異世界もふもふ食堂〜僕と爺ちゃんと魔法使い仔カピバラの味噌スローライフ〜

山いい奈

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#77 田んぼの作り方(その4、レンガ完成)

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 ジェンに続き、ガイ、リオン、ナイルも出勤して来た。食堂のフロアでテーブルを囲む。サユリはテーブルの上に。

「ええと、あらためて、おはようございます」

「おはようカピ」

「おはようございます!」

 壱とサユリが挨拶すると、みんなも元気良く返してくれる。

「では、早速焼き上がってる筈の煉瓦れんがを取りに行きましょう。その前に木工房に寄りたいんですけど」

「解りました」

 ガイが言い、みんなも頷く。

「じゃあ裏庭に荷車を取りに行きましょう」

 揃って裏庭に回り、荷車を取りに行く。この食堂にある荷車は2台。陶芸工房と田んぼ予定地を幾度か往復しなければならないだろう。それは交代で行おう。

 1台にセメントなどを乗せてガイが、もう1台に道具を乗せてリオンが引き、木工房に向かう。サユリは優雅にセメントの上に乗っている。

「ちょっと待っててください。すぐに戻ります」

 壱はみんなに言い置いて、工房のドアを叩く。

「おはようございます!」

 声を掛けると、中から返事が返って来たので、壱はドアを開けた。

「朝からすいません。貰いたい材木があるんですけども」

「おう、坊主! おはようさん。何だ? ここにあるもんなら大抵やれるぞ!」

 ずんぐりむっくりとした、だが快活なロビンが顔を出してくれる。

「ロビンさん、おはようございます。ええと、これ位の板材と」

 壱は腕を大きく横に伸ばし、サイズを示す。

「これ位、いやこれ以上の長めの角材が欲しいんです」

 今度は両手を上下に大きく伸ばす。

「おう、また何やんだ? ちょっと待ってろ!」

 ロビンは奥に消えると、やや後に木材を担いで戻って来た。

「これでどうだ!」

 見ると、壱が想定していたものと何ら相違の無い木材が揃えられていた。凄い。あんなにアバウトな指定だったのに、それを汲み取ってくれた。

「凄いロビンさん、ばっちりです!」

 壱が言うと、ロビンは得意げに笑った。

「そいつぁ良かった! どんどん役立ててくれよな!」

「ありがとうございます! 助かります。食堂にツケておいてくださいね」

「おう。しっかり請求するからよ!」

 壱は2種類の木材を担ぎ、ロビンに見送られて工房を出る。

「お待たせしました」

「イチさん、それ何に使うんですー?」

 ナイルがのんびりとした口調で訊いて来る。

「定規代わりにするんです。線を引いたり、直角を見たり」

「ああ成る程。ではイチくん、荷車に乗せてください」

「ありがとうございます」

 ガイがそう言ってくれたので、有り難くガイが引いていた荷車に乗せた。

 そして、次は陶芸工房に向かう。到着すると、また壱が中に声を掛けた。

「おはようございます! 煉瓦を取りに来たんですが、行けますか?」

「はいはーい」

 応えてくれたのは、先日村の案内をしてもらった時には、轆轤を回していた女性だった。

「あら、イチくんおはよう。煉瓦ね? 出来てるわよ! 裏に積んであるから持ってって頂戴」

「ありがとうございます」

「何か新しい食物作るんだって? 楽しみにしてるよ!」

「半年近く掛かっちゃうんですけどね。気に入って貰えると良いんですけど」

 壱は陶芸工房を出ると、ガイたちに声を掛けて、裏に回る。奥には釜があり、手前に茶色い煉瓦が整然と積まれていた。

「凄い! 本当に煉瓦になってる!」

 上のひとつを持ち上げてみた。ずっしりと重い。一昨日コツコツと形成した物である。

「イチくん、煉瓦を見るのって初めてですか?」

 ガイが訊いて来る。

「いえ、見た事は何度もあるんですけど、作るのは初めてだったので。俺らの世界では、煉瓦は基本店で買う事が多いんです」

「へぇ。あ、でも、この世界でも街だったら買うものなのかも」

 確かに大きな街なら工場などがあってもおかしくないのだろう。壱はまだ行った事が無いが。

「よーし、ちゃっちゃと荷車に乗せるっすよ! サユリさん、ちょっと降りて欲しいっす」

 ジェンが言いながら、荷車に乗せていたセメントなどをもう片方の荷車にバランス良く乗せ、1台を空にした。

「はーい。頑張りますよー」

 ナイルがのんびりと言いながら煉瓦を手にすると、ジェンとリオンとともに、どんどん荷車に乗せ始めた。壱とガイも加わる。

 あっと言う間に乗せ終えると、引く為にガイが前に行き、押す為に壱とジェンが後ろに着いた。

 サユリはあらためて、器用にセメントの上に乗り、そちらの荷車を引くのは続けてリオン。ここに来るまでより重量が増えたので、後ろにナイルが着く。

 準備が整い、田んぼ予定地に向かう。サユリから指定された、麦畑の横の空き地だ。

 荷車を押しながら壱は思う。これはなかなか重い、目的地があまり遠く無くて良かったと。
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