スルドの声(嚶鳴) terceira homenagem

桜のはなびら

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ついた

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 泣いていてはダメなのはわかっているが、情けなさと自己嫌悪と悔しさも混ざってきて、止めたはずの涙がまた溢れる。

『大丈夫! 近いんだからどうにかなる!』
 
 要さんが力強く言ってくれると、本当に大丈夫な気になってくるから不思議だ。
 
『イレギュラー時の基本! まずは現状の把握と整理。迷ったのはわかった。どこにいるのかだよね。近くに目立つものある?』

 
 要さんも『クラブ藤宮』には何度も行っているらしい。銀座一丁目駅からの行き方なら案内できると言っていた。

 
「ええとアドルフォドミンゲスがありますっ」

『ええっ、どこにいんのよ。ちょっと待って、思い出す……んー、ロフト近い?』

「ロフト……? えーと、無いです......あっ、ロフトの旗出てる!」

『ああ、わかったかも。アドルフォと向かい合う形よね? 左手側にアドルフォ、右手側にロフトの旗っていう立ち位置?』

「はい、そうですっ」

『そのまままっすぐ行くとバーバリーある?』

 電話をしながら走って道の先に進み要さんのいう店舗を確認する。ブランドを示す名前が確認できた。

「あります!」

「よし、わかった! バーバリーのとこ交差点になってるでしょ? そこをそのまま超えてくと高速道路出てくるから。それを超えて高速道路沿いを左に曲がると雑居ビル群みたいなの出てくるから、その中のひとつに『クラブ藤宮』が入ってるビルがある。この電話切ったらジョーにピックアップしてもらうよう頼んでおくから、そこまで向かって!」

 
 時間としては十分も掛からない。約束の時間には間に合いそうだ。良かった。

 
 少し小走りで指示されたように移動すると、ジョーの見慣れた姿が確認できて安心した。

 まだ余裕はある。紳士然としたジョーに落ち着くように言われると、焦りと緊張感、安心したことによる弛緩が混在していたカオスは、思考や感情のほか脈拍などの肉体的な部分など含め、平常時に近い状態に戻っていった。

 
「いけるな?」

 
 ジョーの言葉に私は強く頷いた。
 隣には最強の黒服。何が最強なのかはわからないけど。
 バックにはママと要さんもいる。ついでに今日は休みできっと今頃だらだらとお菓子と早めのアルコールをお供に海外ドラマでも見て過ごしているであろうしょーちゃんも。
 
 これだけの人に守られているのだ。
 せめて私は求められている役割くらい果たし、期待されている成果くらい全うせねばならない。
 
 
 オープン前だが、重厚感のある扉は施錠はされていなかった。
 扉を開けるのは黒服の仕事とばかりに、ジョーが開けてくれた扉から中に入る。ジョーも扉を閉めつつ私の右後ろに位置する。私の後ろに控えながらも、最初の声掛けはジョーが担ってくれた。
 
「ごめんください。『Three ducks』です」
 
 すぐに気付いたボーイさんが、「どうも。ママから伺っています。どうぞこちらへ」と店内を通り事務室まで案内してくれた。
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