スルドの声(嚶鳴) terceira homenagem

桜のはなびら

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自己紹介(私、ルイ)

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(色部 誉)


文樹 瑠衣あやき るい

 まだ半分も終わってないが妙にアガり、なんなら少し疲れ始めてる風もある。場全体としては温まっている感じにはなっている。
 そうこうしているうちに私の番だ。
 
「ほまち! 待ってましゃったぁあ!」
 
 これは無視で良いはず。
 
「ほまれです。大学一年です。進学を機に別のエスコーラから移籍しました。昔はバレエやっていて、そこでマレと一緒でした。好きな食べ物はグラタンとイカの塩辛。推しは『ずっと真夜中で良いのに。」です』
 
「あー、良いよねぇ」みことが同意してくれた。「ねー、いいよねー、ずっとも」「ずとまよでしょ!」るいぷるも同意する振りして小ボケを挟んでくる。アリスンが拾ってくれたようだが、みことは完全無視で私に『ずとまよ』の話をしてきていた。
 申し訳ないが私もるいぷるの小ボケは無視させてもらって、みことと少し『ずとまよ』について話した。
 私の場合直近の入会で、その時にもかいつまんだ自己紹介はしてある。他エスコーラからの移籍やバレエに関するトピックについても一通り話したり質問を受けたりしていたため、この場では新たな質問は無かった。

 
「次わたしね。ルイです。高二です」
 
「るいぴー! うちら同名なんよー。ルイ最強説‼︎」
 
「……まともな方のルイです」
 
「げらげらげらげら」
 
 えっと、るいぷるはある意味まともじゃない方って言われたんだよね? なんでウケてるんだろう?
 
「物心ついたころからサンバやってます。好きな食べ物はお寿司です」
 
「いーねぇ、お寿司! いよ! おすしちゃんっ! はまち! お待ち!」
「ほまちっ! はまちっ!」
 
 ちょっとっ!
 
「……えーと、推しはライサ・デ・オリベイラです」
 
 おぉ……!
 
「さすがサンバの申し子!」
 るいぷるの合いの手だかヤジだかに、「最強説っていうなら、るいぷるも申し子になるくらいサンバに浸からないと」と普通に返され、「ぐへぇ」と変な音を出している。
 
 彼女が推しとして挙げた人物は、サンバの本場ブラジルはリオのカーニバルに出場する名門チーム『Beija-Flor』にて、齢十二歳にしてトップダンサーの称号のひとつ、バテリアの女王を意味する『ハイーニャ・ダ・バテリア』に選出された傑出したダンサーだ。

 ルイもまた、幼い頃からサンバダンサーとしての研鑽を積み、若くして業界内に知られているダンサーだった。
 私がかつていたエスコーラは浅草サンバカーニバルで優勝経験もある日本国内では強いチームだ。ダンサーのレベルも高い。
 そんな中にあって、『ソルエス』のクリアンサス(子どものダンサー)『ルイ』はすごい! と噂になっていたのを覚えている。
 当時直接『ソルエス』のメンバーとかかわりを持っていなかった私でも、ルイの名前は認識していた。
 ルイは近い将来には『ソルエス』のハイーニャに選ばれることを目指し、十五歳の頃から、二十歳の年にハイーニャとなることを目指したプランを組んで実践しているのだとか。
 近しい年齢の学生ダンサーとしては、ほづみ、ひい、みことがいる。
 それぞれ見た目も華やかでダンスの技術力は高く、表現力も豊かなレベルの高いダンサーだが、サンバ歴に胡坐をかかずストイックに己を磨き続けているルイは『ソルエス』全体から見てもトップダンサーのひとりとして数えても差支えが無い。
 本場の名門エスコーラで子ども時代に頭角を現したトップダンサーを推しに挙げるというのも、彼女らしいと思えた。
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