聖と魔の名を持つ者 ~その娘、聖女か魔女か。剣を手にした令嬢は、やがて国家最強の守護者となる~

草沢一臨

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第一部:第六章 後始末と始まり

(二)剣と耳飾り②

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 この後、剣を持たされたガイザは、相当頑張って、ラーソルバールの剣を凌いだ。だが、やはり数発食らってしまい、よろけたところを、見かねたフォルテシアの参戦により救われた。
「二人とも、良くあんなのと練習やってるな」
 息を切らしながら座り込んだガイザ。ラーソルバールに背を向け、親指で後ろを指した。
「あんなの? ん?」
 笑顔でガイザを見ているが、目は笑ってない。
「しかしまあ、いい運動というか稽古になるな。対人はようやく始まったばかりだし」
「稽古で上達はしてるんだろうけど、自分がどの辺に居るんだかさっぱり分からないよ。前にガイザさんが言ってた事の意味が、ようやく分かった気がするもん」
「だろ、比較対象にしちゃ、駄目だって」
 話の意味を感じ取ったのか、フォルテシアはふんふんと頷く。
「じゃあ、ガイザと手合わせしてみたら?」
 ラーソルバールは、座っているシェラの顔を覗き込んだ。
「多分、今のガイザは、ジェスターよりずっと強いよ」
 ラーソルバールは、自分の持っていた剣をシェラに渡す。
「フォルテシア、お先にどうぞ」
「いや、私は疲れた。シェラがやっていい」
 フォルテシアの完全拒否により、結局シェラがやることになった。
「使ってる剣は同じなんだよねえ。何が違うんだろ」
「剣を降った回数だろうな。ラーソルは朝から暗くなるまで、剣を振り回してたからな」
 そういえば、そうだ。自分があの場所を通る時、いつも音が聞こえてきた覚えがある。少しだけ、思い出の引き出しを開けた。
「まあ、才能も有るんだろうけどさ。ただ単純に才能です、天の恵みですって言い切ったら、あいつの努力を無駄にしちまう」
「変な見本が目の前にあるから、慢心せずに済みそうです」
 二人は剣を構えると、訓練を始めた。
 その頃、寮にラーソルバール宛の荷物が届けられていた。
 差出人はフェスバルハ伯爵。

 しばらく後に、ヘトヘトになって寮に戻ってきた。
 剣を返し、部屋に戻ろうかと思ったところで、寮母に呼び止められ、荷物を渡された。差出人を見て首を傾げる。荷物は重くは無いが、中身が何だか分からないので怖い。
 危害を加える物、という意味ではなく、指輪とか、ティアラとか「ウチの息子の嫁に来い」というメッセージ性の有る物が入っているのが一番怖い。
 とりあえず、そうではないことを祈るばかりだった。 
 寮母から荷物を受け取った時、シェラとフォルテシアがかなり中身を気にしていたが、知り合いからの荷物という事で、何とか隠し通した。伯爵ご自身からの贈り物というだけで、説明ができる気がしない。
 部屋に戻ると、恐る恐る荷の口を開けた。
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