【完結】真実の愛とやらに負けて悪役にされてポイ捨てまでされましたので

Rohdea

文字の大きさ
38 / 45

38. 悪役にされた令嬢と令息は、王族と対峙する

しおりを挟む


  私達に視線を向けながら陛下が言う。

「……ふむ。つまり、、万事解決というわけか!」
「そうねぇ……」

  王妃殿下も頷いた。

  (───!!)

「そうだな。付き合いも長いし、ジョーシンにはやはり、シャルロッテ嬢の方がよいだろう」

  陛下はそう口にすると大きく頷きながらがジョーシン様の事を呼んだ。

「ジョーシン。お前は今そこにいる男爵令嬢と何があっても添い遂げるつもりだと先日、宣言していたが──」
「全て撤回します、父上!!」

  ジョーシン様は陛下の問いかけに食い気味に被せるようにして答えた。
  その表情は絶対に嫌だと言っている。
  真実の愛の名残も感じられない。

「父上、私が真実の愛だと信じていたものは全て間違っていました!  全部この犯罪者である姉弟による陰謀です!」
「犯罪者ですって!?  陰謀!?  ジョーシン殿下、酷いわ!!  私は、決められたストーリーを辿ってるだけなのよ……!」

  イザベル様が抗議するけれどその声は届かない。

  (決められたストーリーって何かしら?)

「煩い!  早く誰かこの犯罪者女を捕まえて牢屋にぶち込んでおけ!」
「牢屋!?  ちょっと待ってよ……殿下!  こんなの私の知っているバッドエンドとも違うわ!!」

  イザベル様がイヤイヤと顔を横に大きく振っている。

「ばっどえんど?  何をごちゃごちゃ言っているのか分からんが、貴様の顔はもう見たくない!」
「そ、そんな……何でよ!!  こんなはずじゃなかったのに!」
「ね、姉さん……!!」

  そう叫びながら連行されて行くイザベル様。
  ずっと大人しく事の成り行きを見守っていたマルセロ様も一緒に連れて行かれた。


  そうして、問題の双子の姉弟は退場したけれど……


  (───あぁ、これは完全に嫌な流れになっている)

  ブルっと私の身体が震え出す。

「……シャルロッテ」

  ディライト様が小声で私の名前を呼ぶ。その声につられて顔を上げるとディライト様の目はとても心配そうだった。

「ディライト様……このままでは……」
「うん……」

  ディライト様もこのままだと私達がどうなるのか分かっている。

「……ここで陛下達が来るとは思わなかったよ」
「はい……」

  滅多に顔を出さない二人なのに。何で今日に限って……と嘆きたくなる。

「……シャルロッテ。俺に合わせて?」
「え?」
「この後、俺が言うことに合わせて欲しい」
「……ディライト様?」
「シャルロッテと殿下をもう一度婚約なんて絶対にさせない!」

  ディライト様の瞳は真剣だった。

「……はい」

  (ディライト様を信じるわ)
 

────



  そして、陛下達は私とディライト様の元にやって来た。

「そういう事だ。話は聞こえていただろう?   ディライト、シャルロッテ嬢。君達は婚約を解消してそれぞれ元の相手と再度婚約を───」

  陛下の口から予想通りの決定的なその言葉が出た。
 
「……お断りします」
「何!?」

  陛下の顔が分かりやすく引き攣る。
  ディライト様は怯むこともなく、しれっとした様子で陛下に向かって答えた。

「今の婚約者である、シャルロッテ・アーベント公爵令嬢と私は身も心も深く深く愛し合っておりますのでお断りします」

  (ディライト様ーー!?)

「ま、待て!  そなた達はまだ婚約したばかりであろう?  いくら何でも……」
「陛下、時間なんて関係ありません。恋に落ちるのなんて一瞬です。私はシャルロッテ嬢を心から愛していますし、彼女も俺を愛してくれていますので」

  (……ディライト様……)

  堂々と宣言するディライト様に思わず見惚れてしまった。

「信じられないなら、先程から私と彼女の様子を会場内の皆様に聞いてみてはどうですか。また、先日の舞踏会の話もご一緒に確認していたたければ、納得していただけるかと思います」

  ディライト様のその言葉に、会場内からひそひそした声が聞こえてくる。

  ───終始、イチャイチャしていたな
  ───見ているこっちが照れてしまったわ!
  ───お互いしか見えていない様子だった
  ───そういえば、抱き心地がって言っていたな……あれはそういう意味か……

「……むっ」

  周囲の声が聞こえた陛下の顔が渋る。
  この様子にまずいと思ったのか、ジョーシン様とミンティナ殿下が慌てて陛下に声をかける。

「父上、騙されないで下さい!  私とシャルロッテには8年間の絆があるんですよ!」
「わたくしだって!  ディライトはいつもわたくしを見守ってくれて……」

  (8年間の絆ですって?)

  苦手な女性の姿をさせるくらい私の事なんて好きでもなんでもなかったくせに!
  ジョーシン殿下にイラッとした私も前に出て発言する。

「おそれながら申し上げます、陛下。私もディライト・ドゥラメンテ公爵令息の事を愛しておりますのでジョーシン殿下との再婚約は受け入れられません」
「シャルロッテ……」
「……ディライト様」

   私達はそう言って微笑み合う。
  そんな私達の様子に皆もほっこりしたのだけど──

「嘘だ、嘘だ!  シャルロッテは私に惚れ込んでいた!  なのにディライトを愛してるだと?  口先だけならなんとでも言える!」

  自分のことを棚上げしたジョーシン様がそう訴える。
  それならば!  と思い私も訴える事にした。

「私は……強くて優しいディライト様の事が、だ、大好き……なのです。ジョーシン様と過ごした8年間より、ディライト様と過ごしたこの数日の方が……私にとって幸せな毎日で……」
「あぁ……シャルロッテ、俺もだ」

  ディライト様が私を抱きしめる。
  そのまま私達はお互い見つめ合う。

「むっ……こ、これは……」

  陛下が困った様に私とディライト様を見る。


  ───その時だった。

「陛下、僭越ながら申し上げます!」

  (あら、この声は?)

  後方から聞こえてきたその声につられて私は振り返り声の主を見る。

  (あぁ!やっぱり……)

「我々は、こたびの騒動に加えて、こんなにも愛し合う恋人を引き裂いて再婚約を求めようとするジョーシン殿下並びにミンティナ殿下の王族としての品位を疑います!」
「何だと?」
「なっ!?」
「は?」

  陛下が驚きの声をあげる。
  続いてジョーシン様とミンティナ殿下もその発言に唖然としている。

「……そして、あなたもです、陛下。今回の王子と王女の騒動に関してはあなたの責任も追求させていただきたい!」

  (ウラバトール侯爵様!)

  この隙を利用して反王政派も一気に王族を追い詰める事にしたのか、ウラバトール侯爵様を筆頭とした反王政派の人達が前に出てきた。


  会場内は異様な空気に包まれ始めていた。
しおりを挟む
感想 290

あなたにおすすめの小説

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

見た目は子供、頭脳は大人。 公爵令嬢セリカ

しおしお
恋愛
四歳で婚約破棄された“天才幼女”―― 今や、彼女を妻にしたいと王子が三人。 そして隣国の国王まで参戦!? 史上最大の婿取り争奪戦が始まる。 リュミエール王国の公爵令嬢セリカ・ディオールは、幼い頃に王家から婚約破棄された。 理由はただひとつ。 > 「幼すぎて才能がない」 ――だが、それは歴史に残る大失策となる。 成長したセリカは、領地を空前の繁栄へ導いた“天才”として王国中から称賛される存在に。 灌漑改革、交易路の再建、魔物被害の根絶…… 彼女の功績は、王族すら遠く及ばないほど。 その名声を聞きつけ、王家はざわついた。 「セリカに婿を取らせる」 父であるディオール公爵がそう発表した瞬間―― なんと、三人の王子が同時に立候補。 ・冷静沈着な第一王子アコード ・誠実温和な第二王子セドリック ・策略家で負けず嫌いの第三王子シビック 王宮は“セリカ争奪戦”の様相を呈し、 王子たちは互いの足を引っ張り合う始末。 しかし、混乱は国内だけでは終わらなかった。 セリカの名声は国境を越え、 ついには隣国の―― 国王まで本人と結婚したいと求婚してくる。 「天才で可愛くて領地ごと嫁げる?  そんな逸材、逃す手はない!」 国家の威信を賭けた婿争奪戦は、ついに“国VS国”の大騒動へ。 当の本人であるセリカはというと―― 「わたし、お嫁に行くより……お昼寝のほうが好きなんですの」 王家が焦り、隣国がざわめき、世界が動く。 しかしセリカだけはマイペースにスイーツを作り、お昼寝し、領地を救い続ける。 これは―― 婚約破棄された天才令嬢が、 王国どころか国家間の争奪戦を巻き起こしながら 自由奔放に世界を変えてしまう物語。

実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~

空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」 氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。 「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」 ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。 成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。

はっきり言ってカケラも興味はございません

みおな
恋愛
 私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。  病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。  まぁ、好きになさればよろしいわ。 私には関係ないことですから。

【完結】財務大臣が『経済の話だけ』と毎日訪ねてきます。婚約破棄後、前世の経営知識で辺境を改革したら、こんな溺愛が始まりました

チャビューヘ
恋愛
三度目の婚約破棄で、ようやく自由を手に入れた。 王太子から「冷酷で心がない」と糾弾され、大広間で婚約を破棄されたエリナ。しかし彼女は泣かない。なぜなら、これは三度目のループだから。前世は過労死した41歳の経営コンサル。一周目は泣き崩れ、二周目は慌てふためいた。でも三周目の今回は違う。「ありがとうございます、殿下。これで自由になれます」──優雅に微笑み、誰も予想しない行動に出る。 エリナが選んだのは、誰も欲しがらない辺境の荒れ地。人口わずか4500人、干ばつで荒廃した最悪の土地を、金貨100枚で買い取った。貴族たちは嘲笑う。「追放された令嬢が、荒れ地で野垂れ死にするだけだ」と。 だが、彼らは知らない。エリナが前世で培った、経営コンサルタントとしての圧倒的な知識を。三圃式農業、ブランド戦略、人材採用術、物流システム──現代日本の経営ノウハウを、中世ファンタジー世界で全力展開。わずか半年で領地は緑に変わり、住民たちは希望を取り戻す。一年後には人口は倍増、財政は奇跡の黒字化。「辺境の奇跡」として王国中で噂になり始めた。 そして現れたのが、王国一の冷徹さで知られる財務大臣、カイル・ヴェルナー。氷のような視線、容赦ない数字の追及。貴族たちが震え上がる彼が、なぜか月に一度の「定期視察」を提案してくる。そして月一が週一になり、やがて──「経済政策の話がしたいだけです」という言い訳とともに、毎日のように訪ねてくるようになった。 夜遅くまで経済理論を語り合い、気づけば星空の下で二人きり。「あなたは、何者なんだ」と問う彼の瞳には、もはや氷の冷たさはない。部下たちは囁く。「閣下、またフェルゼン領ですか」。本人は「重要案件だ」と言い張るが、その頬は微かに赤い。 一方、エリナを捨てた元婚約者の王太子リオンは、彼女の成功を知って後悔に苛まれる。「俺は…取り返しのつかないことを」。かつてエリナを馬鹿にした貴族たちも掌を返し、継母は「戻ってきて」と懇願する。だがエリナは冷静に微笑むだけ。「もう、過去のことです」。ざまあみろ、ではなく──もっと前を向いている。 知的で戦略的な領地経営。冷徹な財務大臣の不器用な溺愛。そして、自分を捨てた者たちへの圧倒的な「ざまぁ」。三周目だからこそ完璧に描ける、逆転と成功の物語。 経済政策で国を変え、本物の愛を見つける──これは、消去法で選ばれただけの婚約者が、自らの知恵と努力で勝ち取った、最高の人生逆転ストーリー。

悪役令嬢発溺愛幼女着

みおな
ファンタジー
「違います!わたくしは、フローラさんをいじめてなどいません!」  わたくしの声がホールに響いたけれど、誰もわたくしに手を差し伸べて下さることはなかった。  響いたのは、婚約者である王太子殿下の冷たい声。  わたくしに差し伸べられたのは、騎士団長のご子息がわたくしを強く床に押し付ける腕。  冷ややかな周囲のご令嬢ご令息の冷笑。  どうして。  誰もわたくしを信じてくれないまま、わたくしは冷たい牢の中で命を落とした。

【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした

ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。 彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。 そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。 しかし、公爵にもディアにも秘密があった。 その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。 ※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています ※表紙画像はAIで作成したものです

処理中です...