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39. 悪役にされた令嬢は断言する
しおりを挟む「何故、お前たちがでしゃばってくるのだ!」
と、陛下はウラバトール侯爵様達を見てとても嫌そうな顔になった。
「しかも、責任を取れだと!?」
「はい。今回殿下達の引き起こしたこれらの愚かな騒動は、そもそも親としてもっと早く気付いて手を打つ話だったと思いますからね」
「!」
「我々は何度か、殿下達の様子がおかしいと申し上げたはずです」
「……」
その言葉に不快な様子を見せる陛下。
王妃殿下も横で苦い顔をしている。
こうして反王政派と陛下達の睨み合いが開始した。
(この光景は王宮ではよく見てきたけれど、こんなに多くの人がいるパーティーでは初めて見る気がする)
今回の件は反王政派にとって今までにないくらい攻めるチャンス……
そんな反王政派の人達の勢いを感じたジョーシン様が彼らを睨みながら吐き捨てるように言う。
「あいつらめ! こんな時にまで調子に乗りやがって!」
「……」
そう言えば、ジョーシン様は反王政派の人たちを昔からかなり毛嫌いしていた。
なんとなく本能で恐れているのかも。
(それにしても……)
イザベル様達の“魅了”の力は解けたとばかり思っていたのだけど。
(どうして、ジョーシン様はこんなに言葉遣いが汚いのかしら?)
昔のジョーシン様はこんな言葉遣いでは無かった。
今が酷いのはてっきり魅了されているせいだと思っていたけれど、もしかしたら、本当のジョーシン様の性格がコレだったのかもしれない。
これでは王族としての品位が~と言われてしまうのも分かる。
(……私達、互いに偽ってばかりだったのかも)
あんなに好きだと思っていたのに、私は何も見えていなかった。
そんなの上手くいくはずがなかった。
「……きっと私達は初めから、うまくいかない関係だったのね……」
私が小さな声でそう呟くと、ディライト様が私の顔を覗き込む。
「今、何か言った? シャルロッテ?」
「あ、いえ……ちょっと昔を思い出していました」
「……昔? それってジョーシン殿下と婚約していた頃の?」
「そ、そうですね……」
「……」
ディライト様が面白くなさそうな顔をした。
(あ! 拗ねてる?)
ディライト様の顔が拗ねている気がする!
そんなディライト様の反応を内心で楽しんでいるとディライト様が言った。
「シャルロッテ。あんな奴と過ごした8年間より、俺とこうして過ごしている数日間の方が幸せって言ってくれていたあれは、あの言葉は……」
「もちろん、本当にそう思っていますよ?」
「そうか!」
私が微笑みながらそう答えると、ディライト様は頬を赤く染めて嬉しそうに笑ってくれた。
「……また、俺のシャルロッテがそんな可愛い顔で微笑む……」
「?」
首を傾げていたら、ディライト様が真面目な顔をして言った。
「シャルロッテ……大変だよ。俺の特製の“抹殺リスト”がこの瞬間もどんどん更新されている……」
「え!? それって現在進行形のものなのですか??」
「うん。それも今日だけでかなり増えたね」
ディライト様は困った様に笑う。
それは私も困る。と言うよりも現在更新中に衝撃を受けた。
「ディライト様……私ってそんなに(危害を与えられそうなくらい)狙われているんですか……?」
「あぁ……(邪な気持ちを抱く奴らに)たくさん狙われている」
「……! そんなにですか!?」
「危険だろう? だからたくさん俺とイチャイチャしてくれ!」
「イチャ……は……はい」
ディライト様って色々、考えているのね。
こうしてイチャイチャする振りをして、私を守りながら危険を察知するつもりなんだわ。
恥ずかしいけれど確かにイチャイチャしていれば、偽装婚約も疑われないし。
(ドキドキは止まらないけれど……)
私が元気に返事をしたらディライト様が嬉しそうに笑う。
「じゃあ、早速……俺のふわふわ……俺だけのふわふわを堪能しよう!」
そう言ったディライト様の美しい顔が私に近付いて来た所で───
「あぁ、畜生! 何が反王政派だ! おい、シャルロッテ! お前だっていつも奴らの考えや行動は許せないと言っていたではないか! 何故、そこで大人しくしているんだ────って! お前達はこんな時に何をやっているんだ! 離れろ!!」
「「……」」
ジョーシン様に邪魔をされた。わざと? わざとなの!?
「何って互いの“愛”を確認し合っているので邪魔しないでくれませんか?」
「……なっ!」
ディライト様が少し苛立った声でジョーシン様に向かって言う。
「俺とシャルロッテの“愛”は殿下達のペラッペラの“真実の愛”とは違いますから」
「だ、だから、あれは偽りだったと言っている! 私の本当の“真実の愛”は8年間も……」
ジョーシン様がまたしてもうるさい。
「ジョーシン様、過去は過去です。あなたが8年間、私の事をお嫌いだったのは今回の事でよーく分かりましたので」
「!? な、何だと嫌っ? 分かった!?」
取り乱した様子のジョーシン様が少し気になったけれど私は続ける。
「そうですよ。あなたの好みのタイプの女性だと信じて好かれようと日々、間違った方向に頑張っていた私を影で笑って楽しかったですか?」
「え、いや……待て……」
ジョーシン様の顔がどんどん青くなっていく。
「そんな姑息な事をするあなたはこの国の次の王なんて無理です。いい加減、この現実を受け止めたらどうですか? 今、この場であなたを次の王に相応しいと思っている人なんてどこにもいませんよ?」
「……なっ!? ふざけるな!」
「ふざけてなどいませんよ。そんな様子だから、反王政派の方々にここまで付け込まれているのではありませんか?」
チラッと陛下とウラバトール侯爵達の方を見ると、反王政派がかなり押していた。
陛下と王妃殿下は必死に反論しているようだけれど、明らかに分が悪い。
(それだけ、ジョーシン様とミンティナ殿下がいろいろやらかしたという事よ)
ジョーシン様は自分のした行いがそのまま返ってきたようなもの。
このままどんどん世論も傾いていくだろう。
(それでも、まだまだ課題は山積み)
でも、これだけは分かる。
だから、私はもう一度はっきりとこう断言した。
「ジョーシン様、残念ですが……あなたが王になる事は、もう絶対にありえません!」
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