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第一部:第二章 希望を胸に
(二)入寮①
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(二)
入寮の日を迎えるにあたり、ラーソルバールは荷物の整理に頭を悩ませていた。
家具は備え付けの物を利用する、ということだが、収納量がどの程度かも分からない。そうなると、持ち込み過ぎる訳にも行かない。
衣服や日用品は担いで行かなくてはならないので、最低限の物にすることとした。不足があれば、休暇の時に取りに戻れば良い。割りきってしまえば簡単だ。
そう思って居たのだが「最初の三十日間は外部との接触を禁止し、寮生活に慣れること」などという条項が有るのを、先程発見した。
「だったら、下見くらいさせろー!」
誰もあたる相手が近くに居ないので、ひとりで声を上げ怒りを発散させる。近隣の住民に聞こえているとは思うが、気にしないでおこう。
寮の部屋はそれぞれに個室が与えられることになっている。共有ではないのが有難いが、家事が得意ではないので、何でも一人でこなさなければならないのは少々面倒だ。
以前はそこそこの大きさの部屋に、数人で共同生活していたそうなのだが、溜まり場になったり、ルームメイト同士の諍いがあったりと、問題が多発したため、現在の個室制度になったと聞いている。
個室なのだから、物に不足が有るよりは多めに用意すれば良い。他人に迷惑をかける訳でもないし、不足があれば購買が有るらしいので、そちらで何とかすれば良い。
そこまで決めてしまえば、あとは早かった。
夢中になって、あれやこれやと詰め込んでいると、部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「まだやってるのか、明日は早いんだろう?」
就寝前にやっていたので、父が呆れた様子で覗きにやって来た。
「もうすぐ終わるよ。父上だって、明日もお仕事でしょう」
「誰かが賑やかにしているから、寝られなくてね」
あっさりと皮肉で返された。
「反省シテオリマス。スグ寝マス」
棒読みで謝罪すると、父は苦笑しながら部屋を出て行き、静かに扉を閉じた。
「おやすみ。早く寝なさい」
扉の向こうから優しい声が聞こえた。この声がしばらく聞けなくなると思うと、少々寂しい。離れていく杖の音も今日は悲しげに聞こえる。
父は病を患ってから、片足の自由が利かなくなった。今は騎士の職を辞して、今は司書として城勤めをしている。ラーソルバール自慢の父親だ。
父が騎士だった頃、ラーソルバールはまだ幼かった。名の知れた騎士だったという話だが、その姿は殆ど記憶に無い。父もその頃の事を語ろうとはしないので、あえて聞かずにいる。
だが、父を知っている人がいたなら、その時は話を聞いてみたいと思う。
しばらくして、ようやくサックも手提げ袋も一杯になった。荷物に不足はないはずだ。
父に配慮して静かにやったつもりだが、大丈夫だったろうか。
ひと仕事終えた事で、ようやく安心して眠れる。ランプの灯を消してベッドに潜り込む。横になって月明かりに照らされる部屋を眺めていたが、試験の前日ほどの高揚感は無いせいか、すぐに眠りに誘われ瞼を閉じた。
入寮の日を迎えるにあたり、ラーソルバールは荷物の整理に頭を悩ませていた。
家具は備え付けの物を利用する、ということだが、収納量がどの程度かも分からない。そうなると、持ち込み過ぎる訳にも行かない。
衣服や日用品は担いで行かなくてはならないので、最低限の物にすることとした。不足があれば、休暇の時に取りに戻れば良い。割りきってしまえば簡単だ。
そう思って居たのだが「最初の三十日間は外部との接触を禁止し、寮生活に慣れること」などという条項が有るのを、先程発見した。
「だったら、下見くらいさせろー!」
誰もあたる相手が近くに居ないので、ひとりで声を上げ怒りを発散させる。近隣の住民に聞こえているとは思うが、気にしないでおこう。
寮の部屋はそれぞれに個室が与えられることになっている。共有ではないのが有難いが、家事が得意ではないので、何でも一人でこなさなければならないのは少々面倒だ。
以前はそこそこの大きさの部屋に、数人で共同生活していたそうなのだが、溜まり場になったり、ルームメイト同士の諍いがあったりと、問題が多発したため、現在の個室制度になったと聞いている。
個室なのだから、物に不足が有るよりは多めに用意すれば良い。他人に迷惑をかける訳でもないし、不足があれば購買が有るらしいので、そちらで何とかすれば良い。
そこまで決めてしまえば、あとは早かった。
夢中になって、あれやこれやと詰め込んでいると、部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「まだやってるのか、明日は早いんだろう?」
就寝前にやっていたので、父が呆れた様子で覗きにやって来た。
「もうすぐ終わるよ。父上だって、明日もお仕事でしょう」
「誰かが賑やかにしているから、寝られなくてね」
あっさりと皮肉で返された。
「反省シテオリマス。スグ寝マス」
棒読みで謝罪すると、父は苦笑しながら部屋を出て行き、静かに扉を閉じた。
「おやすみ。早く寝なさい」
扉の向こうから優しい声が聞こえた。この声がしばらく聞けなくなると思うと、少々寂しい。離れていく杖の音も今日は悲しげに聞こえる。
父は病を患ってから、片足の自由が利かなくなった。今は騎士の職を辞して、今は司書として城勤めをしている。ラーソルバール自慢の父親だ。
父が騎士だった頃、ラーソルバールはまだ幼かった。名の知れた騎士だったという話だが、その姿は殆ど記憶に無い。父もその頃の事を語ろうとはしないので、あえて聞かずにいる。
だが、父を知っている人がいたなら、その時は話を聞いてみたいと思う。
しばらくして、ようやくサックも手提げ袋も一杯になった。荷物に不足はないはずだ。
父に配慮して静かにやったつもりだが、大丈夫だったろうか。
ひと仕事終えた事で、ようやく安心して眠れる。ランプの灯を消してベッドに潜り込む。横になって月明かりに照らされる部屋を眺めていたが、試験の前日ほどの高揚感は無いせいか、すぐに眠りに誘われ瞼を閉じた。
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