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小国さんの妹
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「確かに隠すような細工は一切していない。SNSなんかも、俺はあまりやってはいないが、こういう仕事だからね。多少はプラットホームを使ったやりとりだって発生するし、発信をすることだってある。誰と、どこで、何をしていたか。自分の過去や経歴。別に隠すつもりはないし、気にせず開示しているよ。妹はもっと緩かったろうな。アイドル時代は営業とブランディングのツールになり得るのだから積極的に活用していただろうし、辞めてからはもう世間の目を気にする必要はないのだから、幾分か気楽に使っていたはずだ。積極性はなくなっていても、アイドル時代はライフワークのように使っていたツールだ。使うことが多少は習慣的になっていた可能性もある。まあ、鍵くらいはかけていたかもしれないが、そんなものはどうにでもなるんだろう?」
あなたの優秀な「お友達」ならね? なんて、皮肉じみた物言いをする小国さん。
あの爽やかな小国さんの印象は、もうなかった。
アコさんがアイドルを辞めた原因は、嫌がらせによる心の病だが、耐久値の限界まで積み上げ続けたいくつかのストレスの中には、真っ当な頑張りも含まれていたことだろう。
辞めたことによって、その頑張りからも解放された彼女は、その激しかった日々の反動もあったと思われる。
レッスン、ファンサービス、営業や広報活動。頑張りの中にはSNSでの発信も含まれる。
解放され、習慣としては残っていても、もう頑張らなくて良くなった彼女は、例えば複数のアカウントを使い分けるなんて疲れる使用方法は取らなかったのではないだろうか。
少なくとも、いのりたちの調査はシンプルな検索で拾える情報である程度は網羅できたということだった。
「……調べればわかる。でも、調べなければわからないことだ。俺も妹も、敢えて兄妹のことを話題にするタイプではなかったからな」
いつの間にか、小国さんの一人称や語り口が変わっていることに気づいた。
「……まだ結論を聞けてなかったな。追い詰められたサスペンスドラマの犯人よろしく、ぺらぺらと喋っても良いのだが、せっかくご友人を使って調べ上げて築いた推理だ。聴かせていただいても?」
「……ご本人がそうおっしゃるなら。きっと答え合わせや修正もしてくださるのでしょう? 皆様も、いつまでも拙論にお付き合いさせてしまい恐縮ですが、これより見解を述べさせていただきます」
アナミアコ。本名は阿南娃虎。
芸名はカタカナ表記だが読み方は本名のままというのも、調べやすさの一因となった。
その頃、既に小国さんは『divine finger』で働いていた。
彼女が業界を去った経緯は、事実部分に関しては金津社長からの説明にもあったとおり。
その心までは本人にしかわからない。
本人と会話ができていないため推測するしかないが、外的な要因で懸命な努力が水泡に帰し、夢を諦め、心に傷を負った彼女の中に、悲しみ、悔しさ、苦しさ、怒り……あらゆる負の感情が渦巻いていたことは想像に難くない。
この間、小国さんとアコさんとの関係について、関係者が把握していた形跡はない。
あなたの優秀な「お友達」ならね? なんて、皮肉じみた物言いをする小国さん。
あの爽やかな小国さんの印象は、もうなかった。
アコさんがアイドルを辞めた原因は、嫌がらせによる心の病だが、耐久値の限界まで積み上げ続けたいくつかのストレスの中には、真っ当な頑張りも含まれていたことだろう。
辞めたことによって、その頑張りからも解放された彼女は、その激しかった日々の反動もあったと思われる。
レッスン、ファンサービス、営業や広報活動。頑張りの中にはSNSでの発信も含まれる。
解放され、習慣としては残っていても、もう頑張らなくて良くなった彼女は、例えば複数のアカウントを使い分けるなんて疲れる使用方法は取らなかったのではないだろうか。
少なくとも、いのりたちの調査はシンプルな検索で拾える情報である程度は網羅できたということだった。
「……調べればわかる。でも、調べなければわからないことだ。俺も妹も、敢えて兄妹のことを話題にするタイプではなかったからな」
いつの間にか、小国さんの一人称や語り口が変わっていることに気づいた。
「……まだ結論を聞けてなかったな。追い詰められたサスペンスドラマの犯人よろしく、ぺらぺらと喋っても良いのだが、せっかくご友人を使って調べ上げて築いた推理だ。聴かせていただいても?」
「……ご本人がそうおっしゃるなら。きっと答え合わせや修正もしてくださるのでしょう? 皆様も、いつまでも拙論にお付き合いさせてしまい恐縮ですが、これより見解を述べさせていただきます」
アナミアコ。本名は阿南娃虎。
芸名はカタカナ表記だが読み方は本名のままというのも、調べやすさの一因となった。
その頃、既に小国さんは『divine finger』で働いていた。
彼女が業界を去った経緯は、事実部分に関しては金津社長からの説明にもあったとおり。
その心までは本人にしかわからない。
本人と会話ができていないため推測するしかないが、外的な要因で懸命な努力が水泡に帰し、夢を諦め、心に傷を負った彼女の中に、悲しみ、悔しさ、苦しさ、怒り……あらゆる負の感情が渦巻いていたことは想像に難くない。
この間、小国さんとアコさんとの関係について、関係者が把握していた形跡はない。
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