溺愛されていると信じておりました──が。もう、どうでもいいです。

ふまさ

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 ──ひと月半後。


「きた! きたわ、あなた!」

 侯爵夫人が両手で封書を持ちながら、階段をかけのぼる。自室から飛び出してきた侯爵はそれを受けとり、はやる気持ちをおさえながらナイフで封を開けた。

「あなた。手紙の内容は?」

 両手を胸の前で組み、侯爵夫人が胸を高鳴らせながら訊ねる。侯爵は黙読してから、ぱっと顔をあげた。

「明日の昼。屋敷に来るようにと」

「! まあ、それじゃあ!」

「ああ。他には特に書いてないが、フィオナの説得に成功したのだろう」

 侯爵夫人は「良かったこと……」と、ほっと胸を撫で下ろした。

「これでわたくしたちは、ブラート公爵家との繋がりが持てるのですね」

「そうだ。ホルン伯爵家など、目ではない。明日はフィオナを褒めてやらなくてはな」

「ええ、そうですわね。何て親孝行な子でしょう。わたくし、今すぐにでもあの子を抱き締めてあげたくてたまりませんわ」

 私もだ。
 そう言って、侯爵は侯爵夫人としばらくの間、笑い合った。


 次の日。

 二人は指定された時刻より少し前に、ブラート公爵の屋敷に到着していた。さすがに今回はすぐに屋敷に入れてもらえるものとばかり思っていたのだが──。

「そこでお待ちください。ただいま、ニール様にお伝えしてきますので」

 執事がそこ、と言ったのは、前回と同じ、屋敷の門の外だった。

 
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