47 / 47
第二章 新世界
43
しおりを挟む
「女王様、例の男の家にも行きましたが、既に男の姿はありませんでした。船着き場の船は数が揃っていますから、船を使われたとは考えられませんが……」
男がその後に言いたいことは予想がついた。つまり、魔法を使ったのではないかということだろう。
「全く……汚染に怯える必要もなくなったというのに何故幸せに感じられないのか」
女王はそう言ってため息をついた。
「女王様?」
「なぁ、お前。人はどうやったら幸せになれると思う?」
◇◆◇◆◇
環境のことを人類は全く考えていなかったわけではなかった。これから生まれてくるであろう子供達が暮らしていく地上を汚してきたのは明らかに大人達だ。これまでの行いに反省をし、改善に向け動くべきだった。しかし、世界各国の足並みは中々揃うことはなかった。当然であろう。文化も言葉も異なる国同士がどうやって足並みを揃えられるのか。その具体的な答えを見つけることはかなわず、ズルズルと時が流れていくばかりだった。しかし、明らかに人類の永遠でもたらした環境の変化は、生態系に影響を与えた。環境の変化により、その変化に適応出来なかった生物は次々と絶滅していった。
それでも人類に危機感というものが世界に広がることはなかった。
常に競争社会によって生産された便利な物に囲まれた生活から簡単に人類は手放せないでいた。そして、ネット世界に目を向け、自分の周りを見ようとはしなかった。
椅子に座りスマホやパソコンに集中しているうちに、椅子の4本足の近くには水がそこまできていた。
環境の変化にはまだまだ科学的謎要素はあるし、新たな認識で、これまでの認識が覆されることはあった。しかし、地上がおかしいと人間が認識しだしたこと事態は真実であり、それは覆されるものではなかった。
人類はまだ長生きをしたかった。
争いをやめるべきであり、人類は異なる言語をこえて同じ方向へ歩むべきだった。
しかし、争いは激化し、人類はほとんどが滅んだ。
それが確実に滅ぶのも時間の問題だった。
◇◆◇◆◇
魔女Xはローレンスを見ながら言った。
「地上には人間の歴史物は消えてしまった。あなたはまた新たなものを築けばいいと考えるでしょう。しかし、人類が滅んでしまえばその人間の歴史は無価値になる。歴史に価値を感じられるのは知恵の果実を口にしたあなた達人類だけなのだから」
「人間が発明してきたものを線引きしたりはしない。取り戻したのは自然だけか? 人間の発明によって影響したオゾン層はどうだ? これ以上の破壊を許すわけにはいかなかった。人類が生き延びる方法はこれしかなかった。それをお前は最後の最後で復讐に利用したんだ。神のお気に入りという理由だけでな。だが、俺達は神のお気に入りだったという自覚を持っているわけじゃない」
「それは最も罪深いことよ」
「お前にとって神とはなんだ。嫉妬する程なのか。お前は単に羨ましいんじゃなく、自分より特別扱いするのが許せなかった。そんな理由だろ?」
「どうしたいわけ? 私を殺すの?」
「そうだな、殺すに値する」
「私のことはどうでもいいの?」
「このやり方を教えたのはお前だ。私はそれに惹かれた」
「嘘よ!」
ローレンスは魔法の剣を抜いた。黄金に輝いていた剣はすっかり黄金色を失っており、石のような姿になっていた。
「そんな剣では私は斬れないでしょ」
「そうだな。剣というより、こいつでお前の骨を砕き、殴る」
「酷いわ!」
「最後に裏切っておいてなにを言う」
すると突然、魔女Xの周りにシャボン玉が複数出現しては浮遊した。
シャボン玉の中には、水、雷、火、風、砂が入っていた。
「私は全属性を操れるのよ。一つの属性しか操れない魔法の剣とはわけが違うのよ。ほら、今のうちに謝ったら?」
「俺が魔法を知らないと思ったか?」
すると、胸ポケットからスキットルを取り出して見せた。
「それは……」
「もう地上のどこにも魔力はないんだろ? なら、あんたが今も魔法が使えるのはおかしいんじゃないのか」
「魔力の水が入っているのね」
「お前だってそうなんだろ」
ローレンスに言われた魔女Xはふと、考え事をしだした。
「なんだ」とローレンスは言うと、魔女Xは「あの子達は死んだと思っていたけど、あの子達も私同様の手をもっていてもおかしくないと思ったのよ」
ローレンスは言わなかったが、魔女キルケが生きていることを既にずっと前から感じ取っていた。
今になって気づかれたか。あとは、あの女がうまくやるしかない。あの出来損ないの魔女に期待しなきゃならんとは。
ローレンスは石の剣を捨てた。
「あら、やめるの?」
しかし、ローレンスは黄色の魔法の剣を抜いた。
「あの石の剣で戦うのをやめただけだ」
男がその後に言いたいことは予想がついた。つまり、魔法を使ったのではないかということだろう。
「全く……汚染に怯える必要もなくなったというのに何故幸せに感じられないのか」
女王はそう言ってため息をついた。
「女王様?」
「なぁ、お前。人はどうやったら幸せになれると思う?」
◇◆◇◆◇
環境のことを人類は全く考えていなかったわけではなかった。これから生まれてくるであろう子供達が暮らしていく地上を汚してきたのは明らかに大人達だ。これまでの行いに反省をし、改善に向け動くべきだった。しかし、世界各国の足並みは中々揃うことはなかった。当然であろう。文化も言葉も異なる国同士がどうやって足並みを揃えられるのか。その具体的な答えを見つけることはかなわず、ズルズルと時が流れていくばかりだった。しかし、明らかに人類の永遠でもたらした環境の変化は、生態系に影響を与えた。環境の変化により、その変化に適応出来なかった生物は次々と絶滅していった。
それでも人類に危機感というものが世界に広がることはなかった。
常に競争社会によって生産された便利な物に囲まれた生活から簡単に人類は手放せないでいた。そして、ネット世界に目を向け、自分の周りを見ようとはしなかった。
椅子に座りスマホやパソコンに集中しているうちに、椅子の4本足の近くには水がそこまできていた。
環境の変化にはまだまだ科学的謎要素はあるし、新たな認識で、これまでの認識が覆されることはあった。しかし、地上がおかしいと人間が認識しだしたこと事態は真実であり、それは覆されるものではなかった。
人類はまだ長生きをしたかった。
争いをやめるべきであり、人類は異なる言語をこえて同じ方向へ歩むべきだった。
しかし、争いは激化し、人類はほとんどが滅んだ。
それが確実に滅ぶのも時間の問題だった。
◇◆◇◆◇
魔女Xはローレンスを見ながら言った。
「地上には人間の歴史物は消えてしまった。あなたはまた新たなものを築けばいいと考えるでしょう。しかし、人類が滅んでしまえばその人間の歴史は無価値になる。歴史に価値を感じられるのは知恵の果実を口にしたあなた達人類だけなのだから」
「人間が発明してきたものを線引きしたりはしない。取り戻したのは自然だけか? 人間の発明によって影響したオゾン層はどうだ? これ以上の破壊を許すわけにはいかなかった。人類が生き延びる方法はこれしかなかった。それをお前は最後の最後で復讐に利用したんだ。神のお気に入りという理由だけでな。だが、俺達は神のお気に入りだったという自覚を持っているわけじゃない」
「それは最も罪深いことよ」
「お前にとって神とはなんだ。嫉妬する程なのか。お前は単に羨ましいんじゃなく、自分より特別扱いするのが許せなかった。そんな理由だろ?」
「どうしたいわけ? 私を殺すの?」
「そうだな、殺すに値する」
「私のことはどうでもいいの?」
「このやり方を教えたのはお前だ。私はそれに惹かれた」
「嘘よ!」
ローレンスは魔法の剣を抜いた。黄金に輝いていた剣はすっかり黄金色を失っており、石のような姿になっていた。
「そんな剣では私は斬れないでしょ」
「そうだな。剣というより、こいつでお前の骨を砕き、殴る」
「酷いわ!」
「最後に裏切っておいてなにを言う」
すると突然、魔女Xの周りにシャボン玉が複数出現しては浮遊した。
シャボン玉の中には、水、雷、火、風、砂が入っていた。
「私は全属性を操れるのよ。一つの属性しか操れない魔法の剣とはわけが違うのよ。ほら、今のうちに謝ったら?」
「俺が魔法を知らないと思ったか?」
すると、胸ポケットからスキットルを取り出して見せた。
「それは……」
「もう地上のどこにも魔力はないんだろ? なら、あんたが今も魔法が使えるのはおかしいんじゃないのか」
「魔力の水が入っているのね」
「お前だってそうなんだろ」
ローレンスに言われた魔女Xはふと、考え事をしだした。
「なんだ」とローレンスは言うと、魔女Xは「あの子達は死んだと思っていたけど、あの子達も私同様の手をもっていてもおかしくないと思ったのよ」
ローレンスは言わなかったが、魔女キルケが生きていることを既にずっと前から感じ取っていた。
今になって気づかれたか。あとは、あの女がうまくやるしかない。あの出来損ないの魔女に期待しなきゃならんとは。
ローレンスは石の剣を捨てた。
「あら、やめるの?」
しかし、ローレンスは黄色の魔法の剣を抜いた。
「あの石の剣で戦うのをやめただけだ」
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる