『婚約破棄ありがとうございます。自由を求めて隣国へ行ったら、有能すぎて溺愛されました』

鷹 綾

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第24話 真実が暴かれる日

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◆第24話 真実が暴かれる日

隣国ベルクラウス王国の政務庁――。

そこで、ひとりの官僚が震える指先で束ねた書類を抱え、
アイオンの部屋へと駆け込んだ。

「アイオン殿下補佐……! ついに……ついに出ました!」

「落ち着け。何の話だ?」

官僚は息を整え、深く頷いた。

「フェルメリア公爵令嬢――
 エヴァントラ様にかけられていた罪状、
 すべてが虚偽だったと証明されました!」

アイオンの瞳が一瞬だけ鋭く光を宿す。

「……詳細を聞かせてくれ」


---

◆隣国の調査による真実の暴露

机に広げられたのは、
エヴァントラが王国を去る前に扱っていた重要案件の記録。

交易条約、外交文書、財政調整――
どれも彼女が正しく処理していた証拠が残されていた。

「これは……彼女が“失策”とされた部分では?」

官僚が首を振る。

「いいえ。王国側の文官数名による改ざんと判明しました。
 エヴァントラ様の責任ではありません。
 むしろ――正しい判断をしていたのは彼女だけです」

さらに、隣国独自の照合によって、

・外交失敗の原因は王太子側の暴走
・財政赤字はアイラの浪費によるもの
・人事混乱はウィッシュの指示変更が原因

これらが次々に表面化した。

アイオンは書類を眺めながら、わずかに笑う。

「やはり……彼女は正しかったか」

胸の奥に湧いたのは、怒りではなかった。

“彼女が傷ついていたことを、もっと早く知りたかった”

そんな悔しさに似た感情だった。


---

◆一方その頃、エヴァントラは…

エヴァントラはこの時、
政務庁のサロンで静かにティータイムを取っていた。

「新しいミントティー、とても香りが良いですわね」

「エヴァントラ様、お知らせが……!」

飛び込んできた女性官吏が息を切らしながら報告する。

「あなたの冤罪が、正式に晴れました!
 隣国の調査で証拠がそろい、
 議会にも共有されました!」

エヴァントラは、ほんの一瞬だけ高速でまばたきをした。

「……そう、ですの」

驚きというより、悟りに近い表情だった。

「いつか明らかになるとは思っていましたが、
 こんなに早いとは。……思ったより世の中、親切ですわね」

その落ち着きに、周囲の官吏たちは逆に動揺した。

「え、エヴァントラ様……普通、歓喜するとか……」

「無実が証明されたのですよ!?」

エヴァントラは紅茶を口に含み、静かに微笑む。

「冤罪は晴れましたが……
 わたくしはもう、あの国に未練などありませんわ。
 今の生活のほうが、はるかに快適ですもの」

優雅で、強くて、何より自由な令嬢。

その姿に、周囲は改めて“この人こそ本物だ”と確信した。


---

◆真実は王国へ——そして炎上が始まる

同じ頃、王国の宮廷でも書簡が届いた。

文官A「……フェルメリア様は無実だった……?」

文官B「王太子殿下の判断ミス、そしてアイラ様の虚偽報告……!」

文官C「これでは……王太子側がすべての責任者では……?」

書簡の内容に宮廷が騒然となる中、
事態を理解できていない者がまだ一人いた。

「なんだ、その書類は?」

ウィッシュが書簡を奪い取って読み始めた。

そして――顔色が、みるみる蒼白になっていく。

「嘘だ……これは嘘だ……!
 エヴァントラが……正しかった?
 俺の判断が全部……間違っていた……?」

しかし、周囲の視線は冷酷だった。

文官たちは静かに、しかし確信を持って言った。

「殿下、とうとう真実が明らかになりました。
 この国を混乱させたのは――
 エヴァントラ様ではなく、殿下です」

「っ……!!」

ウィッシュはその場に立ち尽くし、震えた。

アイラはといえば、事の重大さに気付かず
「え? それって私のせいじゃないですわよね?」
などと呑気そのもの。

その瞬間、王宮の女性官吏と文官たちの怒りが爆発した。

「アイラ様、あなたの報告こそが虚偽だったのです!」

「王太子殿下も責任を取るべきです!」

「今すぐ国王陛下に申し開きを!」

二人を擁護する声は、もはや一つもなかった。


---

◆エヴァントラの“評価逆転現象”が起きる

相反するように、
隣国ではエヴァントラの評価が急上昇していた。

・政治能力
・分析力
・外交感覚
・人格

すべてが高く評価され、
ついには“隣国王族の後見人をつけるべき”との声まで上がった。

アイオンは、そんな周囲の反応に
少しだけ満足げな顔をしていた。

(……彼女がこの国で幸せに生きられるように)

その想いを胸に、アイオンは書類を閉じた。


---

◆そして物語は一気に加速する

王国は崩壊へ向かい、
エヴァントラは隣国でさらに影響力を増していく。

運命の分岐点は、まだこの先にある。

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