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・腹黒宰相は異世界転移のモブを溺愛する
37)隠し子? sideイブキ
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屋敷に戻ってからはまた以前と変わらない日々を過ごしている。エルシドは忙しいようで、ほとんど顔を合わせていない。瘴気の浄化が本格化してきたらしく王宮に呼び出されることが多くなったようだ。
「イブ様、申し訳ありません。本日は私もエルシド様の護衛で王宮に出向かないといけなくなりました。中庭にはクルトと一緒に行ってもらえますか?」
日課にしている庭の散策ぐらいなら、もう一人で行けるのに。屋敷の皆は僕に甘すぎると思う。
「わかりました。もうだいぶと屋敷の周辺は覚えたので迷子になる事もないと思います」
「はい。敷地内には結界が張られていますので心配はないと思いますが」
「ふふ。デニスさんは心配性ですね。大丈夫ですよ」
昼食の後、クルトと一緒に図書室で勉強をする。クルトは文字を。僕は魔道具の扱い方を習っている。クラークさんにチカラを使う練習がしたいと言ったら、ではまずは魔道具の使い方を覚えましょうかと言われた。魔道具を扱うのにもごく少量のチカラを使うのだそうだ。魔道具には種類があって生活魔道具だけでなく、武器として使える物もあった。
本当は戦いたくなんかはない。だけどエルシドと一緒に居るなら自分の身を守ることぐらいはできないといけないと気づく。そのためにいろいろ試したのだが、僕に攻撃魔法は使えない事が分かった。まあモブだしね。
でもちょっとした生活魔法ぐらいなら使える様になった。浮遊ライトを呼び寄せたり、カーテンを開け閉めしたりとかね。武器として使える魔道具に関しては騎士が使う戦闘用の物が多くて僕には重いし大きすぎる。これは今クラークさんと相談中だ。
「今日はこのくらいにしておきましょうか?」
「はい。ありがとうございます」
今日は生活魔法のおさらいだったのでメイドさんから教わっていた。
「あれ?クルト寝てるの?」
僕の隣で文字の練習をしていたはずのクルトが眠りこけていた。やけにおとなしいと思ってたのだがこの年で屋敷の手伝いをしながら勉強をするのは大変だろう。クルトは貧民街で倒れていたところをエルシドに拾われたらしい。だからエルシドには恩を感じているようだ。
「あらら。しょうがないですね。起こしましょうか?」
「いえ。もう少し寝かせてあげてください」
クルトの事はメイドさんにお任せした。デニスには一人で中庭に出ない様にと言われていたがユキも一緒だしいいかな?。たまには一人でゆっくり外の空気を吸ってみたい。
ぱたぱたぱた……。
「ユキ上手になったね」
ユキは飛ぶのが上手くなった。綺麗な羽が生えてきた。見た目はまだ毛玉のようだが、羽の部分だけ綺麗に生えそろえてきたようだ。
この世界のオウルは少しづつ成長してくようで、傍で観察できる機会を得た僕は幸せだと思う。
ただ着地がまだ下手なのだ。追い風に乗って自分の着地したいところまで飛ぶのだが、風に乗りすぎて違う場所に降りてしまうらしい。
「あっだめだよ。そっちは敷地外になっちゃうよ」
風に乗りすぎてユキがいつもと違う方向に飛んでいく。慌てて追いかけると敷地を囲んでいる木々の合間にユキが降りたようだった。ここは敷地の境界にあたる場所だろう。ユキは境界の向こう側にいる。手を伸ばすとぱちんっと音がして道が見えた。結界が綻んだのか?石畳が続いてるのが見える。
「これって連絡通路なのかな?」
こんな場所に道があるなんて気づかなかった。いつも皆から敷地から出てはいけないと言われていたからこんな端まで行ったことはなかったのだ。しばらく使われてないのか雑草がかなり伸びていた。
「行ってみようか?」
「ピィ」
クラークさんに見つかると叱られるかもしれない。でもこの先に何があるのかが知りたかった。屋敷とこの先が繋がっているならブラッドフォード家と関りがあるはずだからだ。
「誰?誰かいるの?」
少し進んだところで誰かの声が聞こえた。子供の声なのか?
「怪しいモノじゃないです。僕はイブキと言います」
僕は出来るだけゆっくりと大きな声で名乗った。
「イブキ?向こうの屋敷の者じゃないんだな?」
現れたのはエルシドのミニチュア版のような銀髪碧眼の少年だ。隠し子なのか?クルトぐらいに見える。
「えっと。……屋敷には置いてもらっています」
「客人なのか?」
「そうです」
クラークさんがそう言っていたから客人でも嘘ではないだろう。今すぐ全部を説明するのは難しい。
「ふうん。……ぼくはラインフェルト・ジュニアだ」
「へえ。ラインフェルトってかっこいい名前ですね」
「そ、そうなんだ!カッコいいだろう?」
名前を褒められて喜ぶなんて可愛いな。なんだか幼いエルシドと話しているみたいだ。辺りを見渡すと、どうやら別の敷地内のようだ。でも繋がっているのに行き来がされていないっていうのはどういうことなのだろう。
「そちらから人が来るのは久しぶりだ」
「そうなんですね。ここはラインフェルトの屋敷なの?」
「そうだ。今日は母様のお見舞いに来たのだ」
「お見舞いって。お母さんって体調が良くないんですか?」
「ずっと寝込んでいる。僕は普段は寄宿学校にいるんだが、今日は母様の誕生日だったんだ」
「イブ様、申し訳ありません。本日は私もエルシド様の護衛で王宮に出向かないといけなくなりました。中庭にはクルトと一緒に行ってもらえますか?」
日課にしている庭の散策ぐらいなら、もう一人で行けるのに。屋敷の皆は僕に甘すぎると思う。
「わかりました。もうだいぶと屋敷の周辺は覚えたので迷子になる事もないと思います」
「はい。敷地内には結界が張られていますので心配はないと思いますが」
「ふふ。デニスさんは心配性ですね。大丈夫ですよ」
昼食の後、クルトと一緒に図書室で勉強をする。クルトは文字を。僕は魔道具の扱い方を習っている。クラークさんにチカラを使う練習がしたいと言ったら、ではまずは魔道具の使い方を覚えましょうかと言われた。魔道具を扱うのにもごく少量のチカラを使うのだそうだ。魔道具には種類があって生活魔道具だけでなく、武器として使える物もあった。
本当は戦いたくなんかはない。だけどエルシドと一緒に居るなら自分の身を守ることぐらいはできないといけないと気づく。そのためにいろいろ試したのだが、僕に攻撃魔法は使えない事が分かった。まあモブだしね。
でもちょっとした生活魔法ぐらいなら使える様になった。浮遊ライトを呼び寄せたり、カーテンを開け閉めしたりとかね。武器として使える魔道具に関しては騎士が使う戦闘用の物が多くて僕には重いし大きすぎる。これは今クラークさんと相談中だ。
「今日はこのくらいにしておきましょうか?」
「はい。ありがとうございます」
今日は生活魔法のおさらいだったのでメイドさんから教わっていた。
「あれ?クルト寝てるの?」
僕の隣で文字の練習をしていたはずのクルトが眠りこけていた。やけにおとなしいと思ってたのだがこの年で屋敷の手伝いをしながら勉強をするのは大変だろう。クルトは貧民街で倒れていたところをエルシドに拾われたらしい。だからエルシドには恩を感じているようだ。
「あらら。しょうがないですね。起こしましょうか?」
「いえ。もう少し寝かせてあげてください」
クルトの事はメイドさんにお任せした。デニスには一人で中庭に出ない様にと言われていたがユキも一緒だしいいかな?。たまには一人でゆっくり外の空気を吸ってみたい。
ぱたぱたぱた……。
「ユキ上手になったね」
ユキは飛ぶのが上手くなった。綺麗な羽が生えてきた。見た目はまだ毛玉のようだが、羽の部分だけ綺麗に生えそろえてきたようだ。
この世界のオウルは少しづつ成長してくようで、傍で観察できる機会を得た僕は幸せだと思う。
ただ着地がまだ下手なのだ。追い風に乗って自分の着地したいところまで飛ぶのだが、風に乗りすぎて違う場所に降りてしまうらしい。
「あっだめだよ。そっちは敷地外になっちゃうよ」
風に乗りすぎてユキがいつもと違う方向に飛んでいく。慌てて追いかけると敷地を囲んでいる木々の合間にユキが降りたようだった。ここは敷地の境界にあたる場所だろう。ユキは境界の向こう側にいる。手を伸ばすとぱちんっと音がして道が見えた。結界が綻んだのか?石畳が続いてるのが見える。
「これって連絡通路なのかな?」
こんな場所に道があるなんて気づかなかった。いつも皆から敷地から出てはいけないと言われていたからこんな端まで行ったことはなかったのだ。しばらく使われてないのか雑草がかなり伸びていた。
「行ってみようか?」
「ピィ」
クラークさんに見つかると叱られるかもしれない。でもこの先に何があるのかが知りたかった。屋敷とこの先が繋がっているならブラッドフォード家と関りがあるはずだからだ。
「誰?誰かいるの?」
少し進んだところで誰かの声が聞こえた。子供の声なのか?
「怪しいモノじゃないです。僕はイブキと言います」
僕は出来るだけゆっくりと大きな声で名乗った。
「イブキ?向こうの屋敷の者じゃないんだな?」
現れたのはエルシドのミニチュア版のような銀髪碧眼の少年だ。隠し子なのか?クルトぐらいに見える。
「えっと。……屋敷には置いてもらっています」
「客人なのか?」
「そうです」
クラークさんがそう言っていたから客人でも嘘ではないだろう。今すぐ全部を説明するのは難しい。
「ふうん。……ぼくはラインフェルト・ジュニアだ」
「へえ。ラインフェルトってかっこいい名前ですね」
「そ、そうなんだ!カッコいいだろう?」
名前を褒められて喜ぶなんて可愛いな。なんだか幼いエルシドと話しているみたいだ。辺りを見渡すと、どうやら別の敷地内のようだ。でも繋がっているのに行き来がされていないっていうのはどういうことなのだろう。
「そちらから人が来るのは久しぶりだ」
「そうなんですね。ここはラインフェルトの屋敷なの?」
「そうだ。今日は母様のお見舞いに来たのだ」
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