溺愛されていると信じておりました──が。もう、どうでもいいです。

ふまさ

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 優しくて、無邪気に慕ってくれるジェマとは、驚くほどすぐに仲良くなった。ジェマはことあるごとに「すごいね、フィオナ」と、よく褒めてくれる。はじめて会話したときに、何かを感じ取ったのかもしれない。

 きっと大切に育てられたのだろうなと、羨ましく思うこともあったけど。妬む気持ちは不思議とわいてこなかった。

 フローラと学園ですれ違うとき、何を問うでもなく「行こう、フィオナ」と笑ってその場から連れ出してくれる。ミックが何か罵倒してきても、何も聞こえないふりをしてくれるジェマ。

 それに何度助けられたことだろう。



「──やるな、お前」

 学園に入学してはじめて行われた試験。その結果が学園の、中庭を見渡せる一階の廊下に張り出された。といっても、各学年の上位十位までだが。

 ジェマと一緒に結果を見にきていたフィオナ。ジェマが「フィオナ、すごい! 学年二位だよ」と、自分のことのように興奮しながら喜ぶ。フィオナが「ジェ、ジェマ。声が大きいわ」とジェマを落ち着かせようとしていると、いつの間にやら隣に来ていたニールが、そう声をかけてきたのだ。

 フィオナがジェマからニールに視線を移す。目が合うと、ニールは不適に笑った。フィオナは、ぴんと姿勢を正した。

「……いいえ、まだまだです。入試も、今回の試験も、あなたには勝てませんでしたから」

「まあ、そうだな。だが見ろ。二位と三位の総得点の差を。逆にわたしとお前との差は、それほどはない」

 腕を組み、ニールが嬉しそうに目を細める。まわりの女子生徒たちが、きゃあと黄色い声をあげた。フィオナも同じクラスとなったニールがこんな風に笑うところを、はじめて見た気がした。その横顔に思わず見惚れそうになったが──それ以上に、ニールに認められたような気がして胸が高鳴った。

 教養のありすぎるレディは、結婚が遠退くとされる。それはフィオナも知ってはいたが、他者に認められたい欲求と、単純な知識欲。そして何より、将来、例え家を追い出されても、結婚相手が見つからなくても、文官として生きていける可能性を自分なりに用意しておきたかったから。

 それが、どうだろう。ジェマだけでなく、あの堅物と噂されるニールまでもがフィオナを認めてくれた。それがどれほど嬉しかったか。

 フィオナは生まれてはじめて、自分にも居場所ができたような気がした。



 フィオナとフローラは、顔こそ瓜二つなものの、性格も何もかもが、まるで正反対だった。フィオナはいつも髪を一つに束ね、ダンスも上手く、成績は常に上位。身につけるものは青色のような寒色系に統一されていた。

 対してフローラは、長い髪を垂らし、控えめで、成績は常に下位。身につけるものは赤色の系統ばかり。そして傍にはいつも、ミックがいた。学園に入学して半年が過ぎようとしていたころには、二人を見間違える者など、学園にはほとんどいなくなっていた。

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