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24. 可愛い可愛い可愛い可愛いお嫁さんのピンチ! (アドルフォ(旦那様)視点)
しおりを挟む俺はこの性悪妹を睨みながら、ここに来るまでの事を思い出していた。
「坊っちゃま! 坊っちゃま大変です!! 奥様……若奥様が!!」
「!?」
そう言って血相を変えたルンナが俺の元に飛び込んで来た。
その言葉に俺は慌てて立ち上がる。
椅子が派手な音を立てて倒れたが知った事か!
──今は、愛する妻の事だ!!
(俺の可愛い可愛い可愛い可愛いお嫁さん、ミルフィに何かあった?)
──ルンナと街に行ってきます!
朝、可愛い可愛い可愛い可愛い俺のお嫁さん、ミルフィは超絶可愛い顔でそう言って出かけて行った。
(何だ? まさかあの可愛さ故に何かあったのか? 俺の……俺の可愛い可愛い可愛い可愛いお嫁さんに手を出した死にたい奴がいるのか!?)
──あの、ま、待ってて下さいね! 旦那様の為に……その、えっと。
照れていたのか可愛く頬を染めていたミルフィ……
あれは俺へのお土産を買ってくる……そういう意味だったのだろうか?
(それが!!)
俺はグシャリと手に持っていた仕事の書類を握りしめる。
「坊っちゃま……」
「……」
ルンナを見ると、何やら手に袋のような物を抱えている。
(あれは何だ?)
俺の視線の先に気が付いたルンナは言う。
「こちらは、奥様が坊っちゃまの為にと街で購入したお菓子です」
「!!」
「奥様の本日の目的はこちらを買いに行く為……でした」
ミルフィ!? 買い物が俺のため……だと? 自分が欲しい物を買いに行ったのではなかったのか!?
(うわぁぁぁぁぁ、可愛い!)
可愛い可愛い可愛い可愛い俺のお嫁さんが可愛すぎる!
「若奥様は私にこれを託して、助けを……いいえ、坊っちゃまを呼んで来るように……そう指示されました」
「!!」
「若奥様に接触して来たのはあの、常識も品もなく、血が繋がっているはずなのに若奥様とは似ても似つかないあのく……コホン、妹です」
「!!!!」
(あの性悪妹か!)
「それと、あの性悪は男性を連れておりました。確か名は“カイン様”と呼ばれておりましたが……あの方は……」
「っ!」
グシャリ。
再び手に力を込めたせいで書類がどんどん悲惨な事に……だが、それよりもだ。
カイン……
────ミルフィの元婚約者か!!
ルクデウス子爵家のカイン……
半年程、俺の可愛い可愛い可愛い可愛いお嫁さん、ミルフィの婚約者だった男……
(そしてあっさり、あの性悪妹に誘惑されてコロッと落ちて可愛い可愛い可愛い可愛いミルフィをポイ捨てした男だ!)
今となってはミルフィを手放してくれた事には感謝しかないが、当時のミルフィが傷付いたことを思うと……
──……旦那様は、私とカイン様……いえ、ルクデウス子爵令息様の事……ご存知……でしたか?
──婚約解消をした理由も、ですか?
──旦那様は……知っていて私を……花嫁に望んでくれた……のですか?
(あの時の可愛い可愛い可愛い可愛い俺のお嫁さん、ミルフィは不安そうだった)
かつて”捨てられた”という過去を気にしたんだとは思うが……
そんなもの、元婚約者に見る目が無かっただけの事。
ミルフィに落ち度なんて全く無いだろうに。
「……」
あの後、初めて目にした可愛い可愛い可愛い可愛いお嫁さんのスケスケの夜着姿は目のやり場に困ったが……幸せしか無かった。
さすが、俺の可愛い可愛い可愛い可愛いミルフィ。何を着ても似合う!
ミルフィの心の準備が出来ていないので、当分はお預けだろうが……それでも。
(相手は俺がいい……そう言ってくれた……)
しかし、あの晩は鼻血が止まらなくて大変だったな。
「……っ!」
て、そうではなく!
今は可愛い可愛い可愛い可愛い俺のお嫁さん、ミルフィが危険だ!
(──あの性悪妹め!! 何を企んでいるんだ!)
それに、元婚約者まで一緒となると、1ヶ月前にあった訪問連絡とやらも何かを企んでいたのか?
(ミルフィ……無事でいてくれ!)
俺はルンナの案内の元、急いで可愛い可愛い可愛い可愛い俺のお嫁さん、ミルフィの元に向かった。
────……
ルンナと馬車を待機させて俺は、可愛い可愛い可愛い可愛い俺のお嫁さん、ミルフィがいるというカフェに向かう。
ルンナの話だと妹達は立ち話で済まそうとしていた所を可愛い可愛い可愛い可愛い俺のお嫁さん、ミルフィが敢えて店を指定したという。
(人の目がある所に誘導して大きな危険をなくし、そして俺が助けに来る事を想定してそうしたんだろうな)
助けようにも移動されてたら探すのは大変だ。
さすが俺の可愛い可愛い可愛い可愛いお嫁さん、ミルフィだ。
(だが、俺の可愛い可愛い可愛い可愛いお嫁さんミルフィに汚い手で触れようとする奴は絶対に許さん!)
そう思いながら店に入ると、まさに元婚約者だと思われる男が、俺の可愛い可愛い可愛い可愛いお嫁さんのミルフィに向かって手を伸ばしている所だった。
(────俺の可愛い可愛い可愛い可愛いお嫁さん、ミルフィに触るなぁぁぁ!!!!)
そんな思いを込めて薄汚そうな手を叩き落とした。
─────
チュ、チュッ……
ようやく、念願叶って唇に触れる事が出来るようになったキスを俺は何度も何度も繰り返す。
(あぁぁ、可愛い可愛い可愛い可愛い……)
キスをしている時のミルフィの顔がいつも可愛すぎて俺は止まるという方法が分からなくなる。
人前? そんな事を気にするよりこの可愛い可愛い可愛い可愛い俺のお嫁さんを愛でていたい。
(上手く言葉に出来ない分、俺がどれだけミルフィを愛してるか伝わるといいんだが……)
ミルフィはあの性悪妹に色々な物を奪われて来たせいか、自分が愛されるという事にさえどこか後ろ向きだ。
何をどこでどう間違って勘違いに繋がったのか“お飾りの妻”だと思い込んでいた。
───この性悪妹のしつこさも恐らくはそこから来ているんだろうな。
「お義兄様、お姉様から離れてください! それで目を覚まして私と…………ひぃぃ!」
とりあえず俺は性悪妹を睨みつける。
この性悪妹は俺を誘惑しようとする割には、睨まれるとすぐに悲鳴を上げる。
(大人しくしていれば良かったものを……)
それも今回は俺にとっては一生顔など見たくも無かった、元婚約者まで連れて来ている。これは許し難い。
そんな可愛い可愛い可愛い可愛い俺のお嫁さんミルフィの元婚約者は、俺が現れてからはずっとまともに口も利けてすらいないがな。
(情けない男だ……)
こういう男は結婚してからも妻を守る事もせず、この性悪妹のような女に誘惑されてあっさり浮気でもする事だろう。
俺は可愛い可愛い可愛い可愛いお嫁さん以外興味なんて無いが。
「旦那様……」
「……」
可愛い可愛い可愛い可愛い俺のお嫁さんミルフィが、心配そうな瞳で俺を見上げている。
ナデナデ……
心配するな、そんな思いを込めて俺は微笑みとともにナデナデをする。
ナデナデナデナデ……
「な、何で睨んだり無視したりするんですか!」
「……」
「お、お姉様にはそうやって素敵に笑いかけるのに……」
「……」
俺は再び睨む。
しつこいな。
だが、このタイプは口で言っても絶対に伝わらない。
──やだ、照れ隠しですかぁ!? 素直じゃないんですね~
とか言って自分の都合の良い方へと解釈するんだ。
そういうわけで。
俺は周囲が呆れるくらい可愛い可愛い可愛い可愛い俺のお嫁さん、ミルフィを愛でる事にする。
俺はもう一度、愛しい愛しい妻を抱き寄せると、そっとその愛らしい唇にそっと自分の唇を重ねた。
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