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断罪後・アイシャ1
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勝手知ったる何とやら。
幼い頃より、皇太子妃となり、やがては王妃となるために父に密かに見せてもらった王城内地図を丸暗記していた。
実際父について登城しては王城内を密かに見てまわっていたのは、いずれ自分が王妃となり住む場所になるのだからと疑わずにいた12歳までだったか。
卒業パーティーで断罪された。
詳らかにされた内容は全て身に覚えのあるものだった。
でも、侯爵家の私が男爵家のものに行ったところで特に問題ない範囲のはず。
まあ、人を雇ってちょっと痛い目にあわせようとしたのは不味かったかもしれないけど。
あと、何故だか話したこともない殿下の取り巻きの子爵令息が私を手伝ったと一緒に断罪されていた。
多分、殿下の不興を買って、ついでに始末されたんでしょう。よくある話。
でも、まさか侯爵家から籍を抜かれ、平民に落とされた挙句修道院へ送られると聞いたときは驚いた。
ただ、実際は修道院の方向へ馬車で途中まで送り、そこで大金とともに下ろされた。
その時、侯爵家の馴染みの御史から伝えられたのは、この金を持って平民として行きていけという父からの伝言だった。
まあ、戻るわよね。王都に。
乗り合い馬車の乗り方すら知らないから1ヶ月もかかったけど。
そして使用人通用口から堂々と入った。
王城の危機管理どうなってるの?と思わなくもないけど、どちらかというと外部からの魔法攻撃特化で結界が張ってあり、侵入者の攻撃は衛兵や騎士団が対応することになっている。
暗殺者入りまくりじゃない。
リネン室で侍女服に着替える。
これでどこに行ってもある程度怪しまれない。
そして今、私の目の前には憎んでも憎み足りない女がいる。
明るく調度品も整っているが、こじんまりとした部屋。
部屋の外からかけられる鍵。
積み上がった書類。爪を噛みながらペンを走らせている。
手首には魔法封じの腕輪。別名隷属の腕輪。
「帰りたい。お母さん助けて。ここから出して。騙された。帰りたい。お母さん・・」
繰り返される言葉。
卒業後、側妃になったと聞いた。姿形はそれなりに整えられている。が、学院で見ていた貴族としては有り得ない明け透けな表情は鳴りを潜め、肌は荒れ隈もひどくやつれている。
淡い金髪に薄い青い目の庇護欲を誘う見た目は今や悲壮な様相を呈している。
この女は誰だろう。私からアル様を奪った女はどこへいったのか。
側妃の部屋から出て考える。
亡き者にと意気込んだ気が削がれた。
何かがおかしい。
なぜあの女はあんな扱いを受けているのか。
何故?何故?何故?
無意識に城内でも外れにある古びた塔に向かって歩いていた。
ここはアル様が子供の頃から幼馴染の2人とよく秘密基地にして遊んでいたところ。
ふと見ると周囲に衛兵が立っている。
ここは何代か前の側妃が正妃の王子を暗殺しようとした罪で幽閉された場所。
アル様達が遊んでいた時も護衛騎士がついているくらいで衛兵なんていなかったのに。
しばらく見ていると、侍女がトレーを持って出てきた。
食事を運んでいる。
塔に誰かいる?
侍女の後ろをついていく。
アンナとリンダという侍女が話している内容から、あの子爵令息が塔にいることがわかった。
淡い金髪と薄い青い目の。・・?
あの女と同じ色。
この違和感は何?
アル様とあの令息が仲良くなったのはいつ?
あの女と仲良くなったのは?
皇太子妃になる為あらゆる努力をした。才能もあったし力もあった。私以上にアル様に相応しい令嬢はいなかった。
サイファ様ともロイド様ともそれなりに上手くやってきた。
それがある日突然男爵令嬢にその場所を盗られた。
と思っていたけど、本当に?
気軽だからと、男性ばかり集まって楽しげに過ごす事が多くなったのはいつだった?
アル様の視線が誰を追うようになったか。
サイファ様やロイド様に向ける目とは・・違っていた?
確かめずにはいられない。
アンナという侍女の意識を魔法で奪い、身体を隠す。
用意された食事を持って塔へとすすむ。
ここに答えがある。
幼い頃より、皇太子妃となり、やがては王妃となるために父に密かに見せてもらった王城内地図を丸暗記していた。
実際父について登城しては王城内を密かに見てまわっていたのは、いずれ自分が王妃となり住む場所になるのだからと疑わずにいた12歳までだったか。
卒業パーティーで断罪された。
詳らかにされた内容は全て身に覚えのあるものだった。
でも、侯爵家の私が男爵家のものに行ったところで特に問題ない範囲のはず。
まあ、人を雇ってちょっと痛い目にあわせようとしたのは不味かったかもしれないけど。
あと、何故だか話したこともない殿下の取り巻きの子爵令息が私を手伝ったと一緒に断罪されていた。
多分、殿下の不興を買って、ついでに始末されたんでしょう。よくある話。
でも、まさか侯爵家から籍を抜かれ、平民に落とされた挙句修道院へ送られると聞いたときは驚いた。
ただ、実際は修道院の方向へ馬車で途中まで送り、そこで大金とともに下ろされた。
その時、侯爵家の馴染みの御史から伝えられたのは、この金を持って平民として行きていけという父からの伝言だった。
まあ、戻るわよね。王都に。
乗り合い馬車の乗り方すら知らないから1ヶ月もかかったけど。
そして使用人通用口から堂々と入った。
王城の危機管理どうなってるの?と思わなくもないけど、どちらかというと外部からの魔法攻撃特化で結界が張ってあり、侵入者の攻撃は衛兵や騎士団が対応することになっている。
暗殺者入りまくりじゃない。
リネン室で侍女服に着替える。
これでどこに行ってもある程度怪しまれない。
そして今、私の目の前には憎んでも憎み足りない女がいる。
明るく調度品も整っているが、こじんまりとした部屋。
部屋の外からかけられる鍵。
積み上がった書類。爪を噛みながらペンを走らせている。
手首には魔法封じの腕輪。別名隷属の腕輪。
「帰りたい。お母さん助けて。ここから出して。騙された。帰りたい。お母さん・・」
繰り返される言葉。
卒業後、側妃になったと聞いた。姿形はそれなりに整えられている。が、学院で見ていた貴族としては有り得ない明け透けな表情は鳴りを潜め、肌は荒れ隈もひどくやつれている。
淡い金髪に薄い青い目の庇護欲を誘う見た目は今や悲壮な様相を呈している。
この女は誰だろう。私からアル様を奪った女はどこへいったのか。
側妃の部屋から出て考える。
亡き者にと意気込んだ気が削がれた。
何かがおかしい。
なぜあの女はあんな扱いを受けているのか。
何故?何故?何故?
無意識に城内でも外れにある古びた塔に向かって歩いていた。
ここはアル様が子供の頃から幼馴染の2人とよく秘密基地にして遊んでいたところ。
ふと見ると周囲に衛兵が立っている。
ここは何代か前の側妃が正妃の王子を暗殺しようとした罪で幽閉された場所。
アル様達が遊んでいた時も護衛騎士がついているくらいで衛兵なんていなかったのに。
しばらく見ていると、侍女がトレーを持って出てきた。
食事を運んでいる。
塔に誰かいる?
侍女の後ろをついていく。
アンナとリンダという侍女が話している内容から、あの子爵令息が塔にいることがわかった。
淡い金髪と薄い青い目の。・・?
あの女と同じ色。
この違和感は何?
アル様とあの令息が仲良くなったのはいつ?
あの女と仲良くなったのは?
皇太子妃になる為あらゆる努力をした。才能もあったし力もあった。私以上にアル様に相応しい令嬢はいなかった。
サイファ様ともロイド様ともそれなりに上手くやってきた。
それがある日突然男爵令嬢にその場所を盗られた。
と思っていたけど、本当に?
気軽だからと、男性ばかり集まって楽しげに過ごす事が多くなったのはいつだった?
アル様の視線が誰を追うようになったか。
サイファ様やロイド様に向ける目とは・・違っていた?
確かめずにはいられない。
アンナという侍女の意識を魔法で奪い、身体を隠す。
用意された食事を持って塔へとすすむ。
ここに答えがある。
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