スルドの声(嚶鳴2) terceira homenagem

桜のはなびら

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(畠山 祥子、上杉 要)

 社会人になったしょーちゃんは、意外(と言ったら失礼?)と辣腕だった。しごできってやつだ。

 
 私が何となく前向きなちょっと保留交じりの検討しますって回答を受けた直後、しょーちゃんは要さんを抱き込んでいた。製作会社へもアプローチをかけ、私の拘束時間に関する負担軽減策についての担保を取付けた。

 そこまでしてもらった私は、ありがたくこの話をお受けすることにしたのだが、その瞬間と言って良いくらいの速度で、製作会社の『divine finger』の担当者と、製作会社が手配した映画監督、主演女優。協力会社である配給会社(今回は企画立案者・原案の立ち位置)の『movie arts』担当としてしょーちゃんとその先輩が会する場を設け、そこに私も参加させてもらうことになった。

 二番手、三番手の役者すら出ていない場で、端役の私がいるのは場違い感えぐいが、サンバに関するブレーンの役割もあるのだと言う。その補佐としてエキストラ参加が決まっている要さんも同席してくれるそうだ。……要さん頼りの生き方から脱却をと言いながら、やっぱりその心強さは頼もしい。

 
 この企画をスタートアップするにあたり、錚々たる顔ぶれが集まる場に、ある意味おまけ、よく言ってもプラスアルファに過ぎない私たちが遅れるわけにいかないので、早めに現地入りさせてもらった。
 私たちの扱いはしょーちゃんマターとなっているので、しょーちゃんもその時間に合わせて動いてくれた。

 
「要、誉ちゃん、今回は受けてくれて、今日も来てくれて、ありがとね」一緒に居たしょーちゃんの先輩の遊佐瑞矢ゆさみずやさんも「おはよう」と笑い掛けながら軽く頭を下げてきた。
 
「こちらこそ、興味深い案件を紹介してくださってありがとうございます」しょーちゃんと、遊佐さんを交互に見ながら頭を下げる。

「誉、別に面接じゃないし、まだ始まってないし、ここは身内なんだからそこまでかしこまらなくって良いでしょ。遊佐さん、よろしくお願いします。祥子もよろしくね」
 
「要、ふてぶてしいねぇ。でも、それくらい太い方が良いかも。良くも悪くも癖つよ多いからねぇ、この業界」
 
 
 大手ではないと聞いていた製作会社は、都心の一等地にスタジオを兼ねた立派な自社所有物件を持っていた。ビルと言うほど大きくは無いが、瀟洒な豪邸って感じで圧倒される。

 今日の顔合わせは『divine finger』の社内で行われる予定だった。社屋前で待ち合わせていた私たちは、門扉のところでしょーちゃん達と合流し、しょーちゃんのアテンドで受付を済ませる。受付と言っても、普通の住宅のように門備え付けのインターフォンを鳴らして名乗る形式だ。
 
 
「おはようございます。本日はご来社いただきましてありがとうございます」
 
 迎えてくれた爽やかな笑顔の持ち主が、小国さんだった。
 
 
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