【完結】続・転生したら悪役令嬢になったようですが、肝心のストーリーが分かりません!! ~聖女がやって来た!~

Rohdea

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あぁ、なんてベタな展開なの。

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  そうして、とうとう我が国に隣国の聖女様がやって来た。

「初めまして、セイラ・リーンウードと申します。この度は私を迎え入れて頂きありがとうございます」

  そう言って挨拶する聖女様は、 
  まさかの黒髪黒目の……そう、まるで前世の日本人を思わせるような容姿だった。
  懐かしさと共に、私の中では別の思いが渦巻いた。

  (ま、まさかとは思うけど、異世界転生……じゃなくて、異世界転移とかじゃないわよね……?)

  名前は聖女っぽいけど、容姿は日本人だなんて思わずそう疑いたくもなるわ。

  “この世界は現実。物語なんかじゃない”
  あの時、そう思って生きて行くと決めたのに。また、この世界は……なんて気持ちが再び湧き上がって来てしまう。

  私は首を横に振って必死に浮かんだ不安を打ち消す。
  転生?  ……転移かも。
  そんな思いは一先ず置いておき、私も挨拶を返す。

「初めまして、シュナイダー殿下の婚約者キャロライン・マクルーハンと申します」

  私がそう挨拶すると、なぜか聖女様はパチパチと目を瞬かせた。

「あの!  キャ、キャロライン様とお呼びしてもいいですか!?  素敵です!  話に聞いていた通りなのですね!!」
「話?」

  何故か聖女様は私を見てはしゃいでいる。
  どうして?
  そんな、私の疑問が伝わったのか、聖女様はふふふ、と微笑んで言った。

「シュナイダー殿下とキャロライン様の仲睦まじさは隣国でも有名でしたから。まさかこうしてお二人が並んでる姿が見られるなんて感激です!!」
「!?」

  その発言にびっくりして声も出せない私とは対称的に、何故かシュナイダー様はドヤ顔でウンウン頷いている。
  ちょっと、何で!?

「私、シュナイダー殿下の告白が元になったと言う本も読ませて頂きました!」
「え!」

  アレを?  
  いや、その前にあの本、隣国でも売られてるの!?
  販売経路広すぎないかしら?  作者は欲を出しすぎではないかしら?

「本当に……とても羨ましいです。私もあんな風に愛してくれる人と幸せになりたいなって……」
「あ……」

  聖女様の語尾が段々と弱々しくなっていく。

  しまった!
  そうよ、聖女様は確か婚約者に『真実の愛に目覚めた!』なんてわけのわからない理由で婚約破棄されて追放されたんだったわ……

  ねぇ、本当に“真実の愛”って何なのかしらね!?
  ようするに、隣国の王子は婚約者がいる身でありながら浮気しただけよね?
  それを最もらしく言い換えたのが“真実の愛”
  他人の事だけど、腹が立ってくるわ。

  (だからこそ、そんな王子はざまぁされるのよね)

「ビーブル殿下に言わせると、私は“偽者”らしいのです……」
「え?」

  ビーブル殿下と言うのが、聖女様を追放した隣国王子の名前よね?

「私は聖女の名を語った偽者だと」
「で、でも、聖女様には特別な力があると聞いていますわ?」
「……ですが、私は上手くその力を使えなくて……」

  聖女様は悲しそうに目を伏せる。
  つまり、ビーブル殿下の浮気だけでなく、力が上手く使えない事も追放の原因になったという事かしら?

「……」
「キャロライン?  どうかした?」

  私が黙り込んでしまったので心配したシュナイダー様が顔を覗き込んでくる。

  (ち、近い!!)

  その麗しのお顔……近過ぎるとドキドキするので、控え目でお願いしたいわ。

「い、いえ?  な、何でもないですよ?」
「そう?  深刻そうな顔をしていたよ」
「そんな事、無いですわ……」

  私は必死に誤魔化そうとしたけれど相手は私をこよなく愛するシュナイダー様。
  誤魔化しは一切効かない。

「キャロライン?  僕を甘く見てはいけない」
「へ?」
「僕はキャロラインの事なら前髪を数センチ切っただけでも分かる自信がある!」
「え……」

  何その自信……

「ちなみに、今日のくるんくるんのその毛先は昨日より少し元気が無い」

  そう語るシュナイダー様の顔は至って大真面目だ。

「何ですかそれ……」
「本当だって。僕には分かるんだよ。ずっとキャロラインを見て来たからね」
「……!」

  シュナイダー様がいつもの甘く蕩けそうな微笑みでそんな事を言うのでボンッと私の顔が赤くなる。

「赤くなった!  うん。キャロライン、可愛い」
「シュ……シュナイダー様」

  と、いつものように二人の世界に入ろうとしていた所でハッと気付く。

  ──聖女様……セイラ様がこの場に居た事を!

  私はおそるおそる聖女様を見ると、聖女様は「ほ、本物!」と何やらまた感激していた。

「本当にあの本の通りなんですね!」
「そ、そうかし、ら?」
「驚きました!  ……私もちゃんと力が使えていたら……ビーブル殿下とこんな風に……」
「!!」

  た、大変!
  ますます落ち込んでしまったわ!!

  絶対、セイラ様は聖女だと思うのに。
  だって……ほら。こういうのって、あれよね?
  聖女様は決して落ちこぼれ……なわけではなく、強大な力を秘めているんじゃないかしら?  絶対そうだと思うの!

  ……たいてい強大な力を持て余してしまって上手く力が使えなかったり、制御が出来なかったりして、それで力が使えない無能だと周りに誤解されてしまうのよ!  (キャロライン調べ・改  Ver.2)

  あぁ、なんてベタな展開なの。
  セイラ様……あなたは間違いなく真の聖女よ!
  きっとそのうち力に目覚めて、あなたをポイ捨てした王子にざまぁが出来るわ!

  そう思った私は聖女様の手を取るとギュッと握りしめて言う。

「セイラ様!  心配はいりません!  きっとあなたはこの先、力を使えるようになります!」
「え?」
「私が保証します!」
「キャ、キャロライン様?  突然どうされたのです?」

  聖女様はびっくりしたのか目を丸くして驚いていた。

「うん。キャロラインが言うと本当になりそうだから凄いよ。謎のパワーがあるよね」

  シュナイダー様も笑顔で同意してくれた。

「ほら、シュナイダー様もそう言ってくださっているわ!」
「は、はぁ……」
「頑張りましょうね、セイラ様!」
「は、はぁ……」

  こうして、何故か私は、いつかライバルになるかもしれないはずの聖女様を励ましていた。
  そう。
  真の力に目覚めた聖女様を我が国の人達がどう扱うかを考えもせず───


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