断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる

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その後を知ってる?

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それからの展開は早かった。
ラノベあるあるそのままに、上位成績者という理由で皇太子殿下に誘われるまま生徒会へ入り、他の攻略対象者(だと思われる)に囲まれ、悪役令嬢らしき人に、現代日本人からしたら甘っちょろい嫌がらせを受けながら、分かりやすく恋に落ちた殿下とはバグった距離感から始まり、当然のようにゴニョゴニョもすませ、まあ、両思いヒャッハーって、前世ではなかった青春を楽しんでた。
たまに、これが強制力?この彼への思いも何かの力が働いてるの?なんてヒロインぶって浸ってみたりもしたけど、ストーリーは想像を超えるスピードで進んでいった。
卒業式の断罪は、正直えっ?やるの?から始まり、悪役令嬢が私を襲わせようとしていたとか、カイン・ロードレスが悪役令嬢の仲間だったとか、それ無理じゃない?というツッコミどころ満載のまま有無を言わせず終了。いや、確かに、辻褄が合わないストーリーのラノベは沢山あったし、私の編入から断罪までが爆速過ぎて、気持ちが追いついてない感はあったよ。ヒロイン目線だと知らされていない部分もあったかもしれないし。あと、どこか「まあ、ストーリーは決まってるし」って思ってたことは認める。
卒業後も、王家の力で結婚が決まって、男爵令嬢だから側妃っていうのも、ちょいリアルで落としどころとしてはまあ、いいか。なんて上から目線で見てたのは事実だけど‥。

卒業式後、王城にあがり、仕事をしている。
生徒会でやたらと事務仕事みたいなことをさせられていたけど、あれってこの為だったんだって気付くのに少しかかった。
プレゼントだと渡されたネックレスというか、首輪は魔力を制御されるものだった。
側妃は侍女や護衛がつくし、自分で魔力を使う必要はないと。
毎朝定時に起こされて、部屋に運ばれた食事をとり、与えられた執務室に入り、一日中そこで1人で仕事をする。部屋は世話をする侍女や事務官が出入るするとき以外は鍵がかかっている。
悪い人が入ってこれないように。だって。
側妃だから結婚式とかなかった。王城に来てから殿下を見たのは首輪を付けられたときだけ。

ねぇ、ヒロインのその後って知ってる?
棒有名アニメ映画は定期的にいろんなヒロインのその後を制作するけど、誰が創作したかも分からないモノの、そんなヒロインのその後ってどうなるんだろう。

どうして殿下は来ないのかな。

ねぇ、殿下からそんな扱いされる側妃を侍女たちがどんな扱いするか知ってる?

まるで私なんかいないみたい。
ただ仕事を押し付けられるためだけに存在してるみたい。
あのとき恋に落ちたのはやっぱり強制力?
断罪して側妃になるまでで、効力が切れたのかな。「二人は末長く幸せに暮らしました」にはならなかった。
誰とも話すことなく孤独が自分を、蝕んでいくのを俯瞰して見てた。
卒業式から4ヶ月ほど。ご飯が喉を通らなくなって、でも仕事は山積みで、とりあえずやらなきゃって。ストレスが溜まって、書類に書き込みなが、つめを噛む癖は前世からのもの。
何でこうなった?時間ができると考えてしまうから仕事しなきゃ。
私は大丈夫。私は愛されてる。騙されてない。仕事を、押し付けられてない。
繰り返す。自分を落ち着かせるために。

‥もう無理。愛されてたわけじゃない。騙された。お母さん‥

あれっ誰がいた気がしたけど、誰だろう。
サイドテーブルにお茶が置いてある。
誰か入ってきたのかな。最近よく分からない。数字を何度も計算し直す。何を口にしても味がしない。気づいたらずっと何か喋ってる。
あれ?私コワレタのかな‥

毎朝通る執務室への道のり。
王城で初めて彼とすれ違った。

『助けて』と、声にだしていた。

彼の目が大きく開いた。
あぁ、あの時の殿下とよく似てる。
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