スルドの声(嚶鳴) terceira homenagem

桜のはなびら

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自己紹介(みこと、がんちゃん、ひい)

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薬師 美琴やくし みこと


(姫田 願子)


(入船 柊)


「よし、終わりで良いよね?」
 
 るいぷるの隣のみことが周りを見渡しながら立つ。
 テーブルはわかれているが、なんとなく時計回りで流れていく感じのようだ。
 
「みこと、高二です。好きな食べ物はトマト。推しはさっくん。以上!」
 
「みじかっ」
「そっけなーい!」
 
「良いの! るいぷるが長々と時間使っちゃったし、変な流れで行くとこの後のみんなが困るでしょ? 最短最適で淡々といこ」
 
「うわー、Z世代ー。タイパだのコスパだのすぐ言うー」

「世代でくくんのまじでセンスないし、るいぷるもZ世代でしょ?」

「ぎりね」

「ぎりちゃう! 若干の余裕あるわ! や、無いか……? あれ、何年までだっけ? いや、それよりもそれよりもさ! みこち辛辣ぅ~! あんまりきついこと言われちゃうとおねーさんテンション上がっちゃうわぁ」

「ほら面倒くさい! こーやって時間かかっちゃうんだから、簡単にで良いの! あ、もちろん話したいことあれば話しても全然OKだと思うけど。良いよね?」

 家主のいのりが今日この場の主催の立ち位置と判断したであろうみことは、いのりに訊ねた。いのりは「もちろん」と笑顔で頷く。
 
「ってことで、わたしは終わったので次よろー」

 あ、はいっ、とがんちゃんが立ち上がった。
 
「ええと、がんこです。高二です。本名はめがみだけど漢字を素直に読むとがんこなので、それをサンバネームにしてます。がんちゃんって呼ばれたりもしています」
 
「ひゅぅーっ! がんちゃーん! がんちゃーん!」
「ふーわっ! ふーわっ!」
「がんちゃーん‼︎」
「ちょっとひい! ダメな大人たちにノらないの!」
 
 るいぷるとにーなと、ひいにまで煽られて顔が真っ赤ながんちゃん。か、かわいい。
 
「好きな食べ物はおにぎりとからしーふーどで、推しはカエルです。以上っ」

 
 からしーふーどは当初変わり種のポテトチップスとして陳列コーナーの一角を与えられていた商品だったが、好調な売れ行きは長期に亘って維持されていて、いつの頃からか定番商品となっていた名作お菓子だ。そうか、好きな食べ物にお菓子を挙げても良いのか。


 早口で言い切ってそそくさと座るがんちゃん。かわいい。かわいいが、そんながんちゃんを見つめる姉のいのりの目線が熱っぽくて、ちょっと怖い。

 
「ひいです! 高二でバド部です!」
 
「でたー! 体力お化け!」
「よっ! フィジカルモンスター!」
 るいぷるとにーな。必ず何か挟まないと気が済まないのだろうか。
 
「うるさい! ダンス歴は十年くらい、北斗推し、好きな食べ物はからあげと焼肉です! はい、おわりっ」
 
「あ、そぉれ、やーきにくっ……! やーきにくっ……!」
 
 おもむろにるいぷるが手拍子を叩きながらコールをし始めた。
 
「「やーきにくっ! やーきにくっ!」」
 
 にーなが加わりコールが速度を増していく。
 
「「「あそれ! やーきにくっ!! やーきにくっ‼︎」」」
 
 ひいも加わって焼肉の大合唱が始まった。
 
 なんだろうか、これは。
 
「コールされても焼肉は出ないからね?」
 
 笑顔で暴走組を止めようと言葉を掛けたいのりに、るいぷるはなぜか自信満々の顔で、「うちらの執念、あもぉ見なよ!」とよくわからない方言で吠えて牛タン味のジャイアントプリッツをカバンから取り出した。開封して皆に配る。同僚の出張土産だそうだ。
 
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