スルドの声(嚶鳴2) terceira homenagem

桜のはなびら

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教え子と一緒に練習

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(柳沢 望)

 有志の自主練はキャパシティの関係もあり、なんとなく初心者優先の雰囲気はありつつ、指導者は居た方が良いので、必ずしも初心者から優先してというわけでもない。人数がオーバーした場合に、この練習を企画した者が全体的なバランスを見て、先着と優先順位なんかも鑑みながら参加者を定めていた。
 今回はキャパ十五に対し、念のための余裕を持って十名の募集を掛けていたところ、結果として九名の希望者だったので人数調整は発生していない。
 先日のイベントでは『スルド女子』のユニット名でスルド四本のソロを演奏した同世代女性スルド奏者のいのりと、彼女の妹である姫田願子(サンバネームはがんこ)も、今日の練習には出たがっていたが、あいにくふたりとも都合がつかなかったようで不参加。他にも『ソルエス』にはスルド奏者は何人かいるが、やはりいずれも今回は不参加となっている。
 
 デン、ドン、デン、ドン。
 
 私ものんちゃんもテルセイラだが、今日はスルド一本で基礎の音を鳴らす叩き方を、ふたりで延々と繰り返している。
 
 初心者ののんには、同じテルセイラのソータというプレイヤーがトレーナーを担っていたが、市役所勤めの彼は時期によってエンサイオにほとんど出られないことなどもあり、のんちゃんの入会後に他チームから『ソルエス』に移籍した私にも、同世代同性のトレーナーとして補佐をして欲しいと打診があり、快く受けさせてもらったという経緯があった。
 
 のんは、私がバレエ教室に通っていた頃に、私を慕ってくれた後輩、柳沢希の双子の妹だった。
 そして、私が『ソルエス』に入る道筋を整えてくれたいのりの幼馴染でもあり、姫田姉妹経由で『ソルエス』に入会したという背景を持っていた。
 
 なんとも強力な縁と運を感じざるを得ない。
 姫田姉妹以外のスルド奏者も、今日の練習には出られなかったようで、パートを分けての練習は難しいことから、今日は基礎練習の中でもさらに基礎を徹底的に身に付ける一日として、ストイックに同じリズムを刻み続けることにした。
 
 他の楽器の音はもちろん聴かなくてはならない。
 しかし、合わせるのではない。
 打楽器は全楽器が『ヂレトール』という指揮者に従うのが大原則だが、音に合わせるなら、他の楽器はスルドの音に合わせるのが通常だ。しかし、基礎となるスルドは、指針となる立場なので、他の楽器の音に合わせて調整することはできない。
 
 サンバの原点のリズムを、徹底して身体に刻み込む。
 それには延々と音を聞き、延々と一定のリズムを放つ、反復練習が一番。
 今日のこの場はその練習にとても適している。
 
 未だ初心者で、初めて浅草サンバカーニバルに臨もうとするのんちゃんの、私は今は伴走者だ。
交互にスルドを叩き、押さえる両腕の動きと同じ間隔でサイドに縛った長い髪を揺らしているのんちゃん。
後ろで縛っている私の髪の毛も、まったく同じ間隔で揺れているはずだ。
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