スルドの声(嚶鳴2) terceira homenagem

桜のはなびら

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(姫田 祷)

 いのりは、小国さんの中に生まれたであろう動機について、いよいよその説を展開し始めた。

「結果と事実で結び付けた安直な説ですが……妹を苦しめた原因となった人物に罰を与え……もっと直接的な言い方をすれば、復讐といった方が近い気がしています。隠そうともしていない在り方を見る限り、私には破滅願望も持たれているように感じます。ある意味自暴自棄。そして、妹のような被害者を生み出す業界の膿を、身を犠牲にして摘出する……そんな意図が、見えました」
 
 鼻で笑った小国さんを、いのりは無視して言葉を続ける。

「……ディレクターたちへの内部告発も、接待の強要などを受けた取引会社や、言動や行動に苦しめられたスタッフやタレント、からではなく小国さんからもたらされたものではなかったですか? 裏は取っていませんが、今この場でしたら金津社長がご存じのはず」
 
 いのりが、空間に言葉を置くようにして尋ねた問いに、金津社長は渋い顔を作ったまま目を閉じていた。
 回答は、無い。
 否定の言葉もないことが、この場にいる者たちはひとつの回答としてとらえていた。
 
「……義憤か正義か復讐か……思惑によって印象のイメージは変わりますし、そのすべてが否定や非難の対象ではないのかもしれません。それでも、私の、上杉もですが、私たちとしては、色部を利用したことは看過できないという立場だけ、明確にしておきます」
 
 普段はいつも、穏やかな微笑みを湛えているいのり。
 冷厳な表情のいのりの内からは、静かな怒りが溢れているようだった。
 

 そんな怒りもいなしながら。
「『誰がしたか』、『何をしたか』については、ほぼ正解と言っていいでしょう。それがわかれば次の話に進めるならそれでも結構です。もしご興味がおありなら、『答え合わせ』にもう少しお付き合いいただいても?」

 小国さんが嘲笑じみた笑みを浮かべたまま尋ねた。
 
「……この件で、私がでしゃばるのはここまでです。小国さんからの問いへの回答は当事者となる金津社長とほまれ、バラエティにもかかわっていたスポンサーに任せます。映像作品の製作には直接の影響はない中で、お時間をいただいてしまっている千屋監督、『プロダクション』『movie arts』のご意見も尊重すべきだと思いますが……」
 
「私っ! ……聴きたい、です」
 つい、声を上げてしまった。金津社長すらまだ答えていないのに。
 

「……おぐっちゃんが話すっつってて、誉が聴きてぇっつってんだ。この時間を削ったところで何ができるというわけでもなし。最後まで付き合おうぜ?」
 
 監督が言うと、スポンサー担当の河内さんは「構いませんよ」と少々不機嫌そうに言い、保科さんも頷いた。

 そのとき、妃夜さんと目が合った。
 いつも通りのポーカーフェイスだが、どこかその目には慈しみの情が宿っているように見えた。
 
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