別れ話をしましょうか。

ふまさ

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「──嫌です」

 間を置かず、デージーはきっぱりと告げた。あまりにデージーらしからぬ行動に、両親は目を瞠った。

「な、んですって?」

「お母様。わたし、アール様とお姉様が両想いなら、身を引こうと思いました。その覚悟もしました。でも、違ったのです」

「違わないわ! 二人とも、あなたに気を使っているだけよ! どうしてそんなこともわからないの?!」

「お母様たちが信じようが信じまいが、お姉様がわたしに花瓶を投げつけてきたのは事実です。それに、お姉様のおっしゃっていることは滅茶苦茶でしたし、わたしへの気遣いなど、欠片も感じられませんでした」

「ま、まあ……何てことをっっ」

 ワウテレス伯爵夫人が口元をおさえ、よろける。その様子に、アールは激しい怒りを覚えた。

「デージーの言うとおり、コリンナは無茶苦茶でした──が、それはどうやら、あなたたちも同じようだ。これ以上の話し合いは無意味だということが、よく理解できましたよ」

 行こう。デージーが差し出された手を掴むと、アールはデージーを連れて、応接室を出ていこうとした。ワウテレス伯爵夫人が、待ちなさい、と止めようとするのを、ワウテレス伯爵が制止した。

「あなた、どうして……っ」

「そやつは、コリンナではなく、デージーでいいと言っているんだ。ありがたい話しではないか」

 ワウテレス伯爵は、ぎろりとアールに鋭い視線を向けた。

「後悔するなよ、シェーベリ伯爵家次男。お前は、爵位を継げる唯一の機会を逃したのだ」

 アールはさらりと、そうですか、と流し、デージーと共に、さっさとその場を後にした。


 デージーもまた、振り返ることは、一度もしなかった。

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