断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる

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断罪後・アイシャ2

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塔には何の障害もなく入れた。

塔の造りから、主賓室は最上階しかない。
上品な扉を開くと何らかの結界がある。
弾かれるか。と思ったけど、すんなり入れた。

特定の誰かを入れなくするためか、それとも誰かを出られなくしているのか。

ソファーが置かれた応接室らしい部屋の奥に部屋が2つ。
一つはバスルームとトイレへ続く扉だった。

もう一つの扉を開ける。

大きな天蓋付きのベッドがある。
そこから幾重にもかけられた魔法を感じる。
これは、洗浄。治癒。意識混濁。魔力吸収に・・媚薬効果・・?!

サイドテーブルにトレーを置いて天蓋のカーテンを開ける。

そこにはぼんやりと天井をみつめる男性がいた。

カイン・ロードレス子爵令息

最後に見た時より痩せた男のシャツの隙間から見える肌に散る紅い跡を見た瞬間、血が沸騰した。

「何でアンタがっ!何でアンタなんかにっ!!」

あまりの怒りで言葉にならない。

あの女じゃなかった。コイツがアル様を奪った!コイツが!!
サイファ様もロイド様もみんなコイツが。
私から盗った!私のモノだった!そこは私の場所だった。私の!!

何の反応も見せない盗人に思う様制裁を与えていると、急に手首を掴まれた。

「・・それは代わりたいということか?」

息を飲む。強い意志を感じる目。

「っっ!そこは私の場所よっ」

そう叫んだ瞬間、あの男が何かつぶやいた。

その途端、急激な浮遊感と上下が逆さまになったようなグルリとした回転を感じた。

何が起こったの。

さっきまではっきりしていた意識に膜が張られていく。幾重にも幾重にも。

目を開けると、見慣れた顔があった。
鏡なんてあったかしら。

「ありがとうな。あっアンタも。ありがとうな」

私が喋っている。自分におれいなんてへんね。

それから、いつもぼんやりしている。

たまにきづくとアルさまやサイファさまロイドさまがみたこともないようなおかおでわたしをみている。あせをかいてくるしそうに。すこしえみをうかべて。しかいがゆれてきもちわるい。

コトリ

あるひそんなおとがきこえた。なにかとまったおと。

しかいがくらくなってきた。

わたしなにをかんがえていたんだっけ。なにがほしかったんだっけ。
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