と笑われたけど、隣国の王が即プロポーズしてきました

ゆっこ
恋愛
「アンナ・リヴィエール、貴様との婚約は、今日をもって破棄する!」  王城の大広間に響いた声を、私は冷静に見つめていた。  誰よりも愛していた婚約者、レオンハルト王太子が、冷たい笑みを浮かべて私を断罪する。 「お前は地味で、つまらなくて、礼儀ばかりの女だ。華もない。……誰もお前なんか愛さないさ」  笑い声が響く。  取り巻きの令嬢たちが、まるで待っていたかのように口元を隠して嘲笑した。  胸が痛んだ。  けれど涙は出なかった。もう、心が乾いていたからだ。

王命により、婚約破棄されました。

緋田鞠
恋愛
魔王誕生に対抗するため、異界から聖女が召喚された。アストリッドは結婚を翌月に控えていたが、婚約者のオリヴェルが、聖女の指名により独身男性のみが所属する魔王討伐隊の一員に選ばれてしまった。その結果、王命によって二人の婚約が破棄される。運命として受け入れ、世界の安寧を祈るため、修道院に身を寄せて二年。久しぶりに再会したオリヴェルは、以前と変わらず、アストリッドに微笑みかけた。「私は、長年の約束を違えるつもりはないよ」。

才能が開花した瞬間、婚約を破棄されました。ついでに実家も追放されました。

キョウキョウ
恋愛
ヴァーレンティア子爵家の令嬢エリアナは、一般人の半分以下という致命的な魔力不足に悩んでいた。伯爵家の跡取りである婚約者ヴィクターからは日々厳しく責められ、自分の価値を見出せずにいた。 そんな彼女が、厳しい指導を乗り越えて伝説の「古代魔法」の習得に成功した。100年以上前から使い手が現れていない、全ての魔法の根源とされる究極の力。喜び勇んで婚約者に報告しようとしたその瞬間―― 「君との婚約を破棄することが決まった」 皮肉にも、人生最高の瞬間が人生最悪の瞬間と重なってしまう。さらに実家からは除籍処分を言い渡され、身一つで屋敷から追い出される。すべてを失ったエリアナ。 だけど、彼女には頼れる師匠がいた。世界最高峰の魔法使いソリウスと共に旅立つことにしたエリアナは、古代魔法の力で次々と困難を解決し、やがて大きな名声を獲得していく。 一方、エリアナを捨てた元婚約者ヴィクターと実家は、不運が重なる厳しい現実に直面する。エリアナの大活躍を知った時には、すべてが手遅れだった。 真の実力と愛を手に入れたエリアナは、もう振り返る理由はない。 これは、自分の価値を理解してくれない者たちを結果的に見返し、厳しい時期に寄り添ってくれた人と幸せを掴む物語。

辺境の侯爵令嬢、婚約破棄された夜に最強薬師スキルでざまぁします。

コテット
恋愛
侯爵令嬢リーナは、王子からの婚約破棄と義妹の策略により、社交界での地位も誇りも奪われた。 だが、彼女には誰も知らない“前世の記憶”がある。現代薬剤師として培った知識と、辺境で拾った“魔草”の力。 それらを駆使して、貴族社会の裏を暴き、裏切った者たちに“真実の薬”を処方する。 ざまぁの宴の先に待つのは、異国の王子との出会い、平穏な薬草庵の日々、そして新たな愛。 これは、捨てられた令嬢が世界を変える、痛快で甘くてスカッとする逆転恋愛譚。

処理中です...