真実の愛は、誰のもの?

ふまさ

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「お帰りなさい、あなた。コーリー」

 王都にあるルソー伯爵の屋敷に着くなり、待ちわびていたように、ルソー伯爵夫人が玄関ホールへと姿を現した。

 真っ先に口を開いたのは、コーリーだった。

「お母様、聞いてください! あたし、ジェンキンス伯爵たちからとてもひどいことを言われて……お兄様も!!」

「──ジェンキンス伯爵から、なにかお咎めは?」

 心配するでもなく、そう問いかける母親に違和感を覚えたコーリーが、首を捻った。

「お咎めって……だから、ひどいことをたくさん言われましたよ。それに、お兄様をルソー伯爵家から除籍する書類に、お父様が無理やり署名させられて」

「それだけ、ですか?」

「それだけってなんですか?!」

 怒鳴るコーリーを無視し、ルソー伯爵夫人は、ルソー伯爵に視線を移した。

「他には、なにかありましたか?」

「……いいや。コーリーが言ったことに間違いはない」

 ルソー伯爵夫人は、まあ、と僅かに目を丸くした。

「……ジェンキンス伯爵は、器が大きくていらっしゃるのですね。エディも、ミア嬢も……」

 しみじみと目を伏せるルソー伯爵夫人に、コーリーが、どこがですか、と苛々しながら声を荒げた。

「お母様。あたしの話し、ちゃんと聞いていましたか? あたし、一方的に悪者にされたんですよ?!」

 おかしい。おかしい。いつもなら、可哀想にと、すぐに慰めてくれるはずなのに。お母様まで狂ってしまったのかと、コーリーが憤慨する。

「──エディがあなたの相手をしてくれていたからそこ、わたくしは今日までたえることができました」

 顔から表情をなくしたルソー伯爵夫人が、冷たい声音で、唐突に、そう吐き捨てた。

 コーリーも、ルソー伯爵も、同時に固まった。ルソー伯爵夫人が、かまわず続ける。

「それだけでありません。今回は、たまたま、相手が寛容だっただけです。そうでなければ、どうなっていたことか……それほどまでのことをしたという自覚は、あるのですか?」

「……貴様、当主の私に向かってっ」

「ええ、ええ。結婚したとき、言われましたね。あなたに逆らえば、離縁してやると」

 ルソー伯爵夫人は、懐から離縁の書類を取り出した。

「あなたが愛し、甘やかした結果が、いまのコーリーです。危なっかしくて、心が持ちません。このままでは、いつ、わたくしも、わたくしの実家も巻き添えになることか」

 差し出された書類には、もう、すべてが記入されていて。あと必要なのはもう、ルソー伯爵の署名だけだった。

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