14 / 31
14 久々に登校しようとした結果
しおりを挟む
残暑が続く夏。
ドロテアは東屋にかけられた梯子をのぼり、白鴛鴦の巣の横にある空になっていた桶に水を足した。
「お嬢様。滑って落ちないで下さいねっ」
「大丈夫よ。蔦があるから滑ることはないわ。それに白鴛鴦はいま私の研究対象だから」
「だからって毎日毎日こんなっ」
水を飲みながら雌の白鴛鴦がキュラララン♪と美しい鳴き声を上げた。庭に心地好い魔力の波動がひろがる。
ドロテアは氷柱のように伸びた透明な嘴に触れ、優しく撫でた。冷気のような涼しい魔力を感じる。
「ふふ。やはり産卵したら雌の魔力量は元通りになったわね」
学習をはやめたドロテアの成績は優秀だった。その出来はよく、次々と試験をパスしていった。
前世で効率のよい勉強のやり方を知っていたドロテアは、以前のように一位を取るのではなく、試験に受かる勉強をしていた。
好成績を取ることに重点を置かない。
要は合格最低点の把握である。
手を抜いたのも訳があった。
初秋には三年分の単位を取得して、残す課題はあとひとつだけだった。しかしその課題ももう終わった。勉強で手を抜いて余った時間で作成した卒業論文だ。それを提出すれば、然るべき時に卒業資格が貰える。
「ふぅ。なんとか一年以内に済みそう」
ドロテアは卒業までの余った時間で自分を磨こうと思っていた。博識なブラッドリーと交流する内に自分はあまりにも無知だと気弱になったのだ。もっと本も読んで、ウエストも搾って、上目遣いの練習もしとかないと。もうすぐ定期収入も入る。王都いちのマッサージが受けれると評判の美容サロンにも通いたい。と、思っていたのだが──。
「そろそろ巣立ちかと先日巣を確認しましたの。そしたら夜が明ける前に巣立ってしまったようで。後に残っていたのは孵化しなかった卵がふたつ……はぁ。一つは王家に献上することが決まりましたが、残る一つの用途はブラッドリー様と決めなさいとお父様に言われまして。その事で急にお呼び出ししてしまい申し訳ありませんでした」
「え? あ、いや、擬似卵は好きにするといい。それよりも……君は本当に恐ろしいほど勤勉なのだな」
「?」
返答の意図が解らずドロテアは首を傾げる。
今ブラッドリーは馬車の中で、ドロテアの通学に付き添っている。その手には今から学園に提出する予定のドロテアの卒業論文がある。
タイトルは『妊娠時における魔力の増加、或いは魔力過多』
魔力の増加方法とは──魔力持ちの人間は血液や体液にも魔力が含まれていることから、身体を鍛えて筋肉量を増やすことでも魔力が上がる。故に女は男並に魔力量を増やせないが、例外がある。
「……まさか子宮に、とは」
「驚かれました?」
「……ああ」
女は腹に魔力を溜めることができるのだ。それも初潮がきた体でないといけない。正確には魔力量を増やすのではなく、元々の内在量を越えて魔力を溜めることができる、その保存場所が子宮という。
これは妊娠時と同じ現象で、魔力持ちの女は、魔力持ちの子を宿す。その場合、妊娠時は一人の体に二人分の魔力が宿る現象が起きる。ドロテアの論文はそれを応用して同じ現象を初潮がきた女性の体で起こすことが可能という、今まで類をみない論文だった。
鍛練による魔力の増加量は多くても二割増。しかしドロテアの論文による魔力の増加量は少なくとも二倍。初潮から閉経までの一時的な増加だとしても、年月が長い。要は女性は子供が生める内はこの恩恵に与れるのだ。平民でも魔力持ちはいる。貴族の女性や女騎士のみならず、今後は女性の地位が劇的に変わる、ブラッドリーはそう思った。
これは国家機密級の論文だと、そしてまさに魔法研究科に相応しい論文だとブラッドリーは舌を巻いた。
論文の作成に協力した女医の名前もある。
……アンナ・バリュ。
その名にブラッドリーの胸に疚しい気持ちが沸き上がるも、あれはドロテアの未来の夫として知っておくべきことだったと自身を納得させた。そしてこの論文の作成に関わった医師を、王家は放っておかない。早急に王命が下され、学園勤めから王宮勤めになる。大出世だ。
「ドロテア……これは学園になど提出してはいけない」
「え?」
「そして私は今から君を拐う。学園にはいかせない」
「え!?」
この後、ブラッドリーの鬼気迫る説得により、向かう先は学園から王宮へ急遽変更された。
そしてその一週間後。
国王の一存により特例でドロテアの卒業資格が出された。学園は生徒のみならずその親戚や多くの業者が出入りする場だ。現在は王族の生徒はおらず、王立騎士も駐在していない。およそ二年後、ドロテアが卒業日に登校して誘拐されては国の損失だと、特例で卒業させたのだ。貴族は在学中の結婚は認められていないが、既に全ての科で単位を取得しているブラッドリーにはその許可がおりた。国の重鎮であるクワイス家に、早くジューン家を取り込めという国王の催促でもあった。
秋も終わり雪が降る前に、ブラッドリーとドロテアの結婚式が王宮で行われた。
場所は水晶宮。
噂ではかの御方が掌中の珠を愛でる為に建てられた宮殿だと、とある一部の貴族だけに真しやかに囁かれている。
誰も住んでいないのにその宮殿はピカピカに磨かれていた。窓枠やドアノブに至る一つ一つが、細部まで精巧に装飾の凝った造りだった。
ドロテアは花嫁用の準備室でただその時を待っていた。
カミラは母胎がまだ不安定なため大事をとって欠席となったが、側にはコリンとライラ、早朝から慌ただしく動いてくれた王宮勤めの侍女達。そしてガクブルしているティアラがいる。
「ジュー……いえ、クワイス様。わたくしなんかが学友として出入りしてしまい、本当に申し訳ありません」
「そんなこちらこそ。急な呼び出しで驚かせてしまいましたね。王宮で殿下にお目通りした際、少しお話致しましたの。その時によかったら学園の生徒も一名招待したらどうかと提案されまして。でも私は殆ど登校していなかったので……そこであの時医務室まで付き添ってくれたお優しいティアラ様の顔が浮かんで……それで、つい」
「クワイス様……」
ドロテアはかの御方と謁見した際、学園を懐かしむかの御方にティアラの話をしたのだった。勿論ドロテアはティアラがかの御方の隠し子であることなど知らない振りをした。
非常に上機嫌になったかの御方は、水晶宮を使う許可をくれた。そこで学園で優しくしてくれたティアラも呼びたいと、ドロテアはお願いしたのだった。
「ドーンズ家は距離があるでしょう? 私達は新婚なのでこの後タウンハウスに帰るのですが、ティアラ様はこの水晶宮に泊まっていって下さいね?」
「ええっ!? し、しかし」
「気にしないで。もうその準備もしてあるのよ。他にも数名、未婚の淑女が侍女と宿泊する予定だけれど、広いから顔を合わせることはまずないわ」
「……は、はい。ではお言葉に甘えて」
ドロテアはティアラに関しては原作の内容を改悪するような事態を引き起こす気はなかった。
ただ、あまりにもかの御方がティアラに関する話を切な気に、一言も取り零すまいと真剣に聞いていたので、少し手助けしたくなったのだった。
式が終わった後、この水晶宮に残ったティアラは偶然を装ったかの御方と鉢合わすことになる。それをきっかけに二人の交流がはじまるのは、まだ先のお話。
ドロテアは東屋にかけられた梯子をのぼり、白鴛鴦の巣の横にある空になっていた桶に水を足した。
「お嬢様。滑って落ちないで下さいねっ」
「大丈夫よ。蔦があるから滑ることはないわ。それに白鴛鴦はいま私の研究対象だから」
「だからって毎日毎日こんなっ」
水を飲みながら雌の白鴛鴦がキュラララン♪と美しい鳴き声を上げた。庭に心地好い魔力の波動がひろがる。
ドロテアは氷柱のように伸びた透明な嘴に触れ、優しく撫でた。冷気のような涼しい魔力を感じる。
「ふふ。やはり産卵したら雌の魔力量は元通りになったわね」
学習をはやめたドロテアの成績は優秀だった。その出来はよく、次々と試験をパスしていった。
前世で効率のよい勉強のやり方を知っていたドロテアは、以前のように一位を取るのではなく、試験に受かる勉強をしていた。
好成績を取ることに重点を置かない。
要は合格最低点の把握である。
手を抜いたのも訳があった。
初秋には三年分の単位を取得して、残す課題はあとひとつだけだった。しかしその課題ももう終わった。勉強で手を抜いて余った時間で作成した卒業論文だ。それを提出すれば、然るべき時に卒業資格が貰える。
「ふぅ。なんとか一年以内に済みそう」
ドロテアは卒業までの余った時間で自分を磨こうと思っていた。博識なブラッドリーと交流する内に自分はあまりにも無知だと気弱になったのだ。もっと本も読んで、ウエストも搾って、上目遣いの練習もしとかないと。もうすぐ定期収入も入る。王都いちのマッサージが受けれると評判の美容サロンにも通いたい。と、思っていたのだが──。
「そろそろ巣立ちかと先日巣を確認しましたの。そしたら夜が明ける前に巣立ってしまったようで。後に残っていたのは孵化しなかった卵がふたつ……はぁ。一つは王家に献上することが決まりましたが、残る一つの用途はブラッドリー様と決めなさいとお父様に言われまして。その事で急にお呼び出ししてしまい申し訳ありませんでした」
「え? あ、いや、擬似卵は好きにするといい。それよりも……君は本当に恐ろしいほど勤勉なのだな」
「?」
返答の意図が解らずドロテアは首を傾げる。
今ブラッドリーは馬車の中で、ドロテアの通学に付き添っている。その手には今から学園に提出する予定のドロテアの卒業論文がある。
タイトルは『妊娠時における魔力の増加、或いは魔力過多』
魔力の増加方法とは──魔力持ちの人間は血液や体液にも魔力が含まれていることから、身体を鍛えて筋肉量を増やすことでも魔力が上がる。故に女は男並に魔力量を増やせないが、例外がある。
「……まさか子宮に、とは」
「驚かれました?」
「……ああ」
女は腹に魔力を溜めることができるのだ。それも初潮がきた体でないといけない。正確には魔力量を増やすのではなく、元々の内在量を越えて魔力を溜めることができる、その保存場所が子宮という。
これは妊娠時と同じ現象で、魔力持ちの女は、魔力持ちの子を宿す。その場合、妊娠時は一人の体に二人分の魔力が宿る現象が起きる。ドロテアの論文はそれを応用して同じ現象を初潮がきた女性の体で起こすことが可能という、今まで類をみない論文だった。
鍛練による魔力の増加量は多くても二割増。しかしドロテアの論文による魔力の増加量は少なくとも二倍。初潮から閉経までの一時的な増加だとしても、年月が長い。要は女性は子供が生める内はこの恩恵に与れるのだ。平民でも魔力持ちはいる。貴族の女性や女騎士のみならず、今後は女性の地位が劇的に変わる、ブラッドリーはそう思った。
これは国家機密級の論文だと、そしてまさに魔法研究科に相応しい論文だとブラッドリーは舌を巻いた。
論文の作成に協力した女医の名前もある。
……アンナ・バリュ。
その名にブラッドリーの胸に疚しい気持ちが沸き上がるも、あれはドロテアの未来の夫として知っておくべきことだったと自身を納得させた。そしてこの論文の作成に関わった医師を、王家は放っておかない。早急に王命が下され、学園勤めから王宮勤めになる。大出世だ。
「ドロテア……これは学園になど提出してはいけない」
「え?」
「そして私は今から君を拐う。学園にはいかせない」
「え!?」
この後、ブラッドリーの鬼気迫る説得により、向かう先は学園から王宮へ急遽変更された。
そしてその一週間後。
国王の一存により特例でドロテアの卒業資格が出された。学園は生徒のみならずその親戚や多くの業者が出入りする場だ。現在は王族の生徒はおらず、王立騎士も駐在していない。およそ二年後、ドロテアが卒業日に登校して誘拐されては国の損失だと、特例で卒業させたのだ。貴族は在学中の結婚は認められていないが、既に全ての科で単位を取得しているブラッドリーにはその許可がおりた。国の重鎮であるクワイス家に、早くジューン家を取り込めという国王の催促でもあった。
秋も終わり雪が降る前に、ブラッドリーとドロテアの結婚式が王宮で行われた。
場所は水晶宮。
噂ではかの御方が掌中の珠を愛でる為に建てられた宮殿だと、とある一部の貴族だけに真しやかに囁かれている。
誰も住んでいないのにその宮殿はピカピカに磨かれていた。窓枠やドアノブに至る一つ一つが、細部まで精巧に装飾の凝った造りだった。
ドロテアは花嫁用の準備室でただその時を待っていた。
カミラは母胎がまだ不安定なため大事をとって欠席となったが、側にはコリンとライラ、早朝から慌ただしく動いてくれた王宮勤めの侍女達。そしてガクブルしているティアラがいる。
「ジュー……いえ、クワイス様。わたくしなんかが学友として出入りしてしまい、本当に申し訳ありません」
「そんなこちらこそ。急な呼び出しで驚かせてしまいましたね。王宮で殿下にお目通りした際、少しお話致しましたの。その時によかったら学園の生徒も一名招待したらどうかと提案されまして。でも私は殆ど登校していなかったので……そこであの時医務室まで付き添ってくれたお優しいティアラ様の顔が浮かんで……それで、つい」
「クワイス様……」
ドロテアはかの御方と謁見した際、学園を懐かしむかの御方にティアラの話をしたのだった。勿論ドロテアはティアラがかの御方の隠し子であることなど知らない振りをした。
非常に上機嫌になったかの御方は、水晶宮を使う許可をくれた。そこで学園で優しくしてくれたティアラも呼びたいと、ドロテアはお願いしたのだった。
「ドーンズ家は距離があるでしょう? 私達は新婚なのでこの後タウンハウスに帰るのですが、ティアラ様はこの水晶宮に泊まっていって下さいね?」
「ええっ!? し、しかし」
「気にしないで。もうその準備もしてあるのよ。他にも数名、未婚の淑女が侍女と宿泊する予定だけれど、広いから顔を合わせることはまずないわ」
「……は、はい。ではお言葉に甘えて」
ドロテアはティアラに関しては原作の内容を改悪するような事態を引き起こす気はなかった。
ただ、あまりにもかの御方がティアラに関する話を切な気に、一言も取り零すまいと真剣に聞いていたので、少し手助けしたくなったのだった。
式が終わった後、この水晶宮に残ったティアラは偶然を装ったかの御方と鉢合わすことになる。それをきっかけに二人の交流がはじまるのは、まだ先のお話。
1,420
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
君は番じゃ無かったと言われた王宮からの帰り道、本物の番に拾われました
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ココはフラワーテイル王国と言います。確率は少ないけど、番に出会うと匂いで分かると言います。かく言う、私の両親は番だったみたいで、未だに甘い匂いがするって言って、ラブラブです。私もそんな両親みたいになりたいっ!と思っていたのに、私に番宣言した人からは、甘い匂いがしません。しかも、番じゃなかったなんて言い出しました。番婚約破棄?そんなの聞いた事無いわっ!!
打ちひしがれたライムは王宮からの帰り道、本物の番に出会えちゃいます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる