39 / 99
・腹黒宰相は異世界転移のモブを溺愛する
38)小さなエルシド sideイブキ
しおりを挟む
「ところでそれはなんだ?」
それって僕の肩に乗っているユキの事だな?興味津々って感じだな。この子、動物が好きなのかな?
「オウルの雛だよ」
「すごい!イブキが飼っているのか?」
「そうなのかな?飼っているというより、友達みたいな感じかな?」
「オウルと友達になれるのか?」
「慣れたらラインフェルトとも友達になれると思うよ」
「本当か?ぼくの守護獣はオウルなのだ!」
ああ、やっぱりエルシドの血縁なんだな。お子さんが居るなんて誰も教えてくれなかったのに。いや、僕が聞かなかったからかな。屋敷の皆は僕の問いかけには必ず答えてくれる。皆良い人だばかりだ。
「ピィーピィ」
「わあ。鳴くんだ。可愛いな」
ユキの仕草を見て急に幼い口調になる。その方が年相応にみえる。笑顔が可愛い。
「ねえ、ラインフェルトの話し方って貴族の話し方なの?」
「そうだ。ぼくはブラッドフォード家の跡取りだからな」
「……そうなんだね」
「そうだ!ぼくは父様以上の男にならないといけないのだ!」
「そうか。頑張ってね」
相手は自分よりも年下の男の子なのに。胸の奥がチリチリする。見れば見るほどエルシドそっくりだ。でもなぜ同じ屋敷に住まないのだろうか?奥さんはどこにいるのだろう?
「ピィ?」
「ふふ。今首をまげた?ぼくの顔をじっと見てるよ!」
きっとユキは不思議なのだろう。エルシドが小さくなったと思っているのかもしれない。
ぱたぱた……。
ユキが僕から離れてラインフェルトの肩に乗る。初対面の人に自分から行くなんて珍しい。
「わああ。見てイブキ!僕の肩に乗ったよ!」
「……暴れないで。大人しくしていたらユキは乗っていてくれるよ」
「ユキって言う名前なの?おいでユキ。かわいいなあ」
「ピィ―ピピ―」
ユキがこの子を気に入ったみたいだ。なんだか僕の手からこの子にすべてが移っていくようで怖くなった。喪失感なのか。嫉妬なのか。この小さな男の子はユキさえも魅了するのか?エルシドも可愛がっているのだろうか?
「ユキはまだ子供なのかな?」
「そうだね。僕が育ててるって感じかな?」
「そうなんだ……ユキは傍に育ててくれる人がいてくれていいね」
え?そうか。この子、寄宿学校って言っていた。じゃあ親元であまり暮らしたことがないのかもしれない。横顔が寂しそうに見える。この表情。ときどきエルシドが見せる表情と似ている。
「友達に……なろうか?」
「本当に?いいの?」
「ああ。僕でよければ」
思わず言ってしまっていた。なんだかほおっておけない気がしたからだ。
「ありがとう。イブキからは他の大人たちのような嫌な感じがしない。ユキもいるし友達になってくれて嬉しい」
この子は貴族社会の中で生きているんだなと感じた。子供から取り込もうとする相手もいるのだろう。それを子供なりに敏感にかぎ取っているのかもしれない。
「坊ちゃま!どこですか?」
「ここだ!すぐに行く!」
女性の声にラインフェルトが僕を雑草の奥に追いやる。
「どうしたの?」
「メイド長のドロレスだよ。見つかったら面倒だから今日はもう帰って!」
「わかった」
「あ、待って。……明日も来てくれる?」
「うん。じゃあこの時間に」
「うん。僕は明日迄ここにいるよ。明日また来てね」
石畳を抜けるとクルトが半べそをかきながらやってきた。僕のことを探していたんだろう。
「イブ!よかった。どこに行ってたんだよぉ」
「ごめん、ごめん。ちょっと迷子になっちゃってさ」
「もぉ!部屋を出る時はぼくを連れて行ってよ!エルシド様に怒られちゃう」
「わかった、わかった。ごめんよ」
エルシドや屋敷の皆が僕に敷地内から出てはいけないって言っていたのはこういう事だったのだろうか。この屋敷の隣とラインフェルトの屋敷が繋がっているなんて。
エルシドは結婚していないと聞いていたから側室の屋敷?なのか?子供もいるのに?貴族だから?……このもやもやした気持ちを誰に相談したらいいのだろうか?
「団長さん来ないかな」
あれから団長さんは時間を見つけては東の森に通っているらしい。自分の守護獣がいるんだものな。僕やユキに会うよりはそちらに行ってしまうのだろう。
「ピィ?」
ユキが心配そうに僕を覗き込む。
「大丈夫だよ。ちょっと考え事していただけ」
本人に直接聞くべきだろうか。
それって僕の肩に乗っているユキの事だな?興味津々って感じだな。この子、動物が好きなのかな?
「オウルの雛だよ」
「すごい!イブキが飼っているのか?」
「そうなのかな?飼っているというより、友達みたいな感じかな?」
「オウルと友達になれるのか?」
「慣れたらラインフェルトとも友達になれると思うよ」
「本当か?ぼくの守護獣はオウルなのだ!」
ああ、やっぱりエルシドの血縁なんだな。お子さんが居るなんて誰も教えてくれなかったのに。いや、僕が聞かなかったからかな。屋敷の皆は僕の問いかけには必ず答えてくれる。皆良い人だばかりだ。
「ピィーピィ」
「わあ。鳴くんだ。可愛いな」
ユキの仕草を見て急に幼い口調になる。その方が年相応にみえる。笑顔が可愛い。
「ねえ、ラインフェルトの話し方って貴族の話し方なの?」
「そうだ。ぼくはブラッドフォード家の跡取りだからな」
「……そうなんだね」
「そうだ!ぼくは父様以上の男にならないといけないのだ!」
「そうか。頑張ってね」
相手は自分よりも年下の男の子なのに。胸の奥がチリチリする。見れば見るほどエルシドそっくりだ。でもなぜ同じ屋敷に住まないのだろうか?奥さんはどこにいるのだろう?
「ピィ?」
「ふふ。今首をまげた?ぼくの顔をじっと見てるよ!」
きっとユキは不思議なのだろう。エルシドが小さくなったと思っているのかもしれない。
ぱたぱた……。
ユキが僕から離れてラインフェルトの肩に乗る。初対面の人に自分から行くなんて珍しい。
「わああ。見てイブキ!僕の肩に乗ったよ!」
「……暴れないで。大人しくしていたらユキは乗っていてくれるよ」
「ユキって言う名前なの?おいでユキ。かわいいなあ」
「ピィ―ピピ―」
ユキがこの子を気に入ったみたいだ。なんだか僕の手からこの子にすべてが移っていくようで怖くなった。喪失感なのか。嫉妬なのか。この小さな男の子はユキさえも魅了するのか?エルシドも可愛がっているのだろうか?
「ユキはまだ子供なのかな?」
「そうだね。僕が育ててるって感じかな?」
「そうなんだ……ユキは傍に育ててくれる人がいてくれていいね」
え?そうか。この子、寄宿学校って言っていた。じゃあ親元であまり暮らしたことがないのかもしれない。横顔が寂しそうに見える。この表情。ときどきエルシドが見せる表情と似ている。
「友達に……なろうか?」
「本当に?いいの?」
「ああ。僕でよければ」
思わず言ってしまっていた。なんだかほおっておけない気がしたからだ。
「ありがとう。イブキからは他の大人たちのような嫌な感じがしない。ユキもいるし友達になってくれて嬉しい」
この子は貴族社会の中で生きているんだなと感じた。子供から取り込もうとする相手もいるのだろう。それを子供なりに敏感にかぎ取っているのかもしれない。
「坊ちゃま!どこですか?」
「ここだ!すぐに行く!」
女性の声にラインフェルトが僕を雑草の奥に追いやる。
「どうしたの?」
「メイド長のドロレスだよ。見つかったら面倒だから今日はもう帰って!」
「わかった」
「あ、待って。……明日も来てくれる?」
「うん。じゃあこの時間に」
「うん。僕は明日迄ここにいるよ。明日また来てね」
石畳を抜けるとクルトが半べそをかきながらやってきた。僕のことを探していたんだろう。
「イブ!よかった。どこに行ってたんだよぉ」
「ごめん、ごめん。ちょっと迷子になっちゃってさ」
「もぉ!部屋を出る時はぼくを連れて行ってよ!エルシド様に怒られちゃう」
「わかった、わかった。ごめんよ」
エルシドや屋敷の皆が僕に敷地内から出てはいけないって言っていたのはこういう事だったのだろうか。この屋敷の隣とラインフェルトの屋敷が繋がっているなんて。
エルシドは結婚していないと聞いていたから側室の屋敷?なのか?子供もいるのに?貴族だから?……このもやもやした気持ちを誰に相談したらいいのだろうか?
「団長さん来ないかな」
あれから団長さんは時間を見つけては東の森に通っているらしい。自分の守護獣がいるんだものな。僕やユキに会うよりはそちらに行ってしまうのだろう。
「ピィ?」
ユキが心配そうに僕を覗き込む。
「大丈夫だよ。ちょっと考え事していただけ」
本人に直接聞くべきだろうか。
363
あなたにおすすめの小説
愛しの妻は黒の魔王!?
ごいち
BL
「グレウスよ、我が弟を妻として娶るがいい」
――ある日、平民出身の近衛騎士グレウスは皇帝に呼び出されて、皇弟オルガを妻とするよう命じられる。
皇弟オルガはゾッとするような美貌の持ち主で、貴族の間では『黒の魔王』と怖れられている人物だ。
身分違いの政略結婚に絶望したグレウスだが、いざ結婚してみるとオルガは見事なデレ寄りのツンデレで、しかもその正体は…。
魔法の国アスファロスで、熊のようなマッチョ騎士とツンデレな『魔王』がイチャイチャしたり無双したりするお話です。
表紙は豚子さん(https://twitter.com/M_buibui)に描いていただきました。ありがとうございます!
11/28番外編2本と、終話『なべて世は事もなし』に挿絵をいただいております! ありがとうございます!
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
弟のために悪役になる!~ヒロインに会うまで可愛がった結果~
荷居人(にいと)
BL
BL大賞20位。読者様ありがとうございました。
弟が生まれた日、足を滑らせ、階段から落ち、頭を打った俺は、前世の記憶を思い出す。
そして知る。今の自分は乙女ゲーム『王座の証』で平凡な顔、平凡な頭、平凡な運動能力、全てに置いて普通、全てに置いて完璧で優秀な弟はどんなに後に生まれようと次期王の継承権がいく、王にふさわしい赤の瞳と黒髪を持ち、親の愛さえ奪った弟に恨みを覚える悪役の兄であると。
でも今の俺はそんな弟の苦労を知っているし、生まれたばかりの弟は可愛い。
そんな可愛い弟が幸せになるためにはヒロインと結婚して王になることだろう。悪役になれば死ぬ。わかってはいるが、前世の後悔を繰り返さないため、将来処刑されるとわかっていたとしても、弟の幸せを願います!
・・・でもヒロインに会うまでは可愛がってもいいよね?
本編は完結。番外編が本編越えたのでタイトルも変えた。ある意味間違ってはいない。可愛がらなければ番外編もないのだから。
そしてまさかのモブの恋愛まで始まったようだ。
お気に入り1000突破は私の作品の中で初作品でございます!ありがとうございます!
2018/10/10より章の整理を致しました。ご迷惑おかけします。
2018/10/7.23時25分確認。BLランキング1位だと・・・?
2018/10/24.話がワンパターン化してきた気がするのでまた意欲が湧き、書きたいネタができるまでとりあえず完結といたします。
2018/11/3.久々の更新。BL小説大賞応募したので思い付きを更新してみました。
目が覚めたら宿敵の伴侶になっていた
木村木下
BL
日本の大学に通う俺はある日突然異世界で目覚め、思い出した。
自分が本来、この世界で生きていた妖精、フォランだということを。
しかし目覚めたフォランはなぜか自分の肉体ではなく、シルヴァ・サリオンという青年の体に入っていた。その上、シルヴァはフォランの宿敵である大英雄ユエ・オーレルの『望まれない伴侶』だった。
ユエ×フォラン
(ムーンライトノベルズ/全年齢版をカクヨムでも投稿しています)
【完結】ただの狼です?神の使いです??
野々宮なつの
BL
気が付いたら高い山の上にいた白狼のディン。気ままに狼暮らしを満喫かと思いきや、どうやら白い生き物は神の使いらしい?
司祭×白狼(人間の姿になります)
神の使いなんて壮大な話と思いきや、好きな人を救いに来ただけのお話です。
全15話+おまけ+番外編
!地震と津波表現がさらっとですがあります。ご注意ください!
番外編更新中です。土日に更新します。
アケミツヨウの幸福な生涯【本編完結】
リラックス@ピロー
BL
ごく普通の会社員として日々を過ごしていた主人公、ヨウはその日も普通に残業で会社に残っていた。
ーーーそれが運命の分かれ道になるとも知らずに。
仕事を終え帰り際トイレに寄ると、唐突に便器から水が溢れ出した。勢い良く迫り来る水に飲み込まれた先で目を覚ますと、黒いローブの怪しげな集団に囲まれていた。 彼らは自分を"神子"だと言い、神の奇跡を起こす為とある儀式を行うようにと言ってきた。
神子を守護する神殿騎士×異世界から召喚された神子
【完結】水と夢の中の太陽
エウラ
BL
何の前触れもなく異世界の神という存在に異世界転移された、遠藤虹妃。
神が言うには、本来ならこちらの世界で生きるはずが、まれに起こる時空の歪みに巻き込まれて、生まれて間もなく地球に飛ばされたそう。
この世界に戻ったからといって特に使命はなく、神曰く運命を正しただけと。
生まれ持った能力とお詫びの加護を貰って。剣と魔法の世界で目指せスローライフ。
ヤマなしオチなし意味なしで、ほのぼの系を予定。(しかし予定は未定)
長くなりそうなので長編に切り替えます。
今後ややR18な場面が出るかも。どこら辺の描写からアウトなのかちょっと微妙なので、念の為。
読んで下さってありがとうございます。
お気に入り登録嬉しいです。
行き当たりばったり、不定期更新。
一応完結。後日談的なのを何話か投稿予定なのでまだ「連載中」です。
後日譚終わり、完結にしました。
読んで下さってありがとうございます。
狼領主は俺を抱いて眠りたい
明樹
BL
王都から遠く離れた辺境の地に、狼様と呼ばれる城主がいた。狼のように鋭い目つきの怖い顔で、他人が近寄ろう者なら威嚇する怖い人なのだそうだ。実際、街に買い物に来る城に仕える騎士や使用人達が「とても厳しく怖い方だ」とよく話している。そんな城主といろんな場所で出会い、ついには、なぜか城へ連れていかれる主人公のリオ。リオは一人で旅をしているのだが、それには複雑な理由があるようで…。
素敵な表紙は前作に引き続き、えか様に描いて頂いております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる